憧れの無垢材の床。メリットとデメリットは?
見た目の美しさや機能性などのメリットはあるけれど、傷みやすさや手入れの難しさなどが懸念される無垢材の床。実際のところはどうなのでしょう?無垢材に詳しい5人の専門家を取材しました。
木のぬくもりを感じられる美しさや、足の裏にあたったときの心地よさから、無垢材の床に憧れを持つ人は多いはず。でも、「手入れが難しそうだから」「すぐに傷んでしまいそうだから」と、踏み出せずにいる人もいるかもしれません。
今回は、無垢材を使った家づくりを得意とする専門家や、無垢材メーカーの方にインタビュー。無垢材の床のメリット・デメリットから、注意すべきことやお手入れ方法まで詳しくご紹介します。
今回は、無垢材を使った家づくりを得意とする専門家や、無垢材メーカーの方にインタビュー。無垢材の床のメリット・デメリットから、注意すべきことやお手入れ方法まで詳しくご紹介します。
無垢材の床のメリット
無垢材に憧れる人の多くは、木の持つぬくもり、自然の風合いなど、その見た目の美しさに惹かれていることでしょう。無垢材の床はそれだけで住まいをあたたかく、おしゃれに見せてくれる上、年月を重ねるごとに深い味わいを楽しむことができます。
「新建材は張ったときが一番綺麗で時間とともに経年劣化していきますが、無垢材は経年美化していきます」と話すのは、建材メーカーである株式会社マルホンの酒井啓太さん。「傷は味になり、色が変わったり、艶が増したりするんです」
無垢材に憧れる人の多くは、木の持つぬくもり、自然の風合いなど、その見た目の美しさに惹かれていることでしょう。無垢材の床はそれだけで住まいをあたたかく、おしゃれに見せてくれる上、年月を重ねるごとに深い味わいを楽しむことができます。
「新建材は張ったときが一番綺麗で時間とともに経年劣化していきますが、無垢材は経年美化していきます」と話すのは、建材メーカーである株式会社マルホンの酒井啓太さん。「傷は味になり、色が変わったり、艶が増したりするんです」
また、酒井さんは木本来の持つ性質についてもふれ、床暖房をつけていなくても感じられる温度や、夏は湿った空気を吸い、冬は乾燥した空気に水分を放出する調湿作用についても語ってくれました。
「無垢材が“天然のエアコン”と呼ばれるのは、このように呼吸をしているから」なのだそう。土に根を張る木そのものと同じく、無垢材も呼吸しているのです。
「無垢材が“天然のエアコン”と呼ばれるのは、このように呼吸をしているから」なのだそう。土に根を張る木そのものと同じく、無垢材も呼吸しているのです。
無垢材の床のメリットについて、「なんといっても優しい肌触りです」と話すのは、無垢材を取り入れた住宅づくりを得意とする設計施工・リノベーション会社、エアサイクルハウジングの市川小奈枝さん。
無垢材の調湿作用により、梅雨時や蒸し暑い夏にも不快感が少なく、サラッとした感触が味わえるのだといいます。
無垢材の調湿作用により、梅雨時や蒸し暑い夏にも不快感が少なく、サラッとした感触が味わえるのだといいます。
床材に迷うなら、長い目で見て選択を
さまざまな種類の無垢材を扱う酒井さんは、「長く付き合う住まいの中でも、毎日素足で触れる床材を選ぶことは、非常に重要な要素のひとつです」と語ります。
「種類が多く選ぶのが大変という方もいるかもしれませんが、種類が多いからこそ適材適所で使えるんです。例えばスギやクルミなどの柔らかい樹種を寝室に使えば、冬場にベッドから足を下ろすときにも、心地のよい足触りや暖かみを感じることができます」
さまざまな種類の無垢材を扱う酒井さんは、「長く付き合う住まいの中でも、毎日素足で触れる床材を選ぶことは、非常に重要な要素のひとつです」と語ります。
「種類が多く選ぶのが大変という方もいるかもしれませんが、種類が多いからこそ適材適所で使えるんです。例えばスギやクルミなどの柔らかい樹種を寝室に使えば、冬場にベッドから足を下ろすときにも、心地のよい足触りや暖かみを感じることができます」
無垢材の床のデメリット
無垢材の床に憧れを持ちながらも踏みとどまっている人の多くは、傷みやすさや手入れの難しさに不安を抱いていることでしょう。
現に、無垢材の床のデメリットについて、国産のスギやヒノキをふんだんに取り入れた家づくりをするツクダ工務店の築田博幸さんも「傷つきやすさ、汚れやすさ」を上げています。
無垢材の床に憧れを持ちながらも踏みとどまっている人の多くは、傷みやすさや手入れの難しさに不安を抱いていることでしょう。
現に、無垢材の床のデメリットについて、国産のスギやヒノキをふんだんに取り入れた家づくりをするツクダ工務店の築田博幸さんも「傷つきやすさ、汚れやすさ」を上げています。
橋野文設計事務所の建築家・橋野文さんも、「無垢材は傷がつくし、材種によってはフローリング同士で隙ができます」と話します。
とはいえ、あまり神経質にならず、“本物の木だから傷がつくのは当たり前!”という気持ちで、気楽に考えることも大切なのだとか。
「いつまでもピカピカで美しいものよりも、多少の傷や汚れも、その家で暮らした証だと愛着が湧いてきますよ。本物の木でしか味わえない雰囲気や風合いは、必ず空間の質を高めてくれると思います」
とはいえ、あまり神経質にならず、“本物の木だから傷がつくのは当たり前!”という気持ちで、気楽に考えることも大切なのだとか。
「いつまでもピカピカで美しいものよりも、多少の傷や汚れも、その家で暮らした証だと愛着が湧いてきますよ。本物の木でしか味わえない雰囲気や風合いは、必ず空間の質を高めてくれると思います」
天工舎一級建築士事務所の建築家・安井俊夫さんは、無垢材と床暖房の相性の難しさについても指摘します。無垢材は熱に弱いため、種類によっては床暖房の導入自体が難しかったり、可能だとしてもコストがかさむことも多いのです。
先述のとおり、無垢材の床は暖房なしでもほんのりと暖かく感じられ、冬でも裸足で歩けるそう。床暖房を断念せざるを得ないとしても、合板フローリングよりも寒さを感じにくいはずです。
先述のとおり、無垢材の床は暖房なしでもほんのりと暖かく感じられ、冬でも裸足で歩けるそう。床暖房を断念せざるを得ないとしても、合板フローリングよりも寒さを感じにくいはずです。
お手入れはイメージほど難しくない?
