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空と海の絶景を楽しむ、地中海の島に建つ家
岩の彫刻的な美しさと周囲の自然を際立たせるつくりにこだわった、サステナブルな住宅です。

Rafael F. Bermejo
2021年2月19日
フォルメンテーラ島は、スペインの地中海西部に位置する、バレアレス諸島の島。この住宅は、フォルメンテーラ島の南海岸にあるミジョルンビーチの隣に建っています。歴史的な要塞であるトレ・デス・ピ・デス・カタラのシルエット以外はさえぎるもののない、壮大な景色を眺めることができます。
写真:Marià Castelló
どんなHouzz?
住まい手:家族
所在地:フォルメンテーラ島(スペイン)
予算:約 75万ユーロ (約9500万円)
面積:243.59㎡+地下階 71.73㎡
設計者: Marià Castelló Architecture
どんなHouzz?
住まい手:家族
所在地:フォルメンテーラ島(スペイン)
予算:約 75万ユーロ (約9500万円)
面積:243.59㎡+地下階 71.73㎡
設計者: Marià Castelló Architecture
この家を設計した建築家のマリア・カステッロは「このプロジェクトは、重いものと軽いもの、地球と空気、手作りとハイテクといった、さまざまな対になる要素を融合させ、バランスを取っています」と述べています。
敷地にあった、地面か突き出ている岩は、まるで彫刻のように扱われました。これらの岩が「バレアレス諸島の典型的な砂岩であるマレス砂岩の採石場を彷彿とさせるヴォイド空間」を生みだした、とカステロは話します。
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クライアント一家は、環境意識の高い人たちです。カステロは、この地の気候において効果的であると証明されたパッシブハウス技術と、雨水を集めるための大きな貯水槽が取り入れました。乾式工法による軽量のモジュール3棟と、地下階で構成されています。
カステロによると、このプロジェクトは「スタディ段階により多くの労力をつぎ込んだプロジェクトのひとつ」なのだそうです。
地下階と地上階で「島の2つの伝統的な特徴を際立たせた」とカステロはいいます。
岩場を間近に感じる地下階は採石場、木材を主要なマテリアルとした地上階はと沿岸のボートハウスをイメージさせます。
岩場を間近に感じる地下階は採石場、木材を主要なマテリアルとした地上階はと沿岸のボートハウスをイメージさせます。
正面玄関のパティオにある天然の洞窟は、建設中に建築家が発見したもので、予期せぬサプライズでした。
「私たちが設計したパティオの1つの中央にある自然の洞窟の出現は、まさに贈り物でした。このため、正面玄関から地下階にかけて、当初のプランを早急に調整しなければなりませんでした」とカステロは振り返ります。
材料の品質は、計画段階、施工段階どちらにおいても優先されました。施主が求める環境面での目標に応え、グリーンビルディングの基準を満たすために「天然素材と、可能な場合は地元の素材」を使用しそうです。
「侵食された岩、掘削作業の砂利、カプリ石灰岩、松とモミの木、リサイクルコットンのパネル、マカエル産の白大理石、高透水性のケイ酸塩系塗料は、各スペースの個性が際立つようにと、考え抜いて選択したものです」
「侵食された岩、掘削作業の砂利、カプリ石灰岩、松とモミの木、リサイクルコットンのパネル、マカエル産の白大理石、高透水性のケイ酸塩系塗料は、各スペースの個性が際立つようにと、考え抜いて選択したものです」
地下階の平面図
家は2階建てで、屋上にはテラスがあります。地下階(平面図を参照)では、「擁壁がまったくなく、岩盤があらわになっています。
家は2階建てで、屋上にはテラスがあります。地下階(平面図を参照)では、「擁壁がまったくなく、岩盤があらわになっています。
また、地上階を支持するコンクリート構造(上の写真の白い帯) が、1階の輪郭に沿って設置されています」とカステロは説明します。
地下階には、長さ40メートルの岩が組み込まれており、家の中で最も目を引く空間のひとつになっています。
「作業中に行われた地盤調査の結果と、ここの地面から突き出た岩の美しさのため、非常に正確に掘削することが求められるものの、この方法を行うことにしました」
「作業中に行われた地盤調査の結果と、ここの地面から突き出た岩の美しさのため、非常に正確に掘削することが求められるものの、この方法を行うことにしました」
1階では、構造、仕上げ、ドアにCLT材(クロス・ラミネーティッド・ティンバー)が使用されています。
「このプロジェクトで私が最も興味を持っているのは、地下階と1階で使用されている素材間の二項対立です」とカステロは語ります。
下の階のバスルームでの斬新な取り組みは、空間を建物の構成要素から作りだすというよりも、「描画」するかのようなワイヤーフレーム構造に対するカステロの興味を反映しています。「そのため、12ミリの滑らかな丸棒を使用することにしました」
開口部の一部の仕上げに仕様されている突板は、上の階の3つのモジュール構造を構成するCLTパネルと同じモミです。
丸棒は、このプロジェクトのために特注した多くの家具に共通して使用されています。ガンディアブラスコ社の最新ブランドであるディアブラの家具も置かれています。
丸棒は、このプロジェクトのために特注した多くの家具に共通して使用されています。ガンディアブラスコ社の最新ブランドであるディアブラの家具も置かれています。
1階の平面図。左側が主寝室、中央が居間になっている。.
この家の独特なレイアウトは、パティオ、モジュール同士をつなぐ通路、そしてユニークな景色を作りだしました。
主寝室は、他の空間からの独立性を強調したものとなっています。テラスも「家の他の空間から切り離され、プライベートを十分に確保した」といいます。
このバスルームの素材は、モミのCLT材(構造、シャワーブースの囲い、仕上げは単一の要素です)、床と壁に30 x 15センチメートルのマカエル産の白大理石タイル、特注のコーリアンです。
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