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自然に抱かれる安らぎを求めて。世界12か国別荘の旅
ニュージーランドの海岸から軽井沢、アルプスの小屋まで。各国の「別荘事情」を紹介します。
Houzz Japan
2018年8月15日
Houzz Japan 公式アカウント
世間から離れて安らぎを感じ、家族と過ごす時間。ひたすら自然と、そして自分自身と心を通わせることのできる小さな家を持つことは、世界共通の夢のようだ。
とはいえ、夢みる家の姿は決して同じではない。オーストラリアではその小さな家は山小屋の形をしている。ニュージーランドでは、安価な材料で作ったコテージで、過ぎ去った子どもの頃の記憶を呼び覚ます。ロシアでは、代々受け継がれる愛のつまった装飾が美しい木造の家だ。それと同じくらい、1年を通じて絶景を楽しめる現代的な家も人気がある。
さあ、Houzzと一緒に世界一周別荘の旅に出よう。日本の避暑地・軽井沢からデンマークの海岸まで、どんなバケーションスタイルが人気なのか見てみよう。
とはいえ、夢みる家の姿は決して同じではない。オーストラリアではその小さな家は山小屋の形をしている。ニュージーランドでは、安価な材料で作ったコテージで、過ぎ去った子どもの頃の記憶を呼び覚ます。ロシアでは、代々受け継がれる愛のつまった装飾が美しい木造の家だ。それと同じくらい、1年を通じて絶景を楽しめる現代的な家も人気がある。
さあ、Houzzと一緒に世界一周別荘の旅に出よう。日本の避暑地・軽井沢からデンマークの海岸まで、どんなバケーションスタイルが人気なのか見てみよう。
軽い家(オーストラリア)
どんなHouzz?
住まい手:子どもが2人いる家族
所在地:オーストラリア、クイーンズランド州のサンシャインコースト
規模:350平方メートルにベッドルーム×2、バスルーム×2、トイレ
設計者:ティーランド・アーキテクツ
デザイン、インテリア、建築の評論家であるカレン・マッカートニーさんによれば、オーストラリアには軽い素材で別荘を建てる伝統が昔からある。とりわけ代表的なのは、ファイブロセメントと呼ばれるセルロース繊維を混ぜたスレート板を使い、継ぎ目に押縁(おしぶち)を取り付けた海辺のコテージだ。通常トタン屋根と組み合わせる。
「このような家はとてもシンプルで、ときには持ち主が自分で建てたため、配管は簡単なつくりで、トイレは外にあることで知られています。大切なのはベランダでした。なぜなら屋外で過ごすことが、昔も今もオーストラリア人の休暇の醍醐味だからです」とマッカートニーさんは言う。「当時は何の変哲もない、土地がただ同然の場所に別荘がありました。そのため別荘は富裕層だけのものではなく、1950年代から60年代には所得レベルに関わらず多くの人が別荘を持ち、オーストラリアの田園風景の中心になっていました」
どんなHouzz?
住まい手:子どもが2人いる家族
所在地:オーストラリア、クイーンズランド州のサンシャインコースト
規模:350平方メートルにベッドルーム×2、バスルーム×2、トイレ
設計者:ティーランド・アーキテクツ
デザイン、インテリア、建築の評論家であるカレン・マッカートニーさんによれば、オーストラリアには軽い素材で別荘を建てる伝統が昔からある。とりわけ代表的なのは、ファイブロセメントと呼ばれるセルロース繊維を混ぜたスレート板を使い、継ぎ目に押縁(おしぶち)を取り付けた海辺のコテージだ。通常トタン屋根と組み合わせる。
「このような家はとてもシンプルで、ときには持ち主が自分で建てたため、配管は簡単なつくりで、トイレは外にあることで知られています。大切なのはベランダでした。なぜなら屋外で過ごすことが、昔も今もオーストラリア人の休暇の醍醐味だからです」とマッカートニーさんは言う。「当時は何の変哲もない、土地がただ同然の場所に別荘がありました。そのため別荘は富裕層だけのものではなく、1950年代から60年代には所得レベルに関わらず多くの人が別荘を持ち、オーストラリアの田園風景の中心になっていました」
地価が上昇するにつれて、このような家は、いかにも郊外風の豪華な家を建てるために消えて行きました。「海辺や田舎での新しい生活スタイルを考える代わりに、便利さを求める都会のライフスタイルをまねしたため、シンプルな生活ならではのくつろいだ雰囲気は失われてしまいました」
それでも別荘の新築やリノベーションにおいて、長年にわたって生き残り、たびたび改良された設計・建築上の要素のなかに、渡り廊下やベランダ、オープンプランのレイアウトがある。別荘では複数の世代で交流しながら共同生活を楽しむのだ。
