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メゾン・エ・オブジェ2019年9月展 注目トレンド
ブルーが去り、丸みのあるデザインがトレンドに。メインテーマはワークスペース。ヨーロッパ最大級の見本市から見どころをお届けします。
Agnès Carpentier
2019年9月14日
インテリア、デザイン、ライフスタイルの専門家たちが世界中から集う、メゾン・エ・オブジェ国際見本市。2019年の9月展(2019年9月6日~10日開催)で注目を集めたのは?Houzzフランス版エディトリアルチームが今年もレポートします!
特に記載がない限り、写真はHouzzアーカイブスから使用
メインテーマは「WORK!」
今秋のメゾン・エ・オブジェのメインテーマは「WORK!」。新たなワークスペースのアイデアや実験が披露されていました。社会の変化は私たちの仕事との関係にも影響を与え、オフィス空間も見直されています。特にコワーキングスペースについては、利用者同士のコラボレーションを促すようなデザインが注目されています。
メーカーや空間プランナーもホームオフィスに力を入れていて、楽しく、対話が生まれやすい場所づくりを試みています。ワークスペースは、使う人に合わせてカスタマイズできるものから、家族全体で過ごすためのものまで、新しく多様な空間へと生まれ変わろうとしています。
メインテーマは「WORK!」
今秋のメゾン・エ・オブジェのメインテーマは「WORK!」。新たなワークスペースのアイデアや実験が披露されていました。社会の変化は私たちの仕事との関係にも影響を与え、オフィス空間も見直されています。特にコワーキングスペースについては、利用者同士のコラボレーションを促すようなデザインが注目されています。
メーカーや空間プランナーもホームオフィスに力を入れていて、楽しく、対話が生まれやすい場所づくりを試みています。ワークスペースは、使う人に合わせてカスタマイズできるものから、家族全体で過ごすためのものまで、新しく多様な空間へと生まれ変わろうとしています。
写真© AETHION
今年の見本市で目立ったのは、ワークスペースをより明るくすること。そして、よりオープンにし、そこで働く人々が集中したり、インスピレーションを得たり、活力を取り戻したりできる新たなレイアウトを提案することでした。
フィリップ・ボワスリエ(Philippe Boisselier)がデザインしたWhat’s New?スペース(写真)では、シャンタル・アメイドがセレクトしたアイテムを展示していました。その中には小さな家具、小物、アクセサリーなどが含まれ、新しいレイアウトに個性を与えるのに役立っていました。
書斎・仕事部屋の記事を読む
今年の見本市で目立ったのは、ワークスペースをより明るくすること。そして、よりオープンにし、そこで働く人々が集中したり、インスピレーションを得たり、活力を取り戻したりできる新たなレイアウトを提案することでした。
フィリップ・ボワスリエ(Philippe Boisselier)がデザインしたWhat’s New?スペース(写真)では、シャンタル・アメイドがセレクトしたアイテムを展示していました。その中には小さな家具、小物、アクセサリーなどが含まれ、新しいレイアウトに個性を与えるのに役立っていました。
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写真© アンブロワーズ・テゼナス(Ambroise Tezenas)
デザイナー・オブ・ザ・イヤーはローラ・ゴンザレス
デザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのは、建築家兼デザイナーのローラ・ゴンザレスでした。2008年に自身の事務所プラウダ・アーキテクトを設立した彼女は、これまでの経歴の中で、レストランのラペルーズ、ルレ・クリスティーン・ホテル、コンセプトストアのキャトロヴァン・シス・シャン、サル・プレイエル・コンサートホール内にあるレストラン、ノート(Noto)、さらにはパリ、ストックホルム、チューリッヒにあるカルティエのブティックなど、数々のプロジェクトで大きな成功を収めてきました。
古典様式と装飾美術からインスピレーションを得ている彼女は、古典様式の再訪というスタイルで、素材、時代、モチーフのミックスを得意とします。こうした彼女のスタイルは、1,000平方メートルの広さがあるレストランをコロニアル風にデザインした、旧パッシー・ラ・ミュエット駅のプロジェクトで見ることができます。
