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古民家リノベーションで古き良き日本家屋の趣を楽しむには
昔ながらの日本家屋を、現代のデザインやライフスタイルにマッチするようにリノベーションする。そのメリットとデメリット、お得になることなど、知っておいた方がよいことに関してご紹介します。
安井俊夫
2023年12月12日
天工舎一級建築士事務所主宰。神奈川県小田原市に事務所を構え、住宅や店舗などの設計監理業務を行っています。書評やコラムなども執筆中。
そもそも古民家とは何でしょう?その定義からお話ししましょう。といっても、実は明確な定義はありません。一般的には築50年以上経つ建物で、木造軸組工法の「伝統構法」あるいは「在来工法」で、建てられた住宅のことを「古民家」と呼びます。今回はその中でも「伝統構法」で建てられた古民家に注目し、これをリノベーションする際に知っておきたいポイントについてご説明します。
古民家の魅力
古民家の魅力とは何でしょう?伝統構法で建てられた古民家に限っていえば、その間取りや形式はさまざまです。例えば「ハレ」と呼ばれる冠婚葬祭時に使われる空間と、その対となる「ケ」と呼ばれる日常空間を持つような大きな間取りから、田の字型の間取りを持つ普通の家もあります。ですが、どちらの家にも、土間やかまど、囲炉裏や縁側といった魅力的な場所や設えがあり、それぞれが生活することに置いて、魅力的な仕掛けとなっています。
古民家の魅力とは何でしょう?伝統構法で建てられた古民家に限っていえば、その間取りや形式はさまざまです。例えば「ハレ」と呼ばれる冠婚葬祭時に使われる空間と、その対となる「ケ」と呼ばれる日常空間を持つような大きな間取りから、田の字型の間取りを持つ普通の家もあります。ですが、どちらの家にも、土間やかまど、囲炉裏や縁側といった魅力的な場所や設えがあり、それぞれが生活することに置いて、魅力的な仕掛けとなっています。
古民家のイメージとは
古民家と聞くと「暗い・寒い・壊れそう」というイメージを思い浮かべる方がおられると思いますが、そのイメージは古民家の特徴を正しく捉えていると思います。
そう聞くと驚かれるかもしれませんが、地震が多く、高温多湿の四季を持つ日本において「暗く・寒く・壊れそう」ということこそが、先人たちの創意工夫の賜物だったのです。それこそが家人の生活を豊かにし、安全に暮らすことの出来る建築物の特徴だったのです。
「寒い」というイメージは、エアコンの無い時代に夏の暑さを如何に凌ぐかに特化して作られているところからきているのかもしれません。
「暗い」というイメージは、深く大きな庇からくるものだと思いますが、それは夏の暑さを遮るための仕掛けでもあります。たしかに大きな庇は暗さを感じさせるかもしれませんが、夏の日差しを抑え厳しい暑さから快適に過ごすための設えになっているのです。
地震の際には建物が風を受け流す柳の如く揺れ、建物の損壊を防ぎます。もっと大きな揺れの場合には屋根の瓦を落とし、建物を軽くすることで耐え、室内の土壁が剥がれ落ちます。これが「壊れそう」だと感じさせる一つの理由かもしれませんが、このように揺れることで、さらに大きな揺れから家人を守ろうと耐えてくれます。
古民家とは力強い梁や柱の持つ魅力だけでなく、高い天井や緩やかに繋がる平面空間が持つ開放性、そして繊細とも呼べるしなやかな力強さなのだと思います。
古民家と聞くと「暗い・寒い・壊れそう」というイメージを思い浮かべる方がおられると思いますが、そのイメージは古民家の特徴を正しく捉えていると思います。
そう聞くと驚かれるかもしれませんが、地震が多く、高温多湿の四季を持つ日本において「暗く・寒く・壊れそう」ということこそが、先人たちの創意工夫の賜物だったのです。それこそが家人の生活を豊かにし、安全に暮らすことの出来る建築物の特徴だったのです。
「寒い」というイメージは、エアコンの無い時代に夏の暑さを如何に凌ぐかに特化して作られているところからきているのかもしれません。
「暗い」というイメージは、深く大きな庇からくるものだと思いますが、それは夏の暑さを遮るための仕掛けでもあります。たしかに大きな庇は暗さを感じさせるかもしれませんが、夏の日差しを抑え厳しい暑さから快適に過ごすための設えになっているのです。
地震の際には建物が風を受け流す柳の如く揺れ、建物の損壊を防ぎます。もっと大きな揺れの場合には屋根の瓦を落とし、建物を軽くすることで耐え、室内の土壁が剥がれ落ちます。これが「壊れそう」だと感じさせる一つの理由かもしれませんが、このように揺れることで、さらに大きな揺れから家人を守ろうと耐えてくれます。
