コメント
都市の空間をデザインの工夫で快適に。東京23区内に建つ14の住まい
Houzzでみつけた東京都23区内に建つ住まいの事例を、手がけた専門家の解説とともにご紹介します。

日本の首都が位置する場所、東京。なかでも23区内はその中心部といえるでしょう。このエリアには、実際にはどのような住まいが建っているのでしょうか。東京都の区部の住まいの設計を手がけた専門家の方々にお話を伺ってみると、以下のような特徴がみえてきました。
それでは14の実例について、設計した専門家たちの解説とともに、みていきましょう。
写真をクリックすると、それぞれの事例の写真をもっとみることができ、手がけた専門家の詳細もチェックできます。
- 敷地許容いっぱいまで活用された住まい
- LDKを2階にするなど、限られた空間でも日当たりを楽しめるようにした住まい
- 建物への規制などをデザインの工夫でクリアしている住まい
- 密接する隣家や交通量の高い道路からプライバシーを確保できる住まい
それでは14の実例について、設計した専門家たちの解説とともに、みていきましょう。
写真をクリックすると、それぞれの事例の写真をもっとみることができ、手がけた専門家の詳細もチェックできます。
阿佐ヶ谷K邸
YOSHINORI SAKANO ARCHITECTSが手がけたのは、杉並区阿佐ヶ谷に建つ住まい。道路から見て圧迫感がないよう、大きなワンボリュームではなく、ボリュームが2つに分かれて見えるように設計されています。
設計した坂野由典さんは、23区に建つ住まいについて、敷地が小さく日光の確保に工夫が求められることを挙げます。「植物でも密集していると日光を確保するため、葉を幹の上部に集めます。住宅でも植物と同じように日光をどう確保するかが、建物の構成を決定する鍵となります」
YOSHINORI SAKANO ARCHITECTSが手がけたのは、杉並区阿佐ヶ谷に建つ住まい。道路から見て圧迫感がないよう、大きなワンボリュームではなく、ボリュームが2つに分かれて見えるように設計されています。
設計した坂野由典さんは、23区に建つ住まいについて、敷地が小さく日光の確保に工夫が求められることを挙げます。「植物でも密集していると日光を確保するため、葉を幹の上部に集めます。住宅でも植物と同じように日光をどう確保するかが、建物の構成を決定する鍵となります」
長時間過ごすことの多いLDK部分を、日当たりのいい2階に配置することは、このエリアでよく用いられる手段です。写真の明るいLDKも、住まいの2階に配置されています。
また坂野さんは、都会でもナチュラルな環境を感じられるように、建物の内外ともに自然な素材感のある仕上げを選んだと振り返ります。「住んでいて安らぎを感じられる家にしたい、というご希望でしたので、明るく天井の高いリビングを中心に、ゆったりとした空間構成にし、手の触れる場所は自然素材の仕上げにしました」
また坂野さんは、都会でもナチュラルな環境を感じられるように、建物の内外ともに自然な素材感のある仕上げを選んだと振り返ります。「住んでいて安らぎを感じられる家にしたい、というご希望でしたので、明るく天井の高いリビングを中心に、ゆったりとした空間構成にし、手の触れる場所は自然素材の仕上げにしました」
多彩木舎
こちらは練馬区南善福寺に建つ住まい。手がけたのは結設計です。木のぬくもりが味わい深い住まいですが、オーナー自身も、指物師の学校に通っていたほど木工好きだったといいます。「私たちが独自に手掛けているFSU工法の家の杉材に、興味を持たれて問い合わせ頂きました」と設計した藤原昭夫さんは振り返ります。
「1階に親世帯、2階に子世帯の階層分離の家です。子世帯の方は小上がりの畳敷きリビングダイニングを希望され、壁面も杉の角材連結の無垢パネルの現し(素材を隠さず見せる技法)の仕様となっています。最近若い方に畳敷き床の人気が高いのですが、実際実現してみると、和室の堅苦しさのないリラックスできる空間になりました」
こちらは練馬区南善福寺に建つ住まい。手がけたのは結設計です。木のぬくもりが味わい深い住まいですが、オーナー自身も、指物師の学校に通っていたほど木工好きだったといいます。「私たちが独自に手掛けているFSU工法の家の杉材に、興味を持たれて問い合わせ頂きました」と設計した藤原昭夫さんは振り返ります。