〈ティーランド・アーキテクツ〉が設計した写真のサンシャインコーストの別荘は、元は1970年代後半に建てられたレンガ造りのビーチハウスだった。仕上げに木材、磁器タイル、コンクリートの組合せは、もっとシンプルだった時代を想起させながら耐久性もある建築要素として好まれている。
〈ティーランド・アーキテクツ〉の代表、デヴィッド・ティーランドさんは「もともと未開発地域にあったこのようなシンプルな住居には、砂を運ぶための簡単なトラックやボートでしか行けませんでした。建築材料はすべて、小さなトラックの荷台やボートに載せられるように、比較的軽量で小さくなければならなかったのです。ハードウッド、トタン屋根、スレート板は、遠くの浜や島まで簡単に運ぶことができるうえ、頑丈で、海沿いの塩害にも耐えることができました」と話す。
最近の別荘は、もっと広く、より洗練されたものになっているとティーランドさん。「沿海部の開発がさらに進み、地価が上昇し、ライフスタイルも変わりました。こういった要素はすべて、オーストラリアの海岸に立つ別荘のデザインに影響を与えています。重要なのは、それでもデザインには今でも海に近い場所ならではのカジュアルでリラックスしたビーチスタイルを可能にする力があるということです」
最近の別荘は、もっと広く、より洗練されたものになっているとティーランドさん。「沿海部の開発がさらに進み、地価が上昇し、ライフスタイルも変わりました。こういった要素はすべて、オーストラリアの海岸に立つ別荘のデザインに影響を与えています。重要なのは、それでもデザインには今でも海に近い場所ならではのカジュアルでリラックスしたビーチスタイルを可能にする力があるということです」
バッチ(ニュージーランド)
どんなHouzz?
住まい手:建築家のケン・クロッソンさんの家族4人(Kenさん込みか不明)
所在地:ニュージーランド、コロマンデル半島
規模:134平方メートル
設計者:クロッソン・アーキテクツ
ニュージーランドでは、別荘は「バッチ」と呼ばれる。従来、バッチは小さく、ファイブロライトやトタン屋根、古材のような安価な材料を使って建てられていた。また、電車の車庫、輸送用コンテナ、仮設小屋を再利用して使うこともあった。要するに、当局や法的な取り締まりほとんどないなか、小屋として使えそうなものは何でも使ったのだ。
どんなHouzz?
住まい手:建築家のケン・クロッソンさんの家族4人(Kenさん込みか不明)
所在地:ニュージーランド、コロマンデル半島
規模:134平方メートル
設計者:クロッソン・アーキテクツ
ニュージーランドでは、別荘は「バッチ」と呼ばれる。従来、バッチは小さく、ファイブロライトやトタン屋根、古材のような安価な材料を使って建てられていた。また、電車の車庫、輸送用コンテナ、仮設小屋を再利用して使うこともあった。要するに、当局や法的な取り締まりほとんどないなか、小屋として使えそうなものは何でも使ったのだ。
この〈クロッソン・アーキテクツ〉の設計によるコロマンデル半島のバッチは、「陸にわずかに乗り上げたコンテナ」というコンセプトで建てられた。大工の手による木造で、構造はあらわし、外装に木を使い、羽目板を張るというニュージーランド建築の伝統を、ストレートかつユニークな方法で再解釈することを意図した。
切り開かれた土地に立つシンプルな長方形の建物は、田舎の小屋を思わせる。飾り気のない木材で作られた小屋は、自然とのつながりが強調されている。
家の中央にあるリビングエリアは屋外に向かって開かれている一方で、オーストラリアやニュージーランドの別荘の伝統のひとつ、二段ベッドが置かれたベッドルームは閉じた空間になっている。持ち運びできる浴槽を置いたオープンなバスルームも、初期のバッチでよく見られた屋外の風呂にならったものだ。
高原で過ごす家族の休日(日本)
どんなHouzz?
住まい手:2組の家族
所在地:長野県、軽井沢
規模:81.15平方メートル。ベッドルーム×2、リビングルーム、ゲストルーム
設計者:morinoie
日本で休暇を過ごす場所として人気なのは海辺と高原だ。とりわけ高地の冷涼な気候は、湿気の多い日本の暑い夏から逃げ出したい人たちにとって魅力的だ。代表的な避暑地のひとつが、軽井沢。東京から新幹線に乗れば1時間ほどで行けるため、首都圏で働く人たちに特に人気がある。
軽井沢の別荘地としての歴史は、19世紀の終わり頃、外国人宣教師たちが避暑のためにこの町で過ごすようになったことから始まった。ウィリアム・メレル・ヴォーリズやアントニン・レーモンドが設計した由緒ある木造の教会や別荘が今も残っている。
どんなHouzz?
