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あえて“時間をかける”暮らし。スローライフが住まいにもたらす価値とは
自分を見つめ直したり、地域の自然と繋がる機会が生まれる、スローなライフスタイル。建築、インテリア・ガーデンデザイン、陶芸、ライフコーチングの5人の専門家にお話を聞きました。

Giulia Zappa
2021年3月11日
スローなライフスタイルは、もはや新しい概念ではありません。忙しい日常生活への対処法としてインディペンデント誌の誌面で取り上げられ始めたこのコンセプトは、いまや主要なトレンドのひとつとなっています。建築、インテリア・ガーデンデザイン、陶芸、ライフコーチングの専門家たちに、スローな体験がもたらす価値や、スローな暮らし方を住まいに取り入れる方法を聞きました。
スローなライフスタイルが最初に再発見されるきっかけとなったのが、「食」の分野です。イタリアのピエモンテ州クネオ県ブラに住むカルロ・ペトリーニが1986年に始めたスローフード運動は、ゆっくりと食事を楽しむ方向にシフトすることの必要性と美点を強調するものでした。
ペトリーニに続き、英語圏の国々の主導により、スローなペースに戻ることの必要性が理論化され、食が生活の他分野と結び付けて考えられるようなりました。
「スロー」という言葉は、「サステナブル」「ローカル」「オーガニック」「ホール(全体の、健康な)」といった意味で、多くの著者によって使用されてきました。
ペトリーニに続き、英語圏の国々の主導により、スローなペースに戻ることの必要性が理論化され、食が生活の他分野と結び付けて考えられるようなりました。
「スロー」という言葉は、「サステナブル」「ローカル」「オーガニック」「ホール(全体の、健康な)」といった意味で、多くの著者によって使用されてきました。
スローなインテリア、スローなライフスタイル
食からライフスタイル、住まいのインテリアに飛躍するのはそう難しいことではありません。スローペースを基調とし、伝統的な素材・技法の再発見を中心に自然とのつながりを強調するインテリアは、業界の誌面で特によく目にします。
この立役者のひとつが、2011年にコペンハーゲンで創刊された、スロー・ライフスタイル雑誌、Kinfolkです。この雑誌には、シンプル、クラフト、ノーブランドのデザイン、自然素材のファブリック、「クラシックな」スタイルのカントリーハウス、そしてもちろん、おいしい家庭のレシピといったコンテンツが盛り込まれています。Kinfolkに続き、Cereal、Dim Dam Dom、Lagom、Consideredといった雑誌もスローなインテリアを扱っています。
食からライフスタイル、住まいのインテリアに飛躍するのはそう難しいことではありません。スローペースを基調とし、伝統的な素材・技法の再発見を中心に自然とのつながりを強調するインテリアは、業界の誌面で特によく目にします。
この立役者のひとつが、2011年にコペンハーゲンで創刊された、スロー・ライフスタイル雑誌、Kinfolkです。この雑誌には、シンプル、クラフト、ノーブランドのデザイン、自然素材のファブリック、「クラシックな」スタイルのカントリーハウス、そしてもちろん、おいしい家庭のレシピといったコンテンツが盛り込まれています。Kinfolkに続き、Cereal、Dim Dam Dom、Lagom、Consideredといった雑誌もスローなインテリアを扱っています。
スローな住まいとは、インテリアに限ったことではなく、暮らし方全体への哲学でもあります。
オーストラリアのデザイナー、ナタリー・ウォルトンは著書『Still: The Slow Home』 (Hardie Grant Booksより出版)のなかで、スローなライフスタイルを取り入れる方法について次のように述べています。
「まず一つ目のシンプルな方法は、消費を抑えることです。それがおそらく、私たちが利用できる一番重要なツールであるといえるかもしれません。…二つ目に、『ローカリゼーション』という考え方について検討してみましょう。これは経済学者のヘレナ・ノーバーグ=ホッジが考案したコンセプトで、彼女は地域に根差した暮らしこそがグローバリゼーションに対する最も効果的な対抗策であると主張しています」
「住まいは、建設で調達する資材から、設備や家具を揃える方法に至るまで、こういった考え方を支え、さらには推し進めるのに理想的なものといえるでしょう。とはいえ、私たちの選択によって、あたたかく居心地のよい空間が犠牲する必要はありません。むしろ自分の暮らし方やその場所について、より前向きに捉えることができるようになるのです」
