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家のメンテナンス。設計時に気にすること、住み始めてから出来ること
こだわって建てた大切な我が家を、快適に保ち続けるために、メンテナンスは不可欠です。効率のよいメンテナンスのコツとは?
安井俊夫
2021年2月10日
天工舎一級建築士事務所主宰。神奈川県小田原市に事務所を構え、住宅や店舗などの設計監理業務を行っています。書評やコラムなども執筆中。
どんな場所が傷みやすく、どんなタイミングでメンテナンスが必要なのかを理解しておけば、長く快適な状態を保ち続けることが出来ます。今回は家のメンテナンスに関して、ご説明します。
メンテナンスが必要な場所
また、サイディング張りの外壁材の場合には製品自体の交換や塗装よりも、コーキングの打ち直しが重要となってきます。雨水の侵入を防ぐ目的のコーキングは、窓周りにも使われていますが、硬化による打ち替えは約10年が目安です。
つまりサイディングを張った外壁の場合には、10年を目途に窓周りと一緒にメンテナンスを考えた方がよいでしょう。
- その1:外壁
また、サイディング張りの外壁材の場合には製品自体の交換や塗装よりも、コーキングの打ち直しが重要となってきます。雨水の侵入を防ぐ目的のコーキングは、窓周りにも使われていますが、硬化による打ち替えは約10年が目安です。
つまりサイディングを張った外壁の場合には、10年を目途に窓周りと一緒にメンテナンスを考えた方がよいでしょう。
- その2:屋根
塗装している金属屋根ならば、塗り替えは15年が目安で、全てを葺き替える時期は30年と言えます。化粧スレート材料の場合には、金属屋根よりも5年程度短いタイミングを考えておいた方が安心でしょう。
和瓦の場合には50年程度が葺き替えの目安で、短いサイクルでの塗装などは必要ありません。
屋根をメンテナンスする際には足場の設置が必要となります。この足場設置の費用は高額になるため、同じタイミングで外壁のメンテンスを行えば、結果的に足場費用を節約することにも繋がります。
ちなみに、こちらのウッドデッキのある家(D・BOX)は、設計時に後のメンテナンスを考慮して、外壁材を1階と2階で違うものを採用しました。
1階はメンテナンス時期が10年程のモルタル+塗装仕上げとし、2階部分にはメンテナンスが25年程度のガルバリウム鋼板を張りました。
ガルバリウム鋼板は塗装を施していない素地材とし、目地も汚れの溜まらない縦リブ材を採用しています。その結果、完成から10年後に1階外壁だけを塗り替えましたが、その際に足場を設置する必要が無かったため、メンテナンス費用を安価に抑えることが出来ています。
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1階はメンテナンス時期が10年程のモルタル+塗装仕上げとし、2階部分にはメンテナンスが25年程度のガルバリウム鋼板を張りました。
ガルバリウム鋼板は塗装を施していない素地材とし、目地も汚れの溜まらない縦リブ材を採用しています。その結果、完成から10年後に1階外壁だけを塗り替えましたが、その際に足場を設置する必要が無かったため、メンテナンス費用を安価に抑えることが出来ています。
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- その3 設備機器類
また、油類の洗い物をする流し台では排水管に少しずつ油が流れ、排水管内に付着することで管内を狭くし、はては排水詰まりを起こす可能性もあります。
機器類本体は10年程度を一つの目安として劣化部品の交換と言ったメンテナンスを行い、20年程度で交換を考えておいた方が良いでしょう。ガス給湯器も交換の目安は、10年程だと覚えておくとよいでしょう。
- その4 室内の壁
また冬場、窓に結露が生じた場合でも、問題なのは結露の水滴に埃が付着し、カビやダニを発生させてしまうことなので、壁の埃を減らすことは大切なのです。
そんな壁の仕上げ材で多いのが壁紙ですが、壁紙は10年から15年程が張替え時期の目安です。漆喰や珪藻土はもう少し長く、20年から25年程度が塗り替え時期だと覚えておきましょう。
設計時に出来る配慮
建物の内外に採用される仕上げ材料には、それぞれに適した交換・塗り替え等の時期があることをご説明しましたが、それらの違いや特徴を設計段階から知ることで、材料の選定条件が変わることや、材料の用い方が変わる場合もあります。また建物の掃除のしやすさなどの違いによっても、建物の劣化に気づくことが遅れ、あるいは意図せずに劣化を進めてしまうこともあるでしょう。
例えば、造り付け家具は市販品よりも高価になりますが、家のデザインや家族の使い方に適した家具とすることが出来ます。それと同時に、家具の裏や横の隙間と言った、市販品の家具を置いた場合に生まれてしまう隙間を無くすことが可能です。
