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【2019年秋】欧州の見本市 インテリアトレンドまとめ
8月から9月にかけて、ヨーロッパの各地でデザイン見本市が開催されていました。Houzzのエディターたちが現地で見つけたトレンドをまとめました。
Julia Bolotina
2019年11月4日
今年の欧州の秋の見本市は、年明けから見てきた多くのテーマを踏襲しつつ、さらに内容を掘り下げたものになっていました。ブラックとパステルカラーは引き続き人気が高いものの、「メゾン・エ・オブジェ(パリ、9月6日〜10日)」には、複数の色からなるカラーパレットも登場。ウッドや真鍮、大理石は、壁や床の仕上げ材としてや、べルベットや天然繊維、ケーンなどのアクセントや引立て役として、まだ根強い人気を誇っているようでした。人造大理石は復活し、テクスチャー入りや市松模様のガラス窓、さまざまな花瓶など、創造性にあふれたガラスも見られました。
一方で、歴史的なデザインは、現代のクリエイターのミューズであり続けています。1920年代のグラマラスなデザイン、70年代のバーントオレンジから80年代のド派手なデザインも人気です。
これらのさまざまなディテールから浮かび上がってきたのは、勢いのある3つのトレンドでした。まず第一に、ほとんどすべてのデザインに自然が入り込んできていること。第二に、ホームオフィスとバスルームが、家の中のほかの空間の様相を帯びるようになり、家の中の明確な境界が崩れてきていること。そして第三に、サステナビリティ(持続可能性)は、もはや家具デザインとは切り離せないものになりつつあることです。
一方で、歴史的なデザインは、現代のクリエイターのミューズであり続けています。1920年代のグラマラスなデザイン、70年代のバーントオレンジから80年代のド派手なデザインも人気です。
これらのさまざまなディテールから浮かび上がってきたのは、勢いのある3つのトレンドでした。まず第一に、ほとんどすべてのデザインに自然が入り込んできていること。第二に、ホームオフィスとバスルームが、家の中のほかの空間の様相を帯びるようになり、家の中の明確な境界が崩れてきていること。そして第三に、サステナビリティ(持続可能性)は、もはや家具デザインとは切り離せないものになりつつあることです。
101コペンハーゲンの「Haco Bar」コンソールテーブル
1. 自然を模倣するアート
数年来、話題になっているトレンドです。デザインはますます自然からヒントを得て、自然素材をかつてないほど取り入れています。 その流れから、ラタン、ケーン、チーク、コルクなど、しばらく注目されていなかった天然素材が、椅子やサイドボードやランプから、壁の装飾に至るまで、あらゆるものに再び使われ始めています。
1. 自然を模倣するアート
数年来、話題になっているトレンドです。デザインはますます自然からヒントを得て、自然素材をかつてないほど取り入れています。 その流れから、ラタン、ケーン、チーク、コルクなど、しばらく注目されていなかった天然素材が、椅子やサイドボードやランプから、壁の装飾に至るまで、あらゆるものに再び使われ始めています。
Les Gambettesの「Fleurs d’Automne」コレクションより、「Vadim」 ビニールラグ
並行して、細かなリバティ・スタイルから実物よりもスケールの大きな模様まで、あらゆる花柄プリントが復活しています。ジャングルと森のモチーフも、多くのタイルのデザインにインスピレーションを与えています。
日本の家具屋・インテリアショップを探す
並行して、細かなリバティ・スタイルから実物よりもスケールの大きな模様まで、あらゆる花柄プリントが復活しています。ジャングルと森のモチーフも、多くのタイルのデザインにインスピレーションを与えています。
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エリザベス・ルリッシュによる展示「Care」の詳細、メゾン・エ・オブジェにて
しかし、ここで注目すべきなのは、自然を取り入れることが単なる一過性のトレンドではなく、明らかにデザインのあらゆる側面に浸透し始めているということです。
グリーンやダークブルー、テラコッタ、ブラック、花の色であるパステルカラーなどの自然の色は、メゾン・エ・オブジェ、「北欧デザイン見本市フォルメックス(ストックホルム、8月20日〜23日)」、 そして、セラミックタイルと浴室設備用品の国際見本市である「チェルサイエ(ボローニャ、9月23日〜27日)」といった秋のヨーロッパ見本市を席巻しました。
しかし、ここで注目すべきなのは、自然を取り入れることが単なる一過性のトレンドではなく、明らかにデザインのあらゆる側面に浸透し始めているということです。
グリーンやダークブルー、テラコッタ、ブラック、花の色であるパステルカラーなどの自然の色は、メゾン・エ・オブジェ、「北欧デザイン見本市フォルメックス(ストックホルム、8月20日〜23日)」、 そして、セラミックタイルと浴室設備用品の国際見本市である「チェルサイエ(ボローニャ、9月23日〜27日)」といった秋のヨーロッパ見本市を席巻しました。
