ロンドンから学ぶ、サステナブルな住まいのアイデア【LDF2019】
私たちの住まいをよりサステナブルにする、デザイナーたちの独創的なアイデアとは?のぞいてみましょう。
Amanda Pollard
2019年10月9日
今年のロンドン・デザイン・フェスティバル(LDF)で気づかされたのは、美しいプロダクトを生み出すために、デザイナーがどれだけクリエイティブになれるか、ということでした。多くのデザイナーが環境への影響を最小限に抑えつつ高品質なアイテムをデザインするために、これまで使われてきたものの代わりとなる材料や方法を探し、素晴らしいプロダクトを生み出していました。
エコな素材
ロンドン東部のブリックレーンで行われるロンドン・デザイン・フェアの主催者が、今年の素材として選んだのは、植物などに由来するバイオマテリアル。このイベントがサステナビリティ(持続可能性)にどれだけ注目しているのかがわかります。
「Chip[s] Board(チップ[ス]ボード)」のローワン・ミンクリーとロバート・ニコルは、廃棄予定のジャガイモからつくった製品を展示し、メキシコ人デザイナーのフェルナンド・ラポッセは、絶滅危惧種のエアルームコーンの皮でできたアイテムを展示しました。
100%デザインの“デザイン・フレッシュ”ブースの中で注目される新たな才能のひとり、ダイアナ・ツォは、海に漂う海草でできた生分解性の植木鉢を展示しました。そして、同じく100%デザインに出展されたこの写真のランプは、フランスのブランド、「テヅクリ・アトリエ(Tedzukuri Atelier)」がバナナの茎の繊維からつくったものです。
ロンドン東部のブリックレーンで行われるロンドン・デザイン・フェアの主催者が、今年の素材として選んだのは、植物などに由来するバイオマテリアル。このイベントがサステナビリティ(持続可能性)にどれだけ注目しているのかがわかります。
「Chip[s] Board(チップ[ス]ボード)」のローワン・ミンクリーとロバート・ニコルは、廃棄予定のジャガイモからつくった製品を展示し、メキシコ人デザイナーのフェルナンド・ラポッセは、絶滅危惧種のエアルームコーンの皮でできたアイテムを展示しました。
100%デザインの“デザイン・フレッシュ”ブースの中で注目される新たな才能のひとり、ダイアナ・ツォは、海に漂う海草でできた生分解性の植木鉢を展示しました。そして、同じく100%デザインに出展されたこの写真のランプは、フランスのブランド、「テヅクリ・アトリエ(Tedzukuri Atelier)」がバナナの茎の繊維からつくったものです。
サステナブルな木材
LDFのイベントで作品を展示していた職人の多くが、サステナブルな木材に注目していました。このテーマを取り上げた「ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館」の“レガシープロジェクト”では、さまざまな文化の担い手たちが、米国産のサステナブル木材であるアメリカンレッドオークを使ったアイテムの制作を行いました。
その土地の木材を使用することの重要性についても焦点が当てられました。たとえば、デボンを拠点とする家具職人ロドニー・ロマスは、イギリス国内の森林地帯から材料を調達する方法についてこのように語っています。
「地元の森林官、材木商、あるいは樹木医から、廃棄対象だったり薪として販売されたりする木材を買い付けています。こうした木材に対する市場を生み出すことで、原生林のメンテナンスにかかる費用を援助したいと考えているんです」
ロンドン・デザイン・フェスティバルから盗むべきトレンド
LDFのイベントで作品を展示していた職人の多くが、サステナブルな木材に注目していました。このテーマを取り上げた「ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館」の“レガシープロジェクト”では、さまざまな文化の担い手たちが、米国産のサステナブル木材であるアメリカンレッドオークを使ったアイテムの制作を行いました。
その土地の木材を使用することの重要性についても焦点が当てられました。たとえば、デボンを拠点とする家具職人ロドニー・ロマスは、イギリス国内の森林地帯から材料を調達する方法についてこのように語っています。
「地元の森林官、材木商、あるいは樹木医から、廃棄対象だったり薪として販売されたりする木材を買い付けています。こうした木材に対する市場を生み出すことで、原生林のメンテナンスにかかる費用を援助したいと考えているんです」
ロンドン・デザイン・フェスティバルから盗むべきトレンド
プラスチックの再解釈
プラスチックは近年、埋立地や海の中に大量に廃棄されていることから悪評を買っていますが、それももっともなこと。資源の使い捨ては深刻な問題です。
このテーマに注目したのが、「ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館」でサム・ジェイコブがによる、“シー・シングズ”というインスタレーションでした。アニメーションの流れる大きなミラー状の立方体を天井から吊り下げ、問題の深刻さを明らかにしたのです。
とはいえ、イベント期間中、私たちはプラスチックが極めて実用的な素材となり得るということも常に実感していました。デザイナーにとってカギとなるのは、それを正しい方法で使うことなのです。
