コメント
2020年、世界の見本市でみられた5つのトレンドは?
コロナ禍の影響を大きく受けた2020年。世界的な住まいのデザインの論点は、どのように変わったのでしょうか?

Julia Bolotina
2020年12月30日
世界各国のHouzzの編集部では、世界の見本市の動向をチェックし、この業界や住まいを形づくる世界的なトレンドの把握に努めています。
2020年の大きなトレンドは、すべて新型コロナウィルスの世界的な流行に関連しているようですが、それも当然のことといえるでしょう。清潔さ、快適さ、多機能性、サステナビリティ、そしてバイオフィリア(生命や自然への愛)が、私たちが現在の危機に適応するうえで役立つというのは確かです。
ただし、トレンドというものは、何もないところに突然現れるものではなく、先行するできごとに基づいたり、呼応したりしているものです。この記事では、今年のトレンドがどのように展開したかを振り返り、デザインの論点がどのように変わったのか、みていきましょう。
2020年の大きなトレンドは、すべて新型コロナウィルスの世界的な流行に関連しているようですが、それも当然のことといえるでしょう。清潔さ、快適さ、多機能性、サステナビリティ、そしてバイオフィリア(生命や自然への愛)が、私たちが現在の危機に適応するうえで役立つというのは確かです。
ただし、トレンドというものは、何もないところに突然現れるものではなく、先行するできごとに基づいたり、呼応したりしているものです。この記事では、今年のトレンドがどのように展開したかを振り返り、デザインの論点がどのように変わったのか、みていきましょう。
1. 清潔で健康的な住まい
衛生的で健康的な住まいは、今年を象徴するトピックではないでしょうか。ミラノ・デザイン・シティ(9月28日〜10月10日、ミラノ)では、アルテミデ社のIntegralis(写真)のような抗菌性のUVライトが注目を集めました。
デジタルフェアとして開催された今年の秋のメゾン・エ・オブジェ(9月4〜18日、パリ)でおこなわれた、トレンド予測を提供するファッション・スヌープス社によるワークショップでは、より広い観点でこのトピックが議論されました。検索と消費者のデータから、今年消費者のニーズが高かったものとして衛生を特定し、非接触型のデザイン、抗ウイルス仕上げ、そして除菌機能付きクローゼットなどの衛生技術への関心の高まりを追いました。
他にも、デザインスケープのデジタルイベント(8月11〜13日、通常はロンドンで開催)のパネルディスカッションでは、消費者が材料の毒性や室内の空気の清浄度にますます気を配り始めているとの指摘があったり、デジタル版デコレックス(10月17〜19日、通常はロンドンで開催)の複数のパネルディスカッションでも、家の中の空気汚染の危険性と、空気清浄技術がどのように役立つかが検討されたりしました。
衛生的で健康的な住まいは、今年を象徴するトピックではないでしょうか。ミラノ・デザイン・シティ(9月28日〜10月10日、ミラノ)では、アルテミデ社のIntegralis(写真)のような抗菌性のUVライトが注目を集めました。
デジタルフェアとして開催された今年の秋のメゾン・エ・オブジェ(9月4〜18日、パリ)でおこなわれた、トレンド予測を提供するファッション・スヌープス社によるワークショップでは、より広い観点でこのトピックが議論されました。検索と消費者のデータから、今年消費者のニーズが高かったものとして衛生を特定し、非接触型のデザイン、抗ウイルス仕上げ、そして除菌機能付きクローゼットなどの衛生技術への関心の高まりを追いました。
他にも、デザインスケープのデジタルイベント(8月11〜13日、通常はロンドンで開催)のパネルディスカッションでは、消費者が材料の毒性や室内の空気の清浄度にますます気を配り始めているとの指摘があったり、デジタル版デコレックス(10月17〜19日、通常はロンドンで開催)の複数のパネルディスカッションでも、家の中の空気汚染の危険性と、空気清浄技術がどのように役立つかが検討されたりしました。
カザルグランデ・パダナ社のLimphaタイルは、光触媒を使用して空気中の汚染物質を分解する。 2019年のチェルサイエにて。
この傾向は、過去数年間で勢いを増しています。昨年のロンドン・デザイン・フェスティバル(英国)では、化学物質やVOCを含まない材料が注目され、チェルサイエ(ミラノ)では、光触媒を使用して大気中の汚染物質を分解するタイルが話題となりました。
2019年のキッチン・アンド・バス・インダストリー・ショー(KBIS、米国)および2017年のチェルサイエ では、表面が抗菌、エアフィルター、VOCフリー仕様になっているなど衛生的な機能を備えた最先端の水回り設備や、オート開閉、フチなし形状あるいは自動洗浄(UV除菌を含む)のトイレが見られました。
Houzzで住まいの専門家を探す
この傾向は、過去数年間で勢いを増しています。昨年のロンドン・デザイン・フェスティバル(英国)では、化学物質やVOCを含まない材料が注目され、チェルサイエ(ミラノ)では、光触媒を使用して大気中の汚染物質を分解するタイルが話題となりました。
2019年のキッチン・アンド・バス・インダストリー・ショー(KBIS、米国)および2017年のチェルサイエ では、表面が抗菌、エアフィルター、VOCフリー仕様になっているなど衛生的な機能を備えた最先端の水回り設備や、オート開閉、フチなし形状あるいは自動洗浄(UV除菌を含む)のトイレが見られました。
Houzzで住まいの専門家を探す
Libeco The Belgian Towel-July 2020-Mercurio stripe. Spotted at M&O 2020.
