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建築家に聞く、植物を取り入れた住まいづくり
植物をインテリアに取り込んだ家づくりのコツを、建築家に聞きました。

杉田真理子
2020年12月6日
家で過ごす時間が長くなっている今、植物を取り入れた住まいを求める人が増えています。住んだ後に自分で植物を取り入れる人も多いと思いますが、家づくりの段階からインテリアグリーンを取り入れることを想定して進めていくには、どうしたら良いのでしょうか?
「お手入れが大変そう」「どんな種類があるか分からない」などの懸念を払拭し、誰でも植物がある住まいを楽しめるよう、メリットや気をつけるべきポイントなどを、3人の建築家に聞きました。
お話を聞いた建築家:殿村明彦さん(COLOR LABEL DESIGN OFFICE)、関本竜太さん(リオタデザイン)、勝田無一さん(創設計/ガーデナー建築家)
「お手入れが大変そう」「どんな種類があるか分からない」などの懸念を払拭し、誰でも植物がある住まいを楽しめるよう、メリットや気をつけるべきポイントなどを、3人の建築家に聞きました。
お話を聞いた建築家:殿村明彦さん(COLOR LABEL DESIGN OFFICE)、関本竜太さん(リオタデザイン)、勝田無一さん(創設計/ガーデナー建築家)
植物を取り入れるメリット
そもそも、植物をインテリアに取り入れることに、どのようなメリットがあるのでしょうか?
「直線的な空間に有機的な植物を持ち込むと、空間の輪郭をやわらかくしてくれます」とリオタデザインの関本竜太さん。また、COLOR LABEL DESIGN OFFICEの建築家・殿村明彦さんは、植物を取り入れることで、空間に立体感が生まれると説明します。
「植物のグリーンの色は、さまざまな壁の色を引き立ててくれる効果があります」と殿村さん。
「私の家のダイニングテーブルから生えているゴムの木は、時には誕生日の飾り付けをしたり、夏には七夕飾りをしたり、冬にはクリスマスツリーになったりとさまざまざシーンで大活躍です。夜は照明の当て方によって植物の影が壁に映り、おしゃれなお店でディナーを食べている気分になります」(殿村さん)
室内の調湿効果とリラックス効果も、メリットのひとつです。創設計の建築家・勝田無一さんは、「植物の蒸散は室内の湿度に合わせて水蒸気の量を増減させるので、一定の湿度を保つことが出来ます」と説明します。「室内の建材や接着剤などから発散するホルムアルデヒド等、アレルギー源ともなる有害物質を吸着する効果もあるので、全自動の加湿器や空気清浄機のような作用があります」
そもそも、植物をインテリアに取り入れることに、どのようなメリットがあるのでしょうか?
「直線的な空間に有機的な植物を持ち込むと、空間の輪郭をやわらかくしてくれます」とリオタデザインの関本竜太さん。また、COLOR LABEL DESIGN OFFICEの建築家・殿村明彦さんは、植物を取り入れることで、空間に立体感が生まれると説明します。
「植物のグリーンの色は、さまざまな壁の色を引き立ててくれる効果があります」と殿村さん。
「私の家のダイニングテーブルから生えているゴムの木は、時には誕生日の飾り付けをしたり、夏には七夕飾りをしたり、冬にはクリスマスツリーになったりとさまざまざシーンで大活躍です。夜は照明の当て方によって植物の影が壁に映り、おしゃれなお店でディナーを食べている気分になります」(殿村さん)
室内の調湿効果とリラックス効果も、メリットのひとつです。創設計の建築家・勝田無一さんは、「植物の蒸散は室内の湿度に合わせて水蒸気の量を増減させるので、一定の湿度を保つことが出来ます」と説明します。「室内の建材や接着剤などから発散するホルムアルデヒド等、アレルギー源ともなる有害物質を吸着する効果もあるので、全自動の加湿器や空気清浄機のような作用があります」
植物のある家づくりは、いつから、どのように計画するべきか
植物は、家ができてから買い足せば良いと思っている人も多いでしょう。しかし勝田さんは、
