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NYの照明トレンドは、オーガニックな美しさと驚きのあるフォルム【ICFF2019】
2019年の国際現代家具見本市、その見どころは、自然なフォルム、手吹きガラス、そしてカスタマイズ可能なデザインでした。
Erin Carlyle
2019年6月20日
5月にニューヨークで開催された2019国際現代家具見本市(ICFF)の展示では、エレガントなフォルムの照明器具があふれていました。美しさに加え、クライアントのプロジェクトに合わせてデザイナーが器具をアレンジできるカスタマイズにも注目が集まっていました。この記事では、家具の記事に続き、Houzzチームが見本市で見た5つの照明トレンドについてご紹介します。
アンドライトのペブル・シリーズ
1. オーガニックなフォルム
現在、市場でよくある直線的な照明器具とは対照的に、今年の見本市では自然からヒントを得たフォルムが見られました。カナダの照明メーカー、アンドライトが発表した3つの新しいコレクション(写真はそのうちのひとつ、ペブル・シリーズ)は、見本市でベスト・ペンダント・アワードを受賞しました。手吹きガラスでできた2つのフォルムを組み合わせ、ひとつのランプにしているのが特徴的です。
「このシリーズの最初のインスピレーションとなったのは、川辺の石が持つ特有の美しさでした。シンプルに見えるのに、そのかたちの複雑さや互いに影響しあうさまは、何千年もかけて自然がつくりだした結果なんですよね」とデザイナーのルーカス・ピートは話します。
1. オーガニックなフォルム
現在、市場でよくある直線的な照明器具とは対照的に、今年の見本市では自然からヒントを得たフォルムが見られました。カナダの照明メーカー、アンドライトが発表した3つの新しいコレクション(写真はそのうちのひとつ、ペブル・シリーズ)は、見本市でベスト・ペンダント・アワードを受賞しました。手吹きガラスでできた2つのフォルムを組み合わせ、ひとつのランプにしているのが特徴的です。
「このシリーズの最初のインスピレーションとなったのは、川辺の石が持つ特有の美しさでした。シンプルに見えるのに、そのかたちの複雑さや互いに影響しあうさまは、何千年もかけて自然がつくりだした結果なんですよね」とデザイナーのルーカス・ピートは話します。
デュー・ペンダントライト。写真提供:SkLOスタジオ
カリフォルニア州ヒールズバーグのSkLOスタジオがデザインしたペンダントライト、デューは、この見本市でアメリカでのデビューを果たしました。これはデザインディレクターのカレン・ギルバートが手がけた花瓶のデザインに着想を得た作品です。こぼれ落ちるしずくのような形状は、ガラスが熱いうちにレイヤーを重ねることでつくりだしています。このペンダントライトには、サンドブラスト仕上げとクリア仕上げ(写真)があります。SkLOはミラノで開催されたユーロルーチェでこの照明器具を初めて公開しました。
SkLOは、よく目にするようなシャープで建築的なアイテムとは異なる照明器具をつくっています。「美しさをとことん追求した、ソフトで女性らしい作品をつくっています」と彼女は話します。
これからの照明のあり方を予測する6つのこと【ユーロルーチェ2019】
アンドライトのヴェール・シリーズ
2. モジュール式アイテムと、カスタマイズ可能なアイテム
見本市に出展された照明器具の中には、製品を使用するデザイナーが自分の作品としての意識や喜びを感じられるよう、カスタマイズ専用につくられたものがいくつかありました。その一例が、アンドライトのデザイナー、ケイン・ハインツマンが手がけるヴェール・シリーズです。
このシリーズは、端と端、あるいは側面と側面をつなげることで、さまざまなフォルムを生み出すことができます。また、垂直にも水平にも吊り下げることができるため、ペンダントライトとして、ウォールライトとして、あるいはフロアランプとしても使うことができます。
2. モジュール式アイテムと、カスタマイズ可能なアイテム
見本市に出展された照明器具の中には、製品を使用するデザイナーが自分の作品としての意識や喜びを感じられるよう、カスタマイズ専用につくられたものがいくつかありました。その一例が、アンドライトのデザイナー、ケイン・ハインツマンが手がけるヴェール・シリーズです。
このシリーズは、端と端、あるいは側面と側面をつなげることで、さまざまなフォルムを生み出すことができます。また、垂直にも水平にも吊り下げることができるため、ペンダントライトとして、ウォールライトとして、あるいはフロアランプとしても使うことができます。
CVLによるガンマ・コレクション
フランスのブランド、CVLのためにシルヴァン・ウィレンツがデザインした新しい照明システム、ガンマは、金属製のチューブと乳白色のポリカーボネート製シリンダーを重ねたものをベースにしています。このピースを直線、曲線、あるいはリング状に組み合わせることができます。
