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光がたっぷり入る、明るい狭小住宅をつくるには?
狭小住宅でも、光がたっぷり入る明るい住まいにしたい。そんな願いを叶えるためにはどうすればいいのでしょうか。狭小住宅をつくることに長けた、4人の専門家に聞きました。

都市に多い、コンパクトな土地に建つ狭小住宅。横幅が狭く、縦に長い形になりやすいため「光が入りにくく、暗いのでは?」というイメージを持たれることもあると思います。
理想は、狭小でも外からの光がたっぷり注ぎ込み、日中は電気を付けなくても過ごせる明るい住まい。実現するためには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか?今回は、狭小住宅を得意としている、4人の専門家たちに、お話を伺いました。
理想は、狭小でも外からの光がたっぷり注ぎ込み、日中は電気を付けなくても過ごせる明るい住まい。実現するためには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか?今回は、狭小住宅を得意としている、4人の専門家たちに、お話を伺いました。
隣家の窓の位置をチェックする
狭小住宅が暗くなりがちな理由の1つは、隣家との距離の近さにあります。隣家と対面する部分に窓を設置しても、外壁に光を遮られてしまうのです。
「隣地が差し迫っているところには窓を設置しても意味がありません」と話すのは、garDEN株式会社の竹園節子さん。
「周辺の建物の位置や高さ、窓の位置をしっかり把握し、空いているところに窓を設ける。どんなに街中でも狭小敷地でも、空いている場所は必ずあります」
狭小住宅が暗くなりがちな理由の1つは、隣家との距離の近さにあります。隣家と対面する部分に窓を設置しても、外壁に光を遮られてしまうのです。
「隣地が差し迫っているところには窓を設置しても意味がありません」と話すのは、garDEN株式会社の竹園節子さん。
「周辺の建物の位置や高さ、窓の位置をしっかり把握し、空いているところに窓を設ける。どんなに街中でも狭小敷地でも、空いている場所は必ずあります」
志田茂建築設計事務所の志田茂さんはこう話します。「まわりの家の配置を観察して、家と家の“すき間”を使うんです。お隣の窓がついてない位置も重要。そこに窓をつければ、“お隣の家の壁に反射する光”を利用できます」
さらに、志田さんは「音や匂いが手に届くように感じるので、あまりお隣との境界面に窓は作らないほうがいいとは思います」とも語ります。
住まいの専門家を探す
さらに、志田さんは「音や匂いが手に届くように感じるので、あまりお隣との境界面に窓は作らないほうがいいとは思います」とも語ります。
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光を通す壁をつくる
ユウ建築設計室の吉田さんは、20坪弱の敷地に建つ住宅を手がけた際、「光や風を通すFRPグレーチングでバルコニーの壁を作り、一部2階の床にもFRPグレーチングを採用することで、1階にも光が届く計画にしました」と話します。
FRPグレーチングとは、樹脂製強化プラスチックを使ったグレーチング(格子状の溝蓋)のこと。採光性が高いため、壁の代わりに使用すると部屋の中に光がふんだんに入ります。また、耐水性・耐光性にも優れているため、雨や太陽光による劣化もしにくいのです。
ユウ建築設計室の吉田さんは、20坪弱の敷地に建つ住宅を手がけた際、「光や風を通すFRPグレーチングでバルコニーの壁を作り、一部2階の床にもFRPグレーチングを採用することで、1階にも光が届く計画にしました」と話します。
FRPグレーチングとは、樹脂製強化プラスチックを使ったグレーチング(格子状の溝蓋)のこと。採光性が高いため、壁の代わりに使用すると部屋の中に光がふんだんに入ります。また、耐水性・耐光性にも優れているため、雨や太陽光による劣化もしにくいのです。
南向きにこだわらない
“明るい家”というと、どうしても南向きの家をイメージしてしまいますが、土地によっては南向きに建てるのが難しいこともあります。
「“明るさ”と“南の陽が入る温かなイメージ”とは違います」と志田さんは言います。「狭小住宅を選ぶ時には、“明るさ”を希望してもいいですが、“南の陽”にこだわらないほうが、土地を見付けやすいと思います。それに、家が小さいので、家の中で反射する光でも意外と明るく感じるものです」