リベコ社のベルギーリネンタオルFouta(メルキュリオ・ストライプ)。 M&O 2020にて。
2. 居心地の良さとウェルネス
ファッション・スヌープ社でトレンド予測を専門とするジェイ・アナ・マイズは、人々が自発的かどうかにかかわらず、住まいという安心できる空間に引きこもるっている今、「私たちが『快適さを求める動き』の中にいるのは間違いないでしょう」とメゾン・エ・オブジェで述べています。
マイズは、寝室を特に贅沢な場所として挙げ、居心地の良いインテリアと寝具、防音などの実用的なソリューションによって落ち着いた雰囲気を作りだすことができると話しました。
同様に、デザインスケープでのセミナーでは、神経科学者のアシュ・ランプラ博士も快適な環境の必要性と、環境が私たちの選択にどのように影響するかについて話し、またウェルビーイングに安心安全は不可欠であると指摘しました。デコレックスでは「住まいにおける真のウェルビーイングのためのデザイン」を検討するパネルディスカッションも催されました。
リベコ社のベルギーリネンタオルFouta(メルキュリオ・ストライプ)。 M&O 2020にて。
2. 居心地の良さとウェルネス
ファッション・スヌープ社でトレンド予測を専門とするジェイ・アナ・マイズは、人々が自発的かどうかにかかわらず、住まいという安心できる空間に引きこもるっている今、「私たちが『快適さを求める動き』の中にいるのは間違いないでしょう」とメゾン・エ・オブジェで述べています。
マイズは、寝室を特に贅沢な場所として挙げ、居心地の良いインテリアと寝具、防音などの実用的なソリューションによって落ち着いた雰囲気を作りだすことができると話しました。
同様に、デザインスケープでのセミナーでは、神経科学者のアシュ・ランプラ博士も快適な環境の必要性と、環境が私たちの選択にどのように影響するかについて話し、またウェルビーイングに安心安全は不可欠であると指摘しました。デコレックスでは「住まいにおける真のウェルビーイングのためのデザイン」を検討するパネルディスカッションも催されました。
ワールズ・アウェイ社のFilmoreプーフ(シアリング)。2020年夏のラスベガス・マーケットにて。
このトレンドにあわせた製品も多く目にしました。ミラノデザインウィークでは、防音を兼ねたランプが展示されていました。また、3デイズ・オブ・デザイン(9月3〜5日、コペンハーゲン)と夏のラスベガス・マーケット(8月30日〜9月3日、米国)の両方では、ふっくらと柔らかなシープスキンやその他の手触りのよい本革または合皮の張り地が評判を呼びました。
このトレンドにあわせた製品も多く目にしました。ミラノデザインウィークでは、防音を兼ねたランプが展示されていました。また、3デイズ・オブ・デザイン(9月3〜5日、コペンハーゲン)と夏のラスベガス・マーケット(8月30日〜9月3日、米国)の両方では、ふっくらと柔らかなシープスキンやその他の手触りのよい本革または合皮の張り地が評判を呼びました。
フランチェスコ・ビンファーレがエドラ社(イタリア)のためにデザインしたPackソファ。2018年ミラノサローネにて。
新型コロナウィルスが世界的に流行する前の2020年1月、トレンドの専門家であるヴァンサン・グレゴワールは、「私たちの『愛しの我が家』は、仕事の場のひとつ、そしてなによりも、くつろぎの場へと急激に変化しています」と話していました。
実際、2016年から2017年に頂点に達したデンマークの居心地のよさへのアプローチであるヒュッゲの流行がようやく落ち着き、少なくとも過去4年間は、ヨーロッパと北アメリカの両方の見本市で防音への革新的なアプローチを見てきました。
しかし、私たちが心地よいと感じるものは変化しています。2016年以降の見本市では、ベルベットが触り心地のよい生地として主役の座を飾り、一方で特大のソファ(2016年、2017年のミラノサローネ)とパッド入りの柔らかな張り地(2017年メゾン・エ・オブジェ、2017年ストックホルム国際照明家具見本市、2018年メゾンエオブジェ)が過去数年間は快適さの象徴とされていましたが、今年の話題はそのようなラグジュアリーな美学ではありませんでした。
ウェルネス(健康な暮らし)に関しては、インテリア装飾におけるウェルネスの役割と、周囲の環境が心象風景にもたらす影響について、何年にもわたって議論されてきました。
