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ミラノサローネ代表に聞く、コロナ後の見本市のすがたとは?
2021年の見本市について、ミラノサローネ国際家具見本市の代表は「ミラノの街で開催されないサローネは、ありえない」と語りました。
Leonora Sartori
2020年6月24日
新型コロナウィルスの世界的な流行により中止となった2020年のミラノサローネ国際家具見本市(以下、サローネ)。主催者側では、60周年の節目となる来年の開催に向けての準備がすでに始まっています。
今回は、サローネ代表のクラウディオ・ルーティ氏に、これからのサローネおよび見本市全般についての展望を伺いました。見本市の未来とは?来年も来場者は、人混みへの懸念を持つことになるのでしょうか。コロナウィルスの影響が残るのは避けられないとしても、サローネは必ず復活する、とルーティ氏はいいます。そして「これまでも革新を続けてきた」と、さらなる変化もいとわないとを強調します。
街を舞台にする従来のあり方が見本市のイベントの核であり、主要なフォーマットであることは、今後も変わらないでしょう。また、サステナビリティがあらゆる見本市で重要となり、デジタルコンテンツが存在感を増しています。そんな中、はっきりと言えることが一つあります。それは「ミラノの街で開催されないサローネは、ありえない」ということです。
今回は、サローネ代表のクラウディオ・ルーティ氏に、これからのサローネおよび見本市全般についての展望を伺いました。見本市の未来とは?来年も来場者は、人混みへの懸念を持つことになるのでしょうか。コロナウィルスの影響が残るのは避けられないとしても、サローネは必ず復活する、とルーティ氏はいいます。そして「これまでも革新を続けてきた」と、さらなる変化もいとわないとを強調します。
街を舞台にする従来のあり方が見本市のイベントの核であり、主要なフォーマットであることは、今後も変わらないでしょう。また、サステナビリティがあらゆる見本市で重要となり、デジタルコンテンツが存在感を増しています。そんな中、はっきりと言えることが一つあります。それは「ミラノの街で開催されないサローネは、ありえない」ということです。
サローネの将来のビジョンを教えてください。新型コロナによる現在の状況は、一時的なものだと判断し、計画を進めているのでしょうか?それとも、影響が今後も長く続くと考慮して、将来的な計画を立てているのでしょうか?
新型コロナウィルスの感染拡大によって、すでに世界は変化し、今後も変わっていくと考えられます。人々が「ニュー・ノーマル(新しい日常)」を計画しているのと同様に、私たちも新しいサローネを計画しています。当然この状況を重要な変数として考慮に入れていますが、ある意味、それは今に始まったことではないのです。私たちは、これまでも革新を続けてきたのですから。
私たちは、毎年イベント自体の見直しをおこなっているだけでなく、社会情勢、ニーズや要望の検証、注目すべきトレンドの把握も欠かしません。また、どうすればより良いイベントにすることができるか、そして出展者のプロジェクトとビジネスにとって刺激的な存在になることができるか、意見を募るようにしています。
その証拠に、近年のイノベーションによって、市場と企業のニーズにあわせた新しい展示形態がうまれ、刺激的な体験やここでしか出会えないデザインと製品を求めて、毎年数十万人の人々がミラノを訪れます。
新型コロナウィルスの感染拡大によって、すでに世界は変化し、今後も変わっていくと考えられます。人々が「ニュー・ノーマル(新しい日常)」を計画しているのと同様に、私たちも新しいサローネを計画しています。当然この状況を重要な変数として考慮に入れていますが、ある意味、それは今に始まったことではないのです。私たちは、これまでも革新を続けてきたのですから。
私たちは、毎年イベント自体の見直しをおこなっているだけでなく、社会情勢、ニーズや要望の検証、注目すべきトレンドの把握も欠かしません。また、どうすればより良いイベントにすることができるか、そして出展者のプロジェクトとビジネスにとって刺激的な存在になることができるか、意見を募るようにしています。
その証拠に、近年のイノベーションによって、市場と企業のニーズにあわせた新しい展示形態がうまれ、刺激的な体験やここでしか出会えないデザインと製品を求めて、毎年数十万人の人々がミラノを訪れます。
従来の見本市の形式に、どのような変更が加えられるのでしょうか?出会いの場としてのミラノに重点を置き続けるのでしょうか、それとも他の方法をお考えですか?規模を抑え、オンラインまたは地理的に分散して開催する可能性はありますか?
サローネのルーツはミラノの街にあります。才能あるデザイナーを多く輩出してきたこの街で生まれ、育まれたイベントがサローネなのです。街はサローネの原動力です。イベントが行われる一週間、ミラノは多くの人でにぎわい、まさに"いるべき場所"となります。ミラノの街で開催されないサローネは、ありえないのです。
新しいデジタルでのサービスを導入したとしても、直接の体験の代わりにはなりません。デザインと製品は、見て触ることが大切で、サローネも直接体験するべきである、と私たちは強く信じています。感情と触感は、その場でしか感じることができないものですから。
【ミラノサローネ2019】9つのトレンドに見る、変わりゆくデザイン
サローネのルーツはミラノの街にあります。才能あるデザイナーを多く輩出してきたこの街で生まれ、育まれたイベントがサローネなのです。街はサローネの原動力です。イベントが行われる一週間、ミラノは多くの人でにぎわい、まさに"いるべき場所"となります。ミラノの街で開催されないサローネは、ありえないのです。
新しいデジタルでのサービスを導入したとしても、直接の体験の代わりにはなりません。デザインと製品は、見て触ることが大切で、サローネも直接体験するべきである、と私たちは強く信じています。感情と触感は、その場でしか感じることができないものですから。
【ミラノサローネ2019】9つのトレンドに見る、変わりゆくデザイン
2021年のミラノでのサローネ開催、および国外(モスクワ・上海)でのイベントの構想について教えてください。どのような変更が行われる予定なのか、何点かあげていただけますか?