“明るい家”というと、どうしても南向きの家をイメージしてしまいますが、土地によっては南向きに建てるのが難しいこともあります。
「“明るさ”と“南の陽が入る温かなイメージ”とは違います」と志田さんは言います。「狭小住宅を選ぶ時には、“明るさ”を希望してもいいですが、“南の陽”にこだわらないほうが、土地を見付けやすいと思います。それに、家が小さいので、家の中で反射する光でも意外と明るく感じるものです」
南の陽が明るいからと言って、南面の屋根に天窓を付けることが必ずしも得策とはいえないと吉田さんは話します。明るさの確保にはなりますが、夏場の太陽光が室内へずっと降り注ぐことになり、住環境が悪くなるのだそうです。
「トップライトの代わりに南面の壁の高い位置にハイサイドライトを取り付けて、庇をかけることをお勧めします。夏の太陽光は庇で遮り、高度の低い冬の日射を取り入れることができます」
ハイサイドライトの写真をもっと見る
「トップライトの代わりに南面の壁の高い位置にハイサイドライトを取り付けて、庇をかけることをお勧めします。夏の太陽光は庇で遮り、高度の低い冬の日射を取り入れることができます」
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部屋から部屋へ光を送り込む
間取りによっては、光がたっぷり入る部屋とそうでない部屋も生まれてしまいます。明るい部屋から暗い部屋へ自然光を送り込むのも、明るい住まいをつくる秘訣。
吉田さんは「部屋と部屋との繋がりを考えて、室内窓を取り入れることも狭小住宅では有効になります」と話します。
間取りによっては、光がたっぷり入る部屋とそうでない部屋も生まれてしまいます。明るい部屋から暗い部屋へ自然光を送り込むのも、明るい住まいをつくる秘訣。
吉田さんは「部屋と部屋との繋がりを考えて、室内窓を取り入れることも狭小住宅では有効になります」と話します。
また、「ストリップ階段で自然光を下階に落とす」のも1つの手だと話すのは竹園さんです。狭小住宅の多くは縦に長く、階数が高い部屋のほうが明るくなるものですが、こうしたアイデアで下の階へ光を送り込むこともできます。
部屋に優先順位を付ける
寝室やトイレ、バスルームなどと、リビングやダイニングなどの過ごす時間が長くなる部屋とでは、自然光の必要性が異なります。とくに寝室は、日中に光が入りすぎると、暖かい空気がこもって夏には寝苦しく感じてしまうことも。
「寝る時間を過ごす寝室や子供部屋はほどほどに、とにかくLDKに注力して明るくなるように心がけてください」というのは、竹園さんのアドバイスです。
寝室やトイレ、バスルームなどと、リビングやダイニングなどの過ごす時間が長くなる部屋とでは、自然光の必要性が異なります。とくに寝室は、日中に光が入りすぎると、暖かい空気がこもって夏には寝苦しく感じてしまうことも。
「寝る時間を過ごす寝室や子供部屋はほどほどに、とにかくLDKに注力して明るくなるように心がけてください」というのは、竹園さんのアドバイスです。
また、糸井さんは、どの空間を明るくしたいか、よく検討することが重要だと話します。
「家族で過ごす時間がもっとも多い部屋が明るいのがベストだと思いますが、その空間の階数によっても明るさは大きく変わります。家族内での優先順位を付けるのも大切ですね」
「家族で過ごす時間がもっとも多い部屋が明るいのがベストだと思いますが、その空間の階数によっても明るさは大きく変わります。家族内での優先順位を付けるのも大切ですね」
糸井さんは光を取り込むことを考える時、「住宅のサイズはそこまで重要ではない」と話します。
「いくら大きな住宅が計画できる敷地であっても、まわりの環境が大きな要素となり、都市型の敷地環境であれば光を取り込む可能性が低くなるからです」
狭小住宅には、小さいからこそ室内で反射する光を利用することができたり、生活導線が短くなるため過ごしやすくなるなどの利点もあります。「狭小だから」とあきらめず、明るく快適な住まいを目指しましょう!
家づくりのヒントをもっと読む
「いくら大きな住宅が計画できる敷地であっても、まわりの環境が大きな要素となり、都市型の敷地環境であれば光を取り込む可能性が低くなるからです」
狭小住宅には、小さいからこそ室内で反射する光を利用することができたり、生活導線が短くなるため過ごしやすくなるなどの利点もあります。「狭小だから」とあきらめず、明るく快適な住まいを目指しましょう!
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