昨年のフォームランド見本市(コペンハーゲン)では、ルイーズ・ビグ・コングスホルムが睡眠とメンタルヘルスを優先することついて話し、トレンドリサーチをおこなうマズ・アーリエン・スボは、2017年にコペンハーゲンで開催された3デイズ・オブ・デザインで注目するトレンドとして、「JOMO」(ジョイ・オブ・ミッシング・アウト、見逃す喜び)を挙げました。そして、これが、今年はインテリアデザイン業界のバズワードになっているのです。
新型コロナウィルスが世界的に流行する前の2020年1月、トレンドの専門家であるヴァンサン・グレゴワールは、「私たちの『愛しの我が家』は、仕事の場のひとつ、そしてなによりも、くつろぎの場へと急激に変化しています」と話していました。
実際、2016年から2017年に頂点に達したデンマークの居心地のよさへのアプローチであるヒュッゲの流行がようやく落ち着き、少なくとも過去4年間は、ヨーロッパと北アメリカの両方の見本市で防音への革新的なアプローチを見てきました。
しかし、私たちが心地よいと感じるものは変化しています。2016年以降の見本市では、ベルベットが触り心地のよい生地として主役の座を飾り、一方で特大のソファ(2016年、2017年のミラノサローネ)とパッド入りの柔らかな張り地(2017年メゾン・エ・オブジェ、2017年ストックホルム国際照明家具見本市、2018年メゾンエオブジェ)が過去数年間は快適さの象徴とされていましたが、今年の話題はそのようなラグジュアリーな美学ではありませんでした。
ウェルネス(健康な暮らし)に関しては、インテリア装飾におけるウェルネスの役割と、周囲の環境が心象風景にもたらす影響について、何年にもわたって議論されてきました。
昨年のフォームランド見本市(コペンハーゲン)では、ルイーズ・ビグ・コングスホルムが睡眠とメンタルヘルスを優先することついて話し、トレンドリサーチをおこなうマズ・アーリエン・スボは、2017年にコペンハーゲンで開催された3デイズ・オブ・デザインで注目するトレンドとして、「JOMO」(ジョイ・オブ・ミッシング・アウト、見逃す喜び)を挙げました。そして、これが、今年はインテリアデザイン業界のバズワードになっているのです。
2020年のミラノデザインウィークのデュリーニ・クインディチ(Duriniquindici)ショールームには、ポロ社の本棚Load-Itや片持ち式のデスクModern、アームチェアRombyが設置された。
3. 「ホーム」「オフィス」における多機能性とモジュール性
今年の主要なテーマは多機能性とモジュール性であり、ワークスペースと他の機能の組み合わせに重点が置かれました。
ミラノ・デザイン・シティでは、ブランド自身が多機能性を実践し、ショールームをコラボレーション作業のスペースを兼ねたものとしました。また、特にリモートワーク用に変形可能な家具を多く展示しました。 日本で開催されたDESIGNART TOKYO(10月23日〜11月3日)では、オフィス家具を日本の住空間に取り入れるための、さまざまな提案が紹介されました。
3. 「ホーム」「オフィス」における多機能性とモジュール性
今年の主要なテーマは多機能性とモジュール性であり、ワークスペースと他の機能の組み合わせに重点が置かれました。
ミラノ・デザイン・シティでは、ブランド自身が多機能性を実践し、ショールームをコラボレーション作業のスペースを兼ねたものとしました。また、特にリモートワーク用に変形可能な家具を多く展示しました。 日本で開催されたDESIGNART TOKYO(10月23日〜11月3日)では、オフィス家具を日本の住空間に取り入れるための、さまざまな提案が紹介されました。
デジタル版サンフランシスコ・デコレーター・ショーケース(San Francisco Decorator Showcase)(9月5日〜10月5日、米国)では、Kelly Hohla Interiorsがダイニングルーム、ワークスペース、ライブラリ、カクテルエリアを兼ねた部屋を設計し、多機能の住まい(仕事)スペースがどのようなものであるかを示しました(写真)。
3 デイズ・オブ・デザインでは、デンマークのブランド、フォーム&リファインのAngleスツール(次の写真)のような多機能で省スペースのデザインを紹介しました。このスツールは折りたたんで、邪魔にならないように付属のフックで壁に掛けることができます。
