ヒートショックを起こさない家をつくるために知っておきたいこと
命にも影響を与えかねないヒートショック。浴室やトイレ・洗面所をあたたかく保って、安全で快適な家をつくる方法をご紹介します。
安井俊夫
2022年11月25日
天工舎一級建築士事務所主宰。神奈川県小田原市に事務所を構え、住宅や店舗などの設計監理業務を行っています。書評やコラムなども執筆中。
ヒートショックとは、部屋ごとの温度差が体調に影響を与えることをいいます。程度によっては、血圧の上昇などによる死亡事故にも繋がってしまいます。
ヒートショックが起こりやすいのは、浴室やトイレ・洗面所といった場所です。これらの水回りは、暖房の効いた居間などから離れた位置に設けられていることが多いようです。温かい居間から寒い廊下を経て、さらに寒い脱衣室にやってきてそこで服を脱ぎ、とても寒い浴室へ入る、という動線になっている家もあるかもしれません。
ヒートショックが起こりやすいのは、浴室やトイレ・洗面所といった場所です。これらの水回りは、暖房の効いた居間などから離れた位置に設けられていることが多いようです。温かい居間から寒い廊下を経て、さらに寒い脱衣室にやってきてそこで服を脱ぎ、とても寒い浴室へ入る、という動線になっている家もあるかもしれません。
ヒートショックを起こしやすい浴室・脱衣室・洗面所
家の中で寒暖の差を感じる場所と言えば、やはり一番は浴室です。夏の熱い時期ならば問題ありませんが、冬の寒い時期に脱衣室で衣服を脱いで入る浴室は危険です。さらにいえば、浴室自体が暖まっていない一番風呂は、とくに注意が必要でしょう。
この時、体の中では寒さで血管が収縮した状態となり血圧が上がります。その後にお湯に浸かり体が温まると、血管は開き、血圧は下がります。これらの状態を繰り返した後に浴室を出ると、今度は脱衣室が寒く感じ、血圧が上がるという状態を繰り返してしまいます。
家の中で寒暖の差を感じる場所と言えば、やはり一番は浴室です。夏の熱い時期ならば問題ありませんが、冬の寒い時期に脱衣室で衣服を脱いで入る浴室は危険です。さらにいえば、浴室自体が暖まっていない一番風呂は、とくに注意が必要でしょう。
この時、体の中では寒さで血管が収縮した状態となり血圧が上がります。その後にお湯に浸かり体が温まると、血管は開き、血圧は下がります。これらの状態を繰り返した後に浴室を出ると、今度は脱衣室が寒く感じ、血圧が上がるという状態を繰り返してしまいます。
これらを避けるためには、浴室に暖房器具を設置し、入浴時に寒さを感じない環境を整えることが理想です。
暖房器具には、温風で室温を上げる物もあれば、床暖房、浴室に入る前に床面に温水シャワーを撒き、床面と浴室全体の温度を上げるものなど、様々なタイプあります。
アナログな方法でいえば、入浴前に浴槽の蓋を開け、浴室内を蒸気で温めておくと言った方法も有効かもしれません。
住まいの専門家を探す
暖房器具には、温風で室温を上げる物もあれば、床暖房、浴室に入る前に床面に温水シャワーを撒き、床面と浴室全体の温度を上げるものなど、様々なタイプあります。
アナログな方法でいえば、入浴前に浴槽の蓋を開け、浴室内を蒸気で温めておくと言った方法も有効かもしれません。
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ユニットバスは断熱仕様が好ましい
新築時にユニットバスを採用する場合には、浴槽や床面の裏側に断熱材を施している製品を採用するとのがよいでしょう。それと同時に、木造住宅の場合には基礎に気密パッキンを設置して、浴室下部に外気の流入を食い止めるように努めます。基礎の立ち上がり部には断熱材を施し、建物本体で出来るヒートショック対策も併せて考えておくことが必要です。
新築時にユニットバスを採用する場合には、浴槽や床面の裏側に断熱材を施している製品を採用するとのがよいでしょう。それと同時に、木造住宅の場合には基礎に気密パッキンを設置して、浴室下部に外気の流入を食い止めるように努めます。基礎の立ち上がり部には断熱材を施し、建物本体で出来るヒートショック対策も併せて考えておくことが必要です。
脱衣室や洗面所が寒い場合には、浴室と同様に温風暖房などを設け、入浴前に部屋全体を暖めておくことが大切です。タオルの乾燥などができるラジエータータイプのものも、最近はよく取り入れられています。
またあらかじめ床暖房を設けておくことも有効ですが、床暖房は温かくなるまでに時間が掛かるため、その点を理解した上で採用することが重要です。
またあらかじめ床暖房を設けておくことも有効ですが、床暖房は温かくなるまでに時間が掛かるため、その点を理解した上で採用することが重要です。
トイレにも寒さ対策と手摺の設置
トイレも寒い場所の一つです。ここは浴室と少し違い、便器に長く座った状態から立ち上がろうとした際にふらつくことあるので、そのための配慮が必要となります。トイレの室内と、トイレそのものを暖めることはもちろんですが、不意な立ちくらみでも転倒しないように手摺の設置なども併せて考える必要があります。