写真は壁付けのスコンス、シャンデリア、そしてペンダントライトとしての使用例ですが、デザイナーの好みに合わせてピースを追加することも可能です。ガンマに使用する固定具は真ちゅう、ニッケル、銅から選べ、仕上げもサテン、ブラシ、グラファイトから選べます。CVLブランドは照明部門のベスト・イン・ショーを受賞しました。ユーロルーチェでも今年デビューを果たしています。
フランスのブランド、CVLのためにシルヴァン・ウィレンツがデザインした新しい照明システム、ガンマは、金属製のチューブと乳白色のポリカーボネート製シリンダーを重ねたものをベースにしています。このピースを直線、曲線、あるいはリング状に組み合わせることができます。
写真は壁付けのスコンス、シャンデリア、そしてペンダントライトとしての使用例ですが、デザイナーの好みに合わせてピースを追加することも可能です。ガンマに使用する固定具は真ちゅう、ニッケル、銅から選べ、仕上げもサテン、ブラシ、グラファイトから選べます。CVLブランドは照明部門のベスト・イン・ショーを受賞しました。ユーロルーチェでも今年デビューを果たしています。
スティックバルブによるチャイム・コレクション
ニューヨークの照明メーカー、スティックバルブはICFFで新作のチャイム・コレクションを発表しました。このコレクションは3種類の径と異なる長さのバルブでできていて、最大で約3.6メートルの長さのカスケード状に配置できます。写真は約3メートルのカスケードにしたチャイムで、ひとつひとつのピースはブルックリン初の高層ビルの屋上にあった給水塔に使われていたアメリカスギの再生材でつくられています。
シャンデリアに使われているそれぞれのスティックバルブ――LEDが埋め込まれた無垢の木材――は、ボールジョイントで接続されているおかげで360度回転し、風が吹くとゆらゆらと揺れます。チャイム・コレクションは再生ハートパイン材、NYC給水塔のアメリカスギ材、供給が安定しているアメリカン・ウォルナット材とメープル材、そして黒く着色されたオーク材から選ぶことができます。
このデザインは、ICFFをはじめとするニューヨークのデザインイベント、NYC x Designで今年のベスト・イン・ショーを受賞しました。
ニューヨークの照明メーカー、スティックバルブはICFFで新作のチャイム・コレクションを発表しました。このコレクションは3種類の径と異なる長さのバルブでできていて、最大で約3.6メートルの長さのカスケード状に配置できます。写真は約3メートルのカスケードにしたチャイムで、ひとつひとつのピースはブルックリン初の高層ビルの屋上にあった給水塔に使われていたアメリカスギの再生材でつくられています。
シャンデリアに使われているそれぞれのスティックバルブ――LEDが埋め込まれた無垢の木材――は、ボールジョイントで接続されているおかげで360度回転し、風が吹くとゆらゆらと揺れます。チャイム・コレクションは再生ハートパイン材、NYC給水塔のアメリカスギ材、供給が安定しているアメリカン・ウォルナット材とメープル材、そして黒く着色されたオーク材から選ぶことができます。
このデザインは、ICFFをはじめとするニューヨークのデザインイベント、NYC x Designで今年のベスト・イン・ショーを受賞しました。
アーティコロ・ライティング(Articolo Lighting)によるスコンス、トリロジー
3. 材料へのこだわり
見本市に展示された数多くの照明器具は、手吹きガラス、木材、緑青仕上げなど材料そのものの美しさを引き立てています。オーストラリアのメルボルンにあるスタジオ、アーティコロ・ライティングは、手吹きガラスと手づくりの金属部品が特徴的な壁付スコンスのトリロジーを発表しました。トリロジーのペンダントライトから派生して作られたものです。
3. 材料へのこだわり
見本市に展示された数多くの照明器具は、手吹きガラス、木材、緑青仕上げなど材料そのものの美しさを引き立てています。オーストラリアのメルボルンにあるスタジオ、アーティコロ・ライティングは、手吹きガラスと手づくりの金属部品が特徴的な壁付スコンスのトリロジーを発表しました。トリロジーのペンダントライトから派生して作られたものです。
セルノによるペンダントライト、ペンナのクローズアップ
カリフォルニアの照明器具メーカー、セルノは天然素材を全面に打ち出したペンナ・コレクションを紹介しています。写真はペンダントライトのアップで、ウォルナットの一枚板、真ちゅうの金物、さらにレザーストラップで構成されています。ナチュラルとダーク、2種類のウォルナット材と、2つのサイズ(約100センチと160センチ)から選ぶことができます。
カリフォルニアの照明器具メーカー、セルノは天然素材を全面に打ち出したペンナ・コレクションを紹介しています。写真はペンダントライトのアップで、ウォルナットの一枚板、真ちゅうの金物、さらにレザーストラップで構成されています。ナチュラルとダーク、2種類のウォルナット材と、2つのサイズ(約100センチと160センチ)から選ぶことができます。
ホランズ・リヒトによるリズム・オブ・ライト