デザインスケープのパネルディスカッションはこの課題を取り上げ、Tessuto Interiorsのインテリアデザイナー、スージー・ランボルド氏は、多機能スペースは今後定着していく、と話していました。ゾーニングと、特定の機能のために空間を閉鎖するドアなどの物理的な障壁、および用途によって簡単に空間を変えることができるフレキシブルな収納に今後重きがおかれるようになる可能性を指摘しました。
3 デイズ・オブ・デザインでは、デンマークのブランド、フォーム&リファインのAngleスツール(次の写真)のような多機能で省スペースのデザインを紹介しました。このスツールは折りたたんで、邪魔にならないように付属のフックで壁に掛けることができます。
デザインスケープのパネルディスカッションはこの課題を取り上げ、Tessuto Interiorsのインテリアデザイナー、スージー・ランボルド氏は、多機能スペースは今後定着していく、と話していました。ゾーニングと、特定の機能のために空間を閉鎖するドアなどの物理的な障壁、および用途によって簡単に空間を変えることができるフレキシブルな収納に今後重きがおかれるようになる可能性を指摘しました。
多機能性と働き方の変化については、コロナ禍以前も議論が続けられてきましたが、今はその論点を新たな状況に当てはめていくことが行われています。
2019年のメゾンエオブジェの公式テーマの1つは「WORK!」でした。このメゾンエオブジェと、同年に英国で開催されたクラーケンウェル・デザインウィークでは、コラボレーションの機会を生み出す空間に焦点が当てられました。
Houzzでも、光および物理的・社会的に開かれたコワーキング(およびコリビング)スペース、および住宅内のインタラクティブなワークスペースについて多く取り上げましたが、現在では、コラボレーションに関係あろうとなかろうと、人と出会うことは不可能であるため、むしろその真逆であるゾーニングと多目的なライフ/ワークスペースに関心が集まっています。
2019年のメゾンエオブジェの公式テーマの1つは「WORK!」でした。このメゾンエオブジェと、同年に英国で開催されたクラーケンウェル・デザインウィークでは、コラボレーションの機会を生み出す空間に焦点が当てられました。
Houzzでも、光および物理的・社会的に開かれたコワーキング(およびコリビング)スペース、および住宅内のインタラクティブなワークスペースについて多く取り上げましたが、現在では、コラボレーションに関係あろうとなかろうと、人と出会うことは不可能であるため、むしろその真逆であるゾーニングと多目的なライフ/ワークスペースに関心が集まっています。
ファビタ社(Fabita)のCucinotta。2020年半ばのプロダクトまとめから。
多機能性についての論点も変わりました。 2018年頃までは、余暇の空間と時間、そして小さな空間に快適さを収めることを中心に多く議論されました。
たとえば、2012年のドウェル・オン・デザイン(米国)では、小さな空間での生活を解決するものとして、ソファベッドや棚が組み込まれたウォールユニットに代表されるクールな多機能機性がもてはやされました。また、2017年のストックホルム国際照明見本市では、棚とキャンドルホルダーを兼ねたアスプルンド社のOttoミラーにみられるような多機能性が大きなテーマでした。
今年もよく目にしたように、最近では、2018年のユーロクッチーナ(ミラノ)の可動式、折りたたみ式、あるいは用途を転換できるキッチンや、2019年のミラノサローネでのプレイフル・リビング展でモデルが展示された、仕事と家庭生活を組み合わせるための柔軟なスペースのある家など、さらに発展した多機能性を持ったものが増えてきています。
多機能性についての論点も変わりました。 2018年頃までは、余暇の空間と時間、そして小さな空間に快適さを収めることを中心に多く議論されました。
たとえば、2012年のドウェル・オン・デザイン(米国)では、小さな空間での生活を解決するものとして、ソファベッドや棚が組み込まれたウォールユニットに代表されるクールな多機能機性がもてはやされました。また、2017年のストックホルム国際照明見本市では、棚とキャンドルホルダーを兼ねたアスプルンド社のOttoミラーにみられるような多機能性が大きなテーマでした。