インテリアデザイナー・コーディネーターを探す
デザイナー・オブ・ザ・イヤーはローラ・ゴンザレス
デザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのは、建築家兼デザイナーのローラ・ゴンザレスでした。2008年に自身の事務所プラウダ・アーキテクトを設立した彼女は、これまでの経歴の中で、レストランのラペルーズ、ルレ・クリスティーン・ホテル、コンセプトストアのキャトロヴァン・シス・シャン、サル・プレイエル・コンサートホール内にあるレストラン、ノート(Noto)、さらにはパリ、ストックホルム、チューリッヒにあるカルティエのブティックなど、数々のプロジェクトで大きな成功を収めてきました。
古典様式と装飾美術からインスピレーションを得ている彼女は、古典様式の再訪というスタイルで、素材、時代、モチーフのミックスを得意とします。こうした彼女のスタイルは、1,000平方メートルの広さがあるレストランをコロニアル風にデザインした、旧パッシー・ラ・ミュエット駅のプロジェクトで見ることができます。
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写真© ジェローム・ガラン(Jérôme Galland)
今年、メゾン・エ・オブジェのデザイナー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたゴンザレスは、自身のスタイルと家具で、自身の魅力を詰め込んだディスプレイ(写真)を手がけました。
彼女はこう話します。「直感に従うことが多いですね。モチーフも私にとって欠かせない要素です。生命や魂を感じられる場所がたまらなく好きです」
ディテールを増やし、魂を吹き込む。ローラ・ゴンザレスのデザイン哲学
今年、メゾン・エ・オブジェのデザイナー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたゴンザレスは、自身のスタイルと家具で、自身の魅力を詰め込んだディスプレイ(写真)を手がけました。
彼女はこう話します。「直感に従うことが多いですね。モチーフも私にとって欠かせない要素です。生命や魂を感じられる場所がたまらなく好きです」
ディテールを増やし、魂を吹き込む。ローラ・ゴンザレスのデザイン哲学
カラートレンドの見どころ
今年のカラーは引き続き、落ち着きのあるアースカラー系や自然を身近に感じさせるグリーンが注目されています。2019年注目の色であるファーグリーンを今もあちこちで見かけるものの、来年の新しいグリーンは黄色がかった色になり、暖かみのあるカーキやオリーブが多くなるでしょう。
同様に、パウダーピンク、ピーチ、コーラル、テラコッタ、ブラッドレッド、ワインレッド、バーントオレンジ、オーカー、アンバー、シェンナ、ナツメグといった多くの暖色系カラーが、今年のインテリアに暖かみをもたらしてくれます。ブルーを目にする機会は減っていますが、クラインブルーやデニムは引き続き人気のあるカラーです。
カラートレンドは繊細な色合わせ【メゾン・エ・オブジェ9月展】
今年のカラーは引き続き、落ち着きのあるアースカラー系や自然を身近に感じさせるグリーンが注目されています。2019年注目の色であるファーグリーンを今もあちこちで見かけるものの、来年の新しいグリーンは黄色がかった色になり、暖かみのあるカーキやオリーブが多くなるでしょう。
同様に、パウダーピンク、ピーチ、コーラル、テラコッタ、ブラッドレッド、ワインレッド、バーントオレンジ、オーカー、アンバー、シェンナ、ナツメグといった多くの暖色系カラーが、今年のインテリアに暖かみをもたらしてくれます。ブルーを目にする機会は減っていますが、クラインブルーやデニムは引き続き人気のあるカラーです。
カラートレンドは繊細な色合わせ【メゾン・エ・オブジェ9月展】
ここ数年のインテリアデザインが無難なモノクロームに頼りがちであったのに対し、今は原色と等和色の組み合わせや、ダークカラーとライトカラーのバランスといった複数のカラーの調和と対比がカギとなっています。
今年の9月展で特に注目すべき組み合わせは、カーキとシェンナとパウダーピンク、イエローグリーンとデニムとバーントオレンジ、そしてピーチとナツメグとリンデンの組み合わせです。