ソーシャルディスタンシングを強いられたこの数か月を経て開催される来年のサローネは、業界の企業や専門家の多くにとって、久々に人が集まる場となるはずです。また、サローネの歴史においても、60周年という節目の年ですので、盛大なパーティーになるでしょうね。
これまで通り、参加企業の協力のもと、あらん限りのエネルギーと想像力で計画を進めています。次回はサローネ国際家具見本市とあわせて、サローネ国際インテリア小物見本市、Workplace 3.0、S.Project、サローネサテリテといった複数のイベントが、歴史上はじめて並行して開催されます。
また、もともと2021年に予定されていたエウロルーチェ(サローネ国際照明見本市)の他、エウロクッチーナ(サローネ国際キッチン見本市)および併催されるFTK(テクノロジー・フォ―・ザ・キッチン)、サローネ国際バスルーム見本市といった隔年開催のイベントもおこなう予定です。
新型コロナウィルスの影響で、例年のように多くの方にご来場いただくのは難しいかもしれません。まだはっきりと予測することはできませんが。しかし、このような状況においても、皆さんに楽しんでもらえるようなイベントを提供するつもりです。
たとえばミラノについては、より良い体験を提供する方法やデジタルの導入についても検討しています。モスクワと上海については、まだ考える時間があります。状況を注視しつつ、まもなく方向性を決める予定です。
これからの照明のあり方を予測する6つのこと【エウロルーチェ2019】
ソーシャルディスタンシングを強いられたこの数か月を経て開催される来年のサローネは、業界の企業や専門家の多くにとって、久々に人が集まる場となるはずです。また、サローネの歴史においても、60周年という節目の年ですので、盛大なパーティーになるでしょうね。
これまで通り、参加企業の協力のもと、あらん限りのエネルギーと想像力で計画を進めています。次回はサローネ国際家具見本市とあわせて、サローネ国際インテリア小物見本市、Workplace 3.0、S.Project、サローネサテリテといった複数のイベントが、歴史上はじめて並行して開催されます。
また、もともと2021年に予定されていたエウロルーチェ(サローネ国際照明見本市)の他、エウロクッチーナ(サローネ国際キッチン見本市)および併催されるFTK(テクノロジー・フォ―・ザ・キッチン)、サローネ国際バスルーム見本市といった隔年開催のイベントもおこなう予定です。
新型コロナウィルスの影響で、例年のように多くの方にご来場いただくのは難しいかもしれません。まだはっきりと予測することはできませんが。しかし、このような状況においても、皆さんに楽しんでもらえるようなイベントを提供するつもりです。
たとえばミラノについては、より良い体験を提供する方法やデジタルの導入についても検討しています。モスクワと上海については、まだ考える時間があります。状況を注視しつつ、まもなく方向性を決める予定です。
これからの照明のあり方を予測する6つのこと【エウロルーチェ2019】
サローネを含む見本市全般は、今後どのように変化していくと思われますか?
文化的な変革が壮大なスケールで起こっています。見本市についても同様で、たとえばインスタレーション、輸送手段、訪問のエコロジカル・フットプリントに着目し、持続可能な方法に変更するなどの進化が必要になるでしょう。いままで私たちは来場者数を成功の指標としてしか認識せず、それが環境に与える影響など考えもしませんでした。
今後、このようなイベントは縮小されるかもしれません。起業家、デザイナー、建築家、専門家、顧客をつなぐコミュニケーションの新たなかたちを模索していくことが非常に重要になるでしょう。見本市へ行くのは、新しい製品を見て、売って、買うだけのためではありません。仲間に会い、話し合い、感じたことを共有することで、世界がどのように進んでいるのか理解することに意味があります。
デジタルの要素も重要になってくるでしょう。バーチャルなプロモーションやイベントと、実際の見本市、この両者が互いを補完するようになるでしょう。しかし、バーチャルでのツアーやショールーム、AR(拡張現実)や3D画像が実際の体験の代わりになるかは疑問です。なぜなら、見本市に行って実際に人に会い、新しい製品を触る素晴らしさと興奮に勝るものはないのですからね。
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文化的な変革が壮大なスケールで起こっています。見本市についても同様で、たとえばインスタレーション、輸送手段、訪問のエコロジカル・フットプリントに着目し、持続可能な方法に変更するなどの進化が必要になるでしょう。いままで私たちは来場者数を成功の指標としてしか認識せず、それが環境に与える影響など考えもしませんでした。
今後、このようなイベントは縮小されるかもしれません。起業家、デザイナー、建築家、専門家、顧客をつなぐコミュニケーションの新たなかたちを模索していくことが非常に重要になるでしょう。見本市へ行くのは、新しい製品を見て、売って、買うだけのためではありません。仲間に会い、話し合い、感じたことを共有することで、世界がどのように進んでいるのか理解することに意味があります。
デジタルの要素も重要になってくるでしょう。バーチャルなプロモーションやイベントと、実際の見本市、この両者が互いを補完するようになるでしょう。しかし、バーチャルでのツアーやショールーム、AR(拡張現実)や3D画像が実際の体験の代わりになるかは疑問です。なぜなら、見本市に行って実際に人に会い、新しい製品を触る素晴らしさと興奮に勝るものはないのですからね。
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