今年もよく目にしたように、最近では、2018年のユーロクッチーナ(ミラノ)の可動式、折りたたみ式、あるいは用途を転換できるキッチンや、2019年のミラノサローネでのプレイフル・リビング展でモデルが展示された、仕事と家庭生活を組み合わせるための柔軟なスペースのある家など、さらに発展した多機能性を持ったものが増えてきています。
4. サステナビリティ、耐久性、転用
今年Houzzウェブマガジンで取り上げたほとんどの見本市では、誠実でサステナブルなデザインが目立ちました。再利用、受け継がれるもの、「ゆりかごからゆりかごへ」のデザインに焦点が当てられたものが多くありました。
そうした流れのなかで、コペンハーゲンの3 デイズ・オブ・デザインは、デザインブランドのアンド・トラディションとオークションハウスのブルン・ラスムッセンが共同制作した展示で、アンティークをモダンデザインに組み込む方法を検討しました(写真)。
来年のハイムテキスタイル(2021年5月4〜7日、フランクフルト)のプレビューでは、音楽業界のように、素材をどのように再結合または「サンプリング」できるかについての議論がありました。
メゾン・エ・オブジェでは、セミナーでネオ・ビンテージ現象を取り上げ、特にフランスのミレニアル世代とZ世代の購入層の間でのヴィンテージと中古品の人気について紹介がありました。
今年Houzzウェブマガジンで取り上げたほとんどの見本市では、誠実でサステナブルなデザインが目立ちました。再利用、受け継がれるもの、「ゆりかごからゆりかごへ」のデザインに焦点が当てられたものが多くありました。
そうした流れのなかで、コペンハーゲンの3 デイズ・オブ・デザインは、デザインブランドのアンド・トラディションとオークションハウスのブルン・ラスムッセンが共同制作した展示で、アンティークをモダンデザインに組み込む方法を検討しました(写真)。
来年のハイムテキスタイル(2021年5月4〜7日、フランクフルト)のプレビューでは、音楽業界のように、素材をどのように再結合または「サンプリング」できるかについての議論がありました。
メゾン・エ・オブジェでは、セミナーでネオ・ビンテージ現象を取り上げ、特にフランスのミレニアル世代とZ世代の購入層の間でのヴィンテージと中古品の人気について紹介がありました。
デコレックスのパネルディスカッションでは、インテリアデザインにおけるサステナビリティの重要な要素として、目的とライフサイクル計画への適合性(部品を完全に分解して材料を再利用する、あるいはリサイクルすることができるかどうか)への言及がありました。
デコレックスでは、廃棄物でさえ将来のデザインの資源と見なされ、スピーカーを務めたBenchmark Furniture社のショーン・サトクリフは埋め立て地を「未来の鉱山」と称賛しました。
実際、来年のハイムテキスタイルフェアのプレビューは、消費主義の劇的な変化を告げるものでした。「今こそ、新しいものを新たに認識する時です」と、デンマークのトレンド専門家であるアーニャ・ビスガート・ゲーデはいいます。
これを実践したのがバング&オルフセン社で、3 デイズ・オブ・デザインでの同社の展示では、Baeogram 4000シリーズのターンテーブル(写真)を皮切りに、最も象徴的な歴史的製品の一部を買い取って、修復し、再度販売するプロジェクトに焦点を当てていました。
デコレックスでは、廃棄物でさえ将来のデザインの資源と見なされ、スピーカーを務めたBenchmark Furniture社のショーン・サトクリフは埋め立て地を「未来の鉱山」と称賛しました。
実際、来年のハイムテキスタイルフェアのプレビューは、消費主義の劇的な変化を告げるものでした。「今こそ、新しいものを新たに認識する時です」と、デンマークのトレンド専門家であるアーニャ・ビスガート・ゲーデはいいます。
これを実践したのがバング&オルフセン社で、3 デイズ・オブ・デザインでの同社の展示では、Baeogram 4000シリーズのターンテーブル(写真)を皮切りに、最も象徴的な歴史的製品の一部を買い取って、修復し、再度販売するプロジェクトに焦点を当てていました。
© SPOTT für Heimtextil 2020, Messe Frankfurt GmbH. Photo by Andreas Houmann.
