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歴史ある集合住宅のスタイリッシュなリノベーション
シンガポールのおしゃれエリア・チョンバル地区にあるアパートメント。部分的に建設当時の構造があらわにされ、新オーナーのアートコレクションを引き立てています。

Chiquit Brammall
2019年12月17日
「住宅開発庁」(HDB)の前身である「シンガポール改良信託」(SIT)が1930年代に建設した、チョンバル地区のアールデコ様式の集合住宅群。現在、この街のシンボルとなり、人気物件となっているこの建物は、2000年代以降、クリエイティブな人たちの集まる場となりました。
どんなHouzz?
住まい手:フランス人とオランダ人のカップル
場所:シンガポール・チョンバル地区
広さ:約74.3㎡
住まい手のカップルは、妻が集めたアート作品でプライベートなイベントを開催できるよう、寝室が2部屋ある年季の入ったアパートを生まれ変わらせたいと考えました。そして、建築事務所「ソリッド」に依頼をしました。
住まい手:フランス人とオランダ人のカップル
場所:シンガポール・チョンバル地区
広さ:約74.3㎡
住まい手のカップルは、妻が集めたアート作品でプライベートなイベントを開催できるよう、寝室が2部屋ある年季の入ったアパートを生まれ変わらせたいと考えました。そして、建築事務所「ソリッド」に依頼をしました。
写真:Food and Shelter Company
ソリッドは、インテリアデザインの関連会社「アソリッドプラン」と協力。この古いアパートを、地域の歴史遺産として遺しつつ、
新オーナーのアート作品を展示できる、快適で現代的な居住スペースにに生まれ変わらせるための作業に取り掛かりました。
建築主任のカーホウ・ウォンはこう話します。「今あるこのアパートは、1960年代以降、ほとんど手付かずのままになっていました。最初のオーナーは全人生をこの部屋の中で過ごしたそうですが、彼女が亡くなった後、その子どもたちがここを売りに出したのです」
デザインチームは仕上げに取りかかる前に、2つ目の寝室の壁を抜き、これまでよりもずっと広いリビング・ダイニングスペースをつくりました。
「既存の床の大半は、当時流行っていたリノリウムで覆われていましたが、磨耗により、あちこちがすでにひび割れたり欠けたりしていました。軟鋼でできた既存の窓枠にもともとはめ込まれていたグリーンのガラスパネルも何枚か破損しており、グリーンのアクリルガラスに交換されていました。でも、大部分は時の試練に耐えていたのです」とウォンは話します。
ソリッドは、インテリアデザインの関連会社「アソリッドプラン」と協力。この古いアパートを、地域の歴史遺産として遺しつつ、
新オーナーのアート作品を展示できる、快適で現代的な居住スペースにに生まれ変わらせるための作業に取り掛かりました。
建築主任のカーホウ・ウォンはこう話します。「今あるこのアパートは、1960年代以降、ほとんど手付かずのままになっていました。最初のオーナーは全人生をこの部屋の中で過ごしたそうですが、彼女が亡くなった後、その子どもたちがここを売りに出したのです」
デザインチームは仕上げに取りかかる前に、2つ目の寝室の壁を抜き、これまでよりもずっと広いリビング・ダイニングスペースをつくりました。
「既存の床の大半は、当時流行っていたリノリウムで覆われていましたが、磨耗により、あちこちがすでにひび割れたり欠けたりしていました。軟鋼でできた既存の窓枠にもともとはめ込まれていたグリーンのガラスパネルも何枚か破損しており、グリーンのアクリルガラスに交換されていました。でも、大部分は時の試練に耐えていたのです」とウォンは話します。
デザインチームは壁と天井に白いエマルジョン塗料を使用しました。さらにリノリウムの床は剥がし、代わりに黒いセメント仕上げを施して、コンクリートとレンガの一部をあらわにしました。
さらに、クリーンでスッキリした見た目を維持するために、EDLの白いソリッドコア化粧板を使ってキャビネットをデザインしました。そしてアートギャラリーのLED照明用として、むき出しになった梁に配線ダクトを取り付けています。
さらに、クリーンでスッキリした見た目を維持するために、EDLの白いソリッドコア化粧板を使ってキャビネットをデザインしました。そしてアートギャラリーのLED照明用として、むき出しになった梁に配線ダクトを取り付けています。
窓の色つきガラスとアクリルパネルは、クリアガラスに交換。「この部屋に住む人が、チョンバルの街並みにもっと親近感を抱けるようにしました」とウォンは話します。
この写真からわかるように、向かいの建物にある象徴的な看板が窓のひとつに切り取られて、まるでひとつのアート作品のように見えます。
この写真からわかるように、向かいの建物にある象徴的な看板が窓のひとつに切り取られて、まるでひとつのアート作品のように見えます。