住まい手:2組の家族
所在地:長野県、軽井沢
規模:81.15平方メートル。ベッドルーム×2、リビングルーム、ゲストルーム
設計者:morinoie
日本で休暇を過ごす場所として人気なのは海辺と高原だ。とりわけ高地の冷涼な気候は、湿気の多い日本の暑い夏から逃げ出したい人たちにとって魅力的だ。代表的な避暑地のひとつが、軽井沢。東京から新幹線に乗れば1時間ほどで行けるため、首都圏で働く人たちに特に人気がある。
軽井沢の別荘地としての歴史は、19世紀の終わり頃、外国人宣教師たちが避暑のためにこの町で過ごすようになったことから始まった。ウィリアム・メレル・ヴォーリズやアントニン・レーモンドが設計した由緒ある木造の教会や別荘が今も残っている。
軽井沢の森に立つこの山荘は、2組の家族が所有している。「もうひとりの持ち主は私の友人ですが、以前は会社の上司でした」と、持ち主のひとりが話す。「でもとても気が合って、随分前に友人になりました。妻や子どもたちも、家族ぐるみで仲良くしています」
どちらの家族も犬を飼っていたので、旅行に行く時に犬と一緒に泊まれるホテルを探すのに苦労していた。「そこで一緒に別荘を買おうと、10年くらい前から話し合っていたんです」
最初は、軽井沢は別荘地としてありきたりすぎると思っていた。しかし、2016年の秋に軽井沢を訪れたとき、家の周囲の紅葉と木々のあまりの美しさが決断を後押しした。
どちらの家族も犬を飼っていたので、旅行に行く時に犬と一緒に泊まれるホテルを探すのに苦労していた。「そこで一緒に別荘を買おうと、10年くらい前から話し合っていたんです」
最初は、軽井沢は別荘地としてありきたりすぎると思っていた。しかし、2016年の秋に軽井沢を訪れたとき、家の周囲の紅葉と木々のあまりの美しさが決断を後押しした。
両家族は、一緒にこの別荘に来ることもあるが、別々に来ることもある。そのためプライベートな空間である寝室とバスルームは分かれている。共有するリビングルームの大きな窓からは森を見渡せるし、テラスではバーベキューを楽しめる。
「ここは新築ですが、入口の壁は濃い色のスギ材で仕上げてあって、古びたラスティックなコテージのような雰囲気があります。子どもたちが寝ると、とても静かになります。妻と私は、ほかには何の音もしない中で、ストーブで薪がはぜる音を聞きながら話をするのが好きなんです。東京での慌ただしい生活では経験できない、特別な時間です」
「ここは新築ですが、入口の壁は濃い色のスギ材で仕上げてあって、古びたラスティックなコテージのような雰囲気があります。子どもたちが寝ると、とても静かになります。妻と私は、ほかには何の音もしない中で、ストーブで薪がはぜる音を聞きながら話をするのが好きなんです。東京での慌ただしい生活では経験できない、特別な時間です」
夏らしい色の賛美(米国)
どんなHouzz?
住まい手:3世代の家族が別荘として使用
所在地:米国フロリダ州にあるアンナマリア島のブレーデントンビーチ
規模:111平方メートルにベッドルーム×2、ロフト、バスルーム(トイレ含む)
設計者:トラクション・アーキテクチャー
景色のよい長い海岸線を有する米国では、週末に出かけたり夏休みを過ごしたりする場所としてビーチハウスが人気だ。それぞれの地域の建築家や気候、ライフスタイルの影響を受けたビーチハウススタイルがある。しかし、どこのビーチハウスにも共通する特徴もある。室内と屋外のつながりのよさ、カジュアルな雰囲気の家具、海岸や船をテーマにしたインテリアデコレーションだ。
フロリダ州のメキシコ湾岸に立つこの新築のビーチハウスは、古い建物が劣化し、洪水の影響を受ける心配があったために建て替えられたもの。新しい建物は嵐でも壊れにくいように設計されており、居住部分はハリケーンのような厳しい気象条件に耐えられるようにコンクリート杭基礎でレベルを上げている。
新しい家は、縦張りサイディングの外壁、シンプルな窓、納屋やガレージで使っていた照明、金属屋根など、元の建物にあった昔のフロリダ様式の海辺のバンガローの特徴を残した。2階では建物を囲むデッキが、海を眺めるアウトドアリビングになっている。1階には砂や海水を洗い流すためのシャワー、ポーチにブランコ、駐車場、それにカヤック、サーフボード、自転車の収納スペースがある。
どんなHouzz?