ビスガードは、最終結果よりも生産プロセスに注目が集まることも予測しています。
多くの見本市では、美術の影響を受けた精巧なつくりのインテリア装飾が登場しました。ミラノ・デザイン・シティでは、サルバトーリ社のプレスリリースにもあるように、「地元の名工の知見」が特に強調されました。
同様に、メゾン・エ・オブジェでは、スタイルエージェンシーの、Un Nouvel Air社の創設者であるフランソワ・デルクラウスが、「環境倫理を配慮するハイパーローカルな(地域密着型)規模で生産の近接性を模索するモノづくり」に注目しました。
これは、ファストファッションのアンチテーゼとして長持ちする製品を強調してしたもので、このようにして、少なくとも理論的には、廃棄物と二酸化炭素排出量の削減につながります。同様に、現地生産は輸送の炭素コストを最小限に抑えます。
ビスガードは、最終結果よりも生産プロセスに注目が集まることも予測しています。
多くの見本市では、美術の影響を受けた精巧なつくりのインテリア装飾が登場しました。ミラノ・デザイン・シティでは、サルバトーリ社のプレスリリースにもあるように、「地元の名工の知見」が特に強調されました。
同様に、メゾン・エ・オブジェでは、スタイルエージェンシーの、Un Nouvel Air社の創設者であるフランソワ・デルクラウスが、「環境倫理を配慮するハイパーローカルな(地域密着型)規模で生産の近接性を模索するモノづくり」に注目しました。
これは、ファストファッションのアンチテーゼとして長持ちする製品を強調してしたもので、このようにして、少なくとも理論的には、廃棄物と二酸化炭素排出量の削減につながります。同様に、現地生産は輸送の炭素コストを最小限に抑えます。
Miini + JiindaのNyamiプリントシーツセット。オーストラリア先住民の母娘デュオ、ローレン・ジャレットとメリッサ・グリーンウッドによるブランド。2020年のデコ+デザインにて。写真:Adairs
過去10年来、サステナブル・ブランドが見本市に登場してきたように、サステナビリティは確実にメインストリームのものになってきています。
2013年と2014年のアップサイクリングの傾向を覚えている人もいるかもしれませんが、そこからさらに目立つようになりました。
サステナビリティをめぐる議論の大部分は、材料、特にバイオプラスチックとリサイクル材料の革新に集中しています。特に注目されたのは昨年のミラノサローネで、カルテル社のBio-Onシリーズの展示が、バイオプラスチックを広めることになりました。 今年は、サステナビリティがどれぐらいの規模感で議論されていくのか、注目したいところです。
過去10年来、サステナブル・ブランドが見本市に登場してきたように、サステナビリティは確実にメインストリームのものになってきています。
2013年と2014年のアップサイクリングの傾向を覚えている人もいるかもしれませんが、そこからさらに目立つようになりました。
サステナビリティをめぐる議論の大部分は、材料、特にバイオプラスチックとリサイクル材料の革新に集中しています。特に注目されたのは昨年のミラノサローネで、カルテル社のBio-Onシリーズの展示が、バイオプラスチックを広めることになりました。 今年は、サステナビリティがどれぐらいの規模感で議論されていくのか、注目したいところです。
ミケーレ・デ・ルッキがアレッシィ社のためにデザインしたThe Plisseライン。2020年ミラノデザインウィークにて。
国際的な工芸品や、職人たちの技が生み出すものの影響力にも多くの注目が集まっています。数年前のベニワレンの流行を覚えていらっしゃるかもしれませんが、今は、より地域性に重点が置かれるようになっています。
クラシック、または、高品質のデザインは、いつの時代も色あせることがなく、将来の世代まで受け継がれるほどに十分長持ちするからこそサステナブルである。これは特にスカンジナビアにおいて重要な哲学であり、フリッツ・ハンセン社のような象徴的なブランドは何十年にもわたるアーカイブを維持し、メーカーはサステナビリティを品質と明確に結びつけています。
今年特に注目すべきなのは、バング&オルフセン社のターンテーブル補修のような、数十年前の作品が本当に新しい市場価値を持っていることを証明するような動きでしょう。
エコ・サステナブルの記事を読む
国際的な工芸品や、職人たちの技が生み出すものの影響力にも多くの注目が集まっています。数年前のベニワレンの流行を覚えていらっしゃるかもしれませんが、今は、より地域性に重点が置かれるようになっています。
クラシック、または、高品質のデザインは、いつの時代も色あせることがなく、将来の世代まで受け継がれるほどに十分長持ちするからこそサステナブルである。これは特にスカンジナビアにおいて重要な哲学であり、フリッツ・ハンセン社のような象徴的なブランドは何十年にもわたるアーカイブを維持し、メーカーはサステナビリティを品質と明確に結びつけています。