ローラ・ゴンザレスによる展示詳細、メゾン・エ・オブジェにて 写真: Aethion
「ロンドン・デザイン・フェスティバル(9月14日〜22日に市内各地で開催される多くのイベントの総称)」とメゾン・エ・オブジェでは、自然の形を模した創造的で曲線的な形の家具と装飾が展示されていました。
フォルメックスの展示では、スパイク、ループ、羽毛、ウール、樹皮、貝殻、セメント、セラミック、小枝、ガラスなど、より荒い自然のテクスチャーが見られました。
「ロンドン・デザイン・フェスティバル(9月14日〜22日に市内各地で開催される多くのイベントの総称)」とメゾン・エ・オブジェでは、自然の形を模した創造的で曲線的な形の家具と装飾が展示されていました。
フォルメックスの展示では、スパイク、ループ、羽毛、ウール、樹皮、貝殻、セメント、セラミック、小枝、ガラスなど、より荒い自然のテクスチャーが見られました。
セラミカ・サンタゴスティーノの「Intarsi」木目調床タイル
チェルサイエでは、技術の進歩によって、今年は陶磁器に飛躍的な革新がありました。
たとえば、大理石やウッドなどの天然素材と見た目や感触がそっくりな磁器タイル。大理石風のタイルはより多くの種類の大理石を模倣し、木目調のタイルは、寄木細工や象嵌など、木材特有の配置をより忠実に再現できるようになったのです。
チェルサイエでは、技術の進歩によって、今年は陶磁器に飛躍的な革新がありました。
たとえば、大理石やウッドなどの天然素材と見た目や感触がそっくりな磁器タイル。大理石風のタイルはより多くの種類の大理石を模倣し、木目調のタイルは、寄木細工や象嵌など、木材特有の配置をより忠実に再現できるようになったのです。
Bright Greenによるプリザーブド加工された苔の壁、ロンドン・デザイン・フェスティバルにて
一方で、自然そのものも、内部空間に入り込み続けています。ロンドン・デザイン・フェスティバルでで展示されていたプリザーブド加工された苔の壁など、今年はより多くの種類の壁面緑化が出展されていました。
デザインにおいて“自然からインスピレーションを受けること”は、もはや単にパイナップル型のペーパーウェイトを作ったり、観葉植物を置いたりする域をはるかに超えてきていることは明らかです。自然を大胆にデザインの中に引き込んだり、逆に自然の中にデザインが取り込まれていたり、そういった大規模なトレンドを、私たちは今まさに目にしているのです。
一方で、自然そのものも、内部空間に入り込み続けています。ロンドン・デザイン・フェスティバルでで展示されていたプリザーブド加工された苔の壁など、今年はより多くの種類の壁面緑化が出展されていました。
デザインにおいて“自然からインスピレーションを受けること”は、もはや単にパイナップル型のペーパーウェイトを作ったり、観葉植物を置いたりする域をはるかに超えてきていることは明らかです。自然を大胆にデザインの中に引き込んだり、逆に自然の中にデザインが取り込まれていたり、そういった大規模なトレンドを、私たちは今まさに目にしているのです。
Inkiostro Biancoの「Inediti」シリーズより、「Selva」 壁紙
2. 家の中の境界線をなくす
今から数年前、キッチンがリビングルームのようになりつつあると話題になりました。 オープンキッチンがより一般的になり、キッチンとリビングという2つの部屋の機能が同じスペースの中に共存し、忙しい生活がキッチンを家庭内の社交の場に変化させるにつれ、いまや食器棚は家具に近い存在となり、家電などの機能的な要素は隠され、より合理化されてキッチン全体が美しく変身しました。
今年は住まいのほかの部分、そしてパブリックゾーンまでもが、従来の特徴を失い、伝統的にはそれぞれの特権であった豪華さと快適さを取り入れつつあります。 ロンドン・デザイン・フェスティバルでは、バスルームが、リビングルームの要素やキッチンにおいて人気のあるダークブルーの色調を取り入れていました。
ロンドン・デザイン・フェスティバルから盗むべきトレンド
2. 家の中の境界線をなくす
今から数年前、キッチンがリビングルームのようになりつつあると話題になりました。 オープンキッチンがより一般的になり、キッチンとリビングという2つの部屋の機能が同じスペースの中に共存し、忙しい生活がキッチンを家庭内の社交の場に変化させるにつれ、いまや食器棚は家具に近い存在となり、家電などの機能的な要素は隠され、より合理化されてキッチン全体が美しく変身しました。
今年は住まいのほかの部分、そしてパブリックゾーンまでもが、従来の特徴を失い、伝統的にはそれぞれの特権であった豪華さと快適さを取り入れつつあります。 ロンドン・デザイン・フェスティバルでは、バスルームが、リビングルームの要素やキッチンにおいて人気のあるダークブルーの色調を取り入れていました。
ロンドン・デザイン・フェスティバルから盗むべきトレンド
Cerasarda の「OT 07026」 タイル・コレクション
一方でチェルサイエでは、バスルームにあるはずの装飾が、住まいの別の場所で発見できました。美しいタイルがリビングや外壁用として販売され、使用されていたのです。