「1階に親世帯、2階に子世帯の階層分離の家です。子世帯の方は小上がりの畳敷きリビングダイニングを希望され、壁面も杉の角材連結の無垢パネルの現し(素材を隠さず見せる技法)の仕様となっています。最近若い方に畳敷き床の人気が高いのですが、実際実現してみると、和室の堅苦しさのないリラックスできる空間になりました」
この家が建つのは準防火地域。木材現しはできないものの、結設計が独自に開発した“FSU工法(木造)の角材連結無垢パネル壁”は、60分準耐火構造外壁の認定を取得していたため、実現させることができたのだといいます。
「このFSU工法は木材を在来木造の3~5倍活用することで、林業の活性化により貢献します。この家一軒で、1.5ヘクタールの森林整備を促しました」と藤原さん。
「この工法は建築使用後の解体が容易です。移築はもちろん、解体後壁パネル等は同一工法であれば、違った間取りの建築にも再使用が可能なので、建築廃棄物産出の削減にも貢献します。異常気象に抗う、最も持続可能な環境形成のために有効な建築工法です」
「このFSU工法は木材を在来木造の3~5倍活用することで、林業の活性化により貢献します。この家一軒で、1.5ヘクタールの森林整備を促しました」と藤原さん。
「この工法は建築使用後の解体が容易です。移築はもちろん、解体後壁パネル等は同一工法であれば、違った間取りの建築にも再使用が可能なので、建築廃棄物産出の削減にも貢献します。異常気象に抗う、最も持続可能な環境形成のために有効な建築工法です」
木と樹の家
文京区の小日向に建つこちらの住まい。手がけたのはArchiAtelierMAです。
「外部のデザイン面では、都市部特有の間口が狭い土地でしたので、アプローチの取り方とファサードに気を遣いました。ゴバイミドリさんの緑化システムがアプローチの路地感を演出したり、屋上庭園をファサードデザインとしてうまく機能させたり、ある意味で“都市部らしくないデザイン”になったと思います」と話すのは、設計者の丸山晃寿さん。
文京区の小日向に建つこちらの住まい。手がけたのはArchiAtelierMAです。
「外部のデザイン面では、都市部特有の間口が狭い土地でしたので、アプローチの取り方とファサードに気を遣いました。ゴバイミドリさんの緑化システムがアプローチの路地感を演出したり、屋上庭園をファサードデザインとしてうまく機能させたり、ある意味で“都市部らしくないデザイン”になったと思います」と話すのは、設計者の丸山晃寿さん。
また、南面の道路側含め隣地に囲まれた環境だったため、外部との関係性には配慮したと、丸山さんは続けます。
「最終的には、適度に閉じられたプライベート空間と、外部に開放された屋上と地下空間を1つの建物に共存させることでメリハリのある空間構成になっていますが、閉じたプライベートエリアでも窓から緑が見えるように工夫するなど、閉じ過ぎず落ち着きのある空間になるようデザインしました」
「最終的には、適度に閉じられたプライベート空間と、外部に開放された屋上と地下空間を1つの建物に共存させることでメリハリのある空間構成になっていますが、閉じたプライベートエリアでも窓から緑が見えるように工夫するなど、閉じ過ぎず落ち着きのある空間になるようデザインしました」
平面は敷地形状に合わせた約7坪の五角形で、深基礎の半地下と、上部2層は木造、屋根は13寸勾配の切妻からなっています。玄関は外階段から1.5m上がった場所にあり、2階へ上る階段室から、壁がそのまま天井へと繋がっています。階段をくぐるように上ると、小さいながら安心感のある居間が現れます。
「急勾配の屋根と多面体のように構成された居間の空間は、すべて瓦を混ぜた薄灰色の漆喰を荒く塗りました。ほの暗い中に天窓と地窓から差し込む光が陰影をつくり、空間に奥行きを生み出します」と若原さん。
「ダイナミックな内部空間と柔らかな素材の組み合わせ、そして仄かな暗さと視線の抜けを感じられる窓。都市に住むことを選択した住み手が求める刺激と安らぎを両立させる住まいが実現するようにしました」
