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サステナブルな住宅を増やすために。世界の国々が直面している課題とは?
環境に優しい持続可能な住宅建築のある未来へ。世界各国がまず乗り越えていかなくてはいけない課題には、どういうものがあるのでしょうか?

Houzz Japan
2020年7月15日
Houzz Japan 公式アカウント
気候変動の影響が感じられるようになっている今、環境に配慮したサステナブルな設計施工は、住宅建築において求められているといえるでしょう。サステナブルな家づくりを広めていくにあたって、世界の国々はどのような課題に直面しているのでしょうか?各国が直面している課題について専門家に取材した内容を、サステナブルな住宅の事例写真とともにご紹介します。
Breathe Architecturによるオーストラリアの『ハロ・ハウス(Halo House)』は、パッシブな熱的性能を考慮し、慎重にデザインされました。5KWの太陽光発電アレイと、内部暖房とプール暖房の両方に対応するヒートポンプ式温水システムが組み込まれています。
769.2万平方キロメートルあるオーストラリア大陸は、北部の熱帯から南部の温帯まで8つの気候帯があり、極度の熱と深刻な水不足に苦しんでいます。それぞれの場所の気候条件が大きく異なること、また各地域ならではの状況に対応が必要なことから、国としてサステナビリティ改善のための住宅政策を策定することが困難になっています。
769.2万平方キロメートルあるオーストラリア大陸は、北部の熱帯から南部の温帯まで8つの気候帯があり、極度の熱と深刻な水不足に苦しんでいます。それぞれの場所の気候条件が大きく異なること、また各地域ならではの状況に対応が必要なことから、国としてサステナビリティ改善のための住宅政策を策定することが困難になっています。
イタリアの南チロルにあるこの家は、サステナブルな素材とエネルギー効率の高い設備でリノベーションされました。
アルプスから地中海、また地滑りから森林火災まで、複雑な地理的景観を持つ多様な国イタリアにも同様の障害が存在します。
複雑な官僚制は、サステナビリティの問題に対処するために必要な改装と革新的な思考を遅らせます。「建築許可を担当する地方自治体は、『過去に行っていたように作る』というルールに従うことがしばしばで、基本的に改善の余地はほとんどありません」と建築家のサラ・ピッツォ氏(Sara Pizzo)は言います。
イタリアには、保護すべきデリケートな歴史的遺産があります。これらの問題(複雑な地理、官僚主義、歴史的建造物など)により、サステナブルな建築物の推進は著しく困難になります。
アルプスから地中海、また地滑りから森林火災まで、複雑な地理的景観を持つ多様な国イタリアにも同様の障害が存在します。
複雑な官僚制は、サステナビリティの問題に対処するために必要な改装と革新的な思考を遅らせます。「建築許可を担当する地方自治体は、『過去に行っていたように作る』というルールに従うことがしばしばで、基本的に改善の余地はほとんどありません」と建築家のサラ・ピッツォ氏(Sara Pizzo)は言います。
イタリアには、保護すべきデリケートな歴史的遺産があります。これらの問題(複雑な地理、官僚主義、歴史的建造物など)により、サステナブルな建築物の推進は著しく困難になります。
イギリスのマンチェスターにある(EcosphericとGuy Taylor Associatesによるこの『ビクトリア様式の家(Victorian House)』は、ドイツのパッシブハウス研究所の基準に合わせて改装された、ビクトリア様式の英国住宅ストックの例です。
「エコ化」または大量の歴史的または既存の住宅ストックの改修というこの課題は、イギリス、フランス、スペインにも共通するものです。
「イギリスにはヨーロッパで最も古い住宅ストックの一部があり、既存の建物の80%は2050年にも存在するだろうと考えられています」と、王立英国建築家協会プロフェッショナルサービス部門のエグゼクティブ・ディレクター、エイドリアン・ドブソンは言います。「つまり、建物を改修してエネルギー効率を高めることは、重要な課題なのです」