隙間は、埃が溜まるとカビやダニを発生させ、床や壁材を痛めてしまうことがあります。そのような劣化事象を見付けることが難しいことから、適切な措置や掃除を行う機会を逃してしまうことにも繋がります。造り付け家具を設計段階から検討することで、長い目で見れば家の汚れ溜まりを無くし、メンテナンスがしやすい家になる場合もあるのです。
建物の内外に採用される仕上げ材料には、それぞれに適した交換・塗り替え等の時期があることをご説明しましたが、それらの違いや特徴を設計段階から知ることで、材料の選定条件が変わることや、材料の用い方が変わる場合もあります。また建物の掃除のしやすさなどの違いによっても、建物の劣化に気づくことが遅れ、あるいは意図せずに劣化を進めてしまうこともあるでしょう。
例えば、造り付け家具は市販品よりも高価になりますが、家のデザインや家族の使い方に適した家具とすることが出来ます。それと同時に、家具の裏や横の隙間と言った、市販品の家具を置いた場合に生まれてしまう隙間を無くすことが可能です。
隙間は、埃が溜まるとカビやダニを発生させ、床や壁材を痛めてしまうことがあります。そのような劣化事象を見付けることが難しいことから、適切な措置や掃除を行う機会を逃してしまうことにも繋がります。造り付け家具を設計段階から検討することで、長い目で見れば家の汚れ溜まりを無くし、メンテナンスがしやすい家になる場合もあるのです。
床下点検口や小屋裏点検口は、必ず設けるようにしましょう。床下点検口は、基礎や土台に腐食や劣化が生じていないかを調べる際に必要となります。また給排水設備配管類の交換や、設備機器類のリフォームの際には、床下に潜らなければならないことも考慮しておく必要があります。適切な位置に適切な大きさの点検口を、設けておくことが大切です。
小屋裏点検口や天井点検口は、天井裏の断熱材の交換や充填、あるいは屋根から雨漏りが発生した際には、調査や修理を行う際の出入口としても必要です。日常生活では不要な物ですが、将来のメンテナンスを考えれば必ず設置しておきましょう。
小屋裏点検口や天井点検口は、天井裏の断熱材の交換や充填、あるいは屋根から雨漏りが発生した際には、調査や修理を行う際の出入口としても必要です。日常生活では不要な物ですが、将来のメンテナンスを考えれば必ず設置しておきましょう。
掃除は日頃のメンテナンス
日常生活の中で感じたほんの少しの違和感は、放っておかずに対処することが大切です。そんな室内のトラブルや不具合を見付けやすいのは、掃除の時だと思います。
掃除の際に「我が家のチェックをしている」と意識するだけで、室内の不具合を見付けやすくなると思います。また汚れや傷に強い材料や、交換や修理までの期間が長い材料を選んで採用すれば、ランニング・コストを抑えた家になるでしょう。
日常生活の中で感じたほんの少しの違和感は、放っておかずに対処することが大切です。そんな室内のトラブルや不具合を見付けやすいのは、掃除の時だと思います。
掃除の際に「我が家のチェックをしている」と意識するだけで、室内の不具合を見付けやすくなると思います。また汚れや傷に強い材料や、交換や修理までの期間が長い材料を選んで採用すれば、ランニング・コストを抑えた家になるでしょう。
長期修繕計画書を
マンションの場合、「長期修繕計画表」という資料があります。これは建物の大規模修繕計画をまとめたもので、修繕する時期やその際に掛かるおおよその金額、そのために一戸あたり負担する額などが書かれています。一戸建て住宅の場合でも、新築時にこの長期修繕計画書を作成しておけば、その場になって慌てることが無くなります。家の使用材料が分かれば、おおよそのメンテナンスの時期と費用が分かるので、設計者に作成をご相談されてみるのも良いでしょう。
家は定期的な点検や補修、または交換が必要だと言うことを認識し、適切な時期にメンテナンスを行うことで、長く快適な状態を保つことに繋がります。大切な我が家を守れるのは、住んでいる方の愛情だけなのだと思います。
家づくりのヒントをもっと読む
マンションの場合、「長期修繕計画表」という資料があります。これは建物の大規模修繕計画をまとめたもので、修繕する時期やその際に掛かるおおよその金額、そのために一戸あたり負担する額などが書かれています。一戸建て住宅の場合でも、新築時にこの長期修繕計画書を作成しておけば、その場になって慌てることが無くなります。家の使用材料が分かれば、おおよそのメンテナンスの時期と費用が分かるので、設計者に作成をご相談されてみるのも良いでしょう。
家は定期的な点検や補修、または交換が必要だと言うことを認識し、適切な時期にメンテナンスを行うことで、長く快適な状態を保つことに繋がります。大切な我が家を守れるのは、住んでいる方の愛情だけなのだと思います。
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