「急勾配の屋根と多面体のように構成された居間の空間は、すべて瓦を混ぜた薄灰色の漆喰を荒く塗りました。ほの暗い中に天窓と地窓から差し込む光が陰影をつくり、空間に奥行きを生み出します」と若原さん。
「ダイナミックな内部空間と柔らかな素材の組み合わせ、そして仄かな暗さと視線の抜けを感じられる窓。都市に住むことを選択した住み手が求める刺激と安らぎを両立させる住まいが実現するようにしました」
渋谷区I邸
同じく、渋谷区の住宅街に建つこちらの住まい。手がけたのは森吉直剛アトリエです。当初オーナーは、家族のための快適な空間と、来客者のためのおもてなしの空間があること、そして一日中明るい住まいであることを希望していたといいます。
設計者である森吉直剛さんは「まず緑道と呼応した構成を考えました。その上で南西側に階段室、北東側にテラスを設け、1日を通して光が移動しながら入るようにしました。南西側の階段室は、外の窓を半透明、室内側を透明ガラスとして、それが光の筒となって各階に光を送ります」と話します。
同じく、渋谷区の住宅街に建つこちらの住まい。手がけたのは森吉直剛アトリエです。当初オーナーは、家族のための快適な空間と、来客者のためのおもてなしの空間があること、そして一日中明るい住まいであることを希望していたといいます。
設計者である森吉直剛さんは「まず緑道と呼応した構成を考えました。その上で南西側に階段室、北東側にテラスを設け、1日を通して光が移動しながら入るようにしました。南西側の階段室は、外の窓を半透明、室内側を透明ガラスとして、それが光の筒となって各階に光を送ります」と話します。
「北東側テラスは、建物全体を貫くように立体的に配置されていて、3階寝室に面したテラスから2階LDKに併設されたテラス、そして地下のドライエリアまで繋がり、それぞれが緑道に抜けるようになっています。テラスは杉型枠打放しの壁に光が差し、豊かな表情を見せると共にその反射光が室内に入るようにしています」
このような構成にすることで、緑道側以外は基本的に壁で閉じていながらも、1日中明るい住まいが実現。住宅が密集する地域でもプライバシーを守りながら、光もしっかり取り込んでいます。
このような構成にすることで、緑道側以外は基本的に壁で閉じていながらも、1日中明るい住まいが実現。住宅が密集する地域でもプライバシーを守りながら、光もしっかり取り込んでいます。
House in Urban Setting 01
港区高輪台に建つこちらの住まいを手がけたのは、JWA建築・都市設計。オーナーは建築家志望のドイツ系アメリカ人で、ご自身でも図面を書いてくるほどのこだわりを持つ方だったといいます。
「こだわりは満載でしたが、大命題は都心の住宅地の良さを享受しつつプライバシーを保つこと、また敷地めいいっぱい使い切りたいということでした」と話すのは、設計者の渡辺純さんです。
「そこで地下から塔屋まで5層分の空間が積み上がったプログラムを考えました。各部屋に個性をもたせながら、それぞれをいかにスムーズに繋げていくかに注力しました」と渡辺さんは続けます。
港区高輪台に建つこちらの住まいを手がけたのは、JWA建築・都市設計。オーナーは建築家志望のドイツ系アメリカ人で、ご自身でも図面を書いてくるほどのこだわりを持つ方だったといいます。
「こだわりは満載でしたが、大命題は都心の住宅地の良さを享受しつつプライバシーを保つこと、また敷地めいいっぱい使い切りたいということでした」と話すのは、設計者の渡辺純さんです。
「そこで地下から塔屋まで5層分の空間が積み上がったプログラムを考えました。各部屋に個性をもたせながら、それぞれをいかにスムーズに繋げていくかに注力しました」と渡辺さんは続けます。
「具体的には、広い吹き抜け空間を持つ1階から2階へはRC製片持ち式の“浮いたような”階段にて工夫を図りました。2階から3階へはブラックチェリー染色仕上げとガラス手摺の階段として、家具のような見せ方にしています。それぞれのシーンに応じて、繋ぎ役の階段を丁寧にデザインしました」
東京の崖地に浮かぶ絶景の住処
世田谷区の崖地に建つこちらの住まいを手がけたのは、acaaです。土地探しの段階から携わり、オーナーとともに1年以上かけて探した結果決まったのが、この傾斜地だったといいます。