「イギリスの住宅はヨーロッパで最もエネルギー効率が低いもののひとつで、国内の温室効果ガス排出量の14%を占めています」とドブソンは強調します。
「エコ化」または大量の歴史的または既存の住宅ストックの改修というこの課題は、イギリス、フランス、スペインにも共通するものです。
「イギリスにはヨーロッパで最も古い住宅ストックの一部があり、既存の建物の80%は2050年にも存在するだろうと考えられています」と、王立英国建築家協会プロフェッショナルサービス部門のエグゼクティブ・ディレクター、エイドリアン・ドブソンは言います。「つまり、建物を改修してエネルギー効率を高めることは、重要な課題なのです」
「イギリスの住宅はヨーロッパで最もエネルギー効率が低いもののひとつで、国内の温室効果ガス排出量の14%を占めています」とドブソンは強調します。
フランスのこの家は、ヴァナキュラー建築にインスパイアされたもので、パッシブな蓄熱器として機能する温室を備えています。写真:Olivier Martin Gambier
フランスも同様の問題に直面しています。フランス国立統計経済研究所(Insee)は、現在の不動産ストックの55%が1975年以前、つまり最初の規制の導入前に建設されたと述べています。また、環境連帯移行省によると、建設部門はエネルギー消費の45%、温室効果ガス排出の27%を占めています。
フランスも同様の問題に直面しています。フランス国立統計経済研究所(Insee)は、現在の不動産ストックの55%が1975年以前、つまり最初の規制の導入前に建設されたと述べています。また、環境連帯移行省によると、建設部門はエネルギー消費の45%、温室効果ガス排出の27%を占めています。
スペインのNoemによってデザインされた『ラ・フロレスタ(La Floresta)』は、歴史ある住宅に、近代的でエネルギー効率の良い木造の増築部分を備えた家です。
スペインの運輸省のデータによると、2018年当時スペインには約2,600万戸の住宅があり、大半は2006年の技術建築基準法(CTE)が施行される前の、70年代半ばから90年代後半にかけて建設されました。これは、これらの家のかなりの数がエネルギー効率に関連する問題に対処することなく建てられたことを意味します。これらの住宅をサステナビリティに関連する厳しい基準に適合させることは容易ではありません。
サステナブルな建築設計には多くの定義がありますが、「グリーンビルディング」は、より良い立地、設計、建設を通じて、建物の人間の健康及び環境への影響を減らしながら、エネルギー、水、および素材の使用効率を高めることに焦点を当てた設計哲学の結果であると一般に受け入れられています。ただし、他の重要性もあります。
Bonsai Arquitectos共同ディレクターであるエヴァ・チャコンは、真にサステナブルであるために、スペインは多くの国と同様、より多くの世代間で共有される、多目的の建築を必要としていると話します。「都市計画と社会政策においては、人々の生涯の歩み、そして時と共に変わるニーズについてよく考え、スケジュールとニーズの間の相乗効果を見出さなければなりません」
スペインの運輸省のデータによると、2018年当時スペインには約2,600万戸の住宅があり、大半は2006年の技術建築基準法(CTE)が施行される前の、70年代半ばから90年代後半にかけて建設されました。これは、これらの家のかなりの数がエネルギー効率に関連する問題に対処することなく建てられたことを意味します。これらの住宅をサステナビリティに関連する厳しい基準に適合させることは容易ではありません。
サステナブルな建築設計には多くの定義がありますが、「グリーンビルディング」は、より良い立地、設計、建設を通じて、建物の人間の健康及び環境への影響を減らしながら、エネルギー、水、および素材の使用効率を高めることに焦点を当てた設計哲学の結果であると一般に受け入れられています。ただし、他の重要性もあります。
Bonsai Arquitectos共同ディレクターであるエヴァ・チャコンは、真にサステナブルであるために、スペインは多くの国と同様、より多くの世代間で共有される、多目的の建築を必要としていると話します。「都市計画と社会政策においては、人々の生涯の歩み、そして時と共に変わるニーズについてよく考え、スケジュールとニーズの間の相乗効果を見出さなければなりません」
