タッセルやフリンジを取り入れてエレガントなインテリアに
カーテンやクッション、ベッドスプレッドなどオーダーメイドアイテムの仕上げに欠かせないタッセルやフリンジは、長い歴史をもつインテリア装飾。16世紀フランスで発展した「パスモントリー」のエレガントな魅力を紹介。
最近小さなタッセルがインテリアのみならずファッションアクセサリーとしても人気のようで、イヤリングなどをよく見かけます。これらタッセル、フリンジ、トリミング、ブレードなど、糸やビーズを使ったファブリックアイテムの装飾を総称して「パスモントリー」と呼びます。その歴史は大変古く、すでに古代の中東などでラクダやロバのためのアクセサリーや装飾として使われていました。その後、聖職者の正装、軍人の制服、王室や貴族階級の服やインテリアに用いられるようになり、主に特権階級のためのアイテムとして豪華なデザインに発展していきました。今回は、エレガントなインテリアを演出するパスモントリーの歴史と種類をご紹介します。
パスモントリーの歴史
フランスの伝統工芸といえる地位を確立したパスモントリーは、王室や貴族のファッションやインテリアをより豪華に美しく見せる装飾として、熟練の職人(パスモンティエ)が技を競うようにしてさらに発展していきました。その優雅で緻密なデザインはほぼ芸術品の域といえるもので、職人たちは王族や貴族のお膝元に小さな工場を持ち、クライアントの皇族や貴族が住むパリを中心として活動します。
フランスの伝統工芸といえる地位を確立したパスモントリーは、王室や貴族のファッションやインテリアをより豪華に美しく見せる装飾として、熟練の職人(パスモンティエ)が技を競うようにしてさらに発展していきました。その優雅で緻密なデザインはほぼ芸術品の域といえるもので、職人たちは王族や貴族のお膝元に小さな工場を持ち、クライアントの皇族や貴族が住むパリを中心として活動します。
王侯貴族の富の象徴として
この時代、イタリアからフランスにお輿入れしたマリー・ド・メディシス(1574〜1642)の肖像画を見ると、銀糸の刺繍を施した厚いブレードが胸からドレスの裾まで付けられています。油彩で描くのは大変だったろうと思われる実に細かい手作業を施したデザインが表現されています。16世紀のフランドル地方(オランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にかけての地域)で作られた豪華なレースがそうだったように、フランスではパスモントリーが王族や貴族の富の象徴でした。
この時代、イタリアからフランスにお輿入れしたマリー・ド・メディシス(1574〜1642)の肖像画を見ると、銀糸の刺繍を施した厚いブレードが胸からドレスの裾まで付けられています。油彩で描くのは大変だったろうと思われる実に細かい手作業を施したデザインが表現されています。16世紀のフランドル地方(オランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にかけての地域)で作られた豪華なレースがそうだったように、フランスではパスモントリーが王族や貴族の富の象徴でした。
Inspiration. Spring 2016
正式に認可された職人たち
16世紀のフランスで、パスモントリーの職人組合(ギルド)が正式に発足しました。その組合からパスモンティエとして正式に認められるまでには、7年の修業が必要だったそうです。まずタッセルを作る基礎から始まり、シンプルなものから周りにポンポンやフリンジのついた複雑な装飾を自分なりに考えるという過程を経て、より凝ったアーティスティックなデザインや製作を学んでいきました。
16世紀のフランスで、パスモントリーの職人組合(ギルド)が正式に発足しました。その組合からパスモンティエとして正式に認められるまでには、7年の修業が必要だったそうです。まずタッセルを作る基礎から始まり、シンプルなものから周りにポンポンやフリンジのついた複雑な装飾を自分なりに考えるという過程を経て、より凝ったアーティスティックなデザインや製作を学んでいきました。
フレンチアンティークのお宝アイテム
パスモントリーは当初、機織りと手作業で作られていましたが、産業革命時代になると部分的に機械製作が可能となり、さらに発展していきました。19世紀頃にはその緻密さと豪華さはピークを迎えます。フランスの蚤の市で時々、この時代に作られたカーテン用タッセルを見かけますが、今では再現不可能な手の込んだ技術で作られています。他の国ではお目にかかれない、フレンチアンティークならではのお宝といえます。
ここからは、主要なパスモントリーの特徴についてご説明します。
パスモントリーは当初、機織りと手作業で作られていましたが、産業革命時代になると部分的に機械製作が可能となり、さらに発展していきました。19世紀頃にはその緻密さと豪華さはピークを迎えます。フランスの蚤の市で時々、この時代に作られたカーテン用タッセルを見かけますが、今では再現不可能な手の込んだ技術で作られています。他の国ではお目にかかれない、フレンチアンティークならではのお宝といえます。
ここからは、主要なパスモントリーの特徴についてご説明します。
タッセル
タッセルはご存じの通り、シルクなどの細い糸や紐などを束ねて先端をくくり、下の方を房状に垂らす作りの装飾です。カーテンやショールの端、鍵などを飾るものとしてよく知られています。ボリュームと長さをたっぷりとったシルクのカーテンとタッセルは切っても切れない関係。カーテンのドレープをきれいに出すために欠かせない小道具であり、カーテンと同系色や反対色のシルク糸を使ったタッセルは、極上のスタイリングを楽しめるアクセサリーです。
