玄関ホールがない家に、エントランス空間を生みだす方法
玄関と生活空間が直結する住まいのゾーニングを見直すアイデアをご紹介します。
Kate Burt
2021年11月29日
玄関を入ったところに玄関ホールあるいはエントランス空間さえなく、直接リビングかキッチンに足を踏み入れるような場合、どうしますか?コートはどこにかけますか?鍵は?どこに座って靴を脱ぎますか?解決方法とアイデアを見ていきましょう。
ソフトに区分け
フランスのこの小さなワンルームマンションのような狭い住まいでは、空間を閉じることは、場を窮屈にしてしまう可能性もあるため、必ずしも望ましい解決方法ではありません。
ワンルームのほとんどがこの写真に収められていることから、そのスケール感がお分かりいただけるかと思います。手前がキッチンとダイニング、奥がリビングエリアで、寝室を兼ねています。
壁の上半分にモミ材の縦格子をしつらえ、ワンルームのエントランスを明確にしています(玄関は写真の奥右手)。
フランスのこの小さなワンルームマンションのような狭い住まいでは、空間を閉じることは、場を窮屈にしてしまう可能性もあるため、必ずしも望ましい解決方法ではありません。
ワンルームのほとんどがこの写真に収められていることから、そのスケール感がお分かりいただけるかと思います。手前がキッチンとダイニング、奥がリビングエリアで、寝室を兼ねています。
壁の上半分にモミ材の縦格子をしつらえ、ワンルームのエントランスを明確にしています(玄関は写真の奥右手)。
縦格子の向こうには、イケアの靴箱をカスタマイズして据え付けています。ここには鍵やバッグだけでなく花瓶を置くこともでき、訪れる人を明るく迎えることができます。
「エントランスを明確に定めることで、特にワンルームマンションでは、各エリアが機能する住まいづくりができます」と、このマンションのインテリアデザインを手がけた、セシル・ハンバート(Cécile Humbert)はいいます。「この機能的なエントランスを設けたことで、生活空間を乱雑にすることなく、鍵、靴、コートなどを置くことができるようになりました」
「エントランスを明確に定めることで、特にワンルームマンションでは、各エリアが機能する住まいづくりができます」と、このマンションのインテリアデザインを手がけた、セシル・ハンバート(Cécile Humbert)はいいます。「この機能的なエントランスを設けたことで、生活空間を乱雑にすることなく、鍵、靴、コートなどを置くことができるようになりました」
レイアウトを分断する
幅狭な壁を設ければ、空間が仕切られるだけでなく、モノを掛けるスペースも確保できます。インテリアデザイナーのクローディア・ドーシ(Claudia Dorsch)は、このロンドンのアパートをリノベーションするにあたり、新しいキッチンの端を天井までの幅狭な壁で閉じることでエントランス空間を作りだしました。「空間を定義したかったのです」とドーシは話します。
この壁は窓を2つに分断していますが、外側からは1つに見えます。この窓は、4枚窓で、1枚はキッチン側にあり、他の3枚は新しく作られた玄関ホール側にあります。
これで、コートを掛け、靴を履く場所ができました。「壁の反対側には小さなベンチシート(写真の一部が見えているもの)があり、その上にコートフックがあります」(ドーシ)。
幅狭な壁を設ければ、空間が仕切られるだけでなく、モノを掛けるスペースも確保できます。インテリアデザイナーのクローディア・ドーシ(Claudia Dorsch)は、このロンドンのアパートをリノベーションするにあたり、新しいキッチンの端を天井までの幅狭な壁で閉じることでエントランス空間を作りだしました。「空間を定義したかったのです」とドーシは話します。
この壁は窓を2つに分断していますが、外側からは1つに見えます。この窓は、4枚窓で、1枚はキッチン側にあり、他の3枚は新しく作られた玄関ホール側にあります。
これで、コートを掛け、靴を履く場所ができました。「壁の反対側には小さなベンチシート(写真の一部が見えているもの)があり、その上にコートフックがあります」(ドーシ)。
家具を活用する
構造的な工事をせずに仕切りを作るには、ニューヨークのブルックリンにあるこの19世紀のタウンハウスでの解決策を参考にしてみましょう。
壁や半壁の施工が望ましくない場合、2つの異なるゾーンの感覚を作り出すのに、家具の配置がどのように役立つかを示す好例です。