古民家とは力強い梁や柱の持つ魅力だけでなく、高い天井や緩やかに繋がる平面空間が持つ開放性、そして繊細とも呼べるしなやかな力強さなのだと思います。
伝統構法と軸組み工法の違い
冒頭で触れた「伝統構法」と「軸組み工法」の違いをご説明しておきましょう。
冒頭で触れた「伝統構法」と「軸組み工法」の違いをご説明しておきましょう。
- 伝統構法は「柔構造」
- 軸組み工法は「剛構造」
- 構造の違いは揺れの違い
地震に対しての考え方
伝統構法の建物をリノベーションする時には、現在の建築基準法に則った補強方法にこだわってしまうと、柔構造の持つ利点を消してしまう可能性があります。
現在は建物の耐震性能を基準法に則って「耐震等級」で示しますが、柔構造の伝統構法にはその考え方は通用しないからです。もしも構造計算による安全性を確保したいと考えるならば、伝統構法に熟知した専門家による「伝統耐震診断」を受け、その上でリノベーションの方針を立てましょう。
伝統構法の建物をリノベーションする時には、現在の建築基準法に則った補強方法にこだわってしまうと、柔構造の持つ利点を消してしまう可能性があります。
現在は建物の耐震性能を基準法に則って「耐震等級」で示しますが、柔構造の伝統構法にはその考え方は通用しないからです。もしも構造計算による安全性を確保したいと考えるならば、伝統構法に熟知した専門家による「伝統耐震診断」を受け、その上でリノベーションの方針を立てましょう。
古民家リノベーションを成功させるために大切なこと
意中の古民家を建築家と一緒に見て貰い、建物の状態の良し悪しを判断して貰いましょう。そしてそんな建築家ならば、きっと優秀な施工者を知っていることでしょう。古民家をリノベーションする様々な難しさは、古民家をよく知る建築家、あるいは同じぐらい詳しい施工者との出会いが解決してくれるといえそうです。
- 詳しい専門家に依頼する
意中の古民家を建築家と一緒に見て貰い、建物の状態の良し悪しを判断して貰いましょう。そしてそんな建築家ならば、きっと優秀な施工者を知っていることでしょう。古民家をリノベーションする様々な難しさは、古民家をよく知る建築家、あるいは同じぐらい詳しい施工者との出会いが解決してくれるといえそうです。
- 優先順位をよく考える
- どのように現代の生活に合わせるか
①間取り
古民家の間取りは今の住宅と違い就寝一体型の間取りが多く、大切と考えられている部屋は家族の集う居間では無く、お客様をお迎えする床の間のある客間だったりします。
また壁で仕切られた部屋は少なく、その壁自体が真壁と呼ばれる柱が見える壁となっています。そのため、水廻りの改修や位置の変更といった、現代のライフスタイルに合わせるためのリノベーションには、工夫が必要となり、その結果費用がかかることに繋がるのです。
②断熱
断熱に対する考え方も、今の家の造り方とは根本的に違うため、慎重に考えなければなりません。外壁や天井、床下前面に断熱材を設置することはもちろん可能ですが、そもそも縁側があるような建物の場合には、窓からの熱損失(熱が逃げてしまうこと)が大きいため、窓の形状・材質から考え直さなければなりません。
古民家の良さを保ちつつ、何を我慢して、何を得るのかは住み手が考えなければならない、一番大切なことかもしれません。
築70年の古民家を減築リノベーション。田の字型の間取りを一新し、明るく快適な住まいに
- 古いからこそ"お得"になること
それから古民家再生や移築に関しては補助金の制度が多く設けられています。自治体によっては独自の補助金制度を設けている地域もあるので、よく調べて活用できる物は活用するようにしましょう。
建物使われている柱や梁が、太い檜や欅だった場合には、その強度に価値があると思って良いでしょう。檜の強度は1200年間続くと言われており、欅は800年間続くといわれています。建物が完成した時が強度のピークである材料とは、少しばかり違う物で家が守られているということです。
伝統構法の家には、先人たちの知恵と工夫が詰まっています。家とは私たちの身を守り、安全な生活を営むために必要な大切な器です。その役割は不変であり、建物の古さ・新しさで変わることはありません。
古民家に現代のデザインを取り込み、ライフスタイルに合うようにリノベーションすることで、新旧の良い所を同時に体感することのできます。建築家と相談しながら快適な古民家ライフを目指してみてはいかがでしょうか?
Houzzで建築家を探す
古民家に現代のデザインを取り込み、ライフスタイルに合うようにリノベーションすることで、新旧の良い所を同時に体感することのできます。建築家と相談しながら快適な古民家ライフを目指してみてはいかがでしょうか?
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