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新しさと古さが交差する、神戸大倉山の家
新しくは作れない価値を残すリノベーションだからこそ出てくる魅力が詰まった、神戸の丘の上に立つ家です。
杉田真理子
2020年1月14日
中古物件をリノベーションしたい、という想いがあったご夫婦。見つけたのは、神戸の丘の上に佇む空き家でした。「初めてこの家に足を踏み入れたとき、昭和らしい型板ガラスの窓から、やわらかな光が差し込んでくるのを見て。ここにしよう、とすぐに決めましたね」と語るご夫婦。リノベーションだからこその、「新しくは作れない価値」を大切にした家を訪ねました。
どんなHouzz?
住まい手:夫婦とふたりの子供
場所:神戸大倉山
敷地面積:173.65㎡
建築面積:89.79㎡
延床面積:121.50㎡
構造:木造
設計:エイチ・アンド一級建築士事務所
施工:株式会社いとうともひさ
竣工時期:2018年3月
撮影:笹の倉舎 / 笹倉洋平
一軒家で子育てをしたい、という想いが強かったオーナー夫妻。中古物件のリノベーションを前提に、期限を決めずに時間をかけて土地を探しました。
ようやく見つけたのは、前の住まい手の家財道具がそのまま残る、丘の上の空き家。以前は質屋だったのか、大きな金庫がそのまま残されていました。レトロでユニークな佇まいに、オーナー夫妻はすぐに魅了されたそうです。
今回設計を担当したのは、エイチ・アンド一級建築士事務所の建築家・半田俊哉さんと智子さん。「何もかも新しくしたら、新築と変わらなくなってしまう」という施主夫妻の想いを受け、「残す」ことを大切にしたリノベーションが始まりました。
住まい手:夫婦とふたりの子供
場所:神戸大倉山
敷地面積:173.65㎡
建築面積:89.79㎡
延床面積:121.50㎡
構造:木造
設計:エイチ・アンド一級建築士事務所
施工:株式会社いとうともひさ
竣工時期:2018年3月
撮影:笹の倉舎 / 笹倉洋平
一軒家で子育てをしたい、という想いが強かったオーナー夫妻。中古物件のリノベーションを前提に、期限を決めずに時間をかけて土地を探しました。
ようやく見つけたのは、前の住まい手の家財道具がそのまま残る、丘の上の空き家。以前は質屋だったのか、大きな金庫がそのまま残されていました。レトロでユニークな佇まいに、オーナー夫妻はすぐに魅了されたそうです。
今回設計を担当したのは、エイチ・アンド一級建築士事務所の建築家・半田俊哉さんと智子さん。「何もかも新しくしたら、新築と変わらなくなってしまう」という施主夫妻の想いを受け、「残す」ことを大切にしたリノベーションが始まりました。
坂道を登り、門をくぐって目に入るのは、古い家ならではのレトロな外観。かきおとし仕上げが特徴的な外壁はあえていじらず、扉の色を塗り変えるなど、最低限のメンテナンスに留めています。
エイチ・アンド一級建築士事務所の過去の事例をインターネットで見つけ、雰囲気に惹きこまれたという施主夫妻は、すぐに事務所に連絡を取ったと言います。すると、事務所が家の近所であることが分かりました。
「正式に依頼する前に何人かの建築家に相談し、図面そのものよりも、コミュニケーションや提案までのプロセスを大切にしてくれる方を探しました。最終的に、親身に話を聞いてくれる半田さんご夫妻に惹かれて。希望や不安など言い続けても、きちんと受けとめてくれたので、家づくりで後悔していることは何もありません」とご主人は語ります。
エイチ・アンド一級建築士事務所の過去の事例をインターネットで見つけ、雰囲気に惹きこまれたという施主夫妻は、すぐに事務所に連絡を取ったと言います。すると、事務所が家の近所であることが分かりました。
「正式に依頼する前に何人かの建築家に相談し、図面そのものよりも、コミュニケーションや提案までのプロセスを大切にしてくれる方を探しました。最終的に、親身に話を聞いてくれる半田さんご夫妻に惹かれて。希望や不安など言い続けても、きちんと受けとめてくれたので、家づくりで後悔していることは何もありません」とご主人は語ります。
元々平屋の戸建に新たなフロアを取り付け、2階建とした今回の家。室内に入ると、広々とした土間と、家の中核となる大きな本棚が迎えてくれます。
「階数を増やしてスペースに余裕がでた分、土間を思い切って広々と設けることにしました」と俊哉さん。元の状態のまま残された大きな金庫は、現在は収納場所として使われています。1階と2階を区切る天井は、ラワン合板を縦にカットして貼り付けることで、個性を演出しました。
