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見た目だけより、心地よさの時代。インテリアのこれから【デザインスケープ2020】
イギリスのインテリアデザイナーや精神科学の専門家たちが議論を交わした、3日間のバーチャルイベント「デザインスケープ2020」。ここで披露された注目トピックをお届けします。
Amanda Pollard
2020年9月9日
今年8月に開催されたバーチャルイベント「デザインスケープ(Designscape)」では、これからのインテリアデザインの方向性について、多くの議論が交わされました。住宅デザインに関するパネルディスカッションで掘り下げられたトピックのうち、9つの注目ポイントをご紹介します。
①住環境は見た目が全てではない
メインディスカッションの「住まいのアートと科学(The Art & Science of the Home)」では、住まいが私たちの感情や行動に与える影響をテーマに議論されました。
神経科学者のアシュ・ランプラ博士は、私たちの行動が、動機、行為、環境という3つの要因に影響を受けていることを指摘。「今、私がいるこの環境は、私の行動、私に提示される選択肢、そして私がどのように一つの行為を実行するかに影響を与えます」と述べました。
これを念頭に置くと、部屋をデザインする際に最初に検討すべきことは、実際にその空間であなたがしたいこと、そして、それをしている間にどう感じたいか、であると理解できるようになります。
いったんこのことについて考えてしまえば、レイアウトや家具の選択、色や手触りといったすべてのことが必然的に決まっていくのです。
ランプラ博士は、環境を作る際には、安心と快適を感じることが重要であるといいます。理想的な環境においては通常、私たちは動物と同じように心地よさを感じるといいます。そして、寝室を1つの例として取り上げました。
寝室は身を守ることができる場所であり、そこにいれば危険に身を晒心配をする必要はありません。「自然の中で生活するとしたら、どのように暮らすか想像してみましょう。直感的に思い浮かんだような場所こそが、私たちが心地よさを感じることができる場所なのです」
メインディスカッションの「住まいのアートと科学(The Art & Science of the Home)」では、住まいが私たちの感情や行動に与える影響をテーマに議論されました。
神経科学者のアシュ・ランプラ博士は、私たちの行動が、動機、行為、環境という3つの要因に影響を受けていることを指摘。「今、私がいるこの環境は、私の行動、私に提示される選択肢、そして私がどのように一つの行為を実行するかに影響を与えます」と述べました。
これを念頭に置くと、部屋をデザインする際に最初に検討すべきことは、実際にその空間であなたがしたいこと、そして、それをしている間にどう感じたいか、であると理解できるようになります。
いったんこのことについて考えてしまえば、レイアウトや家具の選択、色や手触りといったすべてのことが必然的に決まっていくのです。
ランプラ博士は、環境を作る際には、安心と快適を感じることが重要であるといいます。理想的な環境においては通常、私たちは動物と同じように心地よさを感じるといいます。そして、寝室を1つの例として取り上げました。
寝室は身を守ることができる場所であり、そこにいれば危険に身を晒心配をする必要はありません。「自然の中で生活するとしたら、どのように暮らすか想像してみましょう。直感的に思い浮かんだような場所こそが、私たちが心地よさを感じることができる場所なのです」
②人は自然とつながりたい生き物
デザイナーのナタリア・マイヤー氏は、自然に注目するランプラ博士に同意し、色や素材の選択の際、自然が与える影響の可能性について指摘しました。
「何が自分にインスピレーションを与えるのか問われた場合、私はいつも『自然に帰ること』と答えています」とマイヤー氏。「自然にあるさまざまな色合いやテクスチャーは、私たちの多くにとって基本的な情報です。母なる自然こそ私たちの多くが幸せを感じる場所であるといえるでしょう」