住まい手:3世代の家族が別荘として使用
所在地:米国フロリダ州にあるアンナマリア島のブレーデントンビーチ
規模:111平方メートルにベッドルーム×2、ロフト、バスルーム(トイレ含む)
設計者:トラクション・アーキテクチャー
景色のよい長い海岸線を有する米国では、週末に出かけたり夏休みを過ごしたりする場所としてビーチハウスが人気だ。それぞれの地域の建築家や気候、ライフスタイルの影響を受けたビーチハウススタイルがある。しかし、どこのビーチハウスにも共通する特徴もある。室内と屋外のつながりのよさ、カジュアルな雰囲気の家具、海岸や船をテーマにしたインテリアデコレーションだ。
フロリダ州のメキシコ湾岸に立つこの新築のビーチハウスは、古い建物が劣化し、洪水の影響を受ける心配があったために建て替えられたもの。新しい建物は嵐でも壊れにくいように設計されており、居住部分はハリケーンのような厳しい気象条件に耐えられるようにコンクリート杭基礎でレベルを上げている。
新しい家は、縦張りサイディングの外壁、シンプルな窓、納屋やガレージで使っていた照明、金属屋根など、元の建物にあった昔のフロリダ様式の海辺のバンガローの特徴を残した。2階では建物を囲むデッキが、海を眺めるアウトドアリビングになっている。1階には砂や海水を洗い流すためのシャワー、ポーチにブランコ、駐車場、それにカヤック、サーフボード、自転車の収納スペースがある。
家の中は海と夕焼けにインスパイアされた色があふれている。グリーンとコーラルの色合いが、白い板張りの壁に映える。デッキへ続く引き戸からは、メキシコ湾と砂浜という魅力的な眺めを楽しめる。
むき出しになった天井のトラスが、開放感と風通しのよさを感じさせる。ミッドセンチュリーモダンの家具と、作り付けの棚に飾られた先祖から受け継いだ古いものが、違和感なく並ぶ。床は木製の厚板に見えるようにデジタルプリントされた磁器タイル。寝室として使っているロフトにつながる船梯子や、漁網のように編まれたペンダントライトシェードは海辺の別荘ならではのデコレーションだ。
建築家のジョディ・ベックさんは「すっきりしたライン、むき出しの材料という伝統的な海辺のバンガローを、家具でモダンにまとめました」と話す。
むき出しになった天井のトラスが、開放感と風通しのよさを感じさせる。ミッドセンチュリーモダンの家具と、作り付けの棚に飾られた先祖から受け継いだ古いものが、違和感なく並ぶ。床は木製の厚板に見えるようにデジタルプリントされた磁器タイル。寝室として使っているロフトにつながる船梯子や、漁網のように編まれたペンダントライトシェードは海辺の別荘ならではのデコレーションだ。
建築家のジョディ・ベックさんは「すっきりしたライン、むき出しの材料という伝統的な海辺のバンガローを、家具でモダンにまとめました」と話す。
居心地のよい隠れ家(アイルランド)
どんなHouzz?
住まい手:ブライアン・スペインさん
所在地:アイルランド、ケリー州
種別:修復した古いコテージ
規模:ベッドルーム×2、バスルーム×2(トイレ含む)
設計者:〈グッドフォーム〉のテレンス・マーフィーさん
★読み方
アイルランドや英国では、別荘は大きく2種類に分かれる。海辺の家と田舎の隠れ家だ。海辺の家は、その多くが海沿いの町に立つ小さなコテージで、簡単な家具が置かれ、夏の間屋外で過ごせるように設計されている。一方、田舎の隠れ家は、天候に関係なく楽しめるような、快適でくつろぎの隠れ家としてつくる。
このこぢんまりしたアイルランドの隠れ家には、両方の要素があるようだ。ブライアン・スペインさんは、ケリー州のありままの壮大な風景に囲まれた家をさがしてリノベーションしたいといつも夢見ていた。4つの丘がある農家の小屋が売りに出されて、ようやくその夢が叶ったのだ。
スペインさんが「ロスト・コテージ」と名付けた家は、この地域固有の建築様式で建てられた周囲の建物と同様に、すべて地元の材料でできていた。石と土壁、茅(かや)と木を使った屋根、家畜を中に入れられるように幅の広い扉 。ここはかつてシロイワヤギを冬の間避難させておくための小屋だった。
どんなHouzz?
