コメント
光を消した照明器具は「アートピース」。「フォーカルポイント」として活かす楽しみ方
照明器具を、消灯時にもインテリア空間を彩る存在として考えると、視点が変わります。「デザイン自体がアートピース」といえるものを選んでみませんか。
新貝裕美|Hiromi Shinkai
2018年9月17日
私たちが日々使っている照明器具。一日のうち、点灯している時間と消灯している時間はどちらが長いでしょう? 点灯するのは夕方から就寝までと考えると、実は消灯している時間の方が長くなります。それならば、消灯時にも照明器具がインテリア空間を美しく彩る存在になると、生活がより楽しくなるのではないでしょうか。そこで、照明器具を空間におけるフォーカルポイント、いわば「光を放つアートピース」ととらえてみましょう。さまざまな名作デザインの照明と、取り付け方法でアートのように見せる例を挙げながら紹介します。
アートピースとしても楽しめる、名作デザインの数々
空間に足を踏み入れたとき、最初に視線が行く、つまりフォーカルポイントとしての役割を果たす照明を選ぶのはおすすめの方法です。写真は、〈ルイスポールセン〉の《PH SNOWBALL》。シェードの内面はマット仕上げ、外面は光沢仕上げに塗り分けられており、美しい陰翳を演出する照明器具として、世界中で愛されています。
空間に足を踏み入れたとき、最初に視線が行く、つまりフォーカルポイントとしての役割を果たす照明を選ぶのはおすすめの方法です。写真は、〈ルイスポールセン〉の《PH SNOWBALL》。シェードの内面はマット仕上げ、外面は光沢仕上げに塗り分けられており、美しい陰翳を演出する照明器具として、世界中で愛されています。
8枚の羽は、光源が見えないように設計されているので、眩しくないのも特長。点灯時はその美しい光の陰翳を楽しみ、消灯時は機能的で美しいデザインそのものが、空間内のフォーカルポイントになります。
こちらもあわせて
名作家具:ポール・ヘニングセンがデザインした照明《PH》シリーズのタイムレスな魅力
こちらもあわせて
名作家具:ポール・ヘニングセンがデザインした照明《PH》シリーズのタイムレスな魅力
イサム・ノグチの《AKARI》〈Ozeki〉は、和紙の質感と障子を通したような優しい光、立体的なフォルムを持つ、まさに光の彫刻といえる照明器具です。消灯時にももちろんアートピースとしての役割をしっかりと果たし、フォーカルポイントとなる照明器具の代表といえます。
こちらもあわせて
北欧スタイルからDIYまで、ペーパーランタンの楽しみ方
こちらもあわせて
北欧スタイルからDIYまで、ペーパーランタンの楽しみ方
〈FLOS〉の《IC LIGHTS T》は、乳白色のガラスシェードと細い本体の組み合わせが特徴。ジャグリングからインスピレーションを得たデザインは、大きなシェードと本体の細さが一種危うげなバランスを保ち、空間に心地よい緊張感を与えます。
ドイツ人デザイナー、インゴ・マウラーデザインの《Birds Birds Birds》は、低電圧白熱電球に羽がついた《Lucellino》を24個使って構成されたシャンデリア。まるで、小鳥が一斉に飛び出したようなイメージです。ひとつひとつ自由に曲げて、好みの形にすることが可能です。
こちらもあわせて
現代の名作デザイン:インゴ・マウラーの照明
こちらもあわせて
現代の名作デザイン:インゴ・マウラーの照明
こちらは、近代建築を代表する建築家、フランク・ロイド・ライトのデザインによる《タリアセン2》〈YAMAGIWA〉。ライト建築の特徴として挙げられる幾何学的デザインと空間の連続性を連想させるフロアスタンドです。光源が入ったボックスの下に反射板があり、反射した光による心地よい間接照明が楽しめます。
こちらもあわせて
名作照明:フランク・ロイド・ライトの《タリアセン》シリーズ
こちらもあわせて
名作照明:フランク・ロイド・ライトの《タリアセン》シリーズ
〈FLOS〉の《MAYDAY》は、取っ手部分がフックになっているので、さまざまな場所に引っかけて使用することもできます。軽いので持ち運びにも便利です。
〈レ・クリント〉の《172》は、プラスチックペーパーを規則的に折り上げた手作りのランプシェードが特徴。光と影を生み出すその美しいデザインは、北欧デザインを代表するプロダクトのひとつです。
こちらもあわせて
名作照明:〈レ・クリント〉のペンダントシェード