トレンドや色、デザインに関する議論の中で、精神科学の専門家であるカレン・ハラー氏は、私たちが自然から離れてしまっているため、新しいつながりを必要とする気持ちが高まってきていると説明しました。バイオフィリック・デザイン(私たちに生まれつき備わっている、自然とつながっていたいという欲求に注目したデザイン)のトレンドについての考えを尋ねると、「今はトレンドという形を取っているかもしれませんが、自然を取り戻したいという思いが消えることはないと思います」との答えが返ってきました。
Tessuto Interiorsのデザイナー、スージー・ランボルド氏は、自然について「以前は『あったらいいね』といった程度のものでしたが、実はもっと重要なことであることに私たちも気付いています」と、ハラー氏の意見に同意しました。「トレンドのような一時的なものではなく、定着していくことでしょう」
デザイナーのナタリア・マイヤー氏は、自然に注目するランプラ博士に同意し、色や素材の選択の際、自然が与える影響の可能性について指摘しました。
「何が自分にインスピレーションを与えるのか問われた場合、私はいつも『自然に帰ること』と答えています」とマイヤー氏。「自然にあるさまざまな色合いやテクスチャーは、私たちの多くにとって基本的な情報です。母なる自然こそ私たちの多くが幸せを感じる場所であるといえるでしょう」
トレンドや色、デザインに関する議論の中で、精神科学の専門家であるカレン・ハラー氏は、私たちが自然から離れてしまっているため、新しいつながりを必要とする気持ちが高まってきていると説明しました。バイオフィリック・デザイン(私たちに生まれつき備わっている、自然とつながっていたいという欲求に注目したデザイン)のトレンドについての考えを尋ねると、「今はトレンドという形を取っているかもしれませんが、自然を取り戻したいという思いが消えることはないと思います」との答えが返ってきました。
Tessuto Interiorsのデザイナー、スージー・ランボルド氏は、自然について「以前は『あったらいいね』といった程度のものでしたが、実はもっと重要なことであることに私たちも気付いています」と、ハラー氏の意見に同意しました。「トレンドのような一時的なものではなく、定着していくことでしょう」
③健康な家こそが幸せな家
「住まいのアートと科学」のディスカッションでは、私たちが「健康だ」と感じるのはどのような住まいであるのか?という点についても議論がありました。
ナタリア・マイヤー氏は、人々が自分の身体的かつ精神的な健康についてこれまで以上に意識しており、それがインテリアに関する選択に反映されていると指摘しました。「製品そのものに対してよりも、素材に対してこの意識が反映されやすいように思います」とマイヤー氏。「塗料や布地の由来と健全性について、皆さん今まで以上に意識するようになってきています」
サステナビリティに関するアドバイスとサポートを提供するElement 4のジョージア・エリオット‐スミス氏は「持続可能な未来」 と題されたシンポジウムでこのテーマに焦点を当てました。「このところのパンデミックのもとで、私たちは自分が呼吸している空気に対しての意識がさらに高まっています」とエリオット‐スミス氏は語りました。「私たちは、どのように行動に影響を与えるか、また毒素をいかに低減していくか、というテーマに関連した多くの課題に取り組んでいます。これはただ単に塗料についてだけでなく、溶剤や上塗りといったものも含む、私たちが考えるべきスケールの大きな分野と言えます」
建築家でインテリアデザイナーのシャリーニ・ミスラ氏は、「新しいラグジュアリー」というテーマの議論の中で、住まいにおける健康を、特に若い世代が重視していると指摘しました。「彼らの『ラグジュアリー』についての考え方は、過去とは異なるものになっています。それは見栄を張って人目を引くものではなく、周りは自然に囲まれ、室内は植物などの自然を持ち込んだ健康的な住まいを作り上げることにあります」
新型コロナウイルスで、私たちの住まいはどう変化する?