トイレも寒い場所の一つです。ここは浴室と少し違い、便器に長く座った状態から立ち上がろうとした際にふらつくことあるので、そのための配慮が必要となります。トイレの室内と、トイレそのものを暖めることはもちろんですが、不意な立ちくらみでも転倒しないように手摺の設置なども併せて考える必要があります。
玄関ホールで冷気を止める
玄関は人が出入りする場所ですが、同時に冷気も一緒に出入りしてしまいます。この冷気を家の中に入れないよう配慮すれば、家全体の温度を下げずにすみます。そのためには扉を設置した玄関ホールを設け、そこで外からの冷たい風の流入を止めることも有効かもしれません。
とはいえ、近年の住宅は、建築基準法により24時間換気が義務付けられているため、居室の換気を強制的に行う必要があります。換気方法や機種の選定にも気を付けておきましょう。
玄関は人が出入りする場所ですが、同時に冷気も一緒に出入りしてしまいます。この冷気を家の中に入れないよう配慮すれば、家全体の温度を下げずにすみます。そのためには扉を設置した玄関ホールを設け、そこで外からの冷たい風の流入を止めることも有効かもしれません。
とはいえ、近年の住宅は、建築基準法により24時間換気が義務付けられているため、居室の換気を強制的に行う必要があります。換気方法や機種の選定にも気を付けておきましょう。
高気密・高断熱住宅で温度差を無くす方法もある
家全体を隙間なく造る高気密住宅とし、同時に断熱性能を上げる高気密・高断熱住宅。こうした家の場合には小さな熱量で、家全体を均一に温める、あるいは冷やすことが可能になります。
こうした空調方式を全館空調と呼びます。全館空調には空気を動かす為の工夫が必要ですし、気密性能が高いために室内でストーブやファンヒーターと言った燃焼暖房を使用することは避けなければならないと言った、いくつもの制約もあります。ですが建物全体の温度は均一になるので、ヒートショックを感じることは無くなります。
また既存の建物の場合には、窓から受ける外気温の影響が大きいため、二重サッシを設けることや、ガラスの種別を変更する方法も有効でしょう。
家全体を隙間なく造る高気密住宅とし、同時に断熱性能を上げる高気密・高断熱住宅。こうした家の場合には小さな熱量で、家全体を均一に温める、あるいは冷やすことが可能になります。
こうした空調方式を全館空調と呼びます。全館空調には空気を動かす為の工夫が必要ですし、気密性能が高いために室内でストーブやファンヒーターと言った燃焼暖房を使用することは避けなければならないと言った、いくつもの制約もあります。ですが建物全体の温度は均一になるので、ヒートショックを感じることは無くなります。
また既存の建物の場合には、窓から受ける外気温の影響が大きいため、二重サッシを設けることや、ガラスの種別を変更する方法も有効でしょう。
浴室をあたたかくして安全で快適に暮らそう
浴室でのヒートショックが原因で、不幸にも亡くなられる方の数は、交通事故による死亡者の数よりはるかに多いといわれています。浴室を適度にあたたかくするための配慮をすることは、とても重要なのです。
高齢化が叫ばれる昨今ですが、ヒートショックは血圧に大きな負担を掛け、心筋梗塞や脳梗塞と言った問題に繋がる可能性があります。
生活しやすい家とは、家族の誰もが安全で快適に過ごせる家のことです。家を考えるときに、デザインや素材だけではなく、性能や安全面にも注意を配れるよう、建築家にご相談されることをおすすめいたします。
家づくりのヒントをもっと読む
浴室でのヒートショックが原因で、不幸にも亡くなられる方の数は、交通事故による死亡者の数よりはるかに多いといわれています。浴室を適度にあたたかくするための配慮をすることは、とても重要なのです。
高齢化が叫ばれる昨今ですが、ヒートショックは血圧に大きな負担を掛け、心筋梗塞や脳梗塞と言った問題に繋がる可能性があります。
生活しやすい家とは、家族の誰もが安全で快適に過ごせる家のことです。家を考えるときに、デザインや素材だけではなく、性能や安全面にも注意を配れるよう、建築家にご相談されることをおすすめいたします。
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現在の住まいも高断熱3階建て総建坪52坪で、1階は和室とトイレと物置にし、2階をLDK風呂トイレ主寝室、書斎、3階を子供部屋にした。2階を主な居住空間にしたので快適。
60歳過ぎるとヒートショック対策はしっかりしないとと思っている。参考になった。
ご感想をいただき、ありがとうございます。玄関に入った途端にリビングと同じように快適な室温の家―高気密・高断熱の家、素敵ですね。現在建築中の家が完成された暁には、ますます「快適な住まいでエンジョイする人生」を楽しまれるのでしょうね。