施工事例写真をプロに撮影してもらう際に知っておきたいこと
Best of Houzz 2021 デザイン賞を受賞した3人の建築写真家に、プロ写真家によい施工事例写真を撮影してもらうために知っておきたいことを聞きました。
潜在顧客たちの目を惹きつけるために、何といっても重要なのが施工事例写真です。誰でも手軽に写真を撮影できる時代ではありますが、Houzzで高い人気を集めているのは、やはりプロ写真家が撮影した魅力ある住宅写真の数々です。
今回は、ユーザーの支持を集めた専門家に贈られるBest of Houzz 2021 デザイン賞を写真家として受賞した3人に、プロに撮影をしてもらうことの価値や、よい施工事例写真を撮影してもらう時に知っておきたいことを聞きました。
お話をお聞きした建築写真家たち:河波隆博さん(フォトオフィスフォルテ)、鈴木善実さん(SUZUKI YOSHIMI PHOTOGRAPHY)、多田ユウコさん(多田ユウコ写真事務所)
*今回記事中に掲載した写真は全て、アドバイスをいただいた3人の写真家の撮影によるものです。写真をクリックすると、それぞれの事例を手がけた専門家の詳細もチェックできます。
今回は、ユーザーの支持を集めた専門家に贈られるBest of Houzz 2021 デザイン賞を写真家として受賞した3人に、プロに撮影をしてもらうことの価値や、よい施工事例写真を撮影してもらう時に知っておきたいことを聞きました。
お話をお聞きした建築写真家たち:河波隆博さん(フォトオフィスフォルテ)、鈴木善実さん(SUZUKI YOSHIMI PHOTOGRAPHY)、多田ユウコさん(多田ユウコ写真事務所)
*今回記事中に掲載した写真は全て、アドバイスをいただいた3人の写真家の撮影によるものです。写真をクリックすると、それぞれの事例を手がけた専門家の詳細もチェックできます。
住宅の撮影に慣れているプロ写真家は、住まいのどこを、どのタイミングで、どのように撮れば魅力ある写真が生まれるのか知っています。
SUZUKI YOSHIMI PHOTOGRAPHYの鈴木善実さんは、「(プロ写真家が)撮影の目的や要望に応えるスキルを持ち合わせていることは勿論ですが、さまざまな住宅撮影を経験しているプロ写真家であれば、現場で瞬時にその住宅の特徴や設計の意図を感じ取るものです」と話します。
SUZUKI YOSHIMI PHOTOGRAPHYの鈴木善実さんは、「(プロ写真家が)撮影の目的や要望に応えるスキルを持ち合わせていることは勿論ですが、さまざまな住宅撮影を経験しているプロ写真家であれば、現場で瞬時にその住宅の特徴や設計の意図を感じ取るものです」と話します。
多田ユウコ写真事務所の多田ユウコさんも「建築写真は自社作品のPRにおいて一番重要な第一印象を左右するものなので、魅力的な写真に勝るものはないと思います」と話します。
「写真家にもさまざまな専門分野に特化したプロがいます。建築写真家の場合は、建物を正確に捉えることが基本ですが、その為に特化した機材と技術が基本的に必要となります。それに加えて、知識や経験により、建物と空間の魅力を理解する特化した感性が磨かれています。特別な思い入れのある写真家が思い当たらないようでしたら、竣工写真は建築写真家に依頼されることをおすすめします」(多田さん)
Houzzで建築写真家を探す
「写真家にもさまざまな専門分野に特化したプロがいます。建築写真家の場合は、建物を正確に捉えることが基本ですが、その為に特化した機材と技術が基本的に必要となります。それに加えて、知識や経験により、建物と空間の魅力を理解する特化した感性が磨かれています。特別な思い入れのある写真家が思い当たらないようでしたら、竣工写真は建築写真家に依頼されることをおすすめします」(多田さん)
Houzzで建築写真家を探す
自分に合う写真家はどう見つける?