プランニング計画に後から付け加える設定では、植物と一体感のある家づくりは難しい、と説明します。「プランニングの段階で、生活の中に植物を取り入れるイメージを広げていきましょう」
勝田さんが手がけた住宅では、半屋外のインナーテラスが、リビングと一体になっている事例が多くあります。土間テラスに、土に直植えのプラントスペースが組み込まれており、家の中でも水を撒けるアウトドアリビングです。「このようなデザインを実現するは、設計段階から構想しておく必要があるのです」と勝田さん。特に、以下のような場所では、設計段階でプランニングしておくと良いとアドバイスします。
玄関ホール:靴の脱ぎ履きやシューズインクロセットのプランニングだけでなく、植物をおく場所を事前に決めておくことで、面白いデザインが可能になります。
玄関ドアを開けたとき、形の良い植物がウェルカムプランツとして眼に入る場所を、事前にプランニングしておきましょう。玄関ホールから植物の枝葉越しにリビングを見せる仕掛けや、植物のスクリーン配置などもおすすめです。
洗面スペース・浴室:採光窓・トップライトなどが計画可能であれば、洗面スペース・浴室は湿度もあるため、楽しいプラントスペースが配置できます。
リビング・ダイニング:南側はもちろんですが、北側は南の光が当たるので順光で植物を見ることが出来ます。テレビ画面のサイドスペースは、モニター画面に疲れた眼を癒やしてくれそうです。
階段の踊り場:踊り場を少し大きめに設計すれば、階段の途中にプラントスペースを配置できます。階段は家の中を立体的に移動するスペース。だからこそ、上からも下からも植物を眺められる、ドラマチックなスペースにもなります。
植物は、家ができてから買い足せば良いと思っている人も多いでしょう。しかし勝田さんは、
プランニング計画に後から付け加える設定では、植物と一体感のある家づくりは難しい、と説明します。「プランニングの段階で、生活の中に植物を取り入れるイメージを広げていきましょう」
勝田さんが手がけた住宅では、半屋外のインナーテラスが、リビングと一体になっている事例が多くあります。土間テラスに、土に直植えのプラントスペースが組み込まれており、家の中でも水を撒けるアウトドアリビングです。「このようなデザインを実現するは、設計段階から構想しておく必要があるのです」と勝田さん。特に、以下のような場所では、設計段階でプランニングしておくと良いとアドバイスします。
玄関ホール:靴の脱ぎ履きやシューズインクロセットのプランニングだけでなく、植物をおく場所を事前に決めておくことで、面白いデザインが可能になります。
玄関ドアを開けたとき、形の良い植物がウェルカムプランツとして眼に入る場所を、事前にプランニングしておきましょう。玄関ホールから植物の枝葉越しにリビングを見せる仕掛けや、植物のスクリーン配置などもおすすめです。
洗面スペース・浴室:採光窓・トップライトなどが計画可能であれば、洗面スペース・浴室は湿度もあるため、楽しいプラントスペースが配置できます。
リビング・ダイニング:南側はもちろんですが、北側は南の光が当たるので順光で植物を見ることが出来ます。テレビ画面のサイドスペースは、モニター画面に疲れた眼を癒やしてくれそうです。
階段の踊り場:踊り場を少し大きめに設計すれば、階段の途中にプラントスペースを配置できます。階段は家の中を立体的に移動するスペース。だからこそ、上からも下からも植物を眺められる、ドラマチックなスペースにもなります。
植物を導入するときに気をつけたいこと
殿村さんは、「大きいものばかり、小さいものばかりを置くなどサイズを揃えるのではなく、大中小とさまざまなサイズを置くようにするとバランスが取れます」と、植物選びのコツを説明します。
植物を鑑賞する角度にも注意をはらいましょう。「吹き抜けなどに置く場合は、下の階から見た時の見え方にも、注意するといいと思います。形が大きく、曲がって吹き抜けからせり出した形などの植物があれば、下の階からの見た目も良くなります」