たとえば、注目を集めていたのが再生プラスチック。デザイン・フレッシュでは、大学を卒業したばかりのミロ=トンリー・ブラウンが、オーク材を使った家具の接合方法として、どのように再生プラスチックを使用しているかを示していました。
プラスチックは近年、埋立地や海の中に大量に廃棄されていることから悪評を買っていますが、それももっともなこと。資源の使い捨ては深刻な問題です。
このテーマに注目したのが、「ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館」でサム・ジェイコブがによる、“シー・シングズ”というインスタレーションでした。アニメーションの流れる大きなミラー状の立方体を天井から吊り下げ、問題の深刻さを明らかにしたのです。
とはいえ、イベント期間中、私たちはプラスチックが極めて実用的な素材となり得るということも常に実感していました。デザイナーにとってカギとなるのは、それを正しい方法で使うことなのです。
たとえば、注目を集めていたのが再生プラスチック。デザイン・フレッシュでは、大学を卒業したばかりのミロ=トンリー・ブラウンが、オーク材を使った家具の接合方法として、どのように再生プラスチックを使用しているかを示していました。
保存と修理
イベントの注目すべきポイントは、「家庭で使う製品の寿命を延ばすことがいかに大切か」ということでした。100%デザインの展示ホールでは、サーキュラー・エコノミー(循環経済)の重要性に焦点を当てたパネルディスカッションが行われました。このディスカッションでは、古い家具をアップデートできる修復の専門家による貴重なスキルについて取り上げられました。
「廃棄されたアイテムを再利用し、それを中心に空間をデザインしています」と話すのは「レトロヴィアス(Retrouvius)」のアダム・ヒルズ。彼は、物語のあるアイテムを修復する価値について語りました。
Houzzツアーの記事にもその一例がありました。住宅の所有者がフランスから持ち帰った庭のゲートを、コンバート・コンストラクションが修復・設置したものです。
イベントの注目すべきポイントは、「家庭で使う製品の寿命を延ばすことがいかに大切か」ということでした。100%デザインの展示ホールでは、サーキュラー・エコノミー(循環経済)の重要性に焦点を当てたパネルディスカッションが行われました。このディスカッションでは、古い家具をアップデートできる修復の専門家による貴重なスキルについて取り上げられました。
「廃棄されたアイテムを再利用し、それを中心に空間をデザインしています」と話すのは「レトロヴィアス(Retrouvius)」のアダム・ヒルズ。彼は、物語のあるアイテムを修復する価値について語りました。
Houzzツアーの記事にもその一例がありました。住宅の所有者がフランスから持ち帰った庭のゲートを、コンバート・コンストラクションが修復・設置したものです。
リサイクルしやすいデザイン
もうひとつのパネルディスカッションでは、デザイナーであり廃棄物の専門家でもあるソフィー・トーマスが、製品が分解・再利用可能かどうか、そして素材のライフサイクルを考慮し、実際に使われるであろう期間に見合っているかどうかを注意深く見極めることが大切だと提案しました。彼女は分解もリサイクルもできない歯ブラシを例に挙げてこう言いました。「歯ブラシは1本につき4ヶ月しか使用されませんが、その寿命は400年です」
サステナブルなフラットパック(家具を平らな状態でコンパクトに梱包すること)の組み立て家具ブランド、グレイン(Grain)がイベントに出展し、このようなアイデアが自分たちの製品においてどう活用されているかを説明しました。フラットパックのアイテムは分解できるようにデザインされているため、再組み立てをすることも、メーカーに返品してリサイクルしてもらうこともできるのです。
もうひとつのパネルディスカッションでは、デザイナーであり廃棄物の専門家でもあるソフィー・トーマスが、製品が分解・再利用可能かどうか、そして素材のライフサイクルを考慮し、実際に使われるであろう期間に見合っているかどうかを注意深く見極めることが大切だと提案しました。彼女は分解もリサイクルもできない歯ブラシを例に挙げてこう言いました。「歯ブラシは1本につき4ヶ月しか使用されませんが、その寿命は400年です」
サステナブルなフラットパック(家具を平らな状態でコンパクトに梱包すること)の組み立て家具ブランド、グレイン(Grain)がイベントに出展し、このようなアイデアが自分たちの製品においてどう活用されているかを説明しました。フラットパックのアイテムは分解できるようにデザインされているため、再組み立てをすることも、メーカーに返品してリサイクルしてもらうこともできるのです。
化学薬品を使用していない素材
サステナブルな素材を調達するのと同様、デザイナーたちは原料の加工に使われている化学薬品にも注意を払っています。たとえば、ベンチマーク・ファーニチャー(Benchmark Furniture)のシモーネ・ベットーリは、オーガニックウール、コイア、天然ゴム、リサイクルデニムなど特定の素材に天然の耐火性をもたせることで、毒性の強い化学薬品を使用しなくて済む方法について説明しています。
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