「傾斜地に特有の眺望性を取り入れることはもちろん、仕事から帰ってきて見上げたとき、”自分の家”に誇りを持てる存在感もご所望でした。加えてご両親との同居型二世帯住宅というご要望に対して、適切な距離感をつくりだし、ストレスのない生活を実現することも大切なご要望でした」と、設計した岸本和彦さんは振り返ります。
世田谷区の崖地に建つこちらの住まいを手がけたのは、acaaです。土地探しの段階から携わり、オーナーとともに1年以上かけて探した結果決まったのが、この傾斜地だったといいます。
「傾斜地に特有の眺望性を取り入れることはもちろん、仕事から帰ってきて見上げたとき、”自分の家”に誇りを持てる存在感もご所望でした。加えてご両親との同居型二世帯住宅というご要望に対して、適切な距離感をつくりだし、ストレスのない生活を実現することも大切なご要望でした」と、設計した岸本和彦さんは振り返ります。
ご要望に対し、岸本さんは絶景を望む間口を確保した開放性のある生活空間と、庇護性とこもり感のある空間の両方を提案したといいます。
「両親の生活スペースは路地空間を隔てて縁側のある畳の間など、共有可能で自由な過ごし方の出来る居場所を設けることで、場の多様性を設けてストレスが生まれないようにしました」
「両親の生活スペースは路地空間を隔てて縁側のある畳の間など、共有可能で自由な過ごし方の出来る居場所を設けることで、場の多様性を設けてストレスが生まれないようにしました」
UTH
同じく世田谷区に建つこちらの住まいを手がけたのは、アキアーキデザイン一級建築士事務所です。ガーデニング愛好家のオーナーと“庭といい関係を持つ住宅”をテーマに計画を進めていたものの、計画中に東日本大震災があり、新たに“地域との共生”というテーマが加わったと、設計者の野村庸高さんは話します。
「ガーデニングを楽しめるお庭を持つ安心安全な住まいであると同時に、地域にとって心のオアシスになるような場をつくりたいと考えました。敷地中央の中庭に白樫の大樹を植え、建築諸室をこの大樹を囲むように配置、土いじりを楽しむ庭は日当たりの良い屋上に持ち上げました」
同じく世田谷区に建つこちらの住まいを手がけたのは、アキアーキデザイン一級建築士事務所です。ガーデニング愛好家のオーナーと“庭といい関係を持つ住宅”をテーマに計画を進めていたものの、計画中に東日本大震災があり、新たに“地域との共生”というテーマが加わったと、設計者の野村庸高さんは話します。
「ガーデニングを楽しめるお庭を持つ安心安全な住まいであると同時に、地域にとって心のオアシスになるような場をつくりたいと考えました。敷地中央の中庭に白樫の大樹を植え、建築諸室をこの大樹を囲むように配置、土いじりを楽しむ庭は日当たりの良い屋上に持ち上げました」
また野村さんは、オーナーのライフスタイルを実現するために、できるだけ多く話し合うことを意識したといいます。「近くに住むお孫さんが木登りしているのを見ていたい」という話が出たとき、住宅の目指す方向が共有できたと、野村さんは振り返ります。
「中庭に木登りやツリーハウスに最適な樹形の白樫を選び、室内から見上げられるようなデザインの窓周りに仕上げました。屋上庭園にはティーハウスも配され、育てたハーブで摘みたての香り高いハーブティーを飲みながら、樹の上のお孫さんと会話されているのを拝見したときは、住宅が生活の舞台として根付いたように感じ、とても嬉しかったです」
「中庭に木登りやツリーハウスに最適な樹形の白樫を選び、室内から見上げられるようなデザインの窓周りに仕上げました。屋上庭園にはティーハウスも配され、育てたハーブで摘みたての香り高いハーブティーを飲みながら、樹の上のお孫さんと会話されているのを拝見したときは、住宅が生活の舞台として根付いたように感じ、とても嬉しかったです」
野沢の住宅
同じく世田谷区、野沢に建つこちらの住まいは、納谷建築設計事務所が手がけたもの。第一種低層住居専用地域の敷地は西側の前面道路から奥に長く、また北側には4階建てのマンション、南側には戸建住宅が隣接しており、どのように光や風を取り込むかが課題になったと、設計した納谷新さんは話します。