快適なバスルームをつくるために、ソリッドはキッチンの幅を狭め、コンパクトながら効率のよい場所にさせました。
ウォンは言います。「キッチンのデザインはシンプルに留めました。キャビネットにはマットホワイトのソリッドコア化粧板を使い、カウンタートップには黒の花こう岩を使用しています。バックスプラッシュには黒い半透明のガラスを使用。壁には、シンガポールの古いアパートでよく使われていた、艶出し加工を施した正方形のセラミックタイルを貼りました」
「もとの床には淡いブルーのモザイクタイルが貼られていましたが、この物件全体のデザインには合わないと感じたので、シンプルな黒と白の組み合わせを取り入れることに決めました。これも、チョンバルの古い物件でよく見かけるものです」とウォンは話します。
ウォンは言います。「キッチンのデザインはシンプルに留めました。キャビネットにはマットホワイトのソリッドコア化粧板を使い、カウンタートップには黒の花こう岩を使用しています。バックスプラッシュには黒い半透明のガラスを使用。壁には、シンガポールの古いアパートでよく使われていた、艶出し加工を施した正方形のセラミックタイルを貼りました」
「もとの床には淡いブルーのモザイクタイルが貼られていましたが、この物件全体のデザインには合わないと感じたので、シンプルな黒と白の組み合わせを取り入れることに決めました。これも、チョンバルの古い物件でよく見かけるものです」とウォンは話します。
クリーンでありながら素材を生かしたスタイルで統一するために、ソリッドは寝室の壁の一部を露出させ、漆喰の下のレンガをあらわにしました。壁と天井には、白のエマルジョン塗料を使用しています。
部屋のクローゼット側には、天井までの高さがある鏡のスライドドアが設けられ、程よいサイズの寝室が、実際よりも広く見える錯覚を生んでいます。
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部屋のクローゼット側には、天井までの高さがある鏡のスライドドアが設けられ、程よいサイズの寝室が、実際よりも広く見える錯覚を生んでいます。
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ベッドの配置がレンガ部分を際立たせていて、まるで木製のヘッドボードの延長のように見えます。
「露出したレンガはすべて、1930年代のSITフラット建設時に使われたものです」とウォン。「当時のままの漆喰をていねいに削り落とし、もともとあったレンガを露出させたら、過去に使われたレンガの名前も見つけたんですよ。うれしい驚きでしたね」
「露出したレンガはすべて、1930年代のSITフラット建設時に使われたものです」とウォン。「当時のままの漆喰をていねいに削り落とし、もともとあったレンガを露出させたら、過去に使われたレンガの名前も見つけたんですよ。うれしい驚きでしたね」
ベッドの後ろから本棚のまわり、窓、そしてバルコニーのドアまで、木製のパネルでぐるっと囲ってあります。本棚は、EDLのマットホワイトのソリッドコア化粧板で仕上げ。木製パネルにつながる無垢のチーク材のキャビネットドアは、シンプルな家具と中間色でまとめた部屋に、甘やかなあたたかみをもたらしています。また、本やアート作品は、空間に色のアクセントを与えています。
コンクリートルーバー付きの高窓は、フラット内の涼しい空気を逃がさずに自然光を取り入れることができるよう、透明のプレキシガラスで塞がれています。
コンクリートルーバー付きの高窓は、フラット内の涼しい空気を逃がさずに自然光を取り入れることができるよう、透明のプレキシガラスで塞がれています。
ウォンは次のように話します。「実は、木製パネルのアイデアは窓側から始まりました。クライアントからのデザインに関する要望の一部として、寝室に折り畳み式デスクを組み込んで欲しいというのがあったからです」
「寝室のスペースがかなり限られていたので、置けるとしたら窓際しかありませんでした。そこで、単なる独立した折り畳み式テーブルにするのではなく、折り畳み部分を木製パネルの一部として組み込むことに決めました。既存の窓との関係で、テーブルが始点となり部屋全体をぐるっと囲むデザインにしたのです。そうすることで、壁に取り付けた照明器具の配線の一部を隠すこともできました」(ウォン)
「寝室のスペースがかなり限られていたので、置けるとしたら窓際しかありませんでした。そこで、単なる独立した折り畳み式テーブルにするのではなく、折り畳み部分を木製パネルの一部として組み込むことに決めました。既存の窓との関係で、テーブルが始点となり部屋全体をぐるっと囲むデザインにしたのです。そうすることで、壁に取り付けた照明器具の配線の一部を隠すこともできました」(ウォン)
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