アメリカ・マサチューセッツ州の海岸線にあるこの新しい家は、高潮が家の下を流れることができるように、地面から2.4メートル床を上げて建てられました。このサステナブルなアメリカの家の詳細については、こちらをご覧ください。
アメリカ建築家協会(AIA)によると、アメリカでは温室効果ガスの40%近くが、日々の冷暖房、照明のみならず建設工事から生成される炭素に起因する可能性があるといいます。
多くの国々が議論してきたのと同様、アメリカにおける課題は、建物の約95%が10年以上前のものであり、多くの建物は今の建築物エネルギー法が施行される前に建てられたということです。AIAは、温室効果ガスを削減する建物の設計と建設が建築における急務であることを明確にしています。
アメリカ建築家協会(AIA)によると、アメリカでは温室効果ガスの40%近くが、日々の冷暖房、照明のみならず建設工事から生成される炭素に起因する可能性があるといいます。
多くの国々が議論してきたのと同様、アメリカにおける課題は、建物の約95%が10年以上前のものであり、多くの建物は今の建築物エネルギー法が施行される前に建てられたということです。AIAは、温室効果ガスを削減する建物の設計と建設が建築における急務であることを明確にしています。
伝統的な日本家屋に学んだ技術で建てられた住宅。設計は一級建築士事務所 エーアンドエーセントラル arts and architecture。
日本は反対の問題に直面しています。国土交通省によると、日本家屋の平均寿命はたった約30年とされ、スクラップ・アンド・ビルドの文化が定着しています。さくら事務所の不動産コンサルタントである長嶋修氏は、日本と日本以外の先進国の決定的な違いは、新築と中古住宅が置かれている状況、だと指摘します。
第二次大戦後、日本政府は住宅不足を補うべく市民に新築を建てることを奨励しましたが、昭和43年(1968年)には住宅が充足。しかし、今度は住宅の質を上げていくということで、相変わらず新築が作られ続けました。
2006年にようやく、新築を建てることを推奨する住宅建設法が廃止されましたが、新たにできた住生活基本法の下でも「『新築を建てると経済がよくなる』という景気対策だけが引き継がれた』」と長嶋氏は話します。
「シンクタンクの経済分析などを見ても必ず、新築着工が一つの目安となってきた」と長嶋氏。住宅ローンの面でも新築が優遇される時代が続いてきましたが、時代の変化の波が押し寄せる今、日本の住宅文化も変化していくのでしょうか。
日本は反対の問題に直面しています。国土交通省によると、日本家屋の平均寿命はたった約30年とされ、スクラップ・アンド・ビルドの文化が定着しています。さくら事務所の不動産コンサルタントである長嶋修氏は、日本と日本以外の先進国の決定的な違いは、新築と中古住宅が置かれている状況、だと指摘します。
第二次大戦後、日本政府は住宅不足を補うべく市民に新築を建てることを奨励しましたが、昭和43年(1968年)には住宅が充足。しかし、今度は住宅の質を上げていくということで、相変わらず新築が作られ続けました。
2006年にようやく、新築を建てることを推奨する住宅建設法が廃止されましたが、新たにできた住生活基本法の下でも「『新築を建てると経済がよくなる』という景気対策だけが引き継がれた』」と長嶋氏は話します。
「シンクタンクの経済分析などを見ても必ず、新築着工が一つの目安となってきた」と長嶋氏。住宅ローンの面でも新築が優遇される時代が続いてきましたが、時代の変化の波が押し寄せる今、日本の住宅文化も変化していくのでしょうか。
シンガポールの『テンブス(Tembusu)』。この高密度の住居空間には、半公共のスカイガーデン、ブドウの木の生えたファサード、および雨水浄化システムが含まれています。写真:ARC Studio Architecture + Urbanism
580万人が住む719平方キロメートルの小さな島国であるシンガポールでは、サステナビリティの進歩をコントロールするのは住宅所有者ではありません。
居住者の90パーセント以上は、プライベートコンドミニアムと住宅開発庁によって建てられた公営住宅のいずれか住んでいます。つまり、自らエネルギーを生成し、雨水を集め、自分の食べ物を育てることができるのがサステナブルな家ですが、その意味で、シンガポールの住民の大部分は、サステナブルな住宅を建てたり、改修したりできるかどうかをほとんどコントロールできません。
