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中庭を印象的にしつらえた、御所ノ内の家
住宅密集地の中で、プライバシーを守りつつ開放的な住まいが実現しました。
杉田真理子
2019年12月19日
元々は実家があった場所で、新しい二世帯住宅づくりをはじめた施主。住宅密集地の中ではあったが、明るく開放的な家づくりを目指した。テーマは、家の内側に庭やウッドデッキなどを入れ込んだ、「内側に広がる家」。施主のこだわりが詰まった家を訪ねた。
どんなHouzz?
住まい手:夫妻と小学生の息子2人、夫の父親
場所:京都市中京区
敷地面積:202.78㎡
建築面積:110.39㎡
延床面積:178.87㎡
構造:木造軸組み3階建て
設計:HOUSE ZEN 一級建築士事務所
施工:HOUSE ZEN 一級建築士事務所
竣工時期:2018年9月
自社設計・施工を行う京都のHOUSE ZEN 一級建築士事務所。ここで営業を務めている施主は、土地探しや住宅ローンの相談、設計士と顧客の仲介などを担当している。「普段は顧客の家づくりをサポートする立場ですが、今回、自分自身で経験してみることで、新たな発見が沢山ありました」と当時を振り返る。
住まい手:夫妻と小学生の息子2人、夫の父親
場所:京都市中京区
敷地面積:202.78㎡
建築面積:110.39㎡
延床面積:178.87㎡
構造:木造軸組み3階建て
設計:HOUSE ZEN 一級建築士事務所
施工:HOUSE ZEN 一級建築士事務所
竣工時期:2018年9月
自社設計・施工を行う京都のHOUSE ZEN 一級建築士事務所。ここで営業を務めている施主は、土地探しや住宅ローンの相談、設計士と顧客の仲介などを担当している。「普段は顧客の家づくりをサポートする立場ですが、今回、自分自身で経験してみることで、新たな発見が沢山ありました」と当時を振り返る。
格子柄のファサードが印象的な家の前に立つと、奥まで細長く伸びるエントランスが迎えてくれる。このエントランスをまっすぐ進むと、この家の中心となる中庭が待ちかまえていた。「エントランスの通路はあえて、洞窟のように細長くデザインしました。そうすることで、通路を渡った先にある中庭の開放感を、より効果的に感じられるように計算しています」と施主は説明する。
外壁は、藁を混ぜ込んだ荒壁仕上げだ。「エンシェントブリックと呼ばれる仕上げ方法で、自然らしさを演出できます。亀裂の入りやすい石などと比べて、藁が伸縮を吸収するので、ひびなどが入りにくいんです」
外壁は、藁を混ぜ込んだ荒壁仕上げだ。「エンシェントブリックと呼ばれる仕上げ方法で、自然らしさを演出できます。亀裂の入りやすい石などと比べて、藁が伸縮を吸収するので、ひびなどが入りにくいんです」
家の主役となる中庭は、庭師も交え、理想の形を試行錯誤したという。外に出て遊べる庭よりも、鑑賞して楽しめる庭を意識した。流水音が耳に心地よく、玄関の前に立つと背筋が伸びるような清涼感がある。
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一緒に暮らす父のため、玄関の段差は取り払い、できるだけフラットなデザインとした。
床には、表情が豊かで木の温もりが感じられるアカシア材を使用。適度に柔らかく、足に馴染みやすい木材だという。「杉にしてしまうと和風になり過ぎてしまうのでは、という懸念がありました」と施主。階段にはタモ材を使用した。仕事の関係上、さまざまな木材の特徴を熟知しているからこそ、今回はあえて、複数の木材を実験的に導入したという。
床には、表情が豊かで木の温もりが感じられるアカシア材を使用。適度に柔らかく、足に馴染みやすい木材だという。「杉にしてしまうと和風になり過ぎてしまうのでは、という懸念がありました」と施主。階段にはタモ材を使用した。仕事の関係上、さまざまな木材の特徴を熟知しているからこそ、今回はあえて、複数の木材を実験的に導入したという。
玄関から入って右手には、広々としたシューズクロークを完備した。来客の際には、ドアで目隠しができるようになっている。「家族に花粉症が多いので、コート類は室内に持ち込まないよう、玄関から家に入ってすぐクロークにしまう、というクセをつけるようにしています」
中庭を挟んで玄関の反対側には、和室をしつらえた。来客の際によく使用しているという。和室側の窓の位置は低くし、床に座った姿勢から中庭の様子を楽しめるようにした。