「住まいのアートと科学」のディスカッションでは、私たちが「健康だ」と感じるのはどのような住まいであるのか?という点についても議論がありました。
ナタリア・マイヤー氏は、人々が自分の身体的かつ精神的な健康についてこれまで以上に意識しており、それがインテリアに関する選択に反映されていると指摘しました。「製品そのものに対してよりも、素材に対してこの意識が反映されやすいように思います」とマイヤー氏。「塗料や布地の由来と健全性について、皆さん今まで以上に意識するようになってきています」
サステナビリティに関するアドバイスとサポートを提供するElement 4のジョージア・エリオット‐スミス氏は「持続可能な未来」 と題されたシンポジウムでこのテーマに焦点を当てました。「このところのパンデミックのもとで、私たちは自分が呼吸している空気に対しての意識がさらに高まっています」とエリオット‐スミス氏は語りました。「私たちは、どのように行動に影響を与えるか、また毒素をいかに低減していくか、というテーマに関連した多くの課題に取り組んでいます。これはただ単に塗料についてだけでなく、溶剤や上塗りといったものも含む、私たちが考えるべきスケールの大きな分野と言えます」
建築家でインテリアデザイナーのシャリーニ・ミスラ氏は、「新しいラグジュアリー」というテーマの議論の中で、住まいにおける健康を、特に若い世代が重視していると指摘しました。「彼らの『ラグジュアリー』についての考え方は、過去とは異なるものになっています。それは見栄を張って人目を引くものではなく、周りは自然に囲まれ、室内は植物などの自然を持ち込んだ健康的な住まいを作り上げることにあります」
新型コロナウイルスで、私たちの住まいはどう変化する?
④閉じた空間は多機能性で実現
ナタリア・マイヤー氏は、コロナ禍におけるロックダウンの最中、家族が1つの空間の中で共に暮らし、仕事をし、遊ぶ必要があったことについて言及しました。その上で「オープンプランは誰にでも合うものではありません」と指摘しています。
スージー・ランボルド氏は、「私たちは今、人々の暮らしが劇的に変化していくさまを目の当たりにしています」と話しました。「室内の音響の分離などの要素は、住まいを大きく変化させるでしょう」
しばらくの間、私たちは自分の空間を「多機能」に使っていくだろう、とランボルドは予測します。「暮らしが以前のような形に戻っていくとは思えません。ですから、個人的な空間が非常に重要になっていくでしょう」
ランボルド氏はさらに、1日のなかで、時間によって異なるゾーニングができるような方法をデザイナーが考え出す必要があると付け加えました。「それはドアのような物理的なゾーニングの場合もありますし、機能Aが終了したら機能Bを始めるためにすべてを片付けられるような収納によるソリューションかもしれません」と彼女は話しました。「デザイナーはこれまで以上に賢く、クライアントの要求を聞く必要がありそうですね」
社会におけるインテリアデザイナーの役割とは?
ナタリア・マイヤー氏は、コロナ禍におけるロックダウンの最中、家族が1つの空間の中で共に暮らし、仕事をし、遊ぶ必要があったことについて言及しました。その上で「オープンプランは誰にでも合うものではありません」と指摘しています。
スージー・ランボルド氏は、「私たちは今、人々の暮らしが劇的に変化していくさまを目の当たりにしています」と話しました。「室内の音響の分離などの要素は、住まいを大きく変化させるでしょう」
しばらくの間、私たちは自分の空間を「多機能」に使っていくだろう、とランボルドは予測します。「暮らしが以前のような形に戻っていくとは思えません。ですから、個人的な空間が非常に重要になっていくでしょう」
ランボルド氏はさらに、1日のなかで、時間によって異なるゾーニングができるような方法をデザイナーが考え出す必要があると付け加えました。「それはドアのような物理的なゾーニングの場合もありますし、機能Aが終了したら機能Bを始めるためにすべてを片付けられるような収納によるソリューションかもしれません」と彼女は話しました。「デザイナーはこれまで以上に賢く、クライアントの要求を聞く必要がありそうですね」
社会におけるインテリアデザイナーの役割とは?