住宅の撮影を手掛けるプロ写真家といっても、誰にお願いしたら分からない当こともあるでしょう。そのような場合、鈴木さんは「撮影を依頼する目的の優先順位を明確にして探す事をおすすめしたいです」とアドバイスします。
「写真を営業に使用したいのか(目を引く写真)、説明で使用したいのか(よくわかる写真)、記録(ありのままの写真)、施主様へのプレゼント(思い出になる写真)等、目的に沿った写真が得意な写真家を探すのはいかがでしょうか」
多田さんは、まずは知名度や条件に囚われず、無条件に良いと思える写真を撮っている写真家に頼んでみることをおすすめしてくれました。「単純に『あなたの撮る写真が好き』と言ってご依頼いただけると、私達写真家は、その力を更に発揮出来、頑張れます」
河波さんは、面識のない写真家にダイレクトに依頼するのはハードルが高いと感じるようであれば、地域の横のつながりで紹介してもらうのも手だと話します。「一度プロ写真家に撮影してもらって、要望が写真に反映されているかどうかを見ることが大切なことだと思います。2〜3人ほど違う写真家に撮影してもらうと、『今後は、この写真家に撮影してもらおう』と思う写真家に出会えると思いますよ」
住宅の撮影を手掛けるプロ写真家といっても、誰にお願いしたら分からない当こともあるでしょう。そのような場合、鈴木さんは「撮影を依頼する目的の優先順位を明確にして探す事をおすすめしたいです」とアドバイスします。
「写真を営業に使用したいのか(目を引く写真)、説明で使用したいのか(よくわかる写真)、記録(ありのままの写真)、施主様へのプレゼント(思い出になる写真)等、目的に沿った写真が得意な写真家を探すのはいかがでしょうか」
多田さんは、まずは知名度や条件に囚われず、無条件に良いと思える写真を撮っている写真家に頼んでみることをおすすめしてくれました。「単純に『あなたの撮る写真が好き』と言ってご依頼いただけると、私達写真家は、その力を更に発揮出来、頑張れます」
河波さんは、面識のない写真家にダイレクトに依頼するのはハードルが高いと感じるようであれば、地域の横のつながりで紹介してもらうのも手だと話します。「一度プロ写真家に撮影してもらって、要望が写真に反映されているかどうかを見ることが大切なことだと思います。2〜3人ほど違う写真家に撮影してもらうと、『今後は、この写真家に撮影してもらおう』と思う写真家に出会えると思いますよ」
暮らしの雰囲気が伝わる写真を撮影するには
Houzzでは、住まい手たちの暮らしぶりが伝わってくる写真が人気です。このような、おしゃれな生活感のある写真を撮影するには、撮影タイミングが入居後しばらく経ってからになることが多いでしょう。
入居後のスムーズな写真撮影を実現するためには「お施主様のご理解とご協力が一番大切になってくると思います」と多田さんは指摘します。
「お施主様によっては、撮影自体にご理解をいただけない場合や、意思疎通が上手くいかずに後日撮影NGになってしまうというケースもあります」と多田さん。「お施主様ご家族も、イベントのように撮影を楽しんでいただけるよう、あらかじめご案内されておくと、撮影の同意も得られやすいかも知れません」
鈴木さんも、引き渡し後の撮影については、依頼者と入居者の関係の良さがとても重要であると感じているそうです。「私の場合、多くの依頼者は施主様のライフスタイルや指向を把握していて、その上で撮影を依頼されています。依頼者、施主様、撮影者の3者がお互い協力して楽しい撮影現場をつくりあげることで相乗効果が生まれます。その空気感は、写真に表れてきます」
Houzzでは、住まい手たちの暮らしぶりが伝わってくる写真が人気です。このような、おしゃれな生活感のある写真を撮影するには、撮影タイミングが入居後しばらく経ってからになることが多いでしょう。
入居後のスムーズな写真撮影を実現するためには「お施主様のご理解とご協力が一番大切になってくると思います」と多田さんは指摘します。
「お施主様によっては、撮影自体にご理解をいただけない場合や、意思疎通が上手くいかずに後日撮影NGになってしまうというケースもあります」と多田さん。「お施主様ご家族も、イベントのように撮影を楽しんでいただけるよう、あらかじめご案内されておくと、撮影の同意も得られやすいかも知れません」
鈴木さんも、引き渡し後の撮影については、依頼者と入居者の関係の良さがとても重要であると感じているそうです。「私の場合、多くの依頼者は施主様のライフスタイルや指向を把握していて、その上で撮影を依頼されています。依頼者、施主様、撮影者の3者がお互い協力して楽しい撮影現場をつくりあげることで相乗効果が生まれます。その空気感は、写真に表れてきます」
入居後の撮影は落ち着いたころに
入居後に撮影をする場合、引っ越しが終わり、暮らしが落ち着いてきたころがよいようです。