元々はDJをしていたという施主。現在も趣味で音楽をつくっているため、今回の家づくりではそのための部屋を所望していた。セルロスファイバーを使用し、床・壁・天井にそれぞれ防音材を入れこみ、簡易的な防音室を作成。週末はこの部屋に閉じこもって、音楽を楽しむことも多いという。
2階は、キッチンと寝室、リビングがコの字型にウッドデッキを囲む構造となっている。大きく切り取られた窓から差し込む自然光が、各部屋に開放的な雰囲気を与えている。
3階に続く階段のある廊下は、全面壁としてしまうことも考えたが、視線の通るフローティング階段とすることで、空間をより広々と演出することに成功した。
3階に続く階段のある廊下は、全面壁としてしまうことも考えたが、視線の通るフローティング階段とすることで、空間をより広々と演出することに成功した。
開放的なウッドデッキを2階に作ることで、家全体に抜け感と明るさを取り入れた。このウッドデッキから、階下の中庭を見下ろせるようになっている。「屋外シャワーもあるので、将来はジャグジーを置くことも検討しています」と施主。ウッドデッキで食事をしたり、テレビを持ち出して家族一緒に鑑賞することもあるという。
対面式のアイランドキッチンが印象的なダイニング。カウンターを広々と設けることで、食事以外でも家族が集まる場となった。「料理をしながら、目の前で子供の宿題を見れるので、便利です」と奥さま。
シンクには、イタリア製の水性を使用し、ダイナミックで洗練された雰囲気をプラスした。カウンターには、防水性の高いモールテックスを使用。アウトドア家具に使用されることの多い素材だ。ムラがあることで味わいがあり、定期的にオイルで手入れをすることもできる。
黒を多用することで全体的にトーンを落とし、代わりに天窓から光を入れることで、ドラマチックな雰囲気に仕上げた。
シンクには、イタリア製の水性を使用し、ダイナミックで洗練された雰囲気をプラスした。カウンターには、防水性の高いモールテックスを使用。アウトドア家具に使用されることの多い素材だ。ムラがあることで味わいがあり、定期的にオイルで手入れをすることもできる。
黒を多用することで全体的にトーンを落とし、代わりに天窓から光を入れることで、ドラマチックな雰囲気に仕上げた。
ソファなどの家具はおかず、あえてシンプルに仕上げたというリビング。ガラスの仕切りがすっきりと美しいエタノール暖房が、空間に程よいアクセントを加えている。音響設備を充実させ、ホームシアターをいつでも楽しめるようにした。
「子供が15人くらい一気に遊びにきて、映画を見ることもあります」と奥さまは笑う。ウッドデッキの高さに合わせ、部屋の半分は一段上げることで、目線が上がり、空間にメリハリが生まれた。
「子供が15人くらい一気に遊びにきて、映画を見ることもあります」と奥さまは笑う。ウッドデッキの高さに合わせ、部屋の半分は一段上げることで、目線が上がり、空間にメリハリが生まれた。
3階は子供部屋となっている。2人の息子のため、将来的にふたつに分けて使用することも想定した設計とした。
3階の床には、杉の木を使用。「家全体で、あえて異なる木材を混ぜて、実験的に使用しています。それぞれの経年変化の様子や使い心地を、実際に住みながら観察してみたい。そうすることで、将来のお客さんの家づくりでも、説得力のあるアドバイスができると思いました」と施主。
今回、自分で塗った壁もあるという。だからこそ、それぞれの作業にかかる時間やコスト、メリットやデメリットなど、より現実味を持って伝えられるようになった、と施主は語る。
住宅密集地域で駅も近く、今後新しくマンションが近所にたつ可能性もあるという地域。鑑賞用の中庭と、アウトドアの活動を楽しめるウッドデッキを家の内側に配置することで、プライバシーの守られた都会のオアシスのようだ。
HOUSE ZEN 一級建築士事務所の他の事例はこちら
3階の床には、杉の木を使用。「家全体で、あえて異なる木材を混ぜて、実験的に使用しています。それぞれの経年変化の様子や使い心地を、実際に住みながら観察してみたい。そうすることで、将来のお客さんの家づくりでも、説得力のあるアドバイスができると思いました」と施主。
今回、自分で塗った壁もあるという。だからこそ、それぞれの作業にかかる時間やコスト、メリットやデメリットなど、より現実味を持って伝えられるようになった、と施主は語る。
住宅密集地域で駅も近く、今後新しくマンションが近所にたつ可能性もあるという地域。鑑賞用の中庭と、アウトドアの活動を楽しめるウッドデッキを家の内側に配置することで、プライバシーの守られた都会のオアシスのようだ。
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