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「新しくないのに、新しいもの」と生きていく【ハイムテキスタイル セミナー】
新型コロナウィルスの流行によって変化する、私たちの消費に対する考え方。すでに持っているものを再発見・再構築することがより重視されるようになっていくでしょう。
Thomas Helbing
2020年9月24日
最近、デザインに携わるすべての人が考えていること。それは「新型コロナウィルスの収束後にくるトレンドは何か」ということでしょう。
ハイムテキスタイル見本市は、その答えをいくつか提示してくれる場所といえるでしょう。次回は2021年5月に開催予定となっている、ホームテキスタイル・インテリアテキスタイル業界の見本市です。先日、2021/22シーズンのテキスタイルトレンドを紹介するビデオセミナーがありました。驚いたのは、そこには新しいものが全くなかったのです!
今回の見本市のテーマである「新しくないのに、新しい(Nothing New, Everything New)」が示唆するように、新しいもの、そしてより多くの製品を求め続けることは、もはや時代に即していないといえます。今までのようにシーズン毎に新しいトレンドを追及するのではなく、すでにあるもので満足する。そんな時代がついにやってきたのです!
写真はすべて、SpottがHeimtextilのために撮影したもの(写真:Andreas Houmann)
ハイムテキスタイル見本市は、その答えをいくつか提示してくれる場所といえるでしょう。次回は2021年5月に開催予定となっている、ホームテキスタイル・インテリアテキスタイル業界の見本市です。先日、2021/22シーズンのテキスタイルトレンドを紹介するビデオセミナーがありました。驚いたのは、そこには新しいものが全くなかったのです!
今回の見本市のテーマである「新しくないのに、新しい(Nothing New, Everything New)」が示唆するように、新しいもの、そしてより多くの製品を求め続けることは、もはや時代に即していないといえます。今までのようにシーズン毎に新しいトレンドを追及するのではなく、すでにあるもので満足する。そんな時代がついにやってきたのです!
写真はすべて、SpottがHeimtextilのために撮影したもの(写真:Andreas Houmann)
ハイムテキスタイルが発表したニュースリリースには、次のように書かれています。「さまざまな場面で消費者と業界の双方のシステムや働き方が変わろうとしている。今こそ『新しい』を捉え直すためのチャンスです。『新しくないのに、新しいもの』の時代へようこそ!」
「これは、テキスタイル業界の背景にある考え方を変えることであり、つまり『新しい』ということ自体の見方を新しくすることです」と語るのは、デンマークを拠点とするスポット・トレンド・アンド・ビジネス社(Spott Trends & Business)で、トレンド動向を専門とするアーニャ・ビスガード・ゲーデ氏です。
スタイルインスティテュート・アムステルダム(Stijlinstituut Amsterdam)のアン・マリー・コマンドール氏は次のように話します。「私たちのクライアントはビジネスを捉え直す必要がありました。私たちのクライアントには、繊維生産者、テキスタイル生産者、加工業者だけでなく、機械製造者およびリサーチ研究所も含まれますが、彼らには製品をより手ごろで入手しやすくなるようにすることと同時に、自身の行動を見直すことが求められています。新型コロナウィルスによる大きな痛手を経て、私たちは変わらざるを得なくなりました。デジタル化は多くのビジネスにとって未知の世界へ飛び込むことを意味します」
コマンドール氏とゲーデ氏は、ロンドンに拠点を置くフランクリン・ティル(Franklin Till)のケイト・フランクリン氏とキャロライン・ティル氏とともに、ハイムテキスタイルのトレンド・カウンシルを務めるため、2021年のトレンドをトレンドブックとしてまとめました。
「これは、テキスタイル業界の背景にある考え方を変えることであり、つまり『新しい』ということ自体の見方を新しくすることです」と語るのは、デンマークを拠点とするスポット・トレンド・アンド・ビジネス社(Spott Trends & Business)で、トレンド動向を専門とするアーニャ・ビスガード・ゲーデ氏です。
スタイルインスティテュート・アムステルダム(Stijlinstituut Amsterdam)のアン・マリー・コマンドール氏は次のように話します。「私たちのクライアントはビジネスを捉え直す必要がありました。私たちのクライアントには、繊維生産者、テキスタイル生産者、加工業者だけでなく、機械製造者およびリサーチ研究所も含まれますが、彼らには製品をより手ごろで入手しやすくなるようにすることと同時に、自身の行動を見直すことが求められています。新型コロナウィルスによる大きな痛手を経て、私たちは変わらざるを得なくなりました。デジタル化は多くのビジネスにとって未知の世界へ飛び込むことを意味します」