住まい手:ブライアン・スペインさん
所在地:アイルランド、ケリー州
種別:修復した古いコテージ
規模:ベッドルーム×2、バスルーム×2(トイレ含む)
設計者:〈グッドフォーム〉のテレンス・マーフィーさん
★読み方
アイルランドや英国では、別荘は大きく2種類に分かれる。海辺の家と田舎の隠れ家だ。海辺の家は、その多くが海沿いの町に立つ小さなコテージで、簡単な家具が置かれ、夏の間屋外で過ごせるように設計されている。一方、田舎の隠れ家は、天候に関係なく楽しめるような、快適でくつろぎの隠れ家としてつくる。
このこぢんまりしたアイルランドの隠れ家には、両方の要素があるようだ。ブライアン・スペインさんは、ケリー州のありままの壮大な風景に囲まれた家をさがしてリノベーションしたいといつも夢見ていた。4つの丘がある農家の小屋が売りに出されて、ようやくその夢が叶ったのだ。
スペインさんが「ロスト・コテージ」と名付けた家は、この地域固有の建築様式で建てられた周囲の建物と同様に、すべて地元の材料でできていた。石と土壁、茅(かや)と木を使った屋根、家畜を中に入れられるように幅の広い扉 。ここはかつてシロイワヤギを冬の間避難させておくための小屋だった。
この小屋本来の美しさを残すため、スペインさんはコテージの裏の森で探してきたカラマツの屋根梁や、漆喰の壁、木製サッシの窓を使い、地元のダグラスモミで製作した家具を置いた。
「コテージの外ではさまざまなことが起こっていて、100平方キロメートルの景観は絶えず変化しています。ですから、室内は心地よく、くつろげて、片付いた場所にしておきたいのです。色使いも、自然の素材を生かしてシンプルにしています」とスペインさんは話す。
周囲を囲むのは、息をのむような自然の風景だ。「隣の農家の人以外、近くには誰も住んでいません。一番近い村は、山の向こう側です」とスペインさん。「そこまで徒歩で4キロメートル、車が通れる道だと9キロメートルありますが、どちらからもディングル湾の素晴らしい眺めを楽しめます」
「ロスト・コテージ」は、忙しい都会での生活を離れ、刻々と変化する自然環境を楽しむための、シンプルだけれどスタイリッシュな隠れ家なのだ。
「コテージの外ではさまざまなことが起こっていて、100平方キロメートルの景観は絶えず変化しています。ですから、室内は心地よく、くつろげて、片付いた場所にしておきたいのです。色使いも、自然の素材を生かしてシンプルにしています」とスペインさんは話す。
周囲を囲むのは、息をのむような自然の風景だ。「隣の農家の人以外、近くには誰も住んでいません。一番近い村は、山の向こう側です」とスペインさん。「そこまで徒歩で4キロメートル、車が通れる道だと9キロメートルありますが、どちらからもディングル湾の素晴らしい眺めを楽しめます」
「ロスト・コテージ」は、忙しい都会での生活を離れ、刻々と変化する自然環境を楽しむための、シンプルだけれどスタイリッシュな隠れ家なのだ。
すべてが自然(英国)
どんなHouzz?
住まい手:〈メイド・バイ・ハンズ〉スタジオを経営する陶芸家のマウス・マーティンさん、犬のシドとメイジー
所在地:英国グロスターシャー州のサイレンセスターに近いサウスカーニー
規模: 10メートルx 3メートルの広さ。ベッドルーム、バスルーム(トイレ含む)
「この家にあるのは、すべてアップサイクル、リサイクル、古材、または手作りした物です」とオーナーのマウス・マーティンさんは話す。「どれも私が見つけたのではありません。物が私を見つけたんです!」
リクレメーションヤード(不要になった建材を集めて売っている場所)で出会った物や、時には藪に落ちていた物を楽しむかのように、マーティンさんの家は個性であふれている。古い玄関ドアからフランスの穀物袋まで、あらゆるものが新たな命を吹き込まれ、おしゃれな実用品として使われている。「古い材料を使うのは本当に楽しいです。こういうことをしたのは初めてです。現在、世界の半分がプラスチックで埋め尽くされていますが、ここにはプラスチック製品はひとつもありません」とマーティンさん。
どんなHouzz?
住まい手:〈メイド・バイ・ハンズ〉スタジオを経営する陶芸家のマウス・マーティンさん、犬のシドとメイジー
所在地:英国グロスターシャー州のサイレンセスターに近いサウスカーニー
規模: 10メートルx 3メートルの広さ。ベッドルーム、バスルーム(トイレ含む)
「この家にあるのは、すべてアップサイクル、リサイクル、古材、または手作りした物です」とオーナーのマウス・マーティンさんは話す。「どれも私が見つけたのではありません。物が私を見つけたんです!」
リクレメーションヤード(不要になった建材を集めて売っている場所)で出会った物や、時には藪に落ちていた物を楽しむかのように、マーティンさんの家は個性であふれている。古い玄関ドアからフランスの穀物袋まで、あらゆるものが新たな命を吹き込まれ、おしゃれな実用品として使われている。「古い材料を使うのは本当に楽しいです。こういうことをしたのは初めてです。現在、世界の半分がプラスチックで埋め尽くされていますが、ここにはプラスチック製品はひとつもありません」とマーティンさん。
「この家は『ドレイコット』と呼ばれています」とマーティンさんが説明する。「ドレイは馬、コットは荷車という意味で、元は水車小屋の横の馬車小屋でした」
今では水車小屋はないが、1750年代に建てられた馬車小屋は、それから1970年代半ばに住宅に転用されるまで、りんご売り場や車庫として使われてきた。マーティンさんが購入したのは、2014年の6月初旬だった。「この小島がほしいとずっと思っていたんです。売りに出されたのを知ってすぐに申込をし、2時間後には私のものになりました」
川にはフィリー島に渡る古い橋がかかっている。「ここはとても平和です。アヒルがよたよた芝生に上がってきて、川にはカワウソが2匹。スクイークとホイッスルって呼んでいます」とマーティンさん。
今では水車小屋はないが、1750年代に建てられた馬車小屋は、それから1970年代半ばに住宅に転用されるまで、りんご売り場や車庫として使われてきた。マーティンさんが購入したのは、2014年の6月初旬だった。「この小島がほしいとずっと思っていたんです。売りに出されたのを知ってすぐに申込をし、2時間後には私のものになりました」
川にはフィリー島に渡る古い橋がかかっている。「ここはとても平和です。アヒルがよたよた芝生に上がってきて、川にはカワウソが2匹。スクイークとホイッスルって呼んでいます」とマーティンさん。
オーストリアアルプスの小さな家
どんなHouzz?