サステナブルなソリューションは、建築建設局を通じて一元的に決定されますが、居住者は内装改修と日々の消費をサステナブルにすることで、創造性を発揮できます。
580万人が住む719平方キロメートルの小さな島国であるシンガポールでは、サステナビリティの進歩をコントロールするのは住宅所有者ではありません。
居住者の90パーセント以上は、プライベートコンドミニアムと住宅開発庁によって建てられた公営住宅のいずれか住んでいます。つまり、自らエネルギーを生成し、雨水を集め、自分の食べ物を育てることができるのがサステナブルな家ですが、その意味で、シンガポールの住民の大部分は、サステナブルな住宅を建てたり、改修したりできるかどうかをほとんどコントロールできません。
サステナブルなソリューションは、建築建設局を通じて一元的に決定されますが、居住者は内装改修と日々の消費をサステナブルにすることで、創造性を発揮できます。
ロシアのシベリア地方ノボシビルスクにあるパッシブな住宅。
ロシアでは、文化的な姿勢と経済的必要性により、サステナブルな精神を育むことが困難になっています。ソ連の崩壊以来、政府は環境問題にほとんど注意を払っていません。
たとえば、ごみの分別を積極的に推進するようになったのは最近のことであり、まだ実施が困難です。今日サステナビリティに関心があるのは、エコに熱心な一部の人たちだけです。エネルギーの価格が非常に低いため、自分の行動を変えてエネルギーを節約しようと思うような経済的な動機付けがないのです。これは、ある程度、サステナビリティは無関係のことと見なされていることを意味します。
ロシアでは、文化的な姿勢と経済的必要性により、サステナブルな精神を育むことが困難になっています。ソ連の崩壊以来、政府は環境問題にほとんど注意を払っていません。
たとえば、ごみの分別を積極的に推進するようになったのは最近のことであり、まだ実施が困難です。今日サステナビリティに関心があるのは、エコに熱心な一部の人たちだけです。エネルギーの価格が非常に低いため、自分の行動を変えてエネルギーを節約しようと思うような経済的な動機付けがないのです。これは、ある程度、サステナビリティは無関係のことと見なされていることを意味します。
インドのこの住宅の屋根には干ばつに強い草が植えられており、夏の間は家を涼しく保ちます。Architecture Brioは、竹、木板、粗いライムストーンの石積み、リバーウォッシュ仕上げにサンドブラスト加工を施したコータ産のライムストーン、打ち放しのコンクリートなどのエコ素材でこの構造を構築しました。
対照的に、インドでのサステナビリティを追求するにあたって主な障害となるのが経済的実行可能性です。13億人の市民を擁し、経済成長の只中にある同国では、インフラの開発と建設に対する需要が急速に高まっています。
「インドは資源不足の国です。これは、サステナビリティを促進するための最大の課題です」と、インドの建築家評議会議長のヴィジェイ・ガーグは言います。「私たちは、農村が大部分を占めえる国から都市が大部分を占める国への移行期にあり、都市人口は20パーセントから80パーセント成長すると予測されています。それを支援するインフラを建設するための資材は、国内で生産されるのではなく、不動産への海外直接投資(FDI)などの長期ローンを介して借りたものです」
「必要なお金が経済成長によって生み出されない限り(それによってエンドユーザーのために莫大な借入れコストを削減)、建設されたインフラへのサステナビリティの追加に取り組むことはないかもしれません。最終的に全体のコスト増加になりますから」
対照的に、インドでのサステナビリティを追求するにあたって主な障害となるのが経済的実行可能性です。13億人の市民を擁し、経済成長の只中にある同国では、インフラの開発と建設に対する需要が急速に高まっています。
「インドは資源不足の国です。これは、サステナビリティを促進するための最大の課題です」と、インドの建築家評議会議長のヴィジェイ・ガーグは言います。「私たちは、農村が大部分を占めえる国から都市が大部分を占める国への移行期にあり、都市人口は20パーセントから80パーセント成長すると予測されています。それを支援するインフラを建設するための資材は、国内で生産されるのではなく、不動産への海外直接投資(FDI)などの長期ローンを介して借りたものです」
