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家族の絆と夢を育むために。「用の美」を追究したインナーテラスのある住まい
内と外が心地よくつながる、シンプルで明るい家。すっきり機能的でありながら子供たちが走り回ることができる空間には、大人も子供も大満足です。
Miki Anzai
2020年10月26日
3人目のお子さんを授かった時、オーナー夫妻は、鎌倉の鶴岡八幡宮近くのマンションを手放し、 自宅を建てることにしました。ところが、ハウジングセンターなどを見学しても、シンプルモダン派のご主人とラグジュアリー派の奥様の意見が全く合いません。まずは互いに気に入った住宅の画像を集めることにしました。
さまざまな画像を見ていく中で、唯一、二人の好みが一致したのが、Houzzで見つけたアトリエ137一級建築士事務所が手がけた那須の別荘でした。早速、事務所代表の鈴木宏幸さんに連絡して、土地選定を含め相談に乗ってもらいました。鈴木さんがシンプルながら上質な空間づくりを得意としているのに加え、子育て経験者である点も、夫妻にとっては今回の設計を依頼する決め手となりました。
鎌倉駅から徒歩10分の閑静な住宅街に完成した家は、夫妻の期待以上に、デザイン性、居住性ともに優れた建物でした。以前、工業デザイナーをしていたオーナーが憧れる「柳宗理の作品のように、使い勝手を毀損せずに極限まで削った」、建築における「用の美」が追求された美しい住まいです。
さまざまな画像を見ていく中で、唯一、二人の好みが一致したのが、Houzzで見つけたアトリエ137一級建築士事務所が手がけた那須の別荘でした。早速、事務所代表の鈴木宏幸さんに連絡して、土地選定を含め相談に乗ってもらいました。鈴木さんがシンプルながら上質な空間づくりを得意としているのに加え、子育て経験者である点も、夫妻にとっては今回の設計を依頼する決め手となりました。
鎌倉駅から徒歩10分の閑静な住宅街に完成した家は、夫妻の期待以上に、デザイン性、居住性ともに優れた建物でした。以前、工業デザイナーをしていたオーナーが憧れる「柳宗理の作品のように、使い勝手を毀損せずに極限まで削った」、建築における「用の美」が追求された美しい住まいです。
どんなHouzz?
所在地:神奈川県鎌倉市
住まい手:夫妻と子ども3人
敷地面積:150.02㎡
延床面積:186.90 ㎡(駐車場/テラス含)
構造:木造在来工法
設計・監理:アトリエ137一級建築士事務所(鈴木宏幸)
施工:株式会社イソダ
竣工時期:2019年3月
写真:安田誠
この土地の購入を当初、オーナーは躊躇していました。理由は前面道路の幅の狭さ(3m以下)と、東西南側を3階建ての家で囲まれていたこと。
しかし、鈴木さんは「設計次第で、車は正面から出入りできるし、陽当たりも確保できる」と購入を後押ししました。そして導き出したのが、2階のテラスが印象的な端正なファサードです。周辺からの視線を遮りつつ、光や風を室内へ取り込むことで、明るく快適な住まいとなりました。
屋根は一見、平面状のようですが、実は両サイドに勾配がついていて、オーナー念願の太陽光パネルも設置されています。
所在地:神奈川県鎌倉市
住まい手:夫妻と子ども3人
敷地面積:150.02㎡
延床面積:186.90 ㎡(駐車場/テラス含)
構造:木造在来工法
設計・監理:アトリエ137一級建築士事務所(鈴木宏幸)
施工:株式会社イソダ
竣工時期:2019年3月
写真:安田誠
この土地の購入を当初、オーナーは躊躇していました。理由は前面道路の幅の狭さ(3m以下)と、東西南側を3階建ての家で囲まれていたこと。
しかし、鈴木さんは「設計次第で、車は正面から出入りできるし、陽当たりも確保できる」と購入を後押ししました。そして導き出したのが、2階のテラスが印象的な端正なファサードです。周辺からの視線を遮りつつ、光や風を室内へ取り込むことで、明るく快適な住まいとなりました。
屋根は一見、平面状のようですが、実は両サイドに勾配がついていて、オーナー念願の太陽光パネルも設置されています。
広々としたテラスとつながるLDKは、この家の最大の見せ場にして難関でした。
まず、敷地が準防火地域にあるため、網入りの防火ガラスを入れるなどの対策が必要でした。それを大開口の両脇に防火シャッターを設置することで解決し、大型の造作木製サッシ(高さ2.45mx幅2m超)と、その両サイドにガラスをはめ込むことに成功。みごとに外と中との一体感があるスペースを誕生させました。
まず、敷地が準防火地域にあるため、網入りの防火ガラスを入れるなどの対策が必要でした。それを大開口の両脇に防火シャッターを設置することで解決し、大型の造作木製サッシ(高さ2.45mx幅2m超)と、その両サイドにガラスをはめ込むことに成功。みごとに外と中との一体感があるスペースを誕生させました。
ダイニングテーブルも、無垢材にするか、廉価な化粧板にするかで悩んだ末、無垢のウォールナット材で造作してもらいました。L字型の天板と脚の接合部も、綺麗に見えるように45度カットで仕上げてもらっています。