「三つ目は、自然とより深くつながることを選択すると、そのことが人生における優先事項になってきます」
Houzzで日本の住まいの専門家を探す
オーストラリアのデザイナー、ナタリー・ウォルトンは著書『Still: The Slow Home』 (Hardie Grant Booksより出版)のなかで、スローなライフスタイルを取り入れる方法について次のように述べています。
「まず一つ目のシンプルな方法は、消費を抑えることです。それがおそらく、私たちが利用できる一番重要なツールであるといえるかもしれません。…二つ目に、『ローカリゼーション』という考え方について検討してみましょう。これは経済学者のヘレナ・ノーバーグ=ホッジが考案したコンセプトで、彼女は地域に根差した暮らしこそがグローバリゼーションに対する最も効果的な対抗策であると主張しています」
「住まいは、建設で調達する資材から、設備や家具を揃える方法に至るまで、こういった考え方を支え、さらには推し進めるのに理想的なものといえるでしょう。とはいえ、私たちの選択によって、あたたかく居心地のよい空間が犠牲する必要はありません。むしろ自分の暮らし方やその場所について、より前向きに捉えることができるようになるのです」
「三つ目は、自然とより深くつながることを選択すると、そのことが人生における優先事項になってきます」
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利益追求ではない、自分のためのスローな建築
スローなライフスタイルを求めるクライアントの想いに、多くの建築家たちがプロジェクトで応えようとしています。
8年前、お気に入りの地域のひとつであった南イタリアのプッリャ州サレント地方に居を構えることを決意したイタリアの建築家ステファノ・ジレティは、伝統的な農園である「マッセリア」を時間をかけて改修し続けています。
「建築は今も昔もスローなものです。なぜなら、ライフスタイルにかかわらず、施工プロセスの構想と実施には、スローであることが必要だからです。今は『スローライフ』という言葉が少し商業的な意味合いで使われていると思います」と彼はいいます。
「ですが、世界のどこかで猛烈な速さで建設がおこなわれていることを考えれば、必要な時間をかけて現場の再利用可能な素材から住宅を建設するスローアーキテクチャーは、配慮のある行動になるのではないでしょうか。スローなリノベーションは、利益を出すこと重視しすぎないものであるといえますね」
スローなライフスタイルを求めるクライアントの想いに、多くの建築家たちがプロジェクトで応えようとしています。
8年前、お気に入りの地域のひとつであった南イタリアのプッリャ州サレント地方に居を構えることを決意したイタリアの建築家ステファノ・ジレティは、伝統的な農園である「マッセリア」を時間をかけて改修し続けています。
「建築は今も昔もスローなものです。なぜなら、ライフスタイルにかかわらず、施工プロセスの構想と実施には、スローであることが必要だからです。今は『スローライフ』という言葉が少し商業的な意味合いで使われていると思います」と彼はいいます。
「ですが、世界のどこかで猛烈な速さで建設がおこなわれていることを考えれば、必要な時間をかけて現場の再利用可能な素材から住宅を建設するスローアーキテクチャーは、配慮のある行動になるのではないでしょうか。スローなリノベーションは、利益を出すこと重視しすぎないものであるといえますね」
サレント地方は、物質主義的な世界やせわしない日常から距離をおいたライフスタイルへの移行を象徴する場所です。
「サレントにおける近年の急激な人口増加の背景には、田舎暮らしをしたいという人々の欲求があると思います」とジレティ。「マッセリアをセカンドハウスにしたいという要望も多いですが、それに加えてイタリア国内外、特にイギリスから、多くの人が 移住を希望しています。彼らはいままでの生活を一変させ、自然に囲まれた住宅に住み、庭ではミミズを利用したコンポストを使い、動物の世話をし、移り変わる自然を楽しむことで、本当の意味で地球とつながりたいと考えているのです」
「サレントにおける近年の急激な人口増加の背景には、田舎暮らしをしたいという人々の欲求があると思います」とジレティ。「マッセリアをセカンドハウスにしたいという要望も多いですが、それに加えてイタリア国内外、特にイギリスから、多くの人が 移住を希望しています。彼らはいままでの生活を一変させ、自然に囲まれた住宅に住み、庭ではミミズを利用したコンポストを使い、動物の世話をし、移り変わる自然を楽しむことで、本当の意味で地球とつながりたいと考えているのです」
