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京町家や坪庭に学ぶ、夏を涼しく過ごすための工夫
蒸し暑い京都の夏を快適に過ごす知恵がつまった京町家をお手本に、夏の暮らしを快適にしましょう!
舩村佳織
2021年8月5日
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています。
二児の子育て中でもあり、家族みんなが楽しめる庭造りが得意です。設計者として、主婦としての目線から、暮らしやすさに寄り添います。
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています... もっと見る
毎年夏になると熱中症対策が話題になります。日本の夏は高温多湿で、じめじめと体に堪える暑さ。昔から日本の人々は、この蒸し暑い夏を快適に過ごす工夫をしてきました。
京都に今も多く残っている京町家には、そんな工夫が随所に見られます。電気の無い時代の技はエコな暮らしにもつながるはずです。便利な生活が当たり前の現代ですが、その代償として私たちは環境問題と直面しています。昔の人が生み出した生活の知恵を改めて取り入れ、環境に配慮した暮らしを実現していきましょう。
京都に今も多く残っている京町家には、そんな工夫が随所に見られます。電気の無い時代の技はエコな暮らしにもつながるはずです。便利な生活が当たり前の現代ですが、その代償として私たちは環境問題と直面しています。昔の人が生み出した生活の知恵を改めて取り入れ、環境に配慮した暮らしを実現していきましょう。
京町家の特徴
「鰻の寝床」とも呼ばれる京町家は、間口が狭く奥行きのある形状をしています。それぞれの家は隣とぴったりくっつき、密集して建つのも特徴です。玄関は通りに直接面しており、職住一体の生活上、商いにおいては有利ですが、反面住環境としては敷地に余裕が無いものでした。
このような住宅が軒を連ねた環境で、蒸し暑い京都の夏を過ごすため様々な工夫や知恵が生まれました。
「鰻の寝床」とも呼ばれる京町家は、間口が狭く奥行きのある形状をしています。それぞれの家は隣とぴったりくっつき、密集して建つのも特徴です。玄関は通りに直接面しており、職住一体の生活上、商いにおいては有利ですが、反面住環境としては敷地に余裕が無いものでした。
このような住宅が軒を連ねた環境で、蒸し暑い京都の夏を過ごすため様々な工夫や知恵が生まれました。
木組みの格子
京町家の通りに面した窓には表格子という、木組みの格子が使われています。表格子は目隠しをしながら通風、採光にも優れています。
細く加工した木材を使った千本格子といわれる和風の格子は、隙間がたくさんあいていますが、意外にも中はあまり見えません。建物だけでなく、庭の目隠しにもおすすめです。
京町家の通りに面した窓には表格子という、木組みの格子が使われています。表格子は目隠しをしながら通風、採光にも優れています。
細く加工した木材を使った千本格子といわれる和風の格子は、隙間がたくさんあいていますが、意外にも中はあまり見えません。建物だけでなく、庭の目隠しにもおすすめです。
千本格子は和風にだけ合うものではなく、様々なデザインの外構や建物にマッチします。カーブをつければ千本格子ならではの立体感が生まれ、奥行きを感じさせます。しっかりと目隠しが欲しい場所には、植栽と組み合わせることで、より目隠しの効果を高めるられますよ。
造園会社・ガーデンデザイナーを探す
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坪庭
京町家には家の奥に小さな庭が設えてあります。これが坪庭です。坪庭は狭い場所に造られ、四方を囲まれている小さな庭です。表から坪庭は「通り庭」といわれる土間でつながっており、これが風の通り道として重要な役割を担っています。
京町家には家の奥に小さな庭が設えてあります。これが坪庭です。坪庭は狭い場所に造られ、四方を囲まれている小さな庭です。表から坪庭は「通り庭」といわれる土間でつながっており、これが風の通り道として重要な役割を担っています。
坪庭に水鉢やつくばい等で水場をつくり、そこに水を流せば、その音からも涼しさが感じられます。水場を思わせる苔やセキショウなどを植えれば目にも涼しい空間に。涼しさを感じる景色を庭につくることで得られる効果です。
緑のふわふわカーペット。苔の特徴を知ってモスガーデンを作ろう
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坪庭の植物がつくる木陰は、直射日光を防いでくれます。これによって室温の上昇も抑えられます。
また、植物の生理的作用でも涼しさを得られます。葉から水蒸気を発する蒸散作用により、気化熱によって周囲の温度を奪い、実際に温度が低くなります。
また、植物の生理的作用でも涼しさを得られます。葉から水蒸気を発する蒸散作用により、気化熱によって周囲の温度を奪い、実際に温度が低くなります。
打ち水
この坪庭が打ち水の効果を飛躍的に高めるために重要な存在になります。坪庭に打ち水をすると、気温の高い表の通りとの間に温度差が生じ、通り庭を通って風が抜けていくのです。樹木の蒸散作用によっても庭の温度は低くなるので、植物がより打ち水の効果を高めてくれます。
京町家のような構造をした家でなくても、風の通り道を確保しながら打ち水を行うことで、気持ちの良い風が得られます。時間帯は早朝や夕方がおすすめ。水がゆっくりと蒸発していくので、効果が長続きします。日中の暑い時間に行うと、一気に水が蒸発して逆に蒸し暑くなってしまうので注意しましょう。ベランダやバルコニーでも打ち水の効果は得られますよ。
この坪庭が打ち水の効果を飛躍的に高めるために重要な存在になります。坪庭に打ち水をすると、気温の高い表の通りとの間に温度差が生じ、通り庭を通って風が抜けていくのです。樹木の蒸散作用によっても庭の温度は低くなるので、植物がより打ち水の効果を高めてくれます。
京町家のような構造をした家でなくても、風の通り道を確保しながら打ち水を行うことで、気持ちの良い風が得られます。時間帯は早朝や夕方がおすすめ。水がゆっくりと蒸発していくので、効果が長続きします。日中の暑い時間に行うと、一気に水が蒸発して逆に蒸し暑くなってしまうので注意しましょう。ベランダやバルコニーでも打ち水の効果は得られますよ。
すだれ
京町家では「建具替え」と言って、季節によって室内の設えを替える習慣があります。ふすまやしょうじを風通しの良いすだれに替えたり、足元にはひんやりとする網代等を敷きます。こうして風通しを確保しながら、直射日光を防いでいます。
京町家では「建具替え」と言って、季節によって室内の設えを替える習慣があります。ふすまやしょうじを風通しの良いすだれに替えたり、足元にはひんやりとする網代等を敷きます。こうして風通しを確保しながら、直射日光を防いでいます。
すだれは夏にぴったりのアイテムです。日差しを遮りたい場所に設置すると、室温の上昇を和らげます。エアコンの冷房効率もアップするので、節電効果も期待できます。
すだれと同等以上の効果が得られるのが、植物を利用したグリーンカーテン。日差しを遮りながら、蒸散の効果も得られます。また、毎日の水やりが打ち水の代わりにもなります。プランターでもできるので、ベランダでも挑戦できます。
おすすめの植物はゴーヤやへちまなどの実が収穫できるもの。花や実を楽しみながらエコにもつながります。
暑さ対策の定番、グリーンカーテンとつる植物の基礎知識
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