車椅子にやさしいデザインが、家族の暮らしを快適にするリノベーション
暗かった部屋はバリアフリー化と配置の変更で、明るく車椅子でも移動しやすい空間に変身しました。
Núria Moreras
2021年8月29日
セリア・マテオとルイ・ミゲル・ゴンザレスは、住まいについて悩んでいました。住まいであるバルセロナ中心部、グラン・ビア通りに面するマンションの部屋のレイアウトが自分たちの暮らしにあっていないと感じていたのです。この部屋を改装するか、新しい部屋に引っ越すべきか、選択を迫られていました。
結局、二人は住んでいた部屋をフルリノベーションをすることで、14年前にパーキンソン病と診断されたマテオに合った空間を実現することを選びました。
マテオはリノベーション後の住まいについて、生活の質が「100%変わった」と話します。「新しいアパートメントに住んでいるかのような、とても幸せな気分です。時々、ふと『グラン・ビア通りの部屋に住んでた時のこと覚えてる?あ、まだ私たち、同じ部屋に住んでるだったね』なんて言ってますよ」と笑顔で語ります。
結局、二人は住んでいた部屋をフルリノベーションをすることで、14年前にパーキンソン病と診断されたマテオに合った空間を実現することを選びました。
マテオはリノベーション後の住まいについて、生活の質が「100%変わった」と話します。「新しいアパートメントに住んでいるかのような、とても幸せな気分です。時々、ふと『グラン・ビア通りの部屋に住んでた時のこと覚えてる?あ、まだ私たち、同じ部屋に住んでるだったね』なんて言ってますよ」と笑顔で語ります。
写真: Jordi Folch
どんなHouzz?
住まい手:セリア・マテオ、ルイ・ミゲル・ゴンザレス、そして二人の末っ子であるマリオ・ゴンザレス(18歳)。
所在地:バルセロナのアシャンプラ地区(スペイン)
面積:130平方メートル
設計:gokostudioのベッティーナ・コロラックとクラウディオ・ゴンザレス
改装前、空間は完全に区画化されていました。また、リビングはライトウェル(光井戸)に面しており、少し陰気な感じがしたといいます。
もう一つ課題となったのが、このアパートが1階にあるということでした。多くの壁が耐力壁であり、動かすことができなかったのです。
どんなHouzz?
住まい手:セリア・マテオ、ルイ・ミゲル・ゴンザレス、そして二人の末っ子であるマリオ・ゴンザレス(18歳)。
所在地:バルセロナのアシャンプラ地区(スペイン)
面積:130平方メートル
設計:gokostudioのベッティーナ・コロラックとクラウディオ・ゴンザレス
改装前、空間は完全に区画化されていました。また、リビングはライトウェル(光井戸)に面しており、少し陰気な感じがしたといいます。
もう一つ課題となったのが、このアパートが1階にあるということでした。多くの壁が耐力壁であり、動かすことができなかったのです。
二人はHouzzでリフォームの専門家チームを見つけました。
「Houzzの『専門家を探す』から、自分たちの地域の専門家を検索しました。写真を見て、好みでないと思ったものは除外しました。レビューも読んで、最終的にこの二人を選びました」とゴンザレス。それが、gokostudioの設立者であるベッティーナ・コロラックとクラウディオ・ゴンザレスだったのです。
コロラックは、施主である二人が決断を下すのに数か月はかかったと話します。「アパート全体を改装することで、機能性を取り戻し、自分たちのニーズを満たすことができるか、二人とも疑問に思っていたのです」
「耐力壁に手を付けることなく、日中過ごすエリアが通りに面し、自然光を取り入れることができるよう、すべての空間を配置しなおしました。家族が日常生活を共有できる、流れるようにつながった広い空間を作りたいと考えました」と建築家はいいます。
Houzzで建築家を探す
「Houzzの『専門家を探す』から、自分たちの地域の専門家を検索しました。写真を見て、好みでないと思ったものは除外しました。レビューも読んで、最終的にこの二人を選びました」とゴンザレス。それが、gokostudioの設立者であるベッティーナ・コロラックとクラウディオ・ゴンザレスだったのです。
コロラックは、施主である二人が決断を下すのに数か月はかかったと話します。「アパート全体を改装することで、機能性を取り戻し、自分たちのニーズを満たすことができるか、二人とも疑問に思っていたのです」