それでは建築はどのようにスローなライフスタイルに応えるのでしょうか。スローダウンを後押ししてくれるデザインの実践とはどのようなものでしょうか。
「答えは、その地域のモデルと建築のタイポロジー(類型学)を利用することです。この2つはこれまでにも同じような機能とライフスタイルを支えてきました」とジレティは話します。「地元の素材を使用し、可能な場所には廃材を挿入することが大切です。また、以前あった空間を復活させ、新たな用途に転換させます」
もうひとつ欠かせない要素は、アウトドアリビングです。「気候が良ければ、屋内外に強い関係性を持たせることが重要です。自然とのかかわりを最大限に生かし、50~60パーセントの時間を屋外で過ごせるようにします」
「答えは、その地域のモデルと建築のタイポロジー(類型学)を利用することです。この2つはこれまでにも同じような機能とライフスタイルを支えてきました」とジレティは話します。「地元の素材を使用し、可能な場所には廃材を挿入することが大切です。また、以前あった空間を復活させ、新たな用途に転換させます」
もうひとつ欠かせない要素は、アウトドアリビングです。「気候が良ければ、屋内外に強い関係性を持たせることが重要です。自然とのかかわりを最大限に生かし、50~60パーセントの時間を屋外で過ごせるようにします」
スローなガーデニングで、植物の成長に参加する
都市では自然が少なくなり、忙しさばかりが増していくなかで、スローなライフスタイルは、失われてしまった緑や自然に対する憧れに密接に関連しています。
植物の世話は、よりスローなペースを見つける秘策となるでしょうか。私たちがそんな問いを投げかけたのは、ボローニャでテラスとガーデンデザインを専門とするGardenstudioを夫のミケーレと経営する、エリザベッタ・カブリ―二です。
緑とつきあうには忍耐が必要だとカブリ―二はいいます。植物の世話というのは、徐々にその成果があらわれるものです。どの生体も成長には時間がかかります。「緑に囲まれるだけではなく、その成長に参加してこそ、緑から最大限の恩恵を受けることができるのです。すべての人が、植物の世話をし、植物と共に生きる喜びの本質を味わえるわけではありません。これは非常に個人的で、時間をかけて形成されていくものなのです」
都市では自然が少なくなり、忙しさばかりが増していくなかで、スローなライフスタイルは、失われてしまった緑や自然に対する憧れに密接に関連しています。
植物の世話は、よりスローなペースを見つける秘策となるでしょうか。私たちがそんな問いを投げかけたのは、ボローニャでテラスとガーデンデザインを専門とするGardenstudioを夫のミケーレと経営する、エリザベッタ・カブリ―二です。
緑とつきあうには忍耐が必要だとカブリ―二はいいます。植物の世話というのは、徐々にその成果があらわれるものです。どの生体も成長には時間がかかります。「緑に囲まれるだけではなく、その成長に参加してこそ、緑から最大限の恩恵を受けることができるのです。すべての人が、植物の世話をし、植物と共に生きる喜びの本質を味わえるわけではありません。これは非常に個人的で、時間をかけて形成されていくものなのです」
それでもまだ懐疑的な人に対しては、ひとつのプランターにひとつの植物を育ててみることを彼女は提案します。植物を育て、その成長する姿を見ることは、もっとも疑い深い人にさえ、時に驚くほどの効果をもたらします。
「植物を育ててみること、その成長に積極的に関わること、植物を注意深く観察し理解を深めること。そういったことを通して、自然のリズムに自らを合わせることができます。今日は種を蒔き、明日は水をやる。そうすることで初めて植物が芽を出すのです」とカブリ―二は話します。
「世話をすることで植物が成長したり、あるいは理解や世話の不足のために、植物だめになってしまうのを見るのは、価値のあることだと思います。人生がそうであるように、自然の中では上手くいくことばかりではありません。その不安定さを、緑の世話を通して理解することができるのです」
「植物を育ててみること、その成長に積極的に関わること、植物を注意深く観察し理解を深めること。そういったことを通して、自然のリズムに自らを合わせることができます。今日は種を蒔き、明日は水をやる。そうすることで初めて植物が芽を出すのです」とカブリ―二は話します。
「世話をすることで植物が成長したり、あるいは理解や世話の不足のために、植物だめになってしまうのを見るのは、価値のあることだと思います。人生がそうであるように、自然の中では上手くいくことばかりではありません。その不安定さを、緑の世話を通して理解することができるのです」