「解決策として、平面的に2つのボリュームをずらして光や風を取り込む中庭を設け、その庭に向かってリビングの棟と、個室・水回りの棟とに分けることで空間の質を変えました。リビング棟と中庭は少し掘ったところに位置し、こもり感を得られる落ち着いた空間になっています」
同じく世田谷区、野沢に建つこちらの住まいは、納谷建築設計事務所が手がけたもの。第一種低層住居専用地域の敷地は西側の前面道路から奥に長く、また北側には4階建てのマンション、南側には戸建住宅が隣接しており、どのように光や風を取り込むかが課題になったと、設計した納谷新さんは話します。
「解決策として、平面的に2つのボリュームをずらして光や風を取り込む中庭を設け、その庭に向かってリビングの棟と、個室・水回りの棟とに分けることで空間の質を変えました。リビング棟と中庭は少し掘ったところに位置し、こもり感を得られる落ち着いた空間になっています」
「もともとはコンクリートがむき出しになったシンプルな住まいをご希望だったと思うのですが、そのままでは冷たい印象になりがちなので、コンクリートの型枠に浮造り(木目を目立たせる加工)をした杉板を提案させてもらいました」と納谷さん。
その結果、木の持つ柔らかく印象が加わり、優しいイメージの住まいが実現しました。
その結果、木の持つ柔らかく印象が加わり、優しいイメージの住まいが実現しました。
西永福の家
杉並区西永福に建つこちらの住まいを手がけたのは、KIRI ARCHITECTS。リノベーションのプロジェクトで、当初オーナーからは「3LDKの間取りを、壁を抜いてワンルーム空間にしたい」という要望があったそう。しかし設計者の桐圭佑さんは、壁を全て取り払うのではなく、既存の壁に大きな開口をいくつも開ける提案をしたといいます。
杉並区西永福に建つこちらの住まいを手がけたのは、KIRI ARCHITECTS。リノベーションのプロジェクトで、当初オーナーからは「3LDKの間取りを、壁を抜いてワンルーム空間にしたい」という要望があったそう。しかし設計者の桐圭佑さんは、壁を全て取り払うのではなく、既存の壁に大きな開口をいくつも開ける提案をしたといいます。
「壁が重なりあうことで程よい距離感が生まれる、心地よい居場所を提案しました。天井は全面剥がし、既存の屋根まで高さを確保しています。屋根にはトップライトを2箇所、外壁南面は一面に木製サッシの窓を取り付け、一体的な空間の中にさまざまな明るさの居場所がつくられるようにしています」と桐さん。
また、キッチンとキッチン収納、TVボード、本棚はラワン突板で造作されたもの。壁の高さに揃えずわざとずらすように設計しているそう。既存の壁の高さに揃えずわざとずらすように設計することで、空間に家具が置かれているように感じられます。
また、キッチンとキッチン収納、TVボード、本棚はラワン突板で造作されたもの。壁の高さに揃えずわざとずらすように設計しているそう。既存の壁の高さに揃えずわざとずらすように設計することで、空間に家具が置かれているように感じられます。
江戸川のフォリーハウス
江戸川区にある芝生張りの緑豊かな公園と、区の保存樹に指定されているクスノキを擁する古い神社。それに密接するように建つこちらの住まいは、アトリエハコ建築設計事務所が手がけたものです。
設計した七島幸之さんと佐野友美さんは「敷地という物理的な建築可能範囲ではなく、公園と神社を含めたより広がりのある周辺環境のスケール感を重視して、公園と神社の緑を際立たせる背景として、シンプルで大らかなグレーの一枚の面として建築ファサードを立ち上げました」と話します。
江戸川区にある芝生張りの緑豊かな公園と、区の保存樹に指定されているクスノキを擁する古い神社。それに密接するように建つこちらの住まいは、アトリエハコ建築設計事務所が手がけたものです。
設計した七島幸之さんと佐野友美さんは「敷地という物理的な建築可能範囲ではなく、公園と神社を含めたより広がりのある周辺環境のスケール感を重視して、公園と神社の緑を際立たせる背景として、シンプルで大らかなグレーの一枚の面として建築ファサードを立ち上げました」と話します。
