建築家と一緒に実現させた、ローコストでも豊かな平屋の住まい
都会の旗竿地に建てた平屋の住まい。土地や予算の制約を感じさせない、広々と心地の良い空間が印象的です。
杉田真理子
2019年10月17日
建築が大好きなオーナーが、都市部の旗竿地という制約の多い土地に、設計料と工事費2000万円以内で建てた平屋住宅。限られた条件の中でも理想の暮らしを実現するため、お金をかけるところとかけないところを建築家と見極めてつくった「早く帰って来たくなる」住まいとは?
どんなHouzz?
住まい手:夫妻、3歳の息子
所在地:大阪府豊中市
敷地面積:149.02㎡
建築面積:77.84㎡
延床面積:86.03㎡
構造:木造平屋
設計:クニヤス建築設計(武田邦康)
施工:TOPOS
竣工時期:2018年8月
大阪の都心に暮らす夫妻。ご主人はもともと建築好きで、ずっとマイホームを建てることが夢だったという。「テレビ朝日の番組『建もの探訪』がきっかけで、ずっと建築に興味がありました。1日に何時間も過ごす住宅は、人生において非常に大切な場所ですよね。だからこそ、今回の家づくりではこだわりや居心地の良さを絶対に実現したいと思っていました」と当時を振り返る。
家族の気配が感じられ、のびのびと暮らせる平屋に大きな憧れがあった。「幼い頃、小さな家に大家族で暮らしていたんです。狭かったけれど、とても幸せだった記憶が残っていて。家を建てるなら、家族がずっと一緒に過ごせる平屋が良いと思っていました」
住まい手:夫妻、3歳の息子
所在地:大阪府豊中市
敷地面積:149.02㎡
建築面積:77.84㎡
延床面積:86.03㎡
構造:木造平屋
設計:クニヤス建築設計(武田邦康)
施工:TOPOS
竣工時期:2018年8月
大阪の都心に暮らす夫妻。ご主人はもともと建築好きで、ずっとマイホームを建てることが夢だったという。「テレビ朝日の番組『建もの探訪』がきっかけで、ずっと建築に興味がありました。1日に何時間も過ごす住宅は、人生において非常に大切な場所ですよね。だからこそ、今回の家づくりではこだわりや居心地の良さを絶対に実現したいと思っていました」と当時を振り返る。
家族の気配が感じられ、のびのびと暮らせる平屋に大きな憧れがあった。「幼い頃、小さな家に大家族で暮らしていたんです。狭かったけれど、とても幸せだった記憶が残っていて。家を建てるなら、家族がずっと一緒に過ごせる平屋が良いと思っていました」
建築好きが高じ、暇さえあれば、インターネットで建築の事例写真を頻繁にチェックしていた。建築家・武田邦康さんとの出会いも、インターネットを介してだったという。
「平屋で事例を検索したところ、クニヤス建築設計が手がけた、滋賀県の『近江八幡の家』を見つけ、一気に惹きこまれました。グッドデザイン賞も受賞されたバリアフリーの家で、コンパクトながらも平屋で広々としたデザインに魅力を感じ、面会を申し込んだんです」とご主人。
「私たちが思い描いているイメージを、武田さんはすぐにその場で具体的なスケッチに起こしてくれて。今まで憧れと共に話すだけだったものが、具体的なアクションになっていく様子が心強くて、この人だ!と思いましたね」
土地の限られた大阪の住宅街で平屋を建てる、という難しさに加え、予算が設計料と工事費合わせて2000万円以内(土地代は別)と決まっていた。「過去の経験を最大限に生かしてコストコントロールに努めました。また、今回の旗竿地は幅2mで奥行き15m、高低差も2mあり、竿部分からは大型の重機が入らないため、建設が困難な場所です。様々な制約があるなかで、最大限家族の空間を確保する必要がありました」と建築家・武田さんは説明する。
合計8件の隣家に囲まれた立地のため、隣家との兼ね合いも緻密に計算する必要があった。結果、天井高を工夫し、間仕切りを出来るだけ取り払うなど、様々な工夫を行うことで、開放的な空間づくりが実現した。
「平屋で事例を検索したところ、クニヤス建築設計が手がけた、滋賀県の『近江八幡の家』を見つけ、一気に惹きこまれました。グッドデザイン賞も受賞されたバリアフリーの家で、コンパクトながらも平屋で広々としたデザインに魅力を感じ、面会を申し込んだんです」とご主人。
「私たちが思い描いているイメージを、武田さんはすぐにその場で具体的なスケッチに起こしてくれて。今まで憧れと共に話すだけだったものが、具体的なアクションになっていく様子が心強くて、この人だ!と思いましたね」
土地の限られた大阪の住宅街で平屋を建てる、という難しさに加え、予算が設計料と工事費合わせて2000万円以内(土地代は別)と決まっていた。「過去の経験を最大限に生かしてコストコントロールに努めました。また、今回の旗竿地は幅2mで奥行き15m、高低差も2mあり、竿部分からは大型の重機が入らないため、建設が困難な場所です。様々な制約があるなかで、最大限家族の空間を確保する必要がありました」と建築家・武田さんは説明する。