⑤1人になれるラグジュアリー
Taylor Howes Designsのカレン・ハウズは、「新しいラグジュアリー」と題されたシンポジウムで、「家が自分たちの特別な場所であることに気付き始めた人が多くなっている」と話しました。クライアントが長持ちする物を選ぶようになり、一人になるための落ち着いた場所を見つけようとしているなどといった例を挙げるカレン・ハウズは、「クライアントから問い合わせがあったときの要望が、6か月前とは変わってきています」と話しました。
「ラグジュアリーとは、良い環境のもとで仕事をし、くつろぐことを意味します。それは、ブランド品を手にすることよりも心を満たしてくれることなのです」と同意したのは、Tollgard Design Groupのステファン・トールガード氏。彼は2011年の景気後退後、ラグジュアリーに関する考え方が、これ見よがしの豪華さといった内容から変化していることに初めて気付き、最近はより大きな焦点になってきていると語りました。
「空間こそ、本物のラグジュアリーと言えるのではないでしょうか?」とカレン・ハウズ氏は付け加えました。「1人になれる空間を誰もが持つべきです。私にとっての完璧なラグジュアリーとは、窓の外の田舎の景色を見ること、そしてそのための時間を持つことです」
司会者のヘレン・ブロックルバンク氏は、「完璧な景色が見られる完璧なスペースに、完璧な椅子を置くということですね」と議論を締めくくっていました。
Taylor Howes Designsのカレン・ハウズは、「新しいラグジュアリー」と題されたシンポジウムで、「家が自分たちの特別な場所であることに気付き始めた人が多くなっている」と話しました。クライアントが長持ちする物を選ぶようになり、一人になるための落ち着いた場所を見つけようとしているなどといった例を挙げるカレン・ハウズは、「クライアントから問い合わせがあったときの要望が、6か月前とは変わってきています」と話しました。
「ラグジュアリーとは、良い環境のもとで仕事をし、くつろぐことを意味します。それは、ブランド品を手にすることよりも心を満たしてくれることなのです」と同意したのは、Tollgard Design Groupのステファン・トールガード氏。彼は2011年の景気後退後、ラグジュアリーに関する考え方が、これ見よがしの豪華さといった内容から変化していることに初めて気付き、最近はより大きな焦点になってきていると語りました。
「空間こそ、本物のラグジュアリーと言えるのではないでしょうか?」とカレン・ハウズ氏は付け加えました。「1人になれる空間を誰もが持つべきです。私にとっての完璧なラグジュアリーとは、窓の外の田舎の景色を見ること、そしてそのための時間を持つことです」
司会者のヘレン・ブロックルバンク氏は、「完璧な景色が見られる完璧なスペースに、完璧な椅子を置くということですね」と議論を締めくくっていました。
⑥デスクから見える景色も美しく
自宅で働くことが重要なテーマとなっている最近の状況を受け、「住まいのアートと科学」の司会者であるピップ・マコーマック氏は、良いホームオフィスに必要なものは何であるかをゲストに尋ねました。
ランプラ博士は、自分のニーズや、作業している仕事の要件に合わせてホームオフィスをデザインすることの重要性について説明しました。
例えば、ランプラ博士は家で何が起こっているかを見渡せるように自分のデスクを自宅の中心に置くことを好むそうです。それに対して、彼の妻は、自宅の中の事務作業用のデスクと庭の片隅にある小屋という、2つのオフィスを持っているとのこと。彼女は執筆業なので、庭のオフィスはどちらかというと熟考や瞑想するための空間だといいます。
ナタリア・マイヤー氏は、機能が優先されるオフィス空間の見た目についても、魅力的にしつらえることのメリットを強調しました。「あなたのホームオフィスがどのような空間であるかに関わらず、美しく整えましょう。美しいものに向き合いながら仕事をしましょう」とマイヤー氏は強調します。「私は部屋に目を向けることが好きですが、窓の外を眺めるのもよいと思います。快適なオフィスチェアを使ってください。毎日座るものですから出費を惜しまないでくださいね」
書斎・仕事部屋の記事を読む
自宅で働くことが重要なテーマとなっている最近の状況を受け、「住まいのアートと科学」の司会者であるピップ・マコーマック氏は、良いホームオフィスに必要なものは何であるかをゲストに尋ねました。