「地面積約11坪、建築面積約6.5坪の木造3階建住宅で、一般的には狭小住宅と言われる規模の建物ですが、狭さを感じることのないよう、寸法のメリハリや開放性を意識して設計しました。また3層の住空間を移動する際に、常に外部の光・緑に視線が抜けて行くように空間を構成し、窓の位置、階段の透けを設えました」と、七島佐野さんは説明します。。
画像にある階段を兼ねたダイニングベンチのように、玄関収納にニッチ状に掘り込んだ手洗いコーナーや、ダイニングテーブルと一体化したL型キッチンカウンターなど、限られた空間を活用する工夫の数々により、自由で発想で楽しめる住宅となっています。
画像にある階段を兼ねたダイニングベンチのように、玄関収納にニッチ状に掘り込んだ手洗いコーナーや、ダイニングテーブルと一体化したL型キッチンカウンターなど、限られた空間を活用する工夫の数々により、自由で発想で楽しめる住宅となっています。
矢来の家
荒木毅建築事務所が手がけたのは、新宿区矢来町に建つこちらの住まい。スケルトンリフォームのプロジェクトだったものの、仕上げを剥がして柱梁が露出してくると傷みのないきれいな柱が出てきたため、その骨組みを作った過去の棟梁との共作のつもりでデザインしていったと、設計者である荒木毅さんは話します。
「部屋を小分けにするよりも一室空間としようとも考えましたが、昔からの柱は空間の中に林立することとなりました。見栄えのいい梁など出てきたら大工さんにお願いして、天井高さを調整して見せるなどして、臨機応変に作っていきました」と荒木さん。
荒木毅建築事務所が手がけたのは、新宿区矢来町に建つこちらの住まい。スケルトンリフォームのプロジェクトだったものの、仕上げを剥がして柱梁が露出してくると傷みのないきれいな柱が出てきたため、その骨組みを作った過去の棟梁との共作のつもりでデザインしていったと、設計者である荒木毅さんは話します。
「部屋を小分けにするよりも一室空間としようとも考えましたが、昔からの柱は空間の中に林立することとなりました。見栄えのいい梁など出てきたら大工さんにお願いして、天井高さを調整して見せるなどして、臨機応変に作っていきました」と荒木さん。
1階には減築により出来た緑の庭と、広い土間と和室。2階は階段キッチンを回遊できるプランです。曖昧な仕切りでリビングの一部にもなる書斎に加え、1、2階とも外壁部分に多目的の固定棚が設置されています。
「主な目的は本の収納ですが、場所によりさまざまな使い方がされています。固定棚の一番上には物が置かれず、猫の通り道としても使われています」
「主な目的は本の収納ですが、場所によりさまざまな使い方がされています。固定棚の一番上には物が置かれず、猫の通り道としても使われています」
SRK
目黒区に建つブロック体のようなこちらの住まいを手がけたのは、ARTechnic architectsです。外観からは内側の様子が全くわかりませんが、それこそオーナーの要望だったそう。建物の外皮を外に傾斜した壁で囲って二重にし、外からは中が見えないものの、内部はテラスのある開放的な空間になっています。
目黒区に建つブロック体のようなこちらの住まいを手がけたのは、ARTechnic architectsです。外観からは内側の様子が全くわかりませんが、それこそオーナーの要望だったそう。建物の外皮を外に傾斜した壁で囲って二重にし、外からは中が見えないものの、内部はテラスのある開放的な空間になっています。
設計した井手孝太郎さんは「都会の中で外部と一体となった生活を実現するために、あえて一旦閉じて再度建物内部で大きく開く、という手法を探りました。一見閉鎖的な外観ですが、それによってプライバシーの守られた開放的な空間が実現されています。これは、異形の敷地いっぱいに空間を利用する工夫でもあります」と話します。
また「寝室を真っ暗したい」というのもオーナーの要望だったため、リビングのある2階は開放された空間であるのに対し、寝室のある1階は反対に閉じた空間になっています。
また「寝室を真っ暗したい」というのもオーナーの要望だったため、リビングのある2階は開放された空間であるのに対し、寝室のある1階は反対に閉じた空間になっています。
隣の緑がまぶしい家
最後にご紹介するのは、目黒区上目黒に建つこちらの住まい。手がけたのは高田事務所です。
