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パリ中心部。窓からの光と植物に癒される、狭くても機能的な24㎡
小さなワンルームに、ベッドルームを作ったプロジェクト。インテリアデザイナーの手腕が光るビフォー・アフターをご覧ください。
Agnès Carpentier
2019年5月13日
フランス郊外からパリに引っ越すことになった19歳の学生に、両親は自分たちがパリに所有するワンルームの物件を改装して提供しようと考えました。それまで賃貸物件として使用していたこのアパルトマンは、ここ25年のあいだ手を入れられることもなく、大がかりな修繕が必要な状態でした。
2018年のはじめごろ、オーナー夫妻は野心的な目標を掲げて複数のデザイナーと連絡をとりました。その目標とは、わずか24平方メートルの物件に、ベッドルーム、フルキッチン、洗濯エリア、書斎、快適な浴室、そして収納スペースといった設備をすべて作る、というものでした。最終的に夫妻は、フレンチカントリーなインテリアを提案したインテリアデザイナーのオーロレ・パニエール(Aurore Pannier)の空間を最適化する手腕を惚れ込み、プロジェクトを依頼しました。
2018年のはじめごろ、オーナー夫妻は野心的な目標を掲げて複数のデザイナーと連絡をとりました。その目標とは、わずか24平方メートルの物件に、ベッドルーム、フルキッチン、洗濯エリア、書斎、快適な浴室、そして収納スペースといった設備をすべて作る、というものでした。最終的に夫妻は、フレンチカントリーなインテリアを提案したインテリアデザイナーのオーロレ・パニエール(Aurore Pannier)の空間を最適化する手腕を惚れ込み、プロジェクトを依頼しました。
Photos from Paris d’intérieur
どんなHouzz?
住まい手: 19歳学生
所在地:パリ
広さ: 24平方メートル(ベッドルームとバスルームが1つずつ)
デザイナー:パリ・ディンテリュー(Paris d’intérieur)のオーロレ・パニエール
ビフォー:この部屋は古い建物の中二階にあります。部屋には耐力柱はなく、中庭を見渡せる大きな窓のある2つのエリアが特徴となっています。窓はあっても室内は薄暗く、黒い梁とテラコッタの床がさらに暗い印象を与えていました。
住まい手である学生が独立したベッドルームを希望していたため、パニエールはまず室内のレイアウトに注目しました。6年前にインテリアデザイナーとして働き始めてからずっと、狭小スペースの最適化が彼女の得意分野だったため、レイアウトを考えるのは特に好きな作業です。そして部屋の奥にあるキッチンエリアが、こじんまりしたベッドルームに最適な場所のように思えました。
どんなHouzz?
住まい手: 19歳学生
所在地:パリ
広さ: 24平方メートル(ベッドルームとバスルームが1つずつ)
デザイナー:パリ・ディンテリュー(Paris d’intérieur)のオーロレ・パニエール
ビフォー:この部屋は古い建物の中二階にあります。部屋には耐力柱はなく、中庭を見渡せる大きな窓のある2つのエリアが特徴となっています。窓はあっても室内は薄暗く、黒い梁とテラコッタの床がさらに暗い印象を与えていました。
住まい手である学生が独立したベッドルームを希望していたため、パニエールはまず室内のレイアウトに注目しました。6年前にインテリアデザイナーとして働き始めてからずっと、狭小スペースの最適化が彼女の得意分野だったため、レイアウトを考えるのは特に好きな作業です。そして部屋の奥にあるキッチンエリアが、こじんまりしたベッドルームに最適な場所のように思えました。
アフター:施工会社と協力し、パニエールはキッチンを部屋の前面へと移動させました。「玄関ドアの正面にあるエリアに配管を移動させることができるとわかったので、このアイデアを思いついたのです」と彼女は話します。
新しいコの字型のキッチンにより、カウンタースペースが最大限に広くなりました。「このキッチンには頭を悩ませましたが、冷蔵庫、洗濯乾燥機、オーブン、電子レンジ、食洗機、収納ユニット、そしてゴミ箱をスッキリと収めるには、コの字型に配置するしかありませんでした」とパニエールは言います。