お子さんたちのお気に入りのインナーテラス。全員がまだ10歳以下なので、ここで走り回ったり、レッドシダー製のフロアにレジャーシートを敷いて、ピクニック気分で、奥様お手製のおにぎりやお弁当を楽しんでいるそうです。
なんといっても圧巻は、ランダムに配置された、サイズの異なるトップライトです。ここから降り注ぐ光が、それぞれに陰影をつくり出し、テラスにさまざまな表情をもたらしてくれます。
螺旋階段は、子どもたちが落下しないか不安だったというオーナー。実際に展示場で上り下りを体験させて、安全性を確認した上で導入を決めました。「トップライトから入る光が地上階まで届く点も魅力でした」(オーナー)
マンションで暮らしていた時、祖父母の戸建て住宅を訪ねるたびに「階段のある家に住みたい」と言っていた子どもたちも大喜び。「階段で走るな!」とオーナーが注意する毎日だそう。いまや階段の下は段ボール箱や玩具であふれ「子どもたちの『秘密基地』と化しています」と苦笑されていました。
マンションで暮らしていた時、祖父母の戸建て住宅を訪ねるたびに「階段のある家に住みたい」と言っていた子どもたちも大喜び。「階段で走るな!」とオーナーが注意する毎日だそう。いまや階段の下は段ボール箱や玩具であふれ「子どもたちの『秘密基地』と化しています」と苦笑されていました。
3階の開放的な子ども部屋です。当初、3人分の子ども部屋をつくるべきか悩んでいたというオーナー。「最初から個室を用意するのではなく、お子さんたちの成長に合わせて、空間を仕切ったり、また元に戻したりできる空間」を鈴木さんから提案され、目から鱗が落ちたそう。
将来的には、この部屋を家具などで3分割した際、各エリアに光と風が通るように、東側に大きな窓を3つ、西側にも(隣家の視線が気にならない程度の)小さな窓を3つ設えています。
将来的には、この部屋を家具などで3分割した際、各エリアに光と風が通るように、東側に大きな窓を3つ、西側にも(隣家の視線が気にならない程度の)小さな窓を3つ設えています。
子ども部屋続きの寝室。ここで入居直後は家族全員で寝ていましたが、今は帰宅の遅いオーナーだけ、1階のゲストルームで寝ることが多いそうです。
3階のフロア全体に「電車好きの長男が鉄道模型をつくって遊んでいるのを見ると、広いスペースにしてよかったと感じます」(オーナー)
3階のフロア全体に「電車好きの長男が鉄道模型をつくって遊んでいるのを見ると、広いスペースにしてよかったと感じます」(オーナー)
キッチンカウンターの端材で製作したとは思えない1階パウダールームのカウンター。この下には何も置かず、ミラーボックス(主に奥様の化粧道具入れ)と、サンワカンパニーの壁面収納ピッタラ(タオルや生活用品入れ)でスッキリと暮らしています。
洗面ボウル(セラトレーディング)の横の広いスペースは、浴室乾燥させた洗濯物をたたんだり、アイロン掛けをするのに便利だそう。
洗面ボウル(セラトレーディング)の横の広いスペースは、浴室乾燥させた洗濯物をたたんだり、アイロン掛けをするのに便利だそう。
バスルームとの境をガラスにすることで、開放的な浴室空間を演出しています。
浴槽はドイツのカルデバイ。オーナーが3人のお子さんと入っても余裕の長さ1.8mです。
浴槽はドイツのカルデバイ。オーナーが3人のお子さんと入っても余裕の長さ1.8mです。
白い壁に黒の窓枠。このシャープな色の対比は、オーナーが最初の打合せで鈴木さんに見せたコラージュ写真を意識したものです。それにはオーナーが理想とする住宅画像に加え「素直で『用の美』を感じさせる造形」という希望も記されており、鈴木さんは常にこの「用の美」をキーワードとして、建物全体を設計したといいます。
意匠性だけでなく、この窓と坪庭が採光面でも重要な役割を果たしています。「特に1階の陽当たりは諦めていたのですが、意外に明るくて驚いています」(オーナー)
建物の裏(南)側の壁はガルバリウムで仕上げ、メンテナンスをしやすくしています。
意匠性だけでなく、この窓と坪庭が採光面でも重要な役割を果たしています。「特に1階の陽当たりは諦めていたのですが、意外に明るくて驚いています」(オーナー)
建物の裏(南)側の壁はガルバリウムで仕上げ、メンテナンスをしやすくしています。
風光明媚な鎌倉の景観地区に立つオーナー邸。市の建築基準法に加え、地域住民が自主的に取り決めた住民協定による規制などがある中、鈴木さんは「いかにも規制を受けたデザインにならないように、関係者と協議を重ねながら」最良の答えを導きだしました。
「仕事帰りに細い道を歩いてきて、照明がついた我が家が見えた瞬間、その佇まいに『あぁ、我が家はいいな』と感じ、一日の疲れが取れる気がします」と、オーナーはしみじみと語ってくれました。
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「仕事帰りに細い道を歩いてきて、照明がついた我が家が見えた瞬間、その佇まいに『あぁ、我が家はいいな』と感じ、一日の疲れが取れる気がします」と、オーナーはしみじみと語ってくれました。
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