壁紙や塗料の専門家を探す
今年の9月展で特に注目すべき組み合わせは、カーキとシェンナとパウダーピンク、イエローグリーンとデニムとバーントオレンジ、そしてピーチとナツメグとリンデンの組み合わせです。
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写真© AETHION
米国出身の若き才能に注目
メゾン・エ・オブジェでは毎回、「ライジング・タレント・アワード」として特定の国の新進デザイナーに注目し、その素晴らしさを称えています。これまでイギリス、イタリア、レバノン、中国のクリエイティブな才能に注目してきました。今回は米国のデザインにスポットを当て、審査員によって将来有望な米国の企業と個人6つが選出されました。
私たちが惚れ込んだのは、キン・アンド・カンパニー(Kin & Company)デザインスタジオを設立した38歳のキラ・デ・パオラ(Kira de Paola)と41歳のジョセフ・ヴィディッチ(Joseph Vidich)の作品です。彼らの作品は金属加工を中心としたもので、今回の見本市では、アールデコスタイルからインスピレーションを得て建築的な形状に加工された金属(写真)を展示していました。
米国出身の若き才能に注目
メゾン・エ・オブジェでは毎回、「ライジング・タレント・アワード」として特定の国の新進デザイナーに注目し、その素晴らしさを称えています。これまでイギリス、イタリア、レバノン、中国のクリエイティブな才能に注目してきました。今回は米国のデザインにスポットを当て、審査員によって将来有望な米国の企業と個人6つが選出されました。
私たちが惚れ込んだのは、キン・アンド・カンパニー(Kin & Company)デザインスタジオを設立した38歳のキラ・デ・パオラ(Kira de Paola)と41歳のジョセフ・ヴィディッチ(Joseph Vidich)の作品です。彼らの作品は金属加工を中心としたもので、今回の見本市では、アールデコスタイルからインスピレーションを得て建築的な形状に加工された金属(写真)を展示していました。
丸みのある家具
まっすぐなラインから丸みのあるフォルムへ。ランプやラグから鏡、家具に至るまで、あらゆる場所で円形や曲線のデザインが目につきました。
たとえばアーチのような半円が住宅に新しい枠組みを描いている一方で、円形については、鏡やシャボン玉のかたちをしたランプのような、よりオーガニックな卵形のラインを持つものが目立ちました。今年のソファやチェアも丸みを帯びていて、インテリアに柔らかな印象を与えています。
まっすぐなラインから丸みのあるフォルムへ。ランプやラグから鏡、家具に至るまで、あらゆる場所で円形や曲線のデザインが目につきました。
たとえばアーチのような半円が住宅に新しい枠組みを描いている一方で、円形については、鏡やシャボン玉のかたちをしたランプのような、よりオーガニックな卵形のラインを持つものが目立ちました。今年のソファやチェアも丸みを帯びていて、インテリアに柔らかな印象を与えています。
注目の素材
インテリアは引き続き、明るい色のオーク材やダークなウォールナット材などのナチュラルウッドを中心に展開していますが、その一方でパウダーコーティングや亜鉛メッキ加工を施した黒い金属製の華奢な脚も、その勢いが衰える様子はありません。
テラゾや明るい色のラタンが欠かせない素材である一方、真ちゅうのディテールや大理石の仕上げといったかたちでの、洗練されたアクセントがインテリアのあちこちに見られます。アームチェアやソファはパイルの短いベルベットや、ふわふわしたウール生地張りのものが人気です。
さらにはガラス素材、特に格子入りや質感のあるガラス、あるいは玉虫色のガラスが再び注目されています。
インテリアは引き続き、明るい色のオーク材やダークなウォールナット材などのナチュラルウッドを中心に展開していますが、その一方でパウダーコーティングや亜鉛メッキ加工を施した黒い金属製の華奢な脚も、その勢いが衰える様子はありません。
テラゾや明るい色のラタンが欠かせない素材である一方、真ちゅうのディテールや大理石の仕上げといったかたちでの、洗練されたアクセントがインテリアのあちこちに見られます。アームチェアやソファはパイルの短いベルベットや、ふわふわしたウール生地張りのものが人気です。
さらにはガラス素材、特に格子入りや質感のあるガラス、あるいは玉虫色のガラスが再び注目されています。