具体的には、コの字型の左側が冷蔵庫のスペースで、洗濯乾燥機は中央、食洗機とオーブンの隣に配置されています。食洗機は下、昔ながらのオーブンをその上に載せました。
右側はカトラリー用の引き出しがついたキャビネットになっています。吊りキャビネットには電子レンジとレンジフードが収まっています。3つめのキャビネットは収納スペースです。
一体型オーブン食洗機:キャンディ(Candy)のDuo
具体的には、コの字型の左側が冷蔵庫のスペースで、洗濯乾燥機は中央、食洗機とオーブンの隣に配置されています。食洗機は下、昔ながらのオーブンをその上に載せました。
右側はカトラリー用の引き出しがついたキャビネットになっています。吊りキャビネットには電子レンジとレンジフードが収まっています。3つめのキャビネットは収納スペースです。
一体型オーブン食洗機:キャンディ(Candy)のDuo
パニエールはゴミ箱をどこに配置するかでさらに悩み、床に置く以外の場所を探していました。その結果、珍しい解決策を思いついたのです。
「カウンターの右側に小さな丸があるの、わかります? あれがゴミ箱です」とパニエール。「あの丸いのがゴムバルブで、その下にゴミ袋を取り付けられるようになっているので、野菜の皮や残り物などを放り込むのに便利なんです。普段はゴミ袋が見えないようになっていて、バーカウンターの下から取り外すことができます」
リビングルーム側から見たバーカウンターのスツールの上あたりにゴミ捨てハッチがご確認いただけるでしょう。バーカウンターの長さは約145センチメートル、幅は約30センチメートルです。
「カウンターの右側に小さな丸があるの、わかります? あれがゴミ箱です」とパニエール。「あの丸いのがゴムバルブで、その下にゴミ袋を取り付けられるようになっているので、野菜の皮や残り物などを放り込むのに便利なんです。普段はゴミ袋が見えないようになっていて、バーカウンターの下から取り外すことができます」
リビングルーム側から見たバーカウンターのスツールの上あたりにゴミ捨てハッチがご確認いただけるでしょう。バーカウンターの長さは約145センチメートル、幅は約30センチメートルです。
パニエールは住まい手である学生が希望したインテリアに強く共感しました。「初めてこの場所を訪れてあの窓を見たとき、パッとひらめいたんです。パリの中心地にあるアパルトマンの一室でありながら、まるで郊外や避暑地の住宅のような雰囲気があると感じました。そこから白を基調とした植物のあるインテリアのテーマが浮かびました。住まい手の若い女性にも気に入ってもらえましたよ」とパニエールは話します。
新しいキッチンは太陽の光を浴びる「泡に包まれた自然」のように見えると、彼女は言います。カウンター下のキャビネットにはラミネート加工したグリーンの扉が、吊りキャビネットには光沢のある白いガラスの扉がついています。もともとあったテラコッタの床は、この部屋の歴史を語る貴重な痕跡として残しましたが、梁と壁を白く塗ることで部屋全体が明るくなりました。
バースツール:トリックス、キッチンキャビネット:ルロワ・メルラン、バンブー・ペンダントライト:ブルーミングヴィル
新しいキッチンは太陽の光を浴びる「泡に包まれた自然」のように見えると、彼女は言います。カウンター下のキャビネットにはラミネート加工したグリーンの扉が、吊りキャビネットには光沢のある白いガラスの扉がついています。もともとあったテラコッタの床は、この部屋の歴史を語る貴重な痕跡として残しましたが、梁と壁を白く塗ることで部屋全体が明るくなりました。
バースツール:トリックス、キッチンキャビネット:ルロワ・メルラン、バンブー・ペンダントライト:ブルーミングヴィル
アフター:パニエールはこのキャビネットの代わりに、背の高いキャビネットを2つ用意し、ひとつは玄関側に、もうひとつはバスルーム側に扉が開くよう設置しました。キャビネットの一部に電気のメーターと掃除機、アイロンが収納されています。奥行きが約34センチメートルある部分には衣類を収納しています。
狭いキッチンの収納アイデアを見る