「もうひとつ強調しておきたいのは、自然を大切にすることで、個人のみならす集団に対する効果が得られるということです」とカブリ―二。「都市における環境的価値を高め、見る人を楽しませてくれます。ある意味、植物を育てるというのは、気前の良い行為といえるかもしれませんね」
それではどうやって始めればよいか、彼女にアドバイスしてもらいました。その答えとは?そう、時間をかけることです。「背伸びせず、簡単なプロジェクトから始めてみましょう。続けやすく、徐々に成果を目にすることができますよ」と彼女は教えてくれました。
それではどうやって始めればよいか、彼女にアドバイスしてもらいました。その答えとは?そう、時間をかけることです。「背伸びせず、簡単なプロジェクトから始めてみましょう。続けやすく、徐々に成果を目にすることができますよ」と彼女は教えてくれました。
スローダウンして、自分の心の声に耳を傾ける価値
パリで生まれ育ち、現在はイタリアのフィレンツェの丘を拠点としてスローライフのコーチとして活動するサンドリーヌ・コム。彼女がにとってスローライフとは、長年公私ともに興味を持ってきたテーマを結び付けて生まれたものです。彼女の活動の中心にあるのは、本物であること、普段は脇に追いやられている心の声を聞くことの重要性、完全なかたちでの生活の質の再発見です。
「私は栄養学のコーチなのですが、この仕事をする中で、人々は自分の心の声を聞き、自分のために生きる時間が慢性的に不足する中で、食を癒しとしていることに気が付きました。こうした気付きが、スローなライフスタイルのためのコーチングを構築するきっかけになりました。コーチングは『スローライフヨガ』と組み合わせておこなっています。これは、非常にスローなスタイルのヨガで、これまで私たちが耳を傾けようとしなかった、身体が発し続けているメッセージに向き合いなおすことができます」
コムにとって、スローであることは、本当に大切なことに目を向けなおし、休息の必要性など、必要でありながらなおざりにされていたことに取り組む方法になったといいます。「すべてのことを素早くおこない、時間を無駄にしたり、生産性がないと罪悪感を感じるといったように、私たちは自分に対して厳しくするよう育てられました。スローダウンすることはは、気持ちを落ち着けて集中する方法であり、日常生活の激しいリズムに付いていくために必要な心の持ち方でもあります」
パリで生まれ育ち、現在はイタリアのフィレンツェの丘を拠点としてスローライフのコーチとして活動するサンドリーヌ・コム。彼女がにとってスローライフとは、長年公私ともに興味を持ってきたテーマを結び付けて生まれたものです。彼女の活動の中心にあるのは、本物であること、普段は脇に追いやられている心の声を聞くことの重要性、完全なかたちでの生活の質の再発見です。
「私は栄養学のコーチなのですが、この仕事をする中で、人々は自分の心の声を聞き、自分のために生きる時間が慢性的に不足する中で、食を癒しとしていることに気が付きました。こうした気付きが、スローなライフスタイルのためのコーチングを構築するきっかけになりました。コーチングは『スローライフヨガ』と組み合わせておこなっています。これは、非常にスローなスタイルのヨガで、これまで私たちが耳を傾けようとしなかった、身体が発し続けているメッセージに向き合いなおすことができます」
コムにとって、スローであることは、本当に大切なことに目を向けなおし、休息の必要性など、必要でありながらなおざりにされていたことに取り組む方法になったといいます。「すべてのことを素早くおこない、時間を無駄にしたり、生産性がないと罪悪感を感じるといったように、私たちは自分に対して厳しくするよう育てられました。スローダウンすることはは、気持ちを落ち着けて集中する方法であり、日常生活の激しいリズムに付いていくために必要な心の持ち方でもあります」
住まいや暮らしに対するスローな取り組みについても、彼女に考えを伺いました。「家は、私たちの巣であり、神聖な場所でもあります。なぜなら、すべての人が家をもっているわけではないですから。良い世界に生まれてきた私たちはそのことを当たり前のように考えがちだと思います」と彼女はいいます。
「私たちは自分の家を大切にしなければなりません、それは一番良い状態でお客さまに見せびらかすためではなく、家を掃除し、片付けることは、自分自身を大切にすることと同じだからです」
「私はシンプルであることと良識的であることをとても大切にしています。これらは少し手を加えるだけで実現することができます。まず、まず多くの人が間違った種類の照明を食卓に使用しています。それでは食べているものの美味しさも損なわれてしまいます。あるいは、テーブルが高すぎたり、沈み込んでしまうような椅子にすわったりしている場合もあるでしょう。こういった要素が不協和音を生みだします。自然の素材、特に木に触れることは非常に大切です。私は、藁で編んだカゴを冷蔵庫の中で使うのが好きなのですが、それはそれを見るとリラックスでき、料理をする気がおこるからなんですよ」