「2人とも本好きなので、とにかく本棚が沢山欲しい、という希望があって。上から下まで本棚の家に住むのは、ずっと憧れでした」と奥さま。結果、本棚が家の中心となり、骨格を形づくる家となりました。
建築家を探す
「階数を増やしてスペースに余裕がでた分、土間を思い切って広々と設けることにしました」と俊哉さん。元の状態のまま残された大きな金庫は、現在は収納場所として使われています。1階と2階を区切る天井は、ラワン合板を縦にカットして貼り付けることで、個性を演出しました。
「2人とも本好きなので、とにかく本棚が沢山欲しい、という希望があって。上から下まで本棚の家に住むのは、ずっと憧れでした」と奥さま。結果、本棚が家の中心となり、骨格を形づくる家となりました。
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吹き抜けが開放的なリビングダイニング。フローリングは、地元兵庫県の杉の無垢材を使用した。和風になりすぎず、暖かく柔らかい杉は、子供のいる施主夫婦にも安心。時間と共に馴染む色の変化を楽しめます。コスト削減のため、漆喰の塗り壁は、施主夫婦の友人も含めて、手分けして作業したといいます。
既存の天井を撤去することで天井高を出し、むき出しになった梁はそのまま残すことで、古い家ならではの魅力を引き立てました。
「今回のリノベーションでひとつ不安だったのは、断熱です」と奥さまは当時を振り返ります。古い家でも快適に過ごせるよう、既存の屋根瓦を撤去した後に断熱材を貼り、その上に新しい屋根材を被せることで、二重天井の外断熱を導入。壁、床にも十分な断熱を施すことで、吹き抜けでも暖かい住まいが完成しました。
ソファの横、押入れが元々あったスペースには、出し入れ可能で収納も兼ねたTVボードを設置。食事をしながらテレビを鑑賞する際は、TVボードごと引きだして移動できるようにしました。
リノベーションの事例記事を読む
既存の天井を撤去することで天井高を出し、むき出しになった梁はそのまま残すことで、古い家ならではの魅力を引き立てました。
「今回のリノベーションでひとつ不安だったのは、断熱です」と奥さまは当時を振り返ります。古い家でも快適に過ごせるよう、既存の屋根瓦を撤去した後に断熱材を貼り、その上に新しい屋根材を被せることで、二重天井の外断熱を導入。壁、床にも十分な断熱を施すことで、吹き抜けでも暖かい住まいが完成しました。
ソファの横、押入れが元々あったスペースには、出し入れ可能で収納も兼ねたTVボードを設置。食事をしながらテレビを鑑賞する際は、TVボードごと引きだして移動できるようにしました。
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ダイニングスペースを印象づける型ガラスの窓は、元のものをそのまま活かしています。「はきだしの窓にすることも考えたのですが、リノベーションだからこそ、残すところは残したいなと思って」と奥さま。庭とウッドデッキにアクセスできる扉のみ、新調しました。
家の中心に位置し、本棚に囲まれたキッチンからは、ダイニングスペースが見渡せます。「ダイニングから手元は本棚で隠しつつ、顔は見える距離感が気に入っています」とご主人。キッチンの棚板がそのまま階段に連結している構造がユニークです。
古い梁がそのまま残る構造が印象的な2階。将来子供が成長したら、子供部屋として使用される予定です。ダイニングスーペースの吹き抜けを避け、床が貼られています。「2階の床を作ることで建物の剛性が向上し、家全体の耐震補強にもなります」と俊哉さん。大きく設けた2つの天窓から、自然光が降り注ぎ心地が良い雰囲気を演出しています。
施主とのコミュニケーションをいつも大切にするという、半田俊哉さんと智子さん。今回も、施主夫妻と一緒に食事にいくなど、積極的にプライベートの時間を共有することを大切にしました。「そうすることで、言葉では説明しにくい空気感や夫婦の関係性なども掴めます。それらを踏まえたうえで、デザインするようにしています」
元々残っていた棚や机など、良いものは捨てずに再利用しているとのこと。工事で出た端材も家具などに再利用するなど、味わいと温かみがある家でした。
日本のHouzzツアーをもっと読む
元々残っていた棚や机など、良いものは捨てずに再利用しているとのこと。工事で出た端材も家具などに再利用するなど、味わいと温かみがある家でした。
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