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スペースを広く見せ、住まい手が身だしなみを確認できるように、キャビネットには鏡を取り付けました。
今回のリノベーションのもうひとつの目標が「空間の直線性を壊し、この部屋を訪れたゲストの方向感覚を少し狂わせるような遊びを取り入れること」だったとパニエールは話します。ここの鏡を設置したことで、特に扉が開いているときに新たな視線の方向性が生まれ、空間を視覚的に再配置するダブルフレーミングが起こる楽しさがあります。
今回のリノベーションのもうひとつの目標が「空間の直線性を壊し、この部屋を訪れたゲストの方向感覚を少し狂わせるような遊びを取り入れること」だったとパニエールは話します。ここの鏡を設置したことで、特に扉が開いているときに新たな視線の方向性が生まれ、空間を視覚的に再配置するダブルフレーミングが起こる楽しさがあります。
パニエールはバスルームの間仕切りを移動させ、スクリーニョ(Scrigno)のポケットドアを取り付けました。このモデルの取り付けには、厚さ約11.5センチメートルの壁が必要です。
住まい手である学生は、小さな固定式のデスクにパソコンを置いています。このデスクは約70センチメートル×44.5センチメートルのラミネート加工を施した黒い棚板から作ったもので、ティップトー(Tiptoe)のテーブル脚で支えられています。壁から張り出した照明が一角を照らしています。
左側を見ると、色を塗ったMDFでできた特注のウォールユニットがあり、収納とインテリア小物を置くスペースとなっています。低い部分はテレビ台として使用する一方で、壁のくぼみにはテレビやインターネット接続で使用するルーターやメディアサーバーを収納しています。
住まい手である学生は、小さな固定式のデスクにパソコンを置いています。このデスクは約70センチメートル×44.5センチメートルのラミネート加工を施した黒い棚板から作ったもので、ティップトー(Tiptoe)のテーブル脚で支えられています。壁から張り出した照明が一角を照らしています。
左側を見ると、色を塗ったMDFでできた特注のウォールユニットがあり、収納とインテリア小物を置くスペースとなっています。低い部分はテレビ台として使用する一方で、壁のくぼみにはテレビやインターネット接続で使用するルーターやメディアサーバーを収納しています。
白い壁と薄いグレーのモロッカンタイルに照らされて、新しいバスルームは以前よりもずっとモダンな空間となりました。
残念ながら、写真にはテラゾのおしゃれな床が写っていませんが。「住まい手の若い女性は、シンプルで実用的なもの、特にニッチ(壁のくぼみを利用した収納棚)のあるシャワーを希望していました」とデザイナーは言います。
残念ながら、写真にはテラゾのおしゃれな床が写っていませんが。「住まい手の若い女性は、シンプルで実用的なもの、特にニッチ(壁のくぼみを利用した収納棚)のあるシャワーを希望していました」とデザイナーは言います。
約70センチメートル×100センチメートルのシャワールームを作ったことで、小さなバスルームの床面積の一部を自由に使えるようになり、クローゼットをもうひとつ設置することができました。空間を最大まで広げ、住まい手である学生のリクエストどおりニッチを作るために、デザイナーは建物の配管設備についても熟知する必要がありました。
パニエールはさらに、トイレの上に極薄で21ガロン(約80リットル)の容量のある給湯器を取り付けました。改装前の丸い給湯器はキッチンにあり(次の写真を参照)、目障りだから、とクライアントは撤去したがっていました。
パニエールはさらに、トイレの上に極薄で21ガロン(約80リットル)の容量のある給湯器を取り付けました。改装前の丸い給湯器はキッチンにあり(次の写真を参照)、目障りだから、とクライアントは撤去したがっていました。
ビフォー:かつてキッチンがあり、今はベッドルームとなっているエリア。この場所のデザインももうひとつの課題でした。「住まい手である彼女は大きなベッド、クローゼット、2台めのテレビと、特徴のあるインテリアを希望していました」とパニエールは話します。
