家を建てる時、きちんとお金をかけたいところって?
家を新築する時の予算は限られているもの。そんな中でも、きちんと予算をかけるべきなのは、どういうところ?逆に、今すぐお金をかけなくてもよさそうなのは?予算配分の判断をするときの考え方をご紹介します。
安井俊夫
2021年2月24日
天工舎一級建築士事務所主宰。神奈川県小田原市に事務所を構え、住宅や店舗などの設計監理業務を行っています。書評やコラムなども執筆中。
家を新築する際、こだわりたいポイントは人それぞれ違います。ですが限りある予算の中では、お金をかける優先順位を設けなければいけません。
こだわりのディテールに多くの予算が割かれることもあるでしょう。それはそれで悪いことではありませんが、何事にもバランスというものがあります。こだわりを大切にしながらも家全体の予算を考えた時に、どういう視点で予算配分の判断をしていくべきなのか。その考え方を、ご紹介したいと思います。
こだわりのディテールに多くの予算が割かれることもあるでしょう。それはそれで悪いことではありませんが、何事にもバランスというものがあります。こだわりを大切にしながらも家全体の予算を考えた時に、どういう視点で予算配分の判断をしていくべきなのか。その考え方を、ご紹介したいと思います。
建物の安全性を担保するもの―地盤・基礎・骨組み
地盤の調査や、基礎・骨組みなど、建物の安全性を担保するものには、きちんと予算を確保したほうがいいでしょう。
家づくりは、その家が建つ土地の地盤を知ることから始まります。ですが調査方法や内容、調査結果を踏まえての考察を調査会社に任せっきりにするのは、少し心配ですね。できれば、建築家に調査状況を確認してもらい、結果に関しても分かりやすく説明してもらった上で、地盤補強の必要性や基礎の造り方を相談することが大切です。
地盤の調査や、基礎・骨組みなど、建物の安全性を担保するものには、きちんと予算を確保したほうがいいでしょう。
家づくりは、その家が建つ土地の地盤を知ることから始まります。ですが調査方法や内容、調査結果を踏まえての考察を調査会社に任せっきりにするのは、少し心配ですね。できれば、建築家に調査状況を確認してもらい、結果に関しても分かりやすく説明してもらった上で、地盤補強の必要性や基礎の造り方を相談することが大切です。
また、建物の骨格は、節約することを避けなければなりません。建物の構造に関する考え方は、建築家と事前によく考え方を共有しておくことが重要です。
柱や梁と言った構造材料に関しても、集成材で造るのか、無垢材で造るのかは、価格にも影響するので確認しておきましょう。
さらにいえば、集成材にも樹種の違いがあり、強度と値段に差が生まれます。無垢材を利用する場合には、芯持ち材と芯去り材の違いをはじめとし、樹種・産地・品質のランクまで細かく分かれます。値段・強度・入手のし易さなどにも差があるので、建築家とよく相談してみることが大切です。
建築家を探す
柱や梁と言った構造材料に関しても、集成材で造るのか、無垢材で造るのかは、価格にも影響するので確認しておきましょう。
さらにいえば、集成材にも樹種の違いがあり、強度と値段に差が生まれます。無垢材を利用する場合には、芯持ち材と芯去り材の違いをはじめとし、樹種・産地・品質のランクまで細かく分かれます。値段・強度・入手のし易さなどにも差があるので、建築家とよく相談してみることが大切です。
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リフォームで交換することが難しいものー外壁・断熱材・床材
将来、リフォームしようとした時に、簡単に交換することが出来ない場所や材料に関しては、新築時によく検討した上で決めることが大切です。簡単に交換しづらいものとしてあげられるのが、外壁、断熱材、床材です。それぞれ詳しくみていきましょう。
例えばサイディングの外壁から、新しいサイディングに張り替えようと考えた際には、一度すべての壁材を撤去し、下地や断熱材を剥き出しにした状態にしなければなりません。それは防犯や雨風等に関しても、かなりのリスクを伴う工事になります。
もちろん、既存のサイディングを残したまま、その上から新たなサイディングを貼り付けると工法もありますが、屋根との取り合いや隣地との隙間の有無にも影響されてしまいます。外壁は断熱性能にも影響するので、十分に検討した上で決めましょう。
将来、リフォームしようとした時に、簡単に交換することが出来ない場所や材料に関しては、新築時によく検討した上で決めることが大切です。簡単に交換しづらいものとしてあげられるのが、外壁、断熱材、床材です。それぞれ詳しくみていきましょう。
- 外壁
例えばサイディングの外壁から、新しいサイディングに張り替えようと考えた際には、一度すべての壁材を撤去し、下地や断熱材を剥き出しにした状態にしなければなりません。それは防犯や雨風等に関しても、かなりのリスクを伴う工事になります。
もちろん、既存のサイディングを残したまま、その上から新たなサイディングを貼り付けると工法もありますが、屋根との取り合いや隣地との隙間の有無にも影響されてしまいます。外壁は断熱性能にも影響するので、十分に検討した上で決めましょう。
- 断熱材
一般的に採用されることの多いグラスウールでも、密度や厚さは様々で、その違いにより断熱性能に差が生まれます。一概にどの材料が流行っているとか、人気が高いということで選ぶのではなく、予算とバランスを見ながら、どの程度の断熱性能を求めるかを正しく判断することが大切です。
また断熱材ばかりに目を奪われてしまうと、期待通りの効果が得られない場合もあります。それは窓に対する配慮を欠いた場合です。家の中で、熱が一番大きく出入りする場所は窓です。夏の暑さや冬の寒さを室内に一番持ち込む場所は窓なので、壁の断熱性能を気にする場合には、窓の断熱性能を併せて考える必要があります。
- 床材
さらにフローリングの場合には、釘と接着剤を併用して止めているので、フローリングだけ撤去することが難しく、結果的に下地まで撤去することになるでしょう。
床下に設けられた断熱材や巾木や壁にも影響が出るため、工事範囲が広がります。畳のように置いてあるだけの材料なら交換も簡単ですが、それ以外の床材の場合には手間と費用が掛かる工事になります。
床は家の中で唯一、全ての家族が均等に触れる場所でもあります。床材を慎重に選択することは、とても大切なことだといえます。
床の記事を読む
新築時に設置した方が良いもの―外構
外構が大切と聞くと、「なんで?」と思われるかもしれませんね。建物の引き渡し後に、生活しながら「のんびりと主人が庭木を植えるから大丈夫」などと考えられている方は意外と多いと思います。ですが本当にそれで良いのでしょうか?