合計8件の隣家に囲まれた立地のため、隣家との兼ね合いも緻密に計算する必要があった。結果、天井高を工夫し、間仕切りを出来るだけ取り払うなど、様々な工夫を行うことで、開放的な空間づくりが実現した。
玄関を開けると、穏やかな温もりのある空間が広がる。玄関からリビングダイニングへと視線が通り、吹き抜け型の構造が広々と心地よい。夫妻のお気に入りの自転車が壁にかけられ、インテリアとして空間を演出している。
床はアカシアの無垢材を使用した。「全体的にコストを抑えなければいけないとはいえ、しかるべき所にはきちんとお金をかけることが大切だと考えました。コストコントロールは、どこでどうバランスをとるかが重要です。家全体の雰囲気や居心地を左右するフローリングには、きちんと無垢材を使用することになりました」と武田さんは説明する。
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床はアカシアの無垢材を使用した。「全体的にコストを抑えなければいけないとはいえ、しかるべき所にはきちんとお金をかけることが大切だと考えました。コストコントロールは、どこでどうバランスをとるかが重要です。家全体の雰囲気や居心地を左右するフローリングには、きちんと無垢材を使用することになりました」と武田さんは説明する。
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更に進むと、広々としたリビングダイニングが迎えてくれる。約4mの高さがある切妻型天井が、平屋らしい開放的な雰囲気を演出してくれる。天井にはベニヤ板を使用。コストを抑えつつも、艶のある塗装を施すことで程よい品があり、味のある仕上がりとなった。リビングダイニングには天窓がふたつあり、たっぷりと自然光を取り入れている。
「家が完成してから、既に合計200名以上の友人が、ここに遊びに来てくれました」と夫妻は笑う。ホームパーティーで友人を招くことが多いという夫妻は、座る人数が限られない丸テーブルをチョイス。広々としたスペースが確保できる、平屋だからこその魅力だ。
壁には、塗り壁に限りなく近い仕上がりのビニールクロスを使用することで、全体のコストを抑えた。かすかなブルーグレーが入ったホワイトで、家全体がしっとりとした雰囲気でまとめられている。
「家が完成してから、既に合計200名以上の友人が、ここに遊びに来てくれました」と夫妻は笑う。ホームパーティーで友人を招くことが多いという夫妻は、座る人数が限られない丸テーブルをチョイス。広々としたスペースが確保できる、平屋だからこその魅力だ。
壁には、塗り壁に限りなく近い仕上がりのビニールクロスを使用することで、全体のコストを抑えた。かすかなブルーグレーが入ったホワイトで、家全体がしっとりとした雰囲気でまとめられている。
子供が自由に走り回れる広々としたリビングには、ベンチとしても使用できるテレビ台を造作した。「せっかく広々としたリビングなのに、既製品のテレビ台では味気なくなってしまうと思いました」とご主人。使用したゴムの木の集成材は、安価でありつつ硬く丈夫であるという。
リビングダイニングでは、ダウンライトはキッチンのみ、それ以外はペンダントライトを使用した。高さと位置が計算され、夜になると良い雰囲気になるという。「夕暮れから夜にかけての雰囲気が、一番好きです」とご主人。時間と共に変化する光の入り方が、家を様々な表情で演出してくれるという。
リビングダイニングでは、ダウンライトはキッチンのみ、それ以外はペンダントライトを使用した。高さと位置が計算され、夜になると良い雰囲気になるという。「夕暮れから夜にかけての雰囲気が、一番好きです」とご主人。時間と共に変化する光の入り方が、家を様々な表情で演出してくれるという。
部屋の中心にある廊下を右手に進むと洗面所とトイレ、左手は寝室となっている。
ベッドルームは、最小限の4畳半。収納スペースは作らず、ベッドのみとすることで、すっきりとまとめた。すだれの引き窓でリビングと緩やかに繋がっている。
「意匠にもなるすだれの窓は基本的にいつも開けきって、リビングと一体化させて使用しています。開放感がありますし、そうするとベッドで横になった時、天窓から星が見えるんです」とご主人。
ベッドルームは、最小限の4畳半。収納スペースは作らず、ベッドのみとすることで、すっきりとまとめた。すだれの引き窓でリビングと緩やかに繋がっている。