設計者の高田哲仁さんは、斜線制限をクリアしながら2Fのリビング空間をなるべく広くとること、隣地にあるお寺の緑を借景として存分に取り込むこと、そして狭小ながらなるべく広々とした空間を実現することを意識して設計したと振り返ります。
最後にご紹介するのは、目黒区上目黒に建つこちらの住まい。手がけたのは高田事務所です。
設計者の高田哲仁さんは、斜線制限をクリアしながら2Fのリビング空間をなるべく広くとること、隣地にあるお寺の緑を借景として存分に取り込むこと、そして狭小ながらなるべく広々とした空間を実現することを意識して設計したと振り返ります。
「3階建ての空間をなるべく広く感じられるよう、階段もリビングに取り込み、各室をスキップフロアーで繋げて上下の空間的広がりを生み出しています。各所のディテールは空間の雑物とならないよう、極力シンプルとなるよう現場で協議を重ねて実現しています」と高田さん。
また高田さんは、オーナーからの要望を反映しつつも、反対にオーナー側に許容してもらえたことで実現した部分もあると話します。
「たとえばスキップフロアなどは良い例ですが、階段室を閉じて空調性能を厳格にするか、階段をリビングに取り込んで広々した空間とするかはお客様のご判断となります。設計プロセスにおける各段階で、メリットとデメリットを共有しながらご提案を進める事で斬新な提案も実現しうるのだと思います」
地域別記事をもっと読む
また高田さんは、オーナーからの要望を反映しつつも、反対にオーナー側に許容してもらえたことで実現した部分もあると話します。
「たとえばスキップフロアなどは良い例ですが、階段室を閉じて空調性能を厳格にするか、階段をリビングに取り込んで広々した空間とするかはお客様のご判断となります。設計プロセスにおける各段階で、メリットとデメリットを共有しながらご提案を進める事で斬新な提案も実現しうるのだと思います」
地域別記事をもっと読む
おすすめの記事
東北
地域の自然と眺望を活かした、明るく気持ちのいい空間。仙台に建つ13の住まい
文/藤間紗花
宮城県中部に位置する仙台市。Houzzでみつけた仙台市内に建つ住まいの事例を、手がけた専門家の解説とともにご紹介します。
続きを読む
関東甲信越 (東京以外)
少ない日照時間でも明るさを取り込む。新潟市の家11選
文/藤間紗花
新潟県北東部に位置する新潟市。Houzzでみつけた新潟市内に建つ住まいの事例を、手がけた専門家の解説とともにご紹介します。
続きを読む
中国・四国
唯一無二の眺めと自分らしいデザインを楽しむ。広島市に建つ14の住まい
文/藤間紗花
広島県西部に位置する広島市。Houzzでみつけた広島市内に建つ住まいの事例を、手がけた専門家の解説とともにご紹介します。
続きを読む
近畿
風と光を気持ちよく届けるデザインを都市部で実現。大阪に建つ12の住まい
文/藤間紗花
近畿地方の中心都市である、大阪府・大阪市。Houzzでみつけた大阪市内に建つ住まいの事例を、手がけた専門家の解説とともにご紹介します。
続きを読む
写真特集
都内にいながら、自然を感じられる快適な暮らし。東京都下に建つ16の住まい
文/藤間紗花
Houzzでみつけた東京都下に建つ住まいの事例を、手がけた専門家の解説とともにご紹介します。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
古都・鎌倉に建つオリジナリティあふれる家5選
文/小川のぞみ
リモートワークが増え、最近ではさらなる移住者で賑わう鎌倉。オリジナリティのある住まいや大邸宅など、街に溶け込む家々の一例をご紹介します。
続きを読む
近畿
美しい伝統を守りながら、現代的技術で暮らしを快適に。京都に建つ14の住まい
文/藤間紗花
Houzzでみつけた、京都市内に建つ住まいの事例を、手がけた専門家の解説とともにご紹介します。
続きを読む
新築
移住希望者必見!ゆかりのない土地で、地域をよく知る建築家と叶えた家づくり
文/永井理恵子
移住先に選んだのは、栃木県那須塩原市、宮崎県日向市、沖縄県うるま市。3つの家族が慣れない土地で家づくりをどのように成功させたのでしょう?
続きを読む