実際は、家だけでは夢に想い描いたような生活は出来ません。駐車場を舗装し、玄関に門扉を設け、表札を設置して庭木を植える。生活する事とは、それら全てが整う事だと思います。玄関脇に一本のシンボルツリーを植え、居間に設けた大きな窓から眺める庭には季節を感じさせる緑がある。それこそが癒される庭であり、居間なのではないでしょうか。
外構工事は思っている以上に大切で、そこをキチンと造ることで「家」は初めて「住まい」になると思います。「いつかやる」と考えているなら、せめて玄関の脇に一本の木を植えられることをお薦めします。きっと想像した以上に、家の良さを感じさせてくれるはずですから。
外構の記事を読む
外構が大切と聞くと、「なんで?」と思われるかもしれませんね。建物の引き渡し後に、生活しながら「のんびりと主人が庭木を植えるから大丈夫」などと考えられている方は意外と多いと思います。ですが本当にそれで良いのでしょうか?
実際は、家だけでは夢に想い描いたような生活は出来ません。駐車場を舗装し、玄関に門扉を設け、表札を設置して庭木を植える。生活する事とは、それら全てが整う事だと思います。玄関脇に一本のシンボルツリーを植え、居間に設けた大きな窓から眺める庭には季節を感じさせる緑がある。それこそが癒される庭であり、居間なのではないでしょうか。
外構工事は思っている以上に大切で、そこをキチンと造ることで「家」は初めて「住まい」になると思います。「いつかやる」と考えているなら、せめて玄関の脇に一本の木を植えられることをお薦めします。きっと想像した以上に、家の良さを感じさせてくれるはずですから。
外構の記事を読む
生活するうえで「なくても困らない」ものは節約可能
節約しても良い部分にも触れておきましょう。例えば、グレードの高い機能がついた設備機器や装備品は、あれば快適だけれども、なくてもなんとかなるもの。新築時に予算配分で悩んだ場合には、優先順位を下げてもよいでしょう。
設備機器類は10年から15年ほどで部品の劣化が生じ、交換を検討する時期を迎えます。その時に最新式の装備を備えた品を導入することも可能です。
また、ユニットバスを採用する際に、浴室内にTVを設置するか、あるいは浴槽の断熱性能を向上させるべきかと悩んだ場合には、断熱性能を上げることをおすすめします。
節約しても良い部分にも触れておきましょう。例えば、グレードの高い機能がついた設備機器や装備品は、あれば快適だけれども、なくてもなんとかなるもの。新築時に予算配分で悩んだ場合には、優先順位を下げてもよいでしょう。
設備機器類は10年から15年ほどで部品の劣化が生じ、交換を検討する時期を迎えます。その時に最新式の装備を備えた品を導入することも可能です。
また、ユニットバスを採用する際に、浴室内にTVを設置するか、あるいは浴槽の断熱性能を向上させるべきかと悩んだ場合には、断熱性能を上げることをおすすめします。
このように、後からで交換することが容易なものや、生活するうえで「なくても困らない」物に関しては、優先順位を下げて考えることができます。
もちろん、これらは一般論です。ご自身の強い思い入れやこだわり、あるいは生活の軸となると考えられるものに関しては、何よりも優先されることが大切です。そのあたりは建築家とよく相談し、限られた予算をバランスよく配分した安全で快適な「住まい」づくりをお楽しみ下さい。
家づくりのヒントを読む
もちろん、これらは一般論です。ご自身の強い思い入れやこだわり、あるいは生活の軸となると考えられるものに関しては、何よりも優先されることが大切です。そのあたりは建築家とよく相談し、限られた予算をバランスよく配分した安全で快適な「住まい」づくりをお楽しみ下さい。
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貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。安いことが悪くて、高いことが良いと思っているわけではありませんが、なにもかもを安くすることが最優先という考え方には疑問を感じています。また一度建ててしまった家を、自分で手入れする習慣が無くなってしまった、あるいは少なくなってしまったことも残念に思っています。昔は何処の家にも、それなりの工具があり、お父さんが棚を造ってみたり、塀のペンキを塗ったりしていたというイメージがあります。ですが今は少し違う感じになっています。外壁だけにこだわりませんが、出来ればもう少しだけ、自分の家を自分でケアすることも必要かもしれませんね。RCの外壁に関しても、少し勉強してみたいと思います。