住まい手:宿泊客2名まで
所在地:オーストリア、タンハイマー渓谷
規模: 40平方メートル
予算:木造の家の値段は、家具なしで12万ドル(10万ユーロ)
設計者:シュタイナー・アート・アンド・デザイン
施工者:ナトゥーアバウ・クシュヴェント
面白いところ:この小さなシャレーには、ここから予約して泊まることができる
ドイツ人とオーストリア人にとって、別荘は夏だけのものではない。冬は山で休暇を過ごす。スキーをし、ホットチョコレートを飲み、カイザーシュマーレン(オーストリアの有名なデザート。パンケーキを小片にし、粉砂糖をかけ、フルーツコンポートを添えたもの。)を食べ、パチパチと音をたてる暖炉の前でくつろぐのだ。
多くの場合、必要なのは雪山、暖炉のある居心地の良い隠れ家、それに毛布にくるまって丸くなるのに十分な広さだけ。チロルアルプスに立つこの小さなシャレーなら、40平方メートルの空間ですべてが手に入る。再生木材のモジュールで作られた小屋は、インテリアデザイナー、サビーネ・シュタイナーさんの試験的プロジェクトだ。年月を重ねた味わいのある再生木材を使った壁から毛皮のピローや皿を飾る棚まで、好きにカスタマイズして、すぐに使える状態で引き渡されるタイニーハウスである。
どんなHouzz?
住まい手:宿泊客2名まで
所在地:オーストリア、タンハイマー渓谷
規模: 40平方メートル
予算:木造の家の値段は、家具なしで12万ドル(10万ユーロ)
設計者:シュタイナー・アート・アンド・デザイン
施工者:ナトゥーアバウ・クシュヴェント
面白いところ:この小さなシャレーには、ここから予約して泊まることができる
ドイツ人とオーストリア人にとって、別荘は夏だけのものではない。冬は山で休暇を過ごす。スキーをし、ホットチョコレートを飲み、カイザーシュマーレン(オーストリアの有名なデザート。パンケーキを小片にし、粉砂糖をかけ、フルーツコンポートを添えたもの。)を食べ、パチパチと音をたてる暖炉の前でくつろぐのだ。
多くの場合、必要なのは雪山、暖炉のある居心地の良い隠れ家、それに毛布にくるまって丸くなるのに十分な広さだけ。チロルアルプスに立つこの小さなシャレーなら、40平方メートルの空間ですべてが手に入る。再生木材のモジュールで作られた小屋は、インテリアデザイナー、サビーネ・シュタイナーさんの試験的プロジェクトだ。年月を重ねた味わいのある再生木材を使った壁から毛皮のピローや皿を飾る棚まで、好きにカスタマイズして、すぐに使える状態で引き渡されるタイニーハウスである。
小さな山小屋は、トラックに乗せることもできる。「現地で小屋を建てるのではなく、近くの製作所でつくってここまで運んできました。たった数日で引っ越せる状態になりました」とシュタイナーさんは説明する。
「再生木材の小屋を選んだのは、何よりそれがサステナブルだから。それに、家具や壁、床のすべてに物語があるからです。独特の香りもします」とシュタイナーさん。2階の欄干からアルプスらしいモチーフの良質な生地のカーテンまで手作りだ。
「再生木材の小屋を選んだのは、何よりそれがサステナブルだから。それに、家具や壁、床のすべてに物語があるからです。独特の香りもします」とシュタイナーさん。2階の欄干からアルプスらしいモチーフの良質な生地のカーテンまで手作りだ。
藁葺き屋根の贅沢(北海の海岸)
どんなHouzz?