一方でチェルサイエでは、バスルームにあるはずの装飾が、住まいの別の場所で発見できました。美しいタイルがリビングや外壁用として販売され、使用されていたのです。
Gassienのモジュール式シェルフと付属のデスク
一方で、メゾン・エ・オブジェでは、変化しつつあるホームオフィスの性質が注目を集めていました。リモートやコワーキングスペースで働く従業員が増えるにつれて、ホームオフィスは進化しているのです。
一方で、メゾン・エ・オブジェでは、変化しつつあるホームオフィスの性質が注目を集めていました。リモートやコワーキングスペースで働く従業員が増えるにつれて、ホームオフィスは進化しているのです。
ベネの「Studio」モジュール式ワークスペース・システム 設計:Thomas Feichtner
今ホームオフィスは、個人の仕事のためだけでなく、家族とも一緒に過ごすことができ、仕事仲間とのコラボレーションにも対応できる、より柔軟でオープンなスペースになりつつあります。
今ホームオフィスは、個人の仕事のためだけでなく、家族とも一緒に過ごすことができ、仕事仲間とのコラボレーションにも対応できる、より柔軟でオープンなスペースになりつつあります。
リドヴィッジ・エデルコートによる展示 写真:フォルメックス
3. サステナビリティ(持続可能性)
「サステナビリティはもはやトレンドではありません」とフォルメックスのプレス向けブレックファーストで語ったのは、モデレーターのペッカ・ヘイノ。今年の他の記事で述べたように、サステナビリティは家具デザインの不可欠な要素になりつつあり、それが業界全体の動きであることは間違いありません。
3. サステナビリティ(持続可能性)
「サステナビリティはもはやトレンドではありません」とフォルメックスのプレス向けブレックファーストで語ったのは、モデレーターのペッカ・ヘイノ。今年の他の記事で述べたように、サステナビリティは家具デザインの不可欠な要素になりつつあり、それが業界全体の動きであることは間違いありません。
Aghaの「Reef」シャワーパン
廃棄されたジャガイモから作られた家具や、サプライチェーンの副産物で作られたシャワーパンなど、環境に優しい素材も増えています。膨大な数の巧妙なアイデアが、デザイナーたちによって試行されており、一部のメーカーはそれらを市場に提供し始めています。
大手メーカーの製品のなかでも、特に目立っているのはバイオプラスチックで、それが如実にあらわれていたのがメゾン・エ・オブジェでした。
廃棄されたジャガイモから作られた家具や、サプライチェーンの副産物で作られたシャワーパンなど、環境に優しい素材も増えています。膨大な数の巧妙なアイデアが、デザイナーたちによって試行されており、一部のメーカーはそれらを市場に提供し始めています。
大手メーカーの製品のなかでも、特に目立っているのはバイオプラスチックで、それが如実にあらわれていたのがメゾン・エ・オブジェでした。
カザルグランデ・パダナの「Limpha」 壁タイル
チェルサイエでは、空気をきれいにするために光触媒を使用して汚染を防ぐタイルが展示されていました。
チェルサイエでは、空気をきれいにするために光触媒を使用して汚染を防ぐタイルが展示されていました。
キン・アンド・カンパニー・デザインスタジオの機械加工された金属作品
デザイナーは製品のライフサイクルにも目を向けており、製造業者は質のよい職人技と耐久性のある素材を支持する一方で、ファストファッションを避け、埋立地にすぐに向かうのではなく、世代を超えて愛される製品を作る試みを始めています。
工芸のなかで注目を集めているのが“修復”です。これは、今年ロンドン・デザイン・フェスティバルの一部としておこなわれた「100%デザイン」でのパネルディスカッションで、循環経済の重要な部分として強調されていました。 私たちがすでに持っているアイテムの寿命を延ばすことができる技術者たちは、サステナブル・デザインにおいて重要な役割を果たしているのです。
デザイナーは製品のライフサイクルにも目を向けており、製造業者は質のよい職人技と耐久性のある素材を支持する一方で、ファストファッションを避け、埋立地にすぐに向かうのではなく、世代を超えて愛される製品を作る試みを始めています。
工芸のなかで注目を集めているのが“修復”です。これは、今年ロンドン・デザイン・フェスティバルの一部としておこなわれた「100%デザイン」でのパネルディスカッションで、循環経済の重要な部分として強調されていました。 私たちがすでに持っているアイテムの寿命を延ばすことができる技術者たちは、サステナブル・デザインにおいて重要な役割を果たしているのです。
最後に、「オスロデザインフェア(8月28日〜30日)」は、展示会自体をいかにサステナブルにするかという問題に取り組んでいました。 トレンドに関する展示「リシンク」は、木製キャビンの中に設置され、使用後はノルウェー北部の建築プロジェクトに再利用されていました。
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