インテリアデザイナーの手を借りて完成させたいプロジェクトがありますか?こちらから探せます
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アフター:ガラスのパーテーションの反対側には、広さが約230センチメートル×198センチメートルのベッドルームがあります。左側に取り付けたクローゼットはベッドの上まで続いていて、より多くの収納スペースを確保しています。このようにベッドのまわりを囲むフレームになっています。壁紙に描かれたボタニカル柄がヘッドボードに活気を与え、リビングルームからの美しい眺めを作り出しています。
パニエールにとって は、2台目のテレビをどこに置くかが課題でした。収納ユニット(ガラスのパーテーションの隣)のベッドルーム側に(幅が約60センチメートルの)壁があるのですが、ガラスがあるせいで、リビングルーム側から見えないようにテレビを吊り下げるには幅が足りませんでした」とパニエールは説明します。
「最終的に、幅の狭い壁に合わせてテレビを縦にしておける調節可能なアームを見つけました。テレビを観るときには、ベッドの足元で縦から横へテレビを回転させることができるものです」
パニエールにとって は、2台目のテレビをどこに置くかが課題でした。収納ユニット(ガラスのパーテーションの隣)のベッドルーム側に(幅が約60センチメートルの)壁があるのですが、ガラスがあるせいで、リビングルーム側から見えないようにテレビを吊り下げるには幅が足りませんでした」とパニエールは説明します。
「最終的に、幅の狭い壁に合わせてテレビを縦にしておける調節可能なアームを見つけました。テレビを観るときには、ベッドの足元で縦から横へテレビを回転させることができるものです」
アフター:もともとあった、カントリーハウスを連想させるデザインの2つの窓が、ソファ、アームチェア、コーヒーテーブルが置かれた新しいリビングにたくさんの光を注いでくれます。
アームチェア: AM.PM、コーヒーテーブル:ラルドゥート・インテリア
フレンチカントリースタイルの写真を見る
アームチェア: AM.PM、コーヒーテーブル:ラルドゥート・インテリア
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「私自身が収納マニアなので、収納付きのベンチを追加するように提案しました。このベンチのシート部分には、ジャングル風の生地を使用しています」とパニエールは言います。
ナチュラルなインテリアの仕上げには、バンブー・ペンダントライトのそばにファイバープランターを置き、その中に観葉植物のクワズイモを入れ、小さなサボテンとサボテン型の花瓶を飾りました。
バンブー・ペンダントライト:ブルーミングヴィル
ナチュラルなインテリアの仕上げには、バンブー・ペンダントライトのそばにファイバープランターを置き、その中に観葉植物のクワズイモを入れ、小さなサボテンとサボテン型の花瓶を飾りました。
バンブー・ペンダントライト:ブルーミングヴィル
「ビフォー」の間取り図。左上から時計回りに:キッチン、バスルーム、リビングルーム、ベッドルーム
「とても面白いプロジェクトでした。オーナー夫婦は自分たちの希望をしっかりと考え、望む条件を厳密に満たすことを求めていました。そのおかげで高いレベルのクリエイティブが生まれました。狭小スペースのデザインはとても難しいですが、だからこそ好きなんです」とパニエールは語ります。
「とても面白いプロジェクトでした。オーナー夫婦は自分たちの希望をしっかりと考え、望む条件を厳密に満たすことを求めていました。そのおかげで高いレベルのクリエイティブが生まれました。狭小スペースのデザインはとても難しいですが、だからこそ好きなんです」とパニエールは語ります。
「アフター」の間取り図。左上から時計回りに:ベッドルーム、玄関、キッチン、リビングルーム
住まい手である学生はどうかって? おしゃれな新居を大変気に入っているそうです。
インテリアデザイナーを探すならこちらから
本場の事例から学ぶ!フレンチカントリーインテリアのヒント
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