ここで休暇を過ごす人:2組の家族
所在地:ドイツ、ジルト島
規模:2戸の共同住宅で、それぞれ120平方メートル
建築家:建築家でインテリアデザイナーのシュテファン・シュラムさんと、建築家のウヴェ・ハンゼンさんの共同プロジェクト
夏にドイツの北海やバルト海の海岸が賑わっているのは、魚のサンドイッチや白い砂浜、爽やかな空気のせいだけではない。地元の材料を使って建てられた、親しみやすく自然で素朴な藁葺き屋根の家もその魅力のひとつだ。
現在の持ち主たちがここを購入したときは、ワッデン海に近いこと以外に魅力の乏しい家だった。そこで元々あった80年代スタイルの家を取り壊し、建築家のシュテファン・シュラムさんに新しい家づくりを依頼することにした。シュラムさんがジルト島を拠点とする建築家のウヴェ・ハンゼンさんの協力を得て建てた家は、2戸のどちらからも海の眺めを楽しめる。
新しい2戸の住宅は、まるでこの場所にずっとあったように見える。これは藁葺き屋根、上部がアーチ型の窓、古い鉄製の窓枠、そして建物の正面部分のデザインによるところが大きいだろう。「正面から見たときに時代がかった味わいがあるのは、古い建物で使われていた石材を再利用しているからです」とシュラムさんは説明する。
どんなHouzz?
ここで休暇を過ごす人:2組の家族
所在地:ドイツ、ジルト島
規模:2戸の共同住宅で、それぞれ120平方メートル
建築家:建築家でインテリアデザイナーのシュテファン・シュラムさんと、建築家のウヴェ・ハンゼンさんの共同プロジェクト
夏にドイツの北海やバルト海の海岸が賑わっているのは、魚のサンドイッチや白い砂浜、爽やかな空気のせいだけではない。地元の材料を使って建てられた、親しみやすく自然で素朴な藁葺き屋根の家もその魅力のひとつだ。
現在の持ち主たちがここを購入したときは、ワッデン海に近いこと以外に魅力の乏しい家だった。そこで元々あった80年代スタイルの家を取り壊し、建築家のシュテファン・シュラムさんに新しい家づくりを依頼することにした。シュラムさんがジルト島を拠点とする建築家のウヴェ・ハンゼンさんの協力を得て建てた家は、2戸のどちらからも海の眺めを楽しめる。
新しい2戸の住宅は、まるでこの場所にずっとあったように見える。これは藁葺き屋根、上部がアーチ型の窓、古い鉄製の窓枠、そして建物の正面部分のデザインによるところが大きいだろう。「正面から見たときに時代がかった味わいがあるのは、古い建物で使われていた石材を再利用しているからです」とシュラムさんは説明する。
沿岸のミニマリズム(デンマーク)
どんなHouzz?
住まい手:建築家のマッズ・モラーさんとその家族
所在地:デンマーク、ユトランド半島北端のスカーゲン岬に近いカンデステダーネ
規模:母屋92平方メートル、ゲスト用の離れ32平方メートル
築年:2000年
デンマークの別荘は伝統的なレンガ造りまたは木造に藁葺き屋根のものが多いが、もっとミニマルでモダンな建物も、全国の人気の別荘地で見られる。そのなかで目を見張る例のひとつが、〈CFモラー・アーキテクツ〉の建築家、マッズ・モラーさんが手がけた別荘だ。
デンマークの多くの別荘がそうであるように、この家も沿海部、より正確に言えばデンマークの最北端であるスカーゲン岬から15キロメートルほど南西にある別荘地、カンデステダーネにある。
どんなHouzz?
住まい手:建築家のマッズ・モラーさんとその家族
所在地:デンマーク、ユトランド半島北端のスカーゲン岬に近いカンデステダーネ
規模:母屋92平方メートル、ゲスト用の離れ32平方メートル
築年:2000年
デンマークの別荘は伝統的なレンガ造りまたは木造に藁葺き屋根のものが多いが、もっとミニマルでモダンな建物も、全国の人気の別荘地で見られる。そのなかで目を見張る例のひとつが、〈CFモラー・アーキテクツ〉の建築家、マッズ・モラーさんが手がけた別荘だ。
デンマークの多くの別荘がそうであるように、この家も沿海部、より正確に言えばデンマークの最北端であるスカーゲン岬から15キロメートルほど南西にある別荘地、カンデステダーネにある。
それまで農地として使われていたカンデステダーネに最初の家が建てられたのは、18世紀の終わりだった。20世紀初頭に、最初の行楽客がこの地にやって来るようになり、2つの農場が海辺のホテルに転用された。現在この地域には、2つのホテルと150軒の別荘がある。
カンデステダーネの歴史は、デンマークにおける別荘の変遷や発展とともに進んだ。20世紀の初め頃、デンマークの最富裕層が、夏の休暇を過ごすために海辺のホテルにこぞって行くようになった。その後の数十年には、特権階級の人々が自分の別荘を建て始めた。20世紀後半になる頃には、個人の別荘がより人々の手の届くものになり、デンマークの海岸沿いには別荘が立ち並ぶようになった。