今年特に注目すべきなのは、バング&オルフセン社のターンテーブル補修のような、数十年前の作品が本当に新しい市場価値を持っていることを証明するような動きでしょう。
エコ・サステナブルの記事を読む
ラ・トゥーシュ・オリジナーレ(La Touche Originale)によるToucan paradise。 2020年秋のメゾンエオブジェにて。
5.ありのままの美しい自然
ロックダウンとソーシャル・ディスタンスにより、私たちは自然なものすべてに執着するようになりました。観葉植物は依然として人気が高く、バイオフィリックなデザインが多くの見本市に登場しています。これは、今年のアトランタマーケットの主要なトレンドの1つでした。
デザインスケープでは、心理学者のカレン・ハーラーが自然との関係を再評価する際のバイオフィリックデザインの永続的な力を強調しました。一方、デコレックスでは、「Back to Nature is the Future(未来は自然にあり)」というタイトルのパネルディスカッションで、デザイナーがバイオフィリックデザインを組み込む方法を探りました。
5.ありのままの美しい自然
ロックダウンとソーシャル・ディスタンスにより、私たちは自然なものすべてに執着するようになりました。観葉植物は依然として人気が高く、バイオフィリックなデザインが多くの見本市に登場しています。これは、今年のアトランタマーケットの主要なトレンドの1つでした。
デザインスケープでは、心理学者のカレン・ハーラーが自然との関係を再評価する際のバイオフィリックデザインの永続的な力を強調しました。一方、デコレックスでは、「Back to Nature is the Future(未来は自然にあり)」というタイトルのパネルディスカッションで、デザイナーがバイオフィリックデザインを組み込む方法を探りました。
Utopia Accent Table by Currey & Company
同時に、花柄を含む自然から着想を得たデザインの重要性は今でも変わりません。今年のバーチャル版サンフランシスコ・デコレーター・ショーケースでは、牛のプリントの天井など、さまざまなクリエイティブな形で自然のモチーフが登場しました。今年はメタリックが大きなトレンドとなった夏のラスベガス・マーケットでも、植物の形を金と銀で仕上げた作品がありました。
同時に、花柄を含む自然から着想を得たデザインの重要性は今でも変わりません。今年のバーチャル版サンフランシスコ・デコレーター・ショーケースでは、牛のプリントの天井など、さまざまなクリエイティブな形で自然のモチーフが登場しました。今年はメタリックが大きなトレンドとなった夏のラスベガス・マーケットでも、植物の形を金と銀で仕上げた作品がありました。
ココナッツの廃水を与えられたバクテリアが作ったMalaiファブリック。2020年のヘミテキスタイルより。 写真:Malai Design & Materials pvt.ltd.
世界中の見本市で、未加工の自然素材の人気が高まっています。木、笞、石、リネン、ウール、さらには動物の皮もトレンド素材です。
すでに述べた工芸の重要性に加えて、今年は、トレンド予測専門家のフランソワ・ベルナールがメゾンエオブジェで述べたように、たとえば「織機から落ちそのまま切った」かのように布端が不揃いな生地にみられるような素材感が好まれています。オーストラリアのメルボルンで開催されたデコア +デザイン (9月28日から10月2日)でも、同様の素材そのものを活かす美学が見られました。
サステナビリティのトレンドに沿って、革新的な技術と従来技術の両方のインスピレーションと素材の源として、自然、特に地元の固有の生物圏にますます目を向けています。 「私たちが再発見しているのは、まさに目の前にある素材なのです」と、ハイムテキスタイルのプレビューでアンナ・ビスガード・ゲーテはいいます。
世界中の見本市で、未加工の自然素材の人気が高まっています。木、笞、石、リネン、ウール、さらには動物の皮もトレンド素材です。
すでに述べた工芸の重要性に加えて、今年は、トレンド予測専門家のフランソワ・ベルナールがメゾンエオブジェで述べたように、たとえば「織機から落ちそのまま切った」かのように布端が不揃いな生地にみられるような素材感が好まれています。オーストラリアのメルボルンで開催されたデコア +デザイン (9月28日から10月2日)でも、同様の素材そのものを活かす美学が見られました。
サステナビリティのトレンドに沿って、革新的な技術と従来技術の両方のインスピレーションと素材の源として、自然、特に地元の固有の生物圏にますます目を向けています。 「私たちが再発見しているのは、まさに目の前にある素材なのです」と、ハイムテキスタイルのプレビューでアンナ・ビスガード・ゲーテはいいます。
アビゲイル・アハーンのSilver grass。2020年デコア+デザインにて。