コマンドール氏とゲーデ氏は、ロンドンに拠点を置くフランクリン・ティル(Franklin Till)のケイト・フランクリン氏とキャロライン・ティル氏とともに、ハイムテキスタイルのトレンド・カウンシルを務めるため、2021年のトレンドをトレンドブックとしてまとめました。
「サステナビリティの問題が、かつてないほど重要になっています」と話すのはティル氏。「私たちは毎年、地球の1.75倍の資源を使っています。つまり、収入以上の生活をしているということです。ファッション業界ではここ数年間で素晴らしいイノベーションが起こっており、現在の生産・消費システムが与える影響に関する課題が真に認識されるようになりました。インテリア業界はこの点において遅れをとっている可能性があり、米国環境保護庁によると、毎年900万トンの家具・装飾品が埋立地へと持ち込まれています。よりサステナブルな生活をしたいという考える人が増えています」
このように、以下で紹介するトレンドでは、責任ある資源利用という考え方が、共通のテーマになっています。
このように、以下で紹介するトレンドでは、責任ある資源利用という考え方が、共通のテーマになっています。
【トレンド 1】
Repurpose:別の用途に転用する/しまい込んでいたものを出す
どのようなこと?:新しい製品はつくりません。その代わり、材料箱の奥底から見つけたもので新しいものをつくります。音楽の世界では、これを「サンプリング」と呼びます。
「転用とは、つくることをやめてキュレーションへ移行することです」とゲーデ氏は言います。
色:マリンブルー、レセダグリーン、コッパー、マリーゴールドなどの主張しすぎない馴染みのある色、またはダスティピンクやスカイブルーなどのパステルカラー。カラーブロッキングは転用の際に有効な手法です。
パターン:チェック、ストライプ、小花模様など、古くから愛されているパターン。
例:オランダのスタジオ、シモーヌ・ポスト(Simone Post)によるカラーブロック作品。あるいは、新しいパターンやシンボルを古いテキスタイルにプリントする服飾トレンド。
Repurpose:別の用途に転用する/しまい込んでいたものを出す
どのようなこと?:新しい製品はつくりません。その代わり、材料箱の奥底から見つけたもので新しいものをつくります。音楽の世界では、これを「サンプリング」と呼びます。
「転用とは、つくることをやめてキュレーションへ移行することです」とゲーデ氏は言います。
色:マリンブルー、レセダグリーン、コッパー、マリーゴールドなどの主張しすぎない馴染みのある色、またはダスティピンクやスカイブルーなどのパステルカラー。カラーブロッキングは転用の際に有効な手法です。
パターン:チェック、ストライプ、小花模様など、古くから愛されているパターン。
例:オランダのスタジオ、シモーヌ・ポスト(Simone Post)によるカラーブロック作品。あるいは、新しいパターンやシンボルを古いテキスタイルにプリントする服飾トレンド。
【トレンド 2】
Reinforce:より強固にする/ミニマリズムで安全策を取る
どのようなこと?:持続性、そして流行に左右されないデザインと機能性を保証することが証明された北欧スタイル。「補強のカギとなるのは、短命なものから持続性があるものに変えたいという気持ちです」とゲーデ氏はいいます。
色:さまざまなグレー、バタークリームなどのオフホワイト、グレーホワイト、ダークグリーン、ブラウンの入ったブラックを含む、馴染み深いカラーパレット。長い間マーケットで見られ、持続性があることを自身で証明した色調です。これらの色は、モノクロームのパレットでも使用されます。
技術:しっかりとした構造の耐久性がある材料。生地の裏打ちも必要ありません。密な織りと耐久性のある高品質なテキスタイルで、長期間の使用に耐えることができます。
例: ジュリエット・バーソニュー(Juliette Berthonneau)による3Dテキスタイル、バウンシングパターン(Bouncing Patterns)(写真)。スウェーデンのメーカー、マスプロダクションズ(Massproductions)によるミニマルな寝具。ブルータリズム。
Reinforce:より強固にする/ミニマリズムで安全策を取る
どのようなこと?:持続性、そして流行に左右されないデザインと機能性を保証することが証明された北欧スタイル。「補強のカギとなるのは、短命なものから持続性があるものに変えたいという気持ちです」とゲーデ氏はいいます。
色:さまざまなグレー、バタークリームなどのオフホワイト、グレーホワイト、ダークグリーン、ブラウンの入ったブラックを含む、馴染み深いカラーパレット。長い間マーケットで見られ、持続性があることを自身で証明した色調です。これらの色は、モノクロームのパレットでも使用されます。
技術:しっかりとした構造の耐久性がある材料。生地の裏打ちも必要ありません。密な織りと耐久性のある高品質なテキスタイルで、長期間の使用に耐えることができます。
例: ジュリエット・バーソニュー(Juliette Berthonneau)による3Dテキスタイル、バウンシングパターン(Bouncing Patterns)(写真)。スウェーデンのメーカー、マスプロダクションズ(Massproductions)によるミニマルな寝具。ブルータリズム。