コムは、ウェルビーイングの感覚と自然のリズムとの調和を取り戻すために、なにか小さなことを実践してみることをオススメする、といいます。「裸足で歩き回ってみましょう。冬であれば靴下を履いてでも良いのです。私にとっては心の栄養のようなもので、すぐに姿勢が良くなり、感覚を研ぎ澄ますことができます」
「私たちは自分の家を大切にしなければなりません、それは一番良い状態でお客さまに見せびらかすためではなく、家を掃除し、片付けることは、自分自身を大切にすることと同じだからです」
「私はシンプルであることと良識的であることをとても大切にしています。これらは少し手を加えるだけで実現することができます。まず、まず多くの人が間違った種類の照明を食卓に使用しています。それでは食べているものの美味しさも損なわれてしまいます。あるいは、テーブルが高すぎたり、沈み込んでしまうような椅子にすわったりしている場合もあるでしょう。こういった要素が不協和音を生みだします。自然の素材、特に木に触れることは非常に大切です。私は、藁で編んだカゴを冷蔵庫の中で使うのが好きなのですが、それはそれを見るとリラックスでき、料理をする気がおこるからなんですよ」
コムは、ウェルビーイングの感覚と自然のリズムとの調和を取り戻すために、なにか小さなことを実践してみることをオススメする、といいます。「裸足で歩き回ってみましょう。冬であれば靴下を履いてでも良いのです。私にとっては心の栄養のようなもので、すぐに姿勢が良くなり、感覚を研ぎ澄ますことができます」
時間をかけることで奥深さを増す陶芸作品
プロバンス地方を拠点とする陶芸家のフローレンス・ ポイヤックも同じ意見で、現代人は世間の慌ただしさから逃れる必要があるといいます。
「私たちの社会では、スローであることは評価されません。子どものころから、それぞれのペースを考慮することなく、外部からの圧力によって押し付けられた締切りに追われてきました。一方で、スローであることは、深く考え、プロジェクトの各側面を成熟させるといったように、時間をかけて物事を深めていく機会を与えてくれるのです」
彼女のアトリエの名前「Slow Ceramic Studio」には、時間を再発見したいという想いが込められています。「私は自分のアトリエに、スローライフの考え方に基づいた自分の世界観を反映させたいと思いました。この世界観は、私の作品にも落とし込まれています。私自身の生活のリズムと季節のリズムを大切にしているため、ペットの猫を可愛がったり、自分の庭を見る時間の余裕を持つこともできています。私がアトリエで作る作品には、こういった要素が反映されているのです」
プロバンス地方を拠点とする陶芸家のフローレンス・ ポイヤックも同じ意見で、現代人は世間の慌ただしさから逃れる必要があるといいます。
「私たちの社会では、スローであることは評価されません。子どものころから、それぞれのペースを考慮することなく、外部からの圧力によって押し付けられた締切りに追われてきました。一方で、スローであることは、深く考え、プロジェクトの各側面を成熟させるといったように、時間をかけて物事を深めていく機会を与えてくれるのです」
彼女のアトリエの名前「Slow Ceramic Studio」には、時間を再発見したいという想いが込められています。「私は自分のアトリエに、スローライフの考え方に基づいた自分の世界観を反映させたいと思いました。この世界観は、私の作品にも落とし込まれています。私自身の生活のリズムと季節のリズムを大切にしているため、ペットの猫を可愛がったり、自分の庭を見る時間の余裕を持つこともできています。私がアトリエで作る作品には、こういった要素が反映されているのです」
陶芸はスローなライフスタイルに近づくための素晴らしい方法である、と彼女は考えています。
「まず、陶芸には、成形、乾燥、素焼き、やすり掛け、釉掛け、翻訳など、一連のステップが含まれています。私はこんな選択をしました。少量の作品を、ゆっくりと制作すると。私の作品に同じものはありません。私は制作の各段階に全意識を集中させています。その一方で、予想外のことに対応できる余裕も持つように心がけています。時間をかけることで、新たな意味を持った奥深い作品を生みだすことができるのです」
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