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例えば、ランプラ博士は家で何が起こっているかを見渡せるように自分のデスクを自宅の中心に置くことを好むそうです。それに対して、彼の妻は、自宅の中の事務作業用のデスクと庭の片隅にある小屋という、2つのオフィスを持っているとのこと。彼女は執筆業なので、庭のオフィスはどちらかというと熟考や瞑想するための空間だといいます。
ナタリア・マイヤー氏は、機能が優先されるオフィス空間の見た目についても、魅力的にしつらえることのメリットを強調しました。「あなたのホームオフィスがどのような空間であるかに関わらず、美しく整えましょう。美しいものに向き合いながら仕事をしましょう」とマイヤー氏は強調します。「私は部屋に目を向けることが好きですが、窓の外を眺めるのもよいと思います。快適なオフィスチェアを使ってください。毎日座るものですから出費を惜しまないでくださいね」
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⑦色はトレンドより自分の感覚で
イベントでは、色の選択、特にカラーパレットの選択に何が影響を与えるのかという点について、興味深い議論がありました。
カレン・ハラー氏は次のように説明しました。「クライアントと対話を始めるにあたり、空間の中でどのように感じたいか、そしてその空間で何をしたいかという質問を投げかけます。その空間中での行動によって色を選択するのです。それがたまたまトレンドの色であったとしたら、それはそれで良いのですが、何より重要なのは、色を使って行動に影響を与えるということです」
ランプラ博士は、私たちの色の好みが外的な要因の影響を受けていると指摘しました。「色と気分の関係は、文化的に後付けされるものです」と彼は話し、世界のさまざまな場所で異なる意味を持つ色合いの例として「赤」を挙げました。
もう1つの要因としてランプラ博士が強調したのは、気分と色に関する言語です。「私たちは『気分が暗い』あるいは『気分がブルーだ』など、気分が下がっていく言葉や、暗いイメージを使って話します」と言い、これは暗めのトーンについて私たちがどう感じるかに影響を与える可能性があると示唆しました。
暗い部屋が気分を落ち込ませるかと尋ねられると、「まさに人それぞれだと思います。明るく開けた空間にいると、人目にさらされたように感じて不安になる人がいますが、これを気分が落ち込んでいると感じるのでしょう。また、囲い込まれたような部屋に安心感を抱く人もいます」とランプラ博士は答えました。
色のトレンドは私たちの選択に影響を与えるかという問いに対しては、「人々は、自分がトレンドの一員であると示したい、というただそれだけの理由で流行の色を使うことがあります」とハラー氏は答えました。
ランプラ博士もこの意見に同意しましたが、それもすべて私たちが人間であることからくるものだとも話しました。「私たちはまさに群れをなす種族であり、私たちの考えは互いに伝染していきます」とのこと。「私の持つ考えとは、経験によって体得したものであるだけでなく、自分の属する集団の色や空間についての考えから得た私の知識でもあるのです」
カラーマイスターが教えるインテリアのつくり方!部屋別記事まとめ
イベントでは、色の選択、特にカラーパレットの選択に何が影響を与えるのかという点について、興味深い議論がありました。
カレン・ハラー氏は次のように説明しました。「クライアントと対話を始めるにあたり、空間の中でどのように感じたいか、そしてその空間で何をしたいかという質問を投げかけます。その空間中での行動によって色を選択するのです。それがたまたまトレンドの色であったとしたら、それはそれで良いのですが、何より重要なのは、色を使って行動に影響を与えるということです」
ランプラ博士は、私たちの色の好みが外的な要因の影響を受けていると指摘しました。「色と気分の関係は、文化的に後付けされるものです」と彼は話し、世界のさまざまな場所で異なる意味を持つ色合いの例として「赤」を挙げました。
もう1つの要因としてランプラ博士が強調したのは、気分と色に関する言語です。「私たちは『気分が暗い』あるいは『気分がブルーだ』など、気分が下がっていく言葉や、暗いイメージを使って話します」と言い、これは暗めのトーンについて私たちがどう感じるかに影響を与える可能性があると示唆しました。
暗い部屋が気分を落ち込ませるかと尋ねられると、「まさに人それぞれだと思います。明るく開けた空間にいると、人目にさらされたように感じて不安になる人がいますが、これを気分が落ち込んでいると感じるのでしょう。また、囲い込まれたような部屋に安心感を抱く人もいます」とランプラ博士は答えました。
