秋らしいオーナメンタルグラスを自宅の庭に取り入れよう
育てやすいオーナメンタルグラスで、グラスガーデンをつくってみましょう。
舩村佳織
2022年9月7日
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています。
二児の子育て中でもあり、家族みんなが楽しめる庭造りが得意です。設計者として、主婦としての目線から、暮らしやすさに寄り添います。
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています... もっと見る
オーナメンタルグラスと呼ばれる植物をご存知でしょうか? この言葉を聞いたことがなくても、日本に住んでいてオーナメンタルグラスを見たことがない方はいないはずです。日本ならどこにでもありふれているような、雑草と呼ばれているような植物がオーナメンタルグラスと呼ばれて世界のガーデンシーンを彩っています。オーナメンタルグラスがどのように使われているのか、世界の美しいグラスガーデンをのぞいてみましょう。
オーナメンタルグラスとは
オーナメンタルは「装飾的な」、グラスは「草、イネ科の植物」という意味を持つ英語です。つまり、装飾的に利用されるイネ科の植物をオーナメンタルグラスと呼んでいるのです。実際はイネ科の植物に限らず、細長い葉を持つカヤツリグサ科などの草本植物もグラス類と呼ばれることが多いです。
オーナメンタルは「装飾的な」、グラスは「草、イネ科の植物」という意味を持つ英語です。つまり、装飾的に利用されるイネ科の植物をオーナメンタルグラスと呼んでいるのです。実際はイネ科の植物に限らず、細長い葉を持つカヤツリグサ科などの草本植物もグラス類と呼ばれることが多いです。
日本には多くのイネ科の植物が自生しており、多くは「雑草」として扱われています。使われていない空地があれば、そこには必ずイネ科の植物が進出してきていることでしょう。放っておいても生えてくるということは、それだけ環境が適しているということ。日本の環境によく合う植物を選べば、管理は非常に容易で、植物本来の美しさを楽しめます。
我々には雑草にも見えるグラス類はどのようにすれば「装飾的」に扱えるのでしょうか。どんな植物がどのように使われているのか、実際のグラスガーデンを見てみましょう。
我々には雑草にも見えるグラス類はどのようにすれば「装飾的」に扱えるのでしょうか。どんな植物がどのように使われているのか、実際のグラスガーデンを見てみましょう。
チカラシバ(ペニセタム)
日本全国道端で見つけられるイネ科の植物です。抜こうとすると強い力が必要なためチカラシバと呼ばれています。それだけ厄介な雑草として扱われてきました。園芸用品種として改良されたものは学名のペニセタムと呼ばれて流通しています。こちらの名前はご存知の方も多いのではないでしょうか?
園芸用品種ではないチカラシバは一年中放っておいても、どんな場所でも育つ強健な植物です。地下茎は短くこんもりと大きな株に育ちます。春から夏の間は何の変哲もないような緑の葉ですが、花の間に植えると植栽に動きをプラスします。そして秋になると輝く穂を出し、ガーデンを秋色に演出します。ルドベキアのような草原を思わせる花と一緒に植えると相性抜群。
日本全国道端で見つけられるイネ科の植物です。抜こうとすると強い力が必要なためチカラシバと呼ばれています。それだけ厄介な雑草として扱われてきました。園芸用品種として改良されたものは学名のペニセタムと呼ばれて流通しています。こちらの名前はご存知の方も多いのではないでしょうか?
園芸用品種ではないチカラシバは一年中放っておいても、どんな場所でも育つ強健な植物です。地下茎は短くこんもりと大きな株に育ちます。春から夏の間は何の変哲もないような緑の葉ですが、花の間に植えると植栽に動きをプラスします。そして秋になると輝く穂を出し、ガーデンを秋色に演出します。ルドベキアのような草原を思わせる花と一緒に植えると相性抜群。
ススキ
こちらもイネ科の植物。知らない人はいないのではないでしょうか。秋の七草のひとつで、尾花とも呼ばれ、まさに日本の秋を代表する植物です。
花壇に他の植物と混植するのも良いですが、ススキだけを列植するとこんなにインパクトがある景色がつくれます。シンプルな家にはこんなシンプルな植栽はいかがでしょうか? 冬には地上部が枯れてしまいますが、枯れススキも独特の風情があります。もちろん穂を楽しんだ後に刈り取ってもよいですが、その場合はススキの植栽の中に石組みを忍ばせるというテクニックがあります。ススキを刈り取ったあとは石組みの庭になるというアイデアです。グラスガーデンを楽しむためのアイデアとして覚えておくとよいでしょう。
こちらもイネ科の植物。知らない人はいないのではないでしょうか。秋の七草のひとつで、尾花とも呼ばれ、まさに日本の秋を代表する植物です。
花壇に他の植物と混植するのも良いですが、ススキだけを列植するとこんなにインパクトがある景色がつくれます。シンプルな家にはこんなシンプルな植栽はいかがでしょうか? 冬には地上部が枯れてしまいますが、枯れススキも独特の風情があります。もちろん穂を楽しんだ後に刈り取ってもよいですが、その場合はススキの植栽の中に石組みを忍ばせるというテクニックがあります。ススキを刈り取ったあとは石組みの庭になるというアイデアです。グラスガーデンを楽しむためのアイデアとして覚えておくとよいでしょう。
ススキの園芸品種タカノハススキは、葉に縞模様の斑が入ったものです。縞模様がスタイリッシュな印象があるため、ナチュラルなテイストだけでなく、モダンな植栽計画にも良く合います。
窒素分を多く与えると縞模様が消えてしまうので、基本的に管理は無施肥で行います。
窒素分を多く与えると縞模様が消えてしまうので、基本的に管理は無施肥で行います。