ここに住むデザイナーのアリソン・ジェニソン(Alison Jennison)は、ソファとサイドテーブルの後ろ端をドア端の位置にあわせて一列に並べ、ドアに背を向けるように配置しました。このラインが視覚効果を生みだし、明確にエントランスエリアを作り出しています。また、リビングにいながら玄関ドアとスペースを共有しているという違和感を大幅に軽減してくれます。
正面玄関の右手には、フックの列、鍵やコイン用のボウルを置くためのテーブルといった、エントランスにありそうなものを設置するのもよいでしょう。
構造的な工事をせずに仕切りを作るには、ニューヨークのブルックリンにあるこの19世紀のタウンハウスでの解決策を参考にしてみましょう。
壁や半壁の施工が望ましくない場合、2つの異なるゾーンの感覚を作り出すのに、家具の配置がどのように役立つかを示す好例です。
ここに住むデザイナーのアリソン・ジェニソン(Alison Jennison)は、ソファとサイドテーブルの後ろ端をドア端の位置にあわせて一列に並べ、ドアに背を向けるように配置しました。このラインが視覚効果を生みだし、明確にエントランスエリアを作り出しています。また、リビングにいながら玄関ドアとスペースを共有しているという違和感を大幅に軽減してくれます。
正面玄関の右手には、フックの列、鍵やコイン用のボウルを置くためのテーブルといった、エントランスにありそうなものを設置するのもよいでしょう。
収納付きの仕切りを足す
このオープンプランの部屋には、キッチン、ダイニング、リビングエリアと、ガラス張りの玄関があります(写真の右側から、差し込む光が見えています)。以前はエントランスエリアがゾーン分けされていなかったため、プライバシーを確保するのが難しい状態でした。
Making Spacesのインテリアデザイナー、カレン・ノックス(Karen Knox)は、インダストリアル・スタイルのヴィンテージロッカーを活用して、玄関ホールを設けると同時に、ダイニングテーブルとキッチンを隠すというシンプルで効果的なアイデアを思いつきました。
このオープンプランの部屋には、キッチン、ダイニング、リビングエリアと、ガラス張りの玄関があります(写真の右側から、差し込む光が見えています)。以前はエントランスエリアがゾーン分けされていなかったため、プライバシーを確保するのが難しい状態でした。
Making Spacesのインテリアデザイナー、カレン・ノックス(Karen Knox)は、インダストリアル・スタイルのヴィンテージロッカーを活用して、玄関ホールを設けると同時に、ダイニングテーブルとキッチンを隠すというシンプルで効果的なアイデアを思いつきました。
写真にあるように、ロッカーの玄関ホール側には古いパレットを再利用した板を張り、コートフックを設置しています。ダイニング側は、ゲーム、おもちゃ、食器などの収納になっています。
さぁ仕切る時間です
上の写真は、1階と2階にそれぞれ2部屋ずつあるテラスハウスで、アイルランドのダブリンにある住まいの「ビフォー」写真です。このタイプの家でよくあるのが、リビングルームに直接入る玄関です。こうした空間を再構成してエントランス感を作りだすにはさまざまな方法がありますが、なかでも、houseologyのエヴァ・バーン(Eva Byrne)がデザインしたアイデアは、非常に想像力に富み、かつスタイリッシュです。
上の写真は、1階と2階にそれぞれ2部屋ずつあるテラスハウスで、アイルランドのダブリンにある住まいの「ビフォー」写真です。このタイプの家でよくあるのが、リビングルームに直接入る玄関です。こうした空間を再構成してエントランス感を作りだすにはさまざまな方法がありますが、なかでも、houseologyのエヴァ・バーン(Eva Byrne)がデザインしたアイデアは、非常に想像力に富み、かつスタイリッシュです。
「塗装した木材とガラスで、完全に折りたためる間仕切りを取り付けました」とエヴァは言います。 「こうすることにより、リビングルームにいる時に通りからプライバシーを保てます。玄関近くの空間では、そもそもあまり活動しないので、仕切りを追加したことで居住スペースを狭くしていません」。さらに、仕切りは階段もリビングエリアから分離しています。
バーンは正面玄関の扉を交換し、特徴的なブルーに塗りました。さらに扉の脇の壁(階段の反対側)にはフック付きの棚と鏡を追加して、この空間を便利な玄関ホールに変身させました。
バーンは正面玄関の扉を交換し、特徴的なブルーに塗りました。さらに扉の脇の壁(階段の反対側)にはフック付きの棚と鏡を追加して、この空間を便利な玄関ホールに変身させました。
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