ホランズ・リヒトの照明器具リズム・オブ・ライトのために、オランダ人デザイナーのスザンナ・デ・グラフは、色糸を使って照明に虹を架けたようなフォルムを形づくることにしました。ランプは写真のように緩く吊り下げることも、一番下のリングを持ち上げてモダンなシャンデリアとしても使うこともできます。この照明器具は2016年に発表されたものですが、今でもひときわ目立つ存在です。
ホランズ・リヒトの照明器具リズム・オブ・ライトのために、オランダ人デザイナーのスザンナ・デ・グラフは、色糸を使って照明に虹を架けたようなフォルムを形づくることにしました。ランプは写真のように緩く吊り下げることも、一番下のリングを持ち上げてモダンなシャンデリアとしても使うこともできます。この照明器具は2016年に発表されたものですが、今でもひときわ目立つ存在です。
グレイパンツによるロースト
シアトルの照明器具メーカー、グレイパンツは、酸化させた後に錆び止め加工を施したパイプを使ったローストを発表しました。この材料は色落ちしたりシミになったりすることはありません。
シアトルの照明器具メーカー、グレイパンツは、酸化させた後に錆び止め加工を施したパイプを使ったローストを発表しました。この材料は色落ちしたりシミになったりすることはありません。
トレラ・スタジオによるペンダントライト、ベネディクト
ニューヨークのトレラ・スタジオの新作ペンダントライト、ベネディクトは、緑青仕上げを施した真ちゅうを、手吹きの球体の上に重なる2つの半球体にして魅せています。
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ジェームス・ディーターによるウォールライト、ガストン
4. 想像を超えるかたち
見本市では、ユニークで思いがけない形状の照明器具を展示するメーカーもあり、一般的には見られないデザインを生み出す機会をデザイナーやクライアントに提供していました。
ブルックリンのデザイナー、ジェームス・ディーターは、メトロポリタン美術館で開催された川久保玲のファッションブランド、コム・デ・ギャルソンのショーを見た後に描いたデッサンを元に、ウォールライトのガストンをデザインしました。
4. 想像を超えるかたち
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ブルックリンのデザイナー、ジェームス・ディーターは、メトロポリタン美術館で開催された川久保玲のファッションブランド、コム・デ・ギャルソンのショーを見た後に描いたデッサンを元に、ウォールライトのガストンをデザインしました。
ボ・エ・ビアンによるスキン・ライト
フランスの照明器具メーカー、ボ・エ・ビアンは、好きなかたちにアレンジでき、壁にぴったりとくっつけて使用することもできるウロコ型の新作ライト、スキンを展示していました。ひとつひとつのウロコ型ピースの内側にはLEDが内蔵されています。
フランスの照明器具メーカー、ボ・エ・ビアンは、好きなかたちにアレンジでき、壁にぴったりとくっつけて使用することもできるウロコ型の新作ライト、スキンを展示していました。ひとつひとつのウロコ型ピースの内側にはLEDが内蔵されています。
ハチ・コレクションズのシーリングライト、ヒル
ブルックリンを拠点とするハチ・コレクションズのシーリングライト、ヒルは、ブリーチ加工したオーク材を使い、木製のシャンデリアとして驚くべき曲線を生み出しています。
ブルックリンを拠点とするハチ・コレクションズのシーリングライト、ヒルは、ブリーチ加工したオーク材を使い、木製のシャンデリアとして驚くべき曲線を生み出しています。
ルーク・ランプによるサリー・サスペンションIVの、約2.4メートルのケーブル
ルーク・ランプからは、写真の新作シャンデリアをはじめとする複数の新しい照明器具が発表されました。この作品は、真ちゅう製のバーにルーク・ランプの代名詞であるLEDロープをゆるく巻きつけたものです。このロープは、ナイロン製の被覆材で覆った業務用のLEDライトでできています。バーの仕上げは複数から選べます。
ルーク・ランプからは、写真の新作シャンデリアをはじめとする複数の新しい照明器具が発表されました。この作品は、真ちゅう製のバーにルーク・ランプの代名詞であるLEDロープをゆるく巻きつけたものです。このロープは、ナイロン製の被覆材で覆った業務用のLEDライトでできています。バーの仕上げは複数から選べます。
ライトアートのアコースティック・シェード
5. 吸音機能
見本市の会場で、音を吸収する機能について話す照明メーカーが複数ありました。写真は新作のアコースティック・シェードで、シアトルを拠点とするライトアートがデザインした、クラシックなランプシェードに遊び心を加えた作品です。主に商用スペースで使われているこうした器具ですが、住宅のロフトスペース用サウンド・バッファとしても役立つアイテムです。
アコースティック・シェードは、使用済みペットボトルからつくる再生ポリエチレンテレフタレート(PET)を50%使用したソラのフェルトでできています。
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