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ディテールを増やし、魂を吹き込む。ローラ・ゴンザレスのデザイン哲学
メゾン・エ・オブジェ 9月展でデザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞した、建築家でインテリアデザイナーのローラ・ゴンザレス。Houzzは彼女にこれまで手がけたプロジェクトや、仕事への思いについて聞きました。
Elen Pouhaer
2019年9月5日
「ディテールを増やして、どこを見ても何かが起きているようにするのが好きです。そうすることで、それぞれの場所に魂を吹き込むのです」と、語るのは、建築家でインテリアデザイナーのローラ・ゴンザレス。2019年9月展でデザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。
ローラ・ゴンザレス ©︎Ambroise Tézenas
フランスの国立建築大学のひとつ、パリ・マラケ国立建築大学(ENSA)で学び、2008年に自身の事務所プラウダ・アーキテクトを設立したゴンザレスを一躍有名にしたのが、2010年に手がけたパリで人気のナイトクラブ、バス・パラディアムのリノベーションでした。それ以来、他にない独自のスタイルで数々のすばらしい空間を生み出してきました。
この才能にあふれる若き建築家は、ファブリック、模様、素材、色の意外な組み合わせを試すことで、美術工芸を尊重しながらも古典主義のルールにとらわれず、リッチで洗練され、時代を超越した世界をつくりだします。ゴンザレスに、彼女のデザインスタイルや仕事への思いを伺いましょう。
ご自身のスタイルをどのように定義しますか?
私は、古典様式と装飾美術からインスピレーションを得ています。私はそれを古典様式の再訪と呼んでいます。素材、時代、スタイルなどをミックスするのが大好きなんです。直感に従うことが多いですね。モチーフも私にとって欠かせない要素です。生命や魂を感じられる場所がたまらなく好きです。
フランスの国立建築大学のひとつ、パリ・マラケ国立建築大学(ENSA)で学び、2008年に自身の事務所プラウダ・アーキテクトを設立したゴンザレスを一躍有名にしたのが、2010年に手がけたパリで人気のナイトクラブ、バス・パラディアムのリノベーションでした。それ以来、他にない独自のスタイルで数々のすばらしい空間を生み出してきました。
この才能にあふれる若き建築家は、ファブリック、模様、素材、色の意外な組み合わせを試すことで、美術工芸を尊重しながらも古典主義のルールにとらわれず、リッチで洗練され、時代を超越した世界をつくりだします。ゴンザレスに、彼女のデザインスタイルや仕事への思いを伺いましょう。
ご自身のスタイルをどのように定義しますか?
私は、古典様式と装飾美術からインスピレーションを得ています。私はそれを古典様式の再訪と呼んでいます。素材、時代、スタイルなどをミックスするのが大好きなんです。直感に従うことが多いですね。モチーフも私にとって欠かせない要素です。生命や魂を感じられる場所がたまらなく好きです。
コンセプトストアのキャトロヴァン・シス・シャン(86Champs concept store) ©︎Mattieu Salvaing
2017年12月にゴンザレスが手がけたプロジェクト、コンセプトストアのキャトロヴァン・シス・シャン。これはピエール・エルメとロクシタンの創業者オリビエ・ボーサンとのパートナーシップから生まれた、美食とコスメを融合するプロジェクトでした。
2017年12月にゴンザレスが手がけたプロジェクト、コンセプトストアのキャトロヴァン・シス・シャン。これはピエール・エルメとロクシタンの創業者オリビエ・ボーサンとのパートナーシップから生まれた、美食とコスメを融合するプロジェクトでした。
86Champs concept store ©︎Mattieu Salvaing
自分の事務所を構えてから、仕事はどのように進化しましたか?
私の仕事は、さまざまなプロジェクトとともに常に進化してきました。そうした進化は当初から、常に新たな発見をしながら、まだ見ぬ地平線の向こうへと進んでいくためのモチベーションになってきました。それこそが、この仕事の醍醐味なのです。素材、色、模様を扱うことから学ぶことも多いです。
インテリアデザイナー・コーディネーターを探す
自分の事務所を構えてから、仕事はどのように進化しましたか?
私の仕事は、さまざまなプロジェクトとともに常に進化してきました。そうした進化は当初から、常に新たな発見をしながら、まだ見ぬ地平線の向こうへと進んでいくためのモチベーションになってきました。それこそが、この仕事の醍醐味なのです。素材、色、模様を扱うことから学ぶことも多いです。
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86Champs concept store ©︎Mattieu Salvaing
時間の経過とともに事務所も大きく変化し、発展してきました。その中で、私たちも自分たちの体制を作り上げてきました。
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ブラッスリー・ラ・ロレーヌ(La brasserie La Lorraine) ©︎Alexandre Tabaste
どのような働き方をしていますか?
それぞれのプロジェクトに対して、私を中心とするチームをつくります。そのチームでインスピレーションにあふれるミーティングを行い、皆でコンセプトを発展させていきます。
どのような働き方をしていますか?