「耐力壁に手を付けることなく、日中過ごすエリアが通りに面し、自然光を取り入れることができるよう、すべての空間を配置しなおしました。家族が日常生活を共有できる、流れるようにつながった広い空間を作りたいと考えました」と建築家はいいます。
Houzzで建築家を探す
アイランドキッチンとつながった大きなダイニングテーブルは(上の写真を参照)快適な食事の場であり、一方でその周りには動き回るのに十分なスペースが確保されています。しかも、テーブルは延長すると14人掛けになります。
また、キッチンは大きなパントリーへとつながっています(写真無し、下の図面参照)。
リビングルーム、ダイニングルームそしてキッチンは、自然光に溢れたひと続きのスペースとなっています。
部屋の隅にあるマテオのオフィススペース(写真背景)もまた、いくつかの大きな窓のおかげで非常に明るくなっています。「デジタル写真がとても好きなんです。以前私のオフィスだった部屋は、内部の中庭に面する窓が一つしかなかったため、とても暗かったのです。今は、木々やグラン・ビアを眺めることができます。景色が全く変わりました」とマテオ。
「家族みんなの、特にマテオの、生活の質を向上する」というこのリフォームの主な目的は達成されたといえるでしょう。「(gokostudioに)常に伝えていたのは、このリフォームは妻へのささやかなプレゼントのようなものである、ということです」とゴンザレスは話します。
この住宅のほぼすべての家具は、家族に合わせて建築家がデザインし、 Inter Armarisが制作を担当しました。
「家族みんなの、特にマテオの、生活の質を向上する」というこのリフォームの主な目的は達成されたといえるでしょう。「(gokostudioに)常に伝えていたのは、このリフォームは妻へのささやかなプレゼントのようなものである、ということです」とゴンザレスは話します。
この住宅のほぼすべての家具は、家族に合わせて建築家がデザインし、 Inter Armarisが制作を担当しました。
左上が元のレイアウト、右上が提案レイアウト。その下にある線図は耐力壁を示す。右の大きな図が最終的なレイアウト。
gokostudioとクライアント二人は、コラボレーションにHouzzのアイデアブックを利用し、取り入れたい建築やインテリアのアイデアが分かる写真を保存しました。それが、この住まいのミニマリスト的かつモダンなインテリアのインスピレーションの源となったのです。
ここにある平面図は、このリフォームで、リビングエリアのレイアウトがどのように変わったかを示しています。キッチンと書斎を通りに面して置くことで、自然の光を取り入れることができるようになりました。
gokostudioとクライアント二人は、コラボレーションにHouzzのアイデアブックを利用し、取り入れたい建築やインテリアのアイデアが分かる写真を保存しました。それが、この住まいのミニマリスト的かつモダンなインテリアのインスピレーションの源となったのです。
ここにある平面図は、このリフォームで、リビングエリアのレイアウトがどのように変わったかを示しています。キッチンと書斎を通りに面して置くことで、自然の光を取り入れることができるようになりました。
ホールもミニマリスト的かつエレガントに仕上がっています。
パーキンソン病は神経変性疾患であるため、将来マテオは車椅子が必要になる可能性があります。そのため車いすが通れる幅の広いスペースが必要でした。
ゴンザレスから建築家への要求の一つが「浴室を含め、全ての床が平坦であること」であったといいます。「転倒を防ぎ、車いすの使用を可能にするためです」
パーキンソン病は神経変性疾患であるため、将来マテオは車椅子が必要になる可能性があります。そのため車いすが通れる幅の広いスペースが必要でした。
ゴンザレスから建築家への要求の一つが「浴室を含め、全ての床が平坦であること」であったといいます。「転倒を防ぎ、車いすの使用を可能にするためです」
建築家がこのプロジェクトのために選んだ素材の種類は多くありません。木材、マイクロセメント、陶磁器製の建材などが、住宅全体の床材および仕上げとして使われています。
カラーパレットも住宅内で繰り返されます。グレー、異なる色味の木材、そして銅のディテールが「落ち着きのある、調和のとれた美しさ」を作りだしていると建築家はいいます。ゴンザレスも「私たちがアパートのリノベーションに望んだのは、静穏と滑らかな線だったのですが、建築家はそれを叶えてくれました」と同意します。