「必要なお金が経済成長によって生み出されない限り(それによってエンドユーザーのために莫大な借入れコストを削減)、建設されたインフラへのサステナビリティの追加に取り組むことはないかもしれません。最終的に全体のコスト増加になりますから」
ストックホルム群島にある、このロー・インパクト(環境負荷の少ない)住宅は、Schlyter/Gezeliusのカミラ・シュライターによってデザインされました。繊細な自然環境に合うように、家の角度は周囲の木と揃え、できるだけ近くで調達した木材を使用し、現場で手作業により建設されました。
サステナブルな思考の最前線にあると考えられているスカンジナビア全体においても、より有意義なかたちでサステナビリティを進めることが求められています。
エコな生活は長く続く伝統であり、法律で厳しく成文化されているスウェーデン。コメンテーター及び建築評論家のマーク・イシットMark Isittは、その成果が国際的にどのような影響を与えるかを問います。
「スウェーデン当局はサステナビリティに関する規則や規制となると、ほとんどヒステリー状態になることがあります。中国が汚染を排出し続けている中、スウェーデンで木造住宅をもうひとつ建てたところで実際にどのような違いをもたらすのか疑問に思うことは簡単ですが、私たちの行為が国際的に優れた例として機能することもしばしばです。それは家自体よりも高い効果を持つといえるのではないでしょうか」と彼は言います。
スウェーデン建築家協会Architects Swedenの代表代理のエリザベット・エルフストロームは、より高いレベルでの協力を望んでいます。
「EUは、全般的に、そして具体的には建設資材の内容物の明確なインデックス化に、共同体として野心的に取り組む必要があります。すべてのビジネスセクターがライフサイクルアセスメント(LCA)の理解を深める必要があり、建築家はこの点で非常に重要な役割を果たします」
スウェーデン国内でも、建設プロセスに関しては改善の余地があるといいます。「スウェーデンの建設および不動産部門は、温室効果ガスの国内排出量の約20%を占めています。建設プロセスと生活環境の両方でライフサイクルの観点を取り入れるためには、ルールが必要です。また、より多くの循環経済モデルとエコ関連の投資への刺激が必要です」とエルフストロームは言います
サステナブルな思考の最前線にあると考えられているスカンジナビア全体においても、より有意義なかたちでサステナビリティを進めることが求められています。
エコな生活は長く続く伝統であり、法律で厳しく成文化されているスウェーデン。コメンテーター及び建築評論家のマーク・イシットMark Isittは、その成果が国際的にどのような影響を与えるかを問います。
「スウェーデン当局はサステナビリティに関する規則や規制となると、ほとんどヒステリー状態になることがあります。中国が汚染を排出し続けている中、スウェーデンで木造住宅をもうひとつ建てたところで実際にどのような違いをもたらすのか疑問に思うことは簡単ですが、私たちの行為が国際的に優れた例として機能することもしばしばです。それは家自体よりも高い効果を持つといえるのではないでしょうか」と彼は言います。
スウェーデン建築家協会Architects Swedenの代表代理のエリザベット・エルフストロームは、より高いレベルでの協力を望んでいます。
「EUは、全般的に、そして具体的には建設資材の内容物の明確なインデックス化に、共同体として野心的に取り組む必要があります。すべてのビジネスセクターがライフサイクルアセスメント(LCA)の理解を深める必要があり、建築家はこの点で非常に重要な役割を果たします」
スウェーデン国内でも、建設プロセスに関しては改善の余地があるといいます。「スウェーデンの建設および不動産部門は、温室効果ガスの国内排出量の約20%を占めています。建設プロセスと生活環境の両方でライフサイクルの観点を取り入れるためには、ルールが必要です。また、より多くの循環経済モデルとエコ関連の投資への刺激が必要です」とエルフストロームは言います