ガラス素材、特に格子入りや質感のあるガラス、あるいは玉虫色のガラスも再び注目されています。
自然や幾何学の模様
円、ヘリンボーン、ストライプ、細かいチェック柄といった直線的な幾何学模様は、花のモチーフによく合います。細かいドット柄も引き続き底力を見せています。
今年のターニングポイントは、フラワー柄デコレーションの進化にあります。大きな花柄と、リバティスタイルの小花柄プリントのどちらについても、エキゾチックさは薄れ、そのぶん爽やかさを感じさせる模様へと進化しています。
アールデコ運動にインスパイアされた1930年代の模様も引き続きトレンドで、ヤシの木、コーニス、扇子、フリンジ、半円、長方形、正方形などの模様が使われていました。
トレンドの記事を読む
円、ヘリンボーン、ストライプ、細かいチェック柄といった直線的な幾何学模様は、花のモチーフによく合います。細かいドット柄も引き続き底力を見せています。
今年のターニングポイントは、フラワー柄デコレーションの進化にあります。大きな花柄と、リバティスタイルの小花柄プリントのどちらについても、エキゾチックさは薄れ、そのぶん爽やかさを感じさせる模様へと進化しています。
アールデコ運動にインスパイアされた1930年代の模様も引き続きトレンドで、ヤシの木、コーニス、扇子、フリンジ、半円、長方形、正方形などの模様が使われていました。
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写真© AETHION
今回の「What’s New?」
4つのテーマで展示する「What’s New?」セクションには、イノベーション、新素材、または新技術を取り入れた新たなアイデアが集められました。先述した、見本市のメインテーマ(Work!)にちなんだスペースのほかに、3つの展示エリアで新しいタイプのインテリアが探求されていました。そこに出展したデザイナーたちに、それぞれの展示について語ってもらいました。
「食器類がディスプレイされるホテルやレストランは、ミニマリスト側にもマキシマリスト側にも振れる可能性のある場所です。この『ミニマル/マキシマル』という二分法は、ミニマリストのキアロスクーロな(明暗のコントラストをもった)側面と、マキシマリストの物にあふれた側面の両方を探求する方法なのです」
今回の「What’s New?」
4つのテーマで展示する「What’s New?」セクションには、イノベーション、新素材、または新技術を取り入れた新たなアイデアが集められました。先述した、見本市のメインテーマ(Work!)にちなんだスペースのほかに、3つの展示エリアで新しいタイプのインテリアが探求されていました。そこに出展したデザイナーたちに、それぞれの展示について語ってもらいました。
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「食器類がディスプレイされるホテルやレストランは、ミニマリスト側にもマキシマリスト側にも振れる可能性のある場所です。この『ミニマル/マキシマル』という二分法は、ミニマリストのキアロスクーロな(明暗のコントラストをもった)側面と、マキシマリストの物にあふれた側面の両方を探求する方法なのです」
Photo © AETHION
- Living(暮らし)
Photo © AETHION
メゾン・エ・オブジェ国際見本市について:
1995年以降、パリで年に2回開催されるメゾン・エ・オブジェ国際見本市は、ライフスタイル、インテリア、デザインの専門家たちが世界中から集う場となっています。3,000を超える展示ブランドと9万人近い来場者を数え、そのうちの半数はフランス国外からやってきます。今年の9月展は2019年9月6日~10日まで開催され、Houzzフランスのエディトリアルチームは今年も会場で取材しました。
- Care(いたわり)
メゾン・エ・オブジェ国際見本市について:
1995年以降、パリで年に2回開催されるメゾン・エ・オブジェ国際見本市は、ライフスタイル、インテリア、デザインの専門家たちが世界中から集う場となっています。3,000を超える展示ブランドと9万人近い来場者を数え、そのうちの半数はフランス国外からやってきます。今年の9月展は2019年9月6日~10日まで開催され、Houzzフランスのエディトリアルチームは今年も会場で取材しました。
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