カラーパレットも住宅内で繰り返されます。グレー、異なる色味の木材、そして銅のディテールが「落ち着きのある、調和のとれた美しさ」を作りだしていると建築家はいいます。ゴンザレスも「私たちがアパートのリノベーションに望んだのは、静穏と滑らかな線だったのですが、建築家はそれを叶えてくれました」と同意します。
アパートの玄関横にあるこの浴室を使うのは、二人の息子であるマリオです。
リビングエリア同様、主寝室の様々なゾーンも、バリアフリーに繋がるようなリノベーションとなっています。寝室、ウォークインクローゼット、浴室間に、ドアやや物理的なバリアはありません。
元々あった空調システムのために、以前は騒々しくあまり快適ではない空間でした。夏には寝付けない日も度々あった、と施主たちは話します。gokostudioは、これらの問題をアパートの壁内に設置された新しい空調システムで解消し「身体の不自由な人がすべてのシステムを操作できるよう、快適さと使い勝手」を実現しました。
ウォークインクローゼットの壁はヘッドボードも兼ねています。これはgokostudioによる特注のデザインです。
もうひとつ、このプロジェクトでディテールにこだわったのが照明です。多くの場合二人は異なるスケジュールで生活しているため、建築家はキャビネットの下部とヘッドボードに調光可能なLED照明を設置し、夜中にクローゼットと浴室への通路をやさしく照らすようにし、読書と着替えのためのスポットライトを組み合わせました。さらに、壁および天井の照明が環境照明としてこれを補います。
もうひとつ、このプロジェクトでディテールにこだわったのが照明です。多くの場合二人は異なるスケジュールで生活しているため、建築家はキャビネットの下部とヘッドボードに調光可能なLED照明を設置し、夜中にクローゼットと浴室への通路をやさしく照らすようにし、読書と着替えのためのスポットライトを組み合わせました。さらに、壁および天井の照明が環境照明としてこれを補います。
ほとんどのドアは、開きやすいように引き戸になっています。
「車いす対応にするために、すべての通路を最小幅約90cm、回転半径120cmで設計し、主寝室のシャワブースの防水パンを含め、すべての床をフラットにするのは刺激的な課題でした」と建築家は語ります。
「車いす対応にするために、すべての通路を最小幅約90cm、回転半径120cmで設計し、主寝室のシャワブースの防水パンを含め、すべての床をフラットにするのは刺激的な課題でした」と建築家は語ります。
主寝室の浴室にある洗面台とバックライト付きの鏡もまた特注ものです。
カウンタートップに組み込まれた洗面器は壁仕上げと同じ陶磁器製。混合栓はIcónico社のものです。
元々はキッチンであった場所からスペースを借りたことで、寝室の空間がより広々と機能的になりました。
マリオの寝室は通りに面するため、自然光も充分に入ります。
今回のリノベーションでは、天井もオリジナルの高さに戻し、築100年のアパートに優雅さを再び与え流ことに成功しました。
しかし、空調、暖房、無停電電源装置(UPS)、軟水器・逆浸透膜浄水器、スクリーン、4Kプロジェクター、音響システムなど多くシステムを組み込まなければならなかったため、簡単なことではありませんでした。
これらのシステムは、可能な限りワードローブ上部の折り下げ天井などに組み込まれました。こうすることにより、主要な空間で最大限の天井高を確保することが可能になりました。
今回のリノベーションでは、天井もオリジナルの高さに戻し、築100年のアパートに優雅さを再び与え流ことに成功しました。
しかし、空調、暖房、無停電電源装置(UPS)、軟水器・逆浸透膜浄水器、スクリーン、4Kプロジェクター、音響システムなど多くシステムを組み込まなければならなかったため、簡単なことではありませんでした。
これらのシステムは、可能な限りワードローブ上部の折り下げ天井などに組み込まれました。こうすることにより、主要な空間で最大限の天井高を確保することが可能になりました。
キッチンで施主たちと共にポーズをとる、建築家のコロラック(右)。最初から最後まで、適切なコミュニケーションと緻密なプロジェクト管理をおこなったことにより、専門家と施主間のコラボレーションは、スムースかつ実りの多いものになりました。
「今、私は住まいに飾るために、毎週花を買っています。このリノベーションは、私たちに大きな喜びをもたらしてくれています」とマテオは話します。
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