タッセルはご存じの通り、シルクなどの細い糸や紐などを束ねて先端をくくり、下の方を房状に垂らす作りの装飾です。カーテンやショールの端、鍵などを飾るものとしてよく知られています。ボリュームと長さをたっぷりとったシルクのカーテンとタッセルは切っても切れない関係。カーテンのドレープをきれいに出すために欠かせない小道具であり、カーテンと同系色や反対色のシルク糸を使ったタッセルは、極上のスタイリングを楽しめるアクセサリーです。
タッセルは、シンプルなものから写真のような小さなタッセルがさらについたもの、色の異なったコードを複雑に巻いたものなど、いろいろなグレードやタイプがあります。近年はビーズを使ったコンテンポラリーなデザインも増えています。
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この写真のタッセルのカーテンを束ねている紐の部分は、綱引きの綱のように反対側に巻いた糸の束をまた撚ったもので「コードツイスティング」と呼ばれ、パスモントリー装飾によく使われます。写真のタッセルは房の部分もコードツイスティングですが、このタイプは「ブリオンフリンジ」と呼ばれ、カーテンや軍服の肩に付いている装飾としてポピュラーです。
ボブル、ボールタッセル
写真のように、シルクの糸を巻きつけて作った丸い装飾は、クリスマスのボールの飾りと同じく「ボブル」、または「ボールタッセル」とも呼ばれます。
写真のように、シルクの糸を巻きつけて作った丸い装飾は、クリスマスのボールの飾りと同じく「ボブル」、または「ボールタッセル」とも呼ばれます。
Wendy Cushing Designs
ロゼット
こちらはバラを模倣したロゼットといわれる装飾で、主にクッションの中央のボタンやボルスタークッション(円筒形のクッション)の両サイドのボタンとしてよく使われます。16世紀頃にはドレスのボタンとして刺繍やビーズがあしらわれたものが存在しており、そこから発展した飾りです。
こちらはバラを模倣したロゼットといわれる装飾で、主にクッションの中央のボタンやボルスタークッション(円筒形のクッション)の両サイドのボタンとしてよく使われます。16世紀頃にはドレスのボタンとして刺繍やビーズがあしらわれたものが存在しており、そこから発展した飾りです。
フリンジ
「フリンジ」とは英語で前髪のこと。その名の通り、布の端に糸やビーズが前髪状に垂れ下がっている房のような装飾をフリンジと呼びます。
「フリンジ」とは英語で前髪のこと。その名の通り、布の端に糸やビーズが前髪状に垂れ下がっている房のような装飾をフリンジと呼びます。
Stately Home, private suite
ブレード
糸やビーズなどで編み込まれたテープ状の紐を「ブレード」と呼びます。パスモントリーのブレード作りの技術は、組み紐や手芸のリリアンの要領で糸を交差しながら編み込んでいくものです。
こういったフリンジやブレードを総称してトリミング、またはトリムと呼び、布の端を隠したり糸の処理、家具に使われた釘などを隠しきれいに見せる大切な役目を果たします。
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Antique French Passementerie Trim
昔ながらのパスモントリーの技術を駆使したトリミングの中には、大変複雑な構造をしているものがたくさんあります。たとえば写真のヴィンテージのフリンジは、テープのブレードの部分とコードで作られるフリンジ、としてタッセルのようなボールの3つで構成されています。機織りでブレードの部分を織りながらそれと同時に糸を組んだコードも織り込み、ボールもつけるという気の長い作業を繰り返すのです。
トリミングには、糸がきっちりと巻かれたコードがよく使われています。デザインによっては糸を巻きながら同時に機織り機で編み込んでいく熟練されて手作業が必要とされます。あまりに複雑で現代の機械では作ることができないため、今でも昔ながらの機織りによる手仕事で作られるものが多くあります。機織りを動かす技術も大切で、早く一定したリズムによって織り込むことでクオリティが安定します。
パスモントリーの装飾を使う効果
パスモントリーの魅力は、シンプルなカーテンやクッションなどのファブリックアイテムを、小さくても豪華な装飾をプラスすることにより、華やかにデザインできること。アクセントとしてタッセルやフリンジ、トリミングをプラスすることによって、比較的リーズナブルにインテリアをグレードアップできるのです。
パスモントリーの魅力は、シンプルなカーテンやクッションなどのファブリックアイテムを、小さくても豪華な装飾をプラスすることにより、華やかにデザインできること。アクセントとしてタッセルやフリンジ、トリミングをプラスすることによって、比較的リーズナブルにインテリアをグレードアップできるのです。
日本にも帯締めという糸を使った素晴らしい伝統工芸があり、その繊細な美しさはパスモントリーに通じるものがあります。日本の伝統工芸と同様に、熟練の手作業が必要とされる装飾アイテムの宿命として、ヨーロッパでも職人の手によって作られるパスモントリーのアイテムは年々減ってきており、ロンドンではこの分野で残っているのはたった1社になってしまったそうです。この歴史ある小さな装飾のことを知り、もっとインテリアに取り入れていただければと願っています。
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シルクやコットンの糸を使ったタッセルやトリミング、または金や銀糸、ビーズ、刺繍を用いたボタンなど、主にドレスやインテリア小物の装飾に使われる装飾品を「パスモントリー」と呼びます。16世紀のフランス、リヨンで絹織物産業が発展するとともにこのパスモントリー業界も発展し、同じ16世紀、フランスでは1つの職業として認められます。