河波さんは「住み始めてから大体1ヶ月程度、もしくは、3か月点検等のタイミングで行ってもいいかと思います」といいます。
多田さんは「住宅撮影の場合、お引越し後に部屋の家具も揃い、生活が落ち着くころがよいでしょう。入居後半年くらいでしょうか。その場の家具の配置でご家族の暮らしが、その空間の用途と結びつき、物語性が出てくるのを感じ取れるので、1枚の写真の味わい深さが増した写真となる気がします」と話します。
植栽がある住まいの場合、緑や花々などの状況も気にしたい要素です。鈴木さんは「庭が重要な要素となる場合は、花の開花の時期や、4月か5月の新緑の時期をおすすめしています」と話します。
入居後に撮影をする場合、引っ越しが終わり、暮らしが落ち着いてきたころがよいようです。
河波さんは「住み始めてから大体1ヶ月程度、もしくは、3か月点検等のタイミングで行ってもいいかと思います」といいます。
多田さんは「住宅撮影の場合、お引越し後に部屋の家具も揃い、生活が落ち着くころがよいでしょう。入居後半年くらいでしょうか。その場の家具の配置でご家族の暮らしが、その空間の用途と結びつき、物語性が出てくるのを感じ取れるので、1枚の写真の味わい深さが増した写真となる気がします」と話します。
植栽がある住まいの場合、緑や花々などの状況も気にしたい要素です。鈴木さんは「庭が重要な要素となる場合は、花の開花の時期や、4月か5月の新緑の時期をおすすめしています」と話します。
入居前撮影ならタイミングを逃さずに
とはいえ、全ての事例で入居後の撮影が可能になる訳ではないでしょう。「その場合、竣工後の『撮れる時』をご決断いただかなければ、撮影タイミングを逃してしまう例も多々ありますのでお気をつけください」と多田さんはアドバイスします。
河波さんは「内覧会で実邸引き渡し前に家具を配置して行う場合は、内覧会終了日の翌日であれば、家具搬出前に作業ができて効率的です」と話します。
入居前撮影のスタイリング等について、河波さんは「自社で家を建てると、どんな生活ができるのか想像できるスタイリングができていればいいと思います。家はインテリアで決まると思っています。北欧風なのかモダンなのか和風なのか、それぞれに即した家具、小物が配置してあることが大切だと思います」と話します。
「ホームステージングの会社に依頼することができればいいですが、そこまで出来ない場合は生活の中でのシーンを設定してそれに合わせた小物を準備出来るといいでしょう」とアドバイスをくれたのは鈴木さんです。「人やペットに入ってもらったり、観葉植物、生花、料理などがあると、より自然な雰囲気になりますよ」
とはいえ、全ての事例で入居後の撮影が可能になる訳ではないでしょう。「その場合、竣工後の『撮れる時』をご決断いただかなければ、撮影タイミングを逃してしまう例も多々ありますのでお気をつけください」と多田さんはアドバイスします。
河波さんは「内覧会で実邸引き渡し前に家具を配置して行う場合は、内覧会終了日の翌日であれば、家具搬出前に作業ができて効率的です」と話します。
入居前撮影のスタイリング等について、河波さんは「自社で家を建てると、どんな生活ができるのか想像できるスタイリングができていればいいと思います。家はインテリアで決まると思っています。北欧風なのかモダンなのか和風なのか、それぞれに即した家具、小物が配置してあることが大切だと思います」と話します。
「ホームステージングの会社に依頼することができればいいですが、そこまで出来ない場合は生活の中でのシーンを設定してそれに合わせた小物を準備出来るといいでしょう」とアドバイスをくれたのは鈴木さんです。「人やペットに入ってもらったり、観葉植物、生花、料理などがあると、より自然な雰囲気になりますよ」
撮影時間や価格は各写真家に確認を
撮影時間や費用は、それぞれの写真家によって異なるため、問い合わせをしてよく確認することが必要です。
「1棟を隅々まで撮影して2時間で終わらせる写真家もいれば、10カット程度を3,4時間じっくり狙う写真家もいます。時間的なものは写真家と要相談となります」と河波さん。「料金に関しても、地域差や撮影カット数がありますのでなんとも言えないですが、おおよそ5万〜20万くらいが多いイメージです」
多田さんは「建築写真は基本的に太陽光での撮影となるので、撮影時間は季節や物件により異なります。メールで設計図面を送って頂き、立地、グーグルマップなどを参考に、大体の撮影時間と撮影スケジュールをご提案しております」と話します。
鈴木さんは「「求められるカット数やシーンにもよりますが、一番多いケースは10~15カット、6時間程度、10万円が目安です。お問い合わせいただければ価格表をお送りします」とのことでした。
また、Houzzの写真家ネットワーク登録写真家の場合、初回のみパッケージ価格の設定を設けています。詳しくはこちらからご確認ください。