「背の高い植物の場合は、幹が太いものが、生命力が強く育てやすいです。虫が付いていないか、葉がベタベタしていないかなど、購入前にチェックしてましょう」
関本さんは、「風通しや陽当たりの良い場所に、植物を置く場所をつくりましょう」とアドバイスします。「直射日光は避け、レース越しの光などが望ましいです」
殿村さんは、「大きいものばかり、小さいものばかりを置くなどサイズを揃えるのではなく、大中小とさまざまなサイズを置くようにするとバランスが取れます」と、植物選びのコツを説明します。
植物を鑑賞する角度にも注意をはらいましょう。「吹き抜けなどに置く場合は、下の階から見た時の見え方にも、注意するといいと思います。形が大きく、曲がって吹き抜けからせり出した形などの植物があれば、下の階からの見た目も良くなります」
「背の高い植物の場合は、幹が太いものが、生命力が強く育てやすいです。虫が付いていないか、葉がベタベタしていないかなど、購入前にチェックしてましょう」
関本さんは、「風通しや陽当たりの良い場所に、植物を置く場所をつくりましょう」とアドバイスします。「直射日光は避け、レース越しの光などが望ましいです」
お手入れの簡単な室内用植物の種類と選び方
3名の建築家に、おすすめの植物を聞きました。
3名の建築家に、おすすめの植物を聞きました。
- モンステラ
水やりの回数が少なくても大丈夫で、日当たりが悪くても、照明器具の明かりで育ちます。(殿村さん)
- エバーフレッシュ
成長も早く、丈夫で育てやすいです。ぐんぐんのびる植物は育て甲斐もある一方で、剪定などをこまめにしないと大型化しすぎることもあるので気をつけましょう。(関本さん)
- ゴムの木
落葉がほとんどないので、ダイニングテーブルの上などにも適しています。水やりも最低限で済む、手入れのしやすい植物です。(殿村さん)
- トックリラン(ポニーテール)
- パキラ
- ドラセナ類
- ユッカ
- サンスベリア(サンセベリア)
- ポトス
- テーブルヤシ
4~9月の生育期にはたっぷりと水やりをしないと葉っぱが枯れ落ちてしまうので注意してください。(勝田さん)
- オリヅルラン
- アンスリウム
- カポック(シェフレラ)
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植物と合わせたい小物アイテム
植物そのものはもちろん、お手入れグッツや小物なども、楽しみのひとつです。「背の高い鉢や形が特徴的な鉢などを使用することで、空間にアクセントを出せます」と殿村さんはアドバイスします。
勝田さんも、「植物は植え込む鉢や鉢カバーで数倍にもインテリアのイメージが変わります。鉢のシルエットや材質感・色採に気を遣って戴くと、植物の存在感が一段と活きてきます」と話します。
また、関本さんは、SUSTEEというアイテムを紹介します。「土に差しておくと、土が乾いた際に色が変わって知らせてくれるので、水切れを起こしにくくて便利です」
植物そのものはもちろん、お手入れグッツや小物なども、楽しみのひとつです。「背の高い鉢や形が特徴的な鉢などを使用することで、空間にアクセントを出せます」と殿村さんはアドバイスします。
勝田さんも、「植物は植え込む鉢や鉢カバーで数倍にもインテリアのイメージが変わります。鉢のシルエットや材質感・色採に気を遣って戴くと、植物の存在感が一段と活きてきます」と話します。
また、関本さんは、SUSTEEというアイテムを紹介します。「土に差しておくと、土が乾いた際に色が変わって知らせてくれるので、水切れを起こしにくくて便利です」
どこから始めればよいか分からなかったり、購入してもすぐに枯れてしまったりと、なかなか挫折しがちなインテリアグリーン。専門家と共に、設計段階から植物を取り入れることを想定してイメージを膨らませること、そして、手入れが楽な自分にぴったりな種類を見極めることなどが、キーとなりそうです。
家で過ごす時間が長くなっている今、ぜひ積極的に植物を取り入れた住まいづくりを考えてみてはいかがでしょうか。
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