こちらもあわせて
名作照明:〈レ・クリント〉のペンダントシェード
シンプルな照明の多灯吊りも効果的
取り付け方法の工夫によっても、照明器具をフォーカルポイントにすることができます。たとえば、シンプルな照明を多灯吊りすることで、アートのような印象に。その場合、均等に配置するのではなく、同じ素材とデザインの照明器具でいくつかの集合体をつくって配置するのがおすすめです。
取り付け方法の工夫によっても、照明器具をフォーカルポイントにすることができます。たとえば、シンプルな照明を多灯吊りすることで、アートのような印象に。その場合、均等に配置するのではなく、同じ素材とデザインの照明器具でいくつかの集合体をつくって配置するのがおすすめです。
吹き抜けに取り付ける際は、コードの長さに長短をつけると、空間にリズムが出てきます。
素材、フォルム、色の組み合わせを試す
素材やフォルム、そして色を揃えることで、照明器具にアートピースやフォーカルポイントの役割をもたせることができます。写真は、同じフォルムと素材で色を変えた例です。
横一列に連灯している場合は、コードの長さを揃えることが多いですが、あえてバラつきをもたせるとそこに目が留まり、フォーカルポイントとして成立します。また、異なった色を並べることで、モノトーンが基調の空間に華やかさをプラスします。
素材やフォルム、そして色を揃えることで、照明器具にアートピースやフォーカルポイントの役割をもたせることができます。写真は、同じフォルムと素材で色を変えた例です。
横一列に連灯している場合は、コードの長さを揃えることが多いですが、あえてバラつきをもたせるとそこに目が留まり、フォーカルポイントとして成立します。また、異なった色を並べることで、モノトーンが基調の空間に華やかさをプラスします。
こちらは同じ色と素材ですが、フォルムの異なる照明器具を連続させています。統一感を保ちつつ空間に変化を与える効果があります。
色と素材を揃え、フォルムが異なるものを組み合わせても素敵です。アジアの伝統的な水差しや調理用鍋にインスピレーションを受けた、トム・ディクソンデザインの《BEAT》。サイズが大きなシェードの両脇に、少し小ぶりな同じデザインを配置することで、3台の照明器具が1つの器具のようにまとまって見えます。
こちらもあわせて
現代の名作デザイン:〈トム・ディクソン〉の《ビート ペンダント ライト》
こちらもあわせて
現代の名作デザイン:〈トム・ディクソン〉の《ビート ペンダント ライト》
毎日、何気なく使っている照明器具。光を放つ夜と光が消える日中では、違う表情があります。このように視点を変えると、空間に彩りを添える「アートピース」となり、「フォーカルポイント」として空間に彩りや変化を与えてくれます。今、目の前にある照明器具にはどのような表情があるでしょう。ぜひ探してみてください。
こちらもあわせて
名作デザイン:注目を集める現代の名作照明15選
照明の専門家を探す
照明に関する記事をもっと読む
こちらもあわせて
名作デザイン:注目を集める現代の名作照明15選
照明の専門家を探す
照明に関する記事をもっと読む
おすすめの記事
インテリア
照明のコーディネートをプロに依頼するメリットとは?
文/藤間紗花
住まいの印象を大きく左右する照明のコーディネート。プロに依頼すると、どのくらいの予算が必要となるのでしょう? 3人の専門家にお話を伺いました。
続きを読む
リビングの記事
住まいの印象を大きく変える、ダウンライトの使い方まとめ
文/藤間紗花
複数使うことで空間に陰影をつくり、スタイリッシュな印象を与えてくれるダウンライト。これまでご紹介した、ダウンライトの活用法についての記事を、まとめてお届けします。
続きを読む
カラー
インテリアの色と照明の光の色の関係
文/カツウラアキツ
壁の色を選ぶ際は、昼間の自然光だけでなく、夜の照明に照らされたときの見え方を意識することも大切です。電球色、昼白色、昼光色の照明が、空間のベースカラーにもたらす影響を知っておきましょう。
続きを読む
専門家向け情報
世界が注目するJapanブランドの照明。ミラノサローネ凱旋展で見た灯りの可能性
今年60周年記念だったミラノサローネ国際家具見本市。その晩餐会を飾ったのは、日本人アーティストによるコラボレーションでした。今秋、東京でもその夢の共演が実現しました。
続きを読む