「意匠にもなるすだれの窓は基本的にいつも開けきって、リビングと一体化させて使用しています。開放感がありますし、そうするとベッドで横になった時、天窓から星が見えるんです」とご主人。
キッチン、パントリー、洗面所、トイレなどの家事動線は、家の北側にまとめた。洗面所には導線をふたつつくり、キッチンに向かって左手から、カーテンを挟んで洗面スペースにアクセスできるほか、寝室からも簡単にアクセスできる。出来るだけ広くスペースが確保できるよう、洗面所のカウンターは造作し、シンクを乗せるのみのシンプルなデザインとした。蛇口はシンプルな壁だし水栓。ご主人のこだわりだ。
洗面所とトイレの床のみ、店舗などで一般的に使用される丈夫なビニール製のフロアタイルを使用した。ここでビニール素材を使用した分、洗面所とトイレの天井には無垢のツガ材をあしらい、心地よさを演出した。
洗面所とトイレの床のみ、店舗などで一般的に使用される丈夫なビニール製のフロアタイルを使用した。ここでビニール素材を使用した分、洗面所とトイレの天井には無垢のツガ材をあしらい、心地よさを演出した。
水回りスペースの天井を低くし、その上にロフトスペースを設けることで、収納場所を確保した。季節物などの収納に使えるだけでなく、ゲストルームとして使用することもあるという。
子供部屋兼書斎に続く廊下にはあえて仕切りを付けず、視線が抜けるように工夫した。「窓の外の緑がよく見えるよう、廊下の位置を計算しました」と武田さんは説明する。
子供部屋兼書斎に続く廊下にはあえて仕切りを付けず、視線が抜けるように工夫した。「窓の外の緑がよく見えるよう、廊下の位置を計算しました」と武田さんは説明する。
現在は書斎として使用している子供部屋。縦長に大きく窓が切り取られ、覗く緑が美しい。
子供部屋にはロフトが設けられており、子供が成長した際はベッドルームとして使用できる。ハシゴを使って登ることで秘密基地のような雰囲気を味わえるという。
「もし将来子供が増えた時に、限られたスペースの中でどう部屋を確保しようかと、とても悩みました。そこで、武田さんがロフトを子供の寝室にするのはどうか?とご提案くださって。自分たちではどうしても思いつかないアイデアだったので、さすがプロだなと感心しました」と奥さまは当時を振り返る。将来子供が増えた際には、部屋をふたつに分けて使用できるよう、窓の位置などを工夫した。
「息子は家づくりの始まりから終わりまで一緒に経験しているので、家と共に育った子供です」と奥さまは笑う。
「もし将来子供が増えた時に、限られたスペースの中でどう部屋を確保しようかと、とても悩みました。そこで、武田さんがロフトを子供の寝室にするのはどうか?とご提案くださって。自分たちではどうしても思いつかないアイデアだったので、さすがプロだなと感心しました」と奥さまは当時を振り返る。将来子供が増えた際には、部屋をふたつに分けて使用できるよう、窓の位置などを工夫した。
「息子は家づくりの始まりから終わりまで一緒に経験しているので、家と共に育った子供です」と奥さまは笑う。
リビングから直接アクセスできるテラスには、プライバシーに配慮して大型のタープをかけた。
「夜は照明をつけてキャンドルをたくと、とても良い雰囲気になるんです。ここで飲むビールは格別ですよ」とご主人。夏は子供のためにプールを出したり、BBQを楽しむことも多いという。
「コンクリートの土間は、コスト削減のためタイル張りとしない代わりに、左官職人さんに綺麗に目地を入れてもらうことで大判のタイルが張られているように見える工夫をしました」と武田さん。庭は、手入れが楽な砂利にすることですっきりと見せつつも、夫妻のお気に入りの樹木をセレクトして植えた。
「仕事が終わったら、早く帰ってきたくなるような家です。今は1万パーセント、この家を楽しんでいると思います」と笑顔で語る夫妻。この家への愛着とこだわりが、伝わってきた。
「夜は照明をつけてキャンドルをたくと、とても良い雰囲気になるんです。ここで飲むビールは格別ですよ」とご主人。夏は子供のためにプールを出したり、BBQを楽しむことも多いという。
「コンクリートの土間は、コスト削減のためタイル張りとしない代わりに、左官職人さんに綺麗に目地を入れてもらうことで大判のタイルが張られているように見える工夫をしました」と武田さん。庭は、手入れが楽な砂利にすることですっきりと見せつつも、夫妻のお気に入りの樹木をセレクトして植えた。
「仕事が終わったら、早く帰ってきたくなるような家です。今は1万パーセント、この家を楽しんでいると思います」と笑顔で語る夫妻。この家への愛着とこだわりが、伝わってきた。
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