植物の流行は、おそらく過去10年間の特徴的な流行であるといえるでしょう。それはジャングルのトレンドから始まり、その後、カシワバゴムノキから大きな大胆な花柄、そして最近ではより伝統的なリバティスタイルのプリントまで、さまざまな「旬」の花柄へと変遷してきました。
特に木やウールなどの自然素材も魅力的でしたが、10年前には、より暗い色合いで、よりラグジュアリーな、ニスで仕上げたウッドが好まれ、そして現在はより自然なものに引かれています。また、さまざまな自然のテクスチャが脚光を浴びています。
バイオフィリア自体はデザイン界ではまったく新しいものではありませんが(たとえば、2016年ロンドンデザインフェアの公式テーマの1つでした)、これまで以上に注目を集めています。
植物の流行は、おそらく過去10年間の特徴的な流行であるといえるでしょう。それはジャングルのトレンドから始まり、その後、カシワバゴムノキから大きな大胆な花柄、そして最近ではより伝統的なリバティスタイルのプリントまで、さまざまな「旬」の花柄へと変遷してきました。
特に木やウールなどの自然素材も魅力的でしたが、10年前には、より暗い色合いで、よりラグジュアリーな、ニスで仕上げたウッドが好まれ、そして現在はより自然なものに引かれています。また、さまざまな自然のテクスチャが脚光を浴びています。
バイオフィリア自体はデザイン界ではまったく新しいものではありませんが(たとえば、2016年ロンドンデザインフェアの公式テーマの1つでした)、これまで以上に注目を集めています。
コロナ禍でのトレンド
2020年のデジタル版ヴィトラ・サミット(10月22〜23日)でおこなわれた「住まいにおける新しいダイナミクス(New Dynamics in the Home)」での議論で、デザイナーのイルサ・クロフォードは、パンデミックが在宅勤務などの既にあったトレンドを加速させている、と指摘しています。
私たちがいま直面している危機に対する対応策になるよう、以前からあったトレンドに新たな方向付けがなされている、といえそうです。
トレンドの記事をもっと読む
2020年のデジタル版ヴィトラ・サミット(10月22〜23日)でおこなわれた「住まいにおける新しいダイナミクス(New Dynamics in the Home)」での議論で、デザイナーのイルサ・クロフォードは、パンデミックが在宅勤務などの既にあったトレンドを加速させている、と指摘しています。
私たちがいま直面している危機に対する対応策になるよう、以前からあったトレンドに新たな方向付けがなされている、といえそうです。
トレンドの記事をもっと読む
おすすめの記事
ニュース
CES 2021で見つけた、スマート家電・機器の4つのトレンド
今年のコンシューマー・エレクトロニクス・ショーで登場した、住まいのトレンドをお届けします。キーワードは、カスタム化、一体化、リラクゼーション、清潔感です。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
【2020年】日本のHouzzユーザーに人気だったお宅紹介記事は?
2020年に公開されたHouzzツアー(お宅紹介)記事から、特に人気のあった記事をまとめてご紹介します。
続きを読む
キッチンの記事
【2020年】世界のHouzzユーザーに最も人気だった、各国のキッチンは?
今年Houzzユーザーの憧れの的となったキッチンはどんなものだったのでしょう?世界各国で、最も多く保存されたキッチンの写真を見てみましょう。
続きを読む
ニュース
2021年は2色!トレンドカラーのグレー+イエローをインテリアに取り入れるには?
パントン社の2021年トレンド色「アルティメット・グレイ」と「イルミネイティング」。Houzzの専門家にインテリアへの取り入れ方を聞きました。
続きを読む
ニュース
Houzzから予測する2021年の住まいトレンド
住まいとの向き合い方が大きく変わった2020年。いまHouzzユーザーが住まいに求めていることから予想される、これからの住まいとは?
続きを読む
エコ・サステナブル
菌類・昆虫・バクテリアから生まれる家具や照明。生物学的デザインとは?
人間以外の自然界の存在たちと共存するアプローチこそが未来のデザインである理由を、5人の若手デザイナーたちが語ります。
続きを読む
ニュース
DESIGNART TOKYO 2020で知る、これからの住まいのデザインのヒント
サステナブルへの意識が高まる中「おうち時間」が増えた今年。会場分散・回遊型イベントとなったDESIGNART TOKYOでは、新鮮なアイデアが数多く発表されていました。
続きを読む
ニュース
そしてデザインは続く。秋のフォーリサローネ最新トレンド【ミラノ・デザイン・シティ】
春のミラノデザインウィークで発表できなかった作品の数々が、秋のミラノでお目見えに。ショールームからデザインのプロセスまで、あらゆるトレンドの変化やアプローチが紹介されました。
続きを読む