【トレンド 3】
Re-Wild:自然な状態に戻す/資源としての自然
どのようなこと?:自然素材を再発見するだけでなく、 それが本来の意味で天然のものであり、かつその土地固有の素材ということが重要になります。「私たちが注目しているのは、自然がもたらしてくれる素材、そしてそれらを現代的な方法で利用することです。再発見しているのは、まさに目の前にある素材なのです」とゲーデ氏は話します。
このテーマにふさわしく、ハイムテキスタイル2021では第2回目となる未来のマテリアル・ライブラリ(Future Materials Library)が開催されます。ティル氏がキュレーションを担当したこのコレクションでは、サステナブルな素材に関するイノベーションを展示します。
色: 様々なグリーン、ベージュそしてブラウンを含む自然な色や、グレーブルーや暖かなオレンジのようなアクセントカラー。ハーブ染料で染められたテキスタイル。すべてがクラッシックなカモフラージュを思い起こさせ、トーンを重ねた配色になっています。カラーブロッキングはありません。
例:レベッカ・ニールセン(Rebekka Nielsen)による壁掛け。コンバート(Convert)のシーグラステキスタイル。ジュリア・ワトソン(Julia Watson)のローテク・デザイン、 ブーロ・ベレン(Buro Belén)による桑の木からつくられた生地。
Re-Wild:自然な状態に戻す/資源としての自然
どのようなこと?:自然素材を再発見するだけでなく、 それが本来の意味で天然のものであり、かつその土地固有の素材ということが重要になります。「私たちが注目しているのは、自然がもたらしてくれる素材、そしてそれらを現代的な方法で利用することです。再発見しているのは、まさに目の前にある素材なのです」とゲーデ氏は話します。
このテーマにふさわしく、ハイムテキスタイル2021では第2回目となる未来のマテリアル・ライブラリ(Future Materials Library)が開催されます。ティル氏がキュレーションを担当したこのコレクションでは、サステナブルな素材に関するイノベーションを展示します。
色: 様々なグリーン、ベージュそしてブラウンを含む自然な色や、グレーブルーや暖かなオレンジのようなアクセントカラー。ハーブ染料で染められたテキスタイル。すべてがクラッシックなカモフラージュを思い起こさせ、トーンを重ねた配色になっています。カラーブロッキングはありません。
例:レベッカ・ニールセン(Rebekka Nielsen)による壁掛け。コンバート(Convert)のシーグラステキスタイル。ジュリア・ワトソン(Julia Watson)のローテク・デザイン、 ブーロ・ベレン(Buro Belén)による桑の木からつくられた生地。
【トレンド 4】
Revive:再びよみがえらせる/プロセスが見た目を決める
どのようなこと?:世界情勢に対する若い世代の行動を表現したもの。自己表現としての創造力。最終結果ではなく、プロセス、つまりどのようにつくられたか、が重要視されます。このトレンドに特徴的なのは、レイヤー、構造そしてひずんだ模様です。
色:鮮やかな黄色、ミディアムピンク、ダークバーガンディ、エメラルドグリーン、カーキそしてラベンダーなど、他の3つのトレンドに比べるとより鮮やかな色彩です。これらの色はどのような組み合わせでも用いることができます。
技術:継ぎはぎと補修という創造的なプロセスによってつくられます。パッチワークが新しいものを生みだすための有効な手法となるでしょう。素材の切れ端や断片によって新しい面を構成します。ここには実験の自由を邪魔するものはありません。
例:ティム・バンデルロー(Tim van der Loo)のデジタル・パッチワーク。ジュリー・へレス・エリクセン(Julie Helles Eriksen)の「ハッキングされた」テキスタイル。アンリエッテ・ティラヌス(Henriette Tilanus)のペーパーテキスタイル。
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Revive:再びよみがえらせる/プロセスが見た目を決める
どのようなこと?:世界情勢に対する若い世代の行動を表現したもの。自己表現としての創造力。最終結果ではなく、プロセス、つまりどのようにつくられたか、が重要視されます。このトレンドに特徴的なのは、レイヤー、構造そしてひずんだ模様です。
色:鮮やかな黄色、ミディアムピンク、ダークバーガンディ、エメラルドグリーン、カーキそしてラベンダーなど、他の3つのトレンドに比べるとより鮮やかな色彩です。これらの色はどのような組み合わせでも用いることができます。
技術:継ぎはぎと補修という創造的なプロセスによってつくられます。パッチワークが新しいものを生みだすための有効な手法となるでしょう。素材の切れ端や断片によって新しい面を構成します。ここには実験の自由を邪魔するものはありません。
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