撮影時間や費用は、それぞれの写真家によって異なるため、問い合わせをしてよく確認することが必要です。
「1棟を隅々まで撮影して2時間で終わらせる写真家もいれば、10カット程度を3,4時間じっくり狙う写真家もいます。時間的なものは写真家と要相談となります」と河波さん。「料金に関しても、地域差や撮影カット数がありますのでなんとも言えないですが、おおよそ5万〜20万くらいが多いイメージです」
多田さんは「建築写真は基本的に太陽光での撮影となるので、撮影時間は季節や物件により異なります。メールで設計図面を送って頂き、立地、グーグルマップなどを参考に、大体の撮影時間と撮影スケジュールをご提案しております」と話します。
鈴木さんは「「求められるカット数やシーンにもよりますが、一番多いケースは10~15カット、6時間程度、10万円が目安です。お問い合わせいただければ価格表をお送りします」とのことでした。
また、Houzzの写真家ネットワーク登録写真家の場合、初回のみパッケージ価格の設定を設けています。詳しくはこちらからご確認ください。
魅力的な写真で自社をアピールしよう
最後に、3人の写真家たちが住宅の事例写真撮影に際して、大切にされていることも聞きました。
「その家が魅力的に感じる写真であること。その家での幸せな生活を表現すること。その家の特徴を表現すること。素材の色や質感を表現すること。これら4点を大切にしています」(鈴木さん)
「建築写真の基本として、設計の意図を明確に表現すること。建物や空間を正確に表現すること。ディテールが必要な場合は表現すること。太陽の動きを読み、その空間に合った陰影を表現すること。空間の使用用途を表現すること。また、写真家としてのモチベーションとして、感動しながら撮影すること。発見しながら撮影すること。想像しながら撮影すること」(多田さん)
「外観の日の当たり具合は当然ですが、屋内へ差し込む光と影をどのように表現するかを大切に思っています。また、居室だけではなく、生活導線やパントリーなど設計で苦労された部分やアイデアが盛り込まれた写真を残し、依頼主が今後のPR活動がしやすいよう資料としての写真も必ず撮影すようにしています」(河波さん)
住まいは、設計・施工した側にとっても、住まい手にとっても、一大プロジェクトです。各事例のよさを確実に捉えてくれるプロの写真家に撮影をしてもらうことで、貴重な瞬間を写真に残し、ビジネスの魅力もアップさせてみては?
事例写真撮影のコツの記事をもっと読む
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「その家が魅力的に感じる写真であること。その家での幸せな生活を表現すること。その家の特徴を表現すること。素材の色や質感を表現すること。これら4点を大切にしています」(鈴木さん)
「建築写真の基本として、設計の意図を明確に表現すること。建物や空間を正確に表現すること。ディテールが必要な場合は表現すること。太陽の動きを読み、その空間に合った陰影を表現すること。空間の使用用途を表現すること。また、写真家としてのモチベーションとして、感動しながら撮影すること。発見しながら撮影すること。想像しながら撮影すること」(多田さん)
「外観の日の当たり具合は当然ですが、屋内へ差し込む光と影をどのように表現するかを大切に思っています。また、居室だけではなく、生活導線やパントリーなど設計で苦労された部分やアイデアが盛り込まれた写真を残し、依頼主が今後のPR活動がしやすいよう資料としての写真も必ず撮影すようにしています」(河波さん)
住まいは、設計・施工した側にとっても、住まい手にとっても、一大プロジェクトです。各事例のよさを確実に捉えてくれるプロの写真家に撮影をしてもらうことで、貴重な瞬間を写真に残し、ビジネスの魅力もアップさせてみては?
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事例写真をプロ写真家に依頼する場合、撮影代に加えお施主さまとのスケジュール合わせ等も必要になってきます。それでも、時間とお金を投資するメリットとは何でしょうか?
フォトオフィスフォルテの河波隆博さんは「プロに(事例撮影を)依頼する一番のメリットは、写真のクオリティです」と話します。
「いい素材=クオリティの高い写真は、SNSなどで素晴らしいPR素材になります。クオリティの高い写真はユーザーの目に止まり、商談への入り口になります」と話す河波さんは、プロの写真のクオリティとは、撮影に際して行うシミュレーションの"濃さ"から生まれるといいます。
「プロはカメラの性質、レンズの写りを熟知しています。現場では自身の目がレンズとなり、どこをどう切り取るか、そしてどう写るかをシミュレーションします。室内の光と影を読み取り、撮影後のレタッチをどうやれば細部まできれいに撮影できるかまで考えて撮影しています。この過程がクオリティにつながります」