色のトレンドは私たちの選択に影響を与えるかという問いに対しては、「人々は、自分がトレンドの一員であると示したい、というただそれだけの理由で流行の色を使うことがあります」とハラー氏は答えました。
ランプラ博士もこの意見に同意しましたが、それもすべて私たちが人間であることからくるものだとも話しました。「私たちはまさに群れをなす種族であり、私たちの考えは互いに伝染していきます」とのこと。「私の持つ考えとは、経験によって体得したものであるだけでなく、自分の属する集団の色や空間についての考えから得た私の知識でもあるのです」
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⑧捨てない、長持ちするデザイン
先述の「新しいラグジュアリー」と「持続可能な未来」のシンポジウムでは、サステナビリティが議題に挙がり、広く取り上げられました。
カレン・ハウズ氏は、高所得層のクライアントが長持ちするデザインを選択することを検討していると指摘しました。人々が長持ちすることを念頭に丁寧にデザインされたアイテムを選ぶようになり、すべてを捨てて新しく買いなおすといったことはしなくなったと話ます。「ありがたいことに、もはやそういった時代は終わったのです」
パネリストたちは、上質なビンテージアイテムもクライアントに選ばれていると話しました。また、自分たちのクライアントに対して、価値あるものを残し、すでに持っているものを利用していく方法を提案しているともいいます。
サステナブルなインテリアのための7つのポイント
先述の「新しいラグジュアリー」と「持続可能な未来」のシンポジウムでは、サステナビリティが議題に挙がり、広く取り上げられました。
カレン・ハウズ氏は、高所得層のクライアントが長持ちするデザインを選択することを検討していると指摘しました。人々が長持ちすることを念頭に丁寧にデザインされたアイテムを選ぶようになり、すべてを捨てて新しく買いなおすといったことはしなくなったと話ます。「ありがたいことに、もはやそういった時代は終わったのです」
パネリストたちは、上質なビンテージアイテムもクライアントに選ばれていると話しました。また、自分たちのクライアントに対して、価値あるものを残し、すでに持っているものを利用していく方法を提案しているともいいます。
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⑨誠実に変化と向き合う大切さ
サステナビリティについての興味深い議論から、自分の住まいにエシカル(倫理的)な製品を探す際の透明性というテーマが話題に上がりました。
ジョージア・エリオット‐スミス氏は、デザイナー自らが経験を共有するのがよい、と話します。「最も有害と言えるのは、『グリーンウォッシュ』(環境についての表面的で浅はかな懸念)です」とエリオット‐スミス氏。「聞きたいのは、その人自身の考えです。『私たちは完璧ではありません』と人々がいうのを聞くと、私はうれしくなります。私たちは共に歩み、共に学び続けているのですから。科学に関する見解はしばしば変わっていきますが、それが起こってしまった場合には、その変化に対して誠実に向き合い、自分はどう変化するのかをいえるようにしましょう」
Boxx Creativeのニコラ・リンゼル氏はこれに同意し、次のように言いました。「自分の価値観に合うサプライヤーと仕事をしたいと思うようになり、すべてのサプライヤーに面会し、質問しました。面倒なことになってしまったとも思いましたが、それは本当に良いプロセスでしたし、もっと話を聞きたいといってくれるサプライヤーがほとんどでした」
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サステナビリティについての興味深い議論から、自分の住まいにエシカル(倫理的)な製品を探す際の透明性というテーマが話題に上がりました。
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Boxx Creativeのニコラ・リンゼル氏はこれに同意し、次のように言いました。「自分の価値観に合うサプライヤーと仕事をしたいと思うようになり、すべてのサプライヤーに面会し、質問しました。面倒なことになってしまったとも思いましたが、それは本当に良いプロセスでしたし、もっと話を聞きたいといってくれるサプライヤーがほとんどでした」
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