それぞれのプロジェクトに対して、私を中心とするチームをつくります。そのチームでインスピレーションにあふれるミーティングを行い、皆でコンセプトを発展させていきます。
ディナーシアターのカフェ・デ・ラ・ガール(La Gare) ©Jérome Galland
たとえば、パリの16区にある旧パッシー・ラ・ミュエット駅は90年代にレストランとして改装されましたが、数か月前に再度改修工事が行われました。生まれ変わった約1,000平方メートルのこのスペースは、来客を出迎える真ちゅう製のミラー、塗装を施した装飾、カラカッタ大理石といったコロニアルスタイルからインスパイアされています。
上階のカフェ・デ・ラ・ガールは、ウインターガーデン(温室)を模したデザインにしました。
たとえば、パリの16区にある旧パッシー・ラ・ミュエット駅は90年代にレストランとして改装されましたが、数か月前に再度改修工事が行われました。生まれ変わった約1,000平方メートルのこのスペースは、来客を出迎える真ちゅう製のミラー、塗装を施した装飾、カラカッタ大理石といったコロニアルスタイルからインスパイアされています。
上階のカフェ・デ・ラ・ガールは、ウインターガーデン(温室)を模したデザインにしました。
ヴァンドーム広場にあるカルティエのブティック(Cartier Vendôme)©Romain Laprade
それぞれのプロジェクトへのアプローチを教えてください。
それぞれのプロジェクトへのアプローチを教えてください。
- ヴァンドーム広場にあるカルティエのブティックのプロジェクト
ヴァンドーム広場にあるカルティエのブティック ©Romain Laprade
カルティエのDNAを反映しながら、店舗はラグジュアリーでエレガント、かつ時代を超越する箱として、熟練の職人による芸術性とノウハウを昇華させたデザインに仕上げました。
カルティエのDNAを反映しながら、店舗はラグジュアリーでエレガント、かつ時代を超越する箱として、熟練の職人による芸術性とノウハウを昇華させたデザインに仕上げました。
ラペルーズのフォー・シーズンズ・ルーム(Lapérouse, Salon des Quatre Saisons)©Matthieu Salvaing
- 1766年創業の伝説的なレストラン「ラペルーズ」のプロジェクト
ラペルーズのラ・ベル・オテロ・ルーム ©Matthieu Salvaing
私たちの手がけるプロジェクトはすべて、大理石工、家具職人、吹きガラス職人、漆工など、仕事への情熱にあふれる職人たちと協力してつくり上げています。この協力関係が、私の仕事に新たな側面をもたらしてくれるのです。
私たちの手がけるプロジェクトはすべて、大理石工、家具職人、吹きガラス職人、漆工など、仕事への情熱にあふれる職人たちと協力してつくり上げています。この協力関係が、私の仕事に新たな側面をもたらしてくれるのです。
ローラ・ゴンザレスがデザインした家具 © Romain Laprade
ご自身の家具コレクションも手がけていますね。
2年前から、このコレクションを展開し始めました。私たちがデザインした家具を私たちの手で生産するので、すべて自由にできます。私にとって、それがとても重要なのです。
実際には、コレクションは単一のアイデアにもとづいているわけではありません。それは、私たちの希望、インスピレーション、職人たちとの協力に基づいてかたちづくられていく、多様なものです。私は、すべてが調和するショールームを良いと思ったことがありません。あらゆるものをミックスできる、というのが軸となるアイデアです。
ご自身の家具コレクションも手がけていますね。
2年前から、このコレクションを展開し始めました。私たちがデザインした家具を私たちの手で生産するので、すべて自由にできます。私にとって、それがとても重要なのです。
実際には、コレクションは単一のアイデアにもとづいているわけではありません。それは、私たちの希望、インスピレーション、職人たちとの協力に基づいてかたちづくられていく、多様なものです。私は、すべてが調和するショールームを良いと思ったことがありません。あらゆるものをミックスできる、というのが軸となるアイデアです。
ローラ・ゴンザレスがデザインした家具 © Romain Laprade
家具の中には、職人との出会いから生まれた特別な作品もあります。それ以外の作品は完全にカスタマイズ可能なので、大きさ、ファブリック、色などを選ぶことができます。
家具の中には、職人との出会いから生まれた特別な作品もあります。それ以外の作品は完全にカスタマイズ可能なので、大きさ、ファブリック、色などを選ぶことができます。
ローラ・ゴンザレスがデザインした家具 © Romain Laprade
家具の90%はフランスのパリ近郊で生産しています。これまでソファー、チェア、アームチェア、照明器具、キャンドル、コーヒーテーブルなどをデザインしました。
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ローラ・ゴンザレスがデザインした家具 ©Romain Laprade
ベクサンにあるご自身のショールームのアイデアはどのように思いついたのですか?
ベクサンに19世紀の邸宅を建てて、私のライフスタイルを展示したいと考えました。私たちが働く場所、クライアントがランチに立ち寄ったり、週末を過ごしたりできる場所、アーティストが自身を表現する機会を得られる場所、さらに私たちのコレクションを展示できる場所をつくりたかったのです。
ベクサンにあるご自身のショールームのアイデアはどのように思いついたのですか?
ベクサンに19世紀の邸宅を建てて、私のライフスタイルを展示したいと考えました。私たちが働く場所、クライアントがランチに立ち寄ったり、週末を過ごしたりできる場所、アーティストが自身を表現する機会を得られる場所、さらに私たちのコレクションを展示できる場所をつくりたかったのです。
ADインテリアズ2018 ©Matthieu Salvaing
今後のプロジェクトについて教えてください。
メゾン・エ・オブジェのベスト・デザイナー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたので、9月のイベントでは私の家具コレクションと、ピエール・フレイとのコラボレーション作品を展示するディスプレイを手がけることになっています。また、ピエール・エルメとともに特別なカフェを開催する予定です。
さらには、(パリで行われる)ADインテリアズのイベントにおいて、再び内装を展示する機会を得ました。10回目となる今イベントのために、夏のパティオをとりまく夢のようなデザインを思いつきました。
今後のプロジェクトについて教えてください。
メゾン・エ・オブジェのベスト・デザイナー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたので、9月のイベントでは私の家具コレクションと、ピエール・フレイとのコラボレーション作品を展示するディスプレイを手がけることになっています。また、ピエール・エルメとともに特別なカフェを開催する予定です。
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