無垢材のデメリットとして多く挙げられる手入れやメンテナンスについて、専門家の方のほとんどは、さほど難しくはない、と答えます。
もちろん一口に無垢材といっても種類はさまざまですし、塗装に何を使用したかによっても手入れの仕方は異なりますが、もしかすると、あなたが想像しているよりもずっと簡単かもしれません。
無垢材のデメリットとして多く挙げられる手入れやメンテナンスについて、専門家の方のほとんどは、さほど難しくはない、と答えます。
もちろん一口に無垢材といっても種類はさまざまですし、塗装に何を使用したかによっても手入れの仕方は異なりますが、もしかすると、あなたが想像しているよりもずっと簡単かもしれません。
無垢材の手入れ方法
では具体的なお手入れはどのように行ったら良いのでしょうか?植物オイルや蜜蝋など、自然塗装の無垢床の場合、最初に塗られているのと同じ塗料での、年に1度の再塗装が推奨されているそうです。
酒井さんは、「怠ったからといって割れや反りが生じてしまうわけではありませんが、最初の3年間ほど繰り返し行えば、材の中に含まれる塗料が馴染んでいくため、再塗装の間隔を3年や5年に延ばしてOKです」と話します。
では具体的なお手入れはどのように行ったら良いのでしょうか?植物オイルや蜜蝋など、自然塗装の無垢床の場合、最初に塗られているのと同じ塗料での、年に1度の再塗装が推奨されているそうです。
酒井さんは、「怠ったからといって割れや反りが生じてしまうわけではありませんが、最初の3年間ほど繰り返し行えば、材の中に含まれる塗料が馴染んでいくため、再塗装の間隔を3年や5年に延ばしてOKです」と話します。
一方、「ウレタン塗装の場合は素人でのメンテナンスは難しいです」と話すのは市川さん。
それもあり、市川さんは、住まいの床には手軽にメンテナンスできるオイル塗装のタイプを勧める、といいます。
住まいの専門家を探す
それもあり、市川さんは、住まいの床には手軽にメンテナンスできるオイル塗装のタイプを勧める、といいます。
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床に汚れや傷をつけてしまったときの対処法
どんなに気を付けていても、うっかり傷をつけてしまったり、飲み物をこぼしてしまったりすることは避けられません。子どもやペットのいる家庭であれば、なおさらです。傷や汚れも味わいとして受け入れるとしても、応急処置はできないものでしょうか?
「床を湿気たままにしておくとすぐに反ったりします」と築田さんは指摘します。一般の掃除と同じように、汚れが発生したらすぐにタオルなどで乾拭きするようにしましょう。
どんなに気を付けていても、うっかり傷をつけてしまったり、飲み物をこぼしてしまったりすることは避けられません。子どもやペットのいる家庭であれば、なおさらです。傷や汚れも味わいとして受け入れるとしても、応急処置はできないものでしょうか?
「床を湿気たままにしておくとすぐに反ったりします」と築田さんは指摘します。一般の掃除と同じように、汚れが発生したらすぐにタオルなどで乾拭きするようにしましょう。
汚れがついてしまったからといって、安易に強酸性やアルカリ性の洗剤をかけたり、スチームクリーナーを使用してはいけません。「コーヒーやお味噌汁などをこぼしたときでも、雑巾で汚れが落ちます」と橋野さんは話します。
もしシミが残る場合は、サンドペーパーで表面をこすり、そこにだけオイルをさっと塗ってみましょう。
もしシミが残る場合は、サンドペーパーで表面をこすり、そこにだけオイルをさっと塗ってみましょう。
繊維を切っていない程度の浅い傷であれば、傷口に熱湯を含ませることである程度修復することができるそう。ただし、濡れたまま放置してしまわないように注意が必要です。
子どものいる家庭はどうしても傷がつきやすくなるもの。でも、無垢床は子供に素材を大切に扱うことを教えるきっかけにもなる、と橋野さんは言います。
子どものいる家庭はどうしても傷がつきやすくなるもの。でも、無垢床は子供に素材を大切に扱うことを教えるきっかけにもなる、と橋野さんは言います。
実際に無垢材に触れて検討しよう
たしかに無垢材の床は一般のフローリングに比べれば、初期費用は高くなることが多いでしょう。でもこれからの暮らしを長い目で見れば、間違った選択ではないのかもしれません。
ぜひ一緒に住む家族とよく相談し、実際に無垢材を目で見て、手でさわって、香りを嗅ぎながら、住まいに最適な床を探してみてください。
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たしかに無垢材の床は一般のフローリングに比べれば、初期費用は高くなることが多いでしょう。でもこれからの暮らしを長い目で見れば、間違った選択ではないのかもしれません。
ぜひ一緒に住む家族とよく相談し、実際に無垢材を目で見て、手でさわって、香りを嗅ぎながら、住まいに最適な床を探してみてください。
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