四畳半キューブを組み合わせた、開放的な住まい
それぞれ個性のある四畳半の個室を組み合わせ、外と内の境界が曖昧な、開放的な住まいが完成しました。
杉田真理子
2020年3月2日
生まれ育った寝屋川市の住宅地にある、昔は竹林だったという斜面に自邸を建てることを決めた、建築家・濱田さん。試してみたかったのは、住環境として最低限の大きさである「四畳半」をテーマにした住宅でした。四畳半キューブ8個を印象的に組み合わせ、建築家の自邸らしいこだわりを詰め込んだ住まいを訪ねました。
どんなHouzz?
住まい手:建築家の夫、妻、1歳半の娘1人
場所:大阪府寝屋川市
敷地面積:211.24㎡
建築面積:104.76㎡
延床面積:89.43㎡
構造:混構造(鉄筋コンクリート造+鉄骨造+木造)
設計:HAMADA DESIGN 濱田猛
施工:ジェイプランニング
竣工時期:2018年6月
写真撮影:笹倉洋平
大阪・寝屋川市の静かな住宅街。結婚を期に駅前の賃貸マンションから引越し、実家の近所で自分と家族のための家づくりをすることになった濱田さん。「せっかくの自邸なので、思い切った挑戦もしやすいと思いました。斜面のある土地というのも、挑戦しがいがあって面白かったですね」と当時を振り返ります。
テーマは、「四畳半」。四畳半は、住環境として最低限の大きさと言われています。「通常の間取りはリビングを広くとった1LDKなどですが、バスルームもリビングも全て、四畳半に統一してみたらどうなるのだろう、と気になっていたんです」と濱田さんは説明します。
住まい手:建築家の夫、妻、1歳半の娘1人
場所:大阪府寝屋川市
敷地面積:211.24㎡
建築面積:104.76㎡
延床面積:89.43㎡
構造:混構造(鉄筋コンクリート造+鉄骨造+木造)
設計:HAMADA DESIGN 濱田猛
施工:ジェイプランニング
竣工時期:2018年6月
写真撮影:笹倉洋平
大阪・寝屋川市の静かな住宅街。結婚を期に駅前の賃貸マンションから引越し、実家の近所で自分と家族のための家づくりをすることになった濱田さん。「せっかくの自邸なので、思い切った挑戦もしやすいと思いました。斜面のある土地というのも、挑戦しがいがあって面白かったですね」と当時を振り返ります。
テーマは、「四畳半」。四畳半は、住環境として最低限の大きさと言われています。「通常の間取りはリビングを広くとった1LDKなどですが、バスルームもリビングも全て、四畳半に統一してみたらどうなるのだろう、と気になっていたんです」と濱田さんは説明します。
斜面のある土地の特性に合わせ、ピロティ構造で1階にガレージを、2階部分にコンクリートの人工地盤をつくり、居住空間を持ち上げました。外観は、地面から浮遊しているような、開放感のある雰囲気です。
エントランスに続く階段を登ると、アウトドア用の家具がセンス良く並べられたウッドデッキが迎えてくれました。ウッドデッキは、家をぐるりと一周囲む構造となっています。「壁面後退に関する制限がこのエリアでは厳しくて。壁はセットバックしなければいけないのですが、ウッドデッキなどに関しては大丈夫なんです。なので、ウッドデッキを贅沢に設けることで広々とした居住空間を確保しました」と濱田さん。
エントランスに続く階段を登ると、アウトドア用の家具がセンス良く並べられたウッドデッキが迎えてくれました。ウッドデッキは、家をぐるりと一周囲む構造となっています。「壁面後退に関する制限がこのエリアでは厳しくて。壁はセットバックしなければいけないのですが、ウッドデッキなどに関しては大丈夫なんです。なので、ウッドデッキを贅沢に設けることで広々とした居住空間を確保しました」と濱田さん。
居住空間は、四畳半のキューブを、合計8個組み合わせることで構成しました。ガラス戸のすらりとした玄関を開けると、外壁と同一素材のグレーブルーの壁が、内部までそのまま続いています。「四畳半のキューブは、室内外関係なく、同じ素材を使うことで、内と外の境界を曖昧にしています」と濱田さん。キューブの内側は漆喰、外側は洗い出しの石のテクスチャーが印象的な、ジョリパットを使用しました。
それぞれのキューブは、濱田さんが「路地」と呼ぶ通路によって繋がっています。路地と路地が集まる場所に、家の中心となる「広場」と、エントランス付近となる「小広場」があります。「まるで小さな街のような空間にしたいと思いました」と濱田さんは説明します。
「路地」の床には、ナチュラルな色合いが魅力のナラの無垢材が使用されています。
「路地」の床には、ナチュラルな色合いが魅力のナラの無垢材が使用されています。
「路地」を進んだ先にある「広場」は、この家で一番面積の大きいスペース。あえて家具はおかずに、四畳半のキューブ間を行き来する合間にふと足をとめたくなるような、まさに広場のような場所です。