パニカム
イネ科キビ属の植物を学名でパニカムと言います。日本にもキビは自生していますが、欧米で作出されたカラーリーフが美しい園芸品種を指す場合はパニカムという名前が使われることが多いです。園芸品種とはいえ非常に強く、どんな土壌でも育ちます。
写真はパニカム・シェナンドア。葉先が赤く染まるカラーリーフです。花壇の色彩にちょっと彩りが欲しいときに、効果的に使える植物です。背が高くなるので、花壇の後方に植えると良いでしょう。
イネ科キビ属の植物を学名でパニカムと言います。日本にもキビは自生していますが、欧米で作出されたカラーリーフが美しい園芸品種を指す場合はパニカムという名前が使われることが多いです。園芸品種とはいえ非常に強く、どんな土壌でも育ちます。
写真はパニカム・シェナンドア。葉先が赤く染まるカラーリーフです。花壇の色彩にちょっと彩りが欲しいときに、効果的に使える植物です。背が高くなるので、花壇の後方に植えると良いでしょう。
パンパスグラス
この大きなススキのような植物はパンパスグラスというイネ科の植物です。南アメリカやニュージーランドに自生しています。ススキよりも大型で、存在感抜群です。秋に出る穂も大型でススキよりもフワフワとボリュームがあり、一株あれば庭の主役になること間違いなしです。
パンパスグラスは広い草原に自生しており、日当たりの良い環境を好みます。高木の下などに植えるのではなく、パンパスグラスが一番大きくなるような植栽計画にするとよいでしょう。
この大きなススキのような植物はパンパスグラスというイネ科の植物です。南アメリカやニュージーランドに自生しています。ススキよりも大型で、存在感抜群です。秋に出る穂も大型でススキよりもフワフワとボリュームがあり、一株あれば庭の主役になること間違いなしです。
パンパスグラスは広い草原に自生しており、日当たりの良い環境を好みます。高木の下などに植えるのではなく、パンパスグラスが一番大きくなるような植栽計画にするとよいでしょう。
ミューレンベルギア
こちらはアメリカ大陸原産の植物。品種によって常緑のものと落葉性のものとありますが、暑さにも寒さにも強い多年草です。
春から夏の硬く細い葉も美しいですが、やはり一番の見ごろは秋の穂です。霧のように細かい穂が不思議な魅力を発揮します。
この質感を生かすため、リュウゼツラン科のアガベなどのような硬い葉を持つものと植えると、お互いの良さを引き立て合い、他には無いユニークな庭になりますよ。
こちらはアメリカ大陸原産の植物。品種によって常緑のものと落葉性のものとありますが、暑さにも寒さにも強い多年草です。
春から夏の硬く細い葉も美しいですが、やはり一番の見ごろは秋の穂です。霧のように細かい穂が不思議な魅力を発揮します。
この質感を生かすため、リュウゼツラン科のアガベなどのような硬い葉を持つものと植えると、お互いの良さを引き立て合い、他には無いユニークな庭になりますよ。
スティパ
別名エンジェルヘアーとも呼ばれるスティパ。草姿を見ればその別名も納得です。とても繊細で輝くような細葉はまさに天使の髪の毛です。しなやかな葉は、他の植物にはない独特のエレガントさがあります。
冬になると地上部は枯れますが、枯れた草をそのままにしておいても十分美しいです。
写真のように単体で利用してもとっても魅力的ですが、メドウガーデンに使われるような草花の間を埋めるようにスティパを入れても効果的な植栽として役立つでしょう。
別名エンジェルヘアーとも呼ばれるスティパ。草姿を見ればその別名も納得です。とても繊細で輝くような細葉はまさに天使の髪の毛です。しなやかな葉は、他の植物にはない独特のエレガントさがあります。
冬になると地上部は枯れますが、枯れた草をそのままにしておいても十分美しいです。
写真のように単体で利用してもとっても魅力的ですが、メドウガーデンに使われるような草花の間を埋めるようにスティパを入れても効果的な植栽として役立つでしょう。
フェスツカ・グラウカ
草丈は20~50センチ程度の小型のオーナメンタルグラスです。青灰色の葉は常緑で、カラーリーフとして庭のアクセントになります。株の中心から放射状に葉が伸びるので、ウニのようにも見える独特な形状をしています。
背が高くならないので、花壇の手前に植える植物として利用しましょう。直線的なフォルムがモダンな庭とよく合います。ある程度まとめて植えることで、ボリュームが出て存在感が増します。一株ずつ単体で見るよりも、集団としてのフォルムを意識すると良いです。
草丈は20~50センチ程度の小型のオーナメンタルグラスです。青灰色の葉は常緑で、カラーリーフとして庭のアクセントになります。株の中心から放射状に葉が伸びるので、ウニのようにも見える独特な形状をしています。
背が高くならないので、花壇の手前に植える植物として利用しましょう。直線的なフォルムがモダンな庭とよく合います。ある程度まとめて植えることで、ボリュームが出て存在感が増します。一株ずつ単体で見るよりも、集団としてのフォルムを意識すると良いです。
グラス類は常緑のものもありますが、宿根性で冬は地上部が枯れてしまうものがほとんどです。その冬の枯れ姿もグラスの美しさの一つ。そのまま楽しんでも良いですが、気になる場合は根本から刈り取ってしまいましょう。冬の枯れ姿を楽しむ場合も、春の芽吹き前に一度ばっさりと刈り取り、新しい葉に更新するようにします。
強健で育てやすいグラス類。こんなに素敵な植物を使わない手はありません。庭の植栽が豊かにする植栽材料として、とってもおすすめです。これからの季節はグラス類がひときわ美しい季節。オーナメンタルグラスの美しさをぜひ再発見してください。
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