デンマーク、オーフス近郊にあるの住宅は、将来リサイクル可能な耐久性のある素材で建てられています。サステナブルな材料は、メンテナンスのコストを削減します。未処理の木材を使用することで、家の室内気候が良好になり、居住者のニーズ変化に合わせてインテリアを調整できます。住宅機構AL2boligが所有するこの建物は、いくつかの賞を受賞しており、『未来のサステナブルな一般住宅(Future Sustainable General Housing)』と名付けられました。写真:Hustømrerne
グリーンビルディングカウンシルデンマーク協会のディレクター、メット・クビストは、デンマークはオランダやノルウェーなど、その地域の他の国々に遅れをとっている、といいます。
短期的には、経済は建設プロジェクトの主要な出発点ですが、より長期的でサステナブルな収益に焦点を当てる必要もあると彼女は言います。「寿命が長く、清掃とメンテナンスが簡単な材料が必要です。購入費用はかさむかもしれませんが、長期的には大幅に節約できます」
グリーンビルディングカウンシルデンマーク協会のディレクター、メット・クビストは、デンマークはオランダやノルウェーなど、その地域の他の国々に遅れをとっている、といいます。
短期的には、経済は建設プロジェクトの主要な出発点ですが、より長期的でサステナブルな収益に焦点を当てる必要もあると彼女は言います。「寿命が長く、清掃とメンテナンスが簡単な材料が必要です。購入費用はかさむかもしれませんが、長期的には大幅に節約できます」
ドイツのケルンでは、16世帯の家族が一緒になって、ジュルツァー・フロインデ(Sülzer Freunde)グループを形成しています。コミュニティガーデンの他にも、すべての居住者が使用できる部屋があります。すべての家はパッシブハウスの基準を達成しています。明るい建物の外壁に使用されているのはパーライトで、これは健康に適し、水分や気候を調節する天然素材です。
ドイツも同様に、1976年以来サステナブルなデザインを国の建築基準に組み込んでいますが、依然として差し迫った問題があります。なかでも特に重要な問題として建設用地の減少があり、これが地価を押し上げています。一方、特に手頃な価格の生活空間がほとんど残っていない大都市では、より多くの建物が必要になっています。
ハノーファーの建築家イェンス-ウヴェ・ザイファルトは次のように述べています。「私たちは再び小さな空間で何とか暮らしていかなければなりません。そうすればエネルギー使用量も減少します」
ザイファルトによると、過去には、1人あたり15〜20平方メートルで十分だった居住スペースが、今日では50平方メートル必要だといいます。彼にとって、オーダーメイドの持続的な計画こそが、究極のサステナブル建設なのです。
「建設する前に明確にすべきは、住人の現在のニーズだけではありません。たとえば大きな戸建住宅であれば、どのように改装し、退職後の住居に転用できるかも考えなければなりません。それがサステナビリティの最良のモデルだと思います」
世界各国のサステナブルな住宅と取り組み
ドイツも同様に、1976年以来サステナブルなデザインを国の建築基準に組み込んでいますが、依然として差し迫った問題があります。なかでも特に重要な問題として建設用地の減少があり、これが地価を押し上げています。一方、特に手頃な価格の生活空間がほとんど残っていない大都市では、より多くの建物が必要になっています。
ハノーファーの建築家イェンス-ウヴェ・ザイファルトは次のように述べています。「私たちは再び小さな空間で何とか暮らしていかなければなりません。そうすればエネルギー使用量も減少します」
ザイファルトによると、過去には、1人あたり15〜20平方メートルで十分だった居住スペースが、今日では50平方メートル必要だといいます。彼にとって、オーダーメイドの持続的な計画こそが、究極のサステナブル建設なのです。
「建設する前に明確にすべきは、住人の現在のニーズだけではありません。たとえば大きな戸建住宅であれば、どのように改装し、退職後の住居に転用できるかも考えなければなりません。それがサステナビリティの最良のモデルだと思います」
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