天気の良い日は、扉を大きく開け放ちます。ウッドデッキと内部空間が一体となり、2階からの眺めを楽しむことができます。
広場に隣接する寝室は、ガラス戸を2面にもうけ、広場との繋がりを演出しました。
天気の良い日は、扉を大きく開け放ちます。ウッドデッキと内部空間が一体となり、2階からの眺めを楽しむことができます。
広場に隣接する寝室は、ガラス戸を2面にもうけ、広場との繋がりを演出しました。
それぞれの四畳半キューブには、全て違う床材が使用されています。「それぞれ個性があるので、部屋を移動すると、移住したかのような新鮮味があります」と濱田さん。各部屋を四畳半とコンパクトに統一することで、冷暖房も小型化できるとのこと。
ウールのカーペットが心地よいリビング。夜は家族でここにこもり、一緒にTV鑑賞をして過ごします。造作のナラのTVボードが、空間に高級感をプラスしています。
床材としてレンガタイルを使用したキッチンダイニング。「掃除のしやすさなどを考えて、タイルをキッチンに使用するのは敬遠する人が多いです。しかし、見た目がかっこ良いので、ずっと試してみたいなと思っていて。せっかくの自邸なので、挑戦してみようと思いました」と濱田さん。
レンガの深い色合いに、木製のダイニングセットが見事にマッチしています。造作の収納棚には、奥さまの希望で、無垢の木を使用しました。
レンガの深い色合いに、木製のダイニングセットが見事にマッチしています。造作の収納棚には、奥さまの希望で、無垢の木を使用しました。
現在濱田さんの書斎として使用されている個室は、将来は子供部屋として使用される予定とのこと。ラワンベニヤでつくられた造作家具が、シンプルで空間に映えます。
四畳半の洗面所は、モザイクタイルを使用し、清潔感のあるモダンな仕上がりに。天窓から入り込むハイサイドライトが、洗面所全体を明るく照らしてくれます。
通常の住宅ではコンパクトにまとめられるバスルームも、四畳半で設計されています。「毎日入るお風呂なので、閉鎖的な空間は嫌ですよね。思い切って、ここも四畳半にしました」と濱田さん。
広々とした円形の湯船が、まるで別荘地のような雰囲気を演出してくれます。ガラス扉からはウッドデッキに直接出ることができるため、夏は子供のプール遊びにも便利だといいます。
広々とした円形の湯船が、まるで別荘地のような雰囲気を演出してくれます。ガラス扉からはウッドデッキに直接出ることができるため、夏は子供のプール遊びにも便利だといいます。
8個のキューブの上は、合計23本のポールに支えられ、屋根が水平に浮かんだデザインとなっています。天井高は、4m弱。自然光をふんだんに取り込み、開放的な雰囲気を演出します。
「四畳半キューブが室内居住空間で、キューブ間にある『路地』や『広場』に出ると、パッと天井高が高くなります。家の中にいながら、外に出たような気持ちになるんです」と説明する濱田さん。内部空間と外部空間の境界が曖昧になり、空間に個性をプラスしてくれます。
「四畳半キューブが室内居住空間で、キューブ間にある『路地』や『広場』に出ると、パッと天井高が高くなります。家の中にいながら、外に出たような気持ちになるんです」と説明する濱田さん。内部空間と外部空間の境界が曖昧になり、空間に個性をプラスしてくれます。
濱田さんが子供の頃、実家の近所であったこの土地は、まだ竹林だったといいます。「周囲の開発が進んでも、この土地は斜面にあるからか、ずっと空き地となっていて。近所の子供たちの遊び場になっていました」と濱田さん。
今回の家づくりにあたって、そんな近所の子供たちの遊び場を無くさないよう、一階部分はピロティ様式でつくり、広場のような広がりを持たせました。「今でも近所の子供たちには、ここでいつでも自由に遊んで良いよ、と話しています」
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今回の家づくりにあたって、そんな近所の子供たちの遊び場を無くさないよう、一階部分はピロティ様式でつくり、広場のような広がりを持たせました。「今でも近所の子供たちには、ここでいつでも自由に遊んで良いよ、と話しています」
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初めてまして、 素晴らしい空間ですね、 冷暖房はどのよう成っていますか? 丸柱の屋根支えの部分が壁上端に入っている様ですがこの辺りの雨仕舞い等、勉強の為に興味があります。
こんにちは。
濱田です。コメントありがとうございます。
気づくのに遅くなりましてすみません。
冷暖房ですが、
四畳半の中だけが冷暖房範囲になってます。なので、路地や広場は冷暖房がありません。
路地や広場は外の考え方ですね。
あと、丸柱は壁の上から出てはいますが、全て屋内ですので雨漏りの心配はありません。
こんな感じで良かったでしょうか?
よろしくお願いします。