カンデステダーネの歴史は、デンマークにおける別荘の変遷や発展とともに進んだ。20世紀の初め頃、デンマークの最富裕層が、夏の休暇を過ごすために海辺のホテルにこぞって行くようになった。その後の数十年には、特権階級の人々が自分の別荘を建て始めた。20世紀後半になる頃には、個人の別荘がより人々の手の届くものになり、デンマークの海岸沿いには別荘が立ち並ぶようになった。
モラーさんの家は、自宅、ゲストハウス、離れの3つの建物で構成されている。これらが75平方メートルもあるテラスが美しいフレームの役割を果たしている。テラスには、母屋のリビングルームから出入りできる。
外装は塗装なしのスギ板を張っている。その特徴的なシルバーグレーの色彩は砂とハマムギの風景に美しく溶け込み、板葺き屋根は均一な外観をつくりだす。光と細部に細心の注意が払われた家は、まるで彫刻のようだ。以前訪れたサンフランシスコで見たシーランチスタイルの家がモラーさんのインスピレーションの元になった。現在サンフランシスコのアイコニック的建築様式であるシーランチは、1960年代に住宅建築と周囲の景観の関係性を重視して誕生した最初の小屋スタイルの家だ。
外装は塗装なしのスギ板を張っている。その特徴的なシルバーグレーの色彩は砂とハマムギの風景に美しく溶け込み、板葺き屋根は均一な外観をつくりだす。光と細部に細心の注意が払われた家は、まるで彫刻のようだ。以前訪れたサンフランシスコで見たシーランチスタイルの家がモラーさんのインスピレーションの元になった。現在サンフランシスコのアイコニック的建築様式であるシーランチは、1960年代に住宅建築と周囲の景観の関係性を重視して誕生した最初の小屋スタイルの家だ。
シンプルライフ(スウェーデン)
どんなHouzz?
住まい手:カップル
所在地:スウェーデン、ストックホルムの南
規模: 40平方メートルにベッドルーム1とオープンプランのリビング
建築家:シェランデル + ショーベリ
施工者/プロジェクトマネージャー:ソマールネイエン
自然の近くで慎ましい生活をすることは、長い間スウェーデン人の休日に対する考えの中心を占めてきた。夏の別荘は、あわただしい日常生活から逃げ出して、泳いだり、釣りやベリー摘み、きのこ狩りをしたりして過ごす場所なのだ。現代的なテクノロジーが発達しても、多くのスウェーデン人が夏に求めるのは、やはりシンプルな生活であるーー快適なインターネット環境だけは欠かせないが。
ストックホルム近郊にあるこの新しい家は、現代の建築技術と創造的な建築上の思考によって、休日に人を招き、豊かな生活をする場所として建てられた。建築を依頼したカップルは同じ敷地内に日常用の家も持っており、こちらは休日専用という贅沢な建物である。
「これは別棟ですから、基本、つまり必要そうなものではなく、本当に必要なものにフォーカスしました。スウェーデン語で『ラーゴム』と言う、『多すぎず少なすぎず、ちょうどよい』という考えそのものです」とオーナーのひとりはいう。
どんなHouzz?
住まい手:カップル
所在地:スウェーデン、ストックホルムの南
規模: 40平方メートルにベッドルーム1とオープンプランのリビング
建築家:シェランデル + ショーベリ
施工者/プロジェクトマネージャー:ソマールネイエン
自然の近くで慎ましい生活をすることは、長い間スウェーデン人の休日に対する考えの中心を占めてきた。夏の別荘は、あわただしい日常生活から逃げ出して、泳いだり、釣りやベリー摘み、きのこ狩りをしたりして過ごす場所なのだ。現代的なテクノロジーが発達しても、多くのスウェーデン人が夏に求めるのは、やはりシンプルな生活であるーー快適なインターネット環境だけは欠かせないが。
ストックホルム近郊にあるこの新しい家は、現代の建築技術と創造的な建築上の思考によって、休日に人を招き、豊かな生活をする場所として建てられた。建築を依頼したカップルは同じ敷地内に日常用の家も持っており、こちらは休日専用という贅沢な建物である。
「これは別棟ですから、基本、つまり必要そうなものではなく、本当に必要なものにフォーカスしました。スウェーデン語で『ラーゴム』と言う、『多すぎず少なすぎず、ちょうどよい』という考えそのものです」とオーナーのひとりはいう。
テラスからボートの係留場所までは10メートルもない。「友人や家族と外で過ごす時間をもっと増やしたいと思っていましたが、この家は外にいるのと限りなく近いと感じます。ガラス壁にはスライド式の雨戸が付いているので日差しが強いときに便利です。ですからカーテンも必要ありません」
この家は1年中使うことができ、外には薪で温めるプール、屋内にはストーブがある。「冬は人を招いて湖にスケートをしに行きます。テラスでお酒を楽しんだり、一緒に料理をしたりもします」
この家は1年中使うことができ、外には薪で温めるプール、屋内にはストーブがある。「冬は人を招いて湖にスケートをしに行きます。テラスでお酒を楽しんだり、一緒に料理をしたりもします」
大切に受け継がれているもの(ロシア)
どんなHouzz?
住まい手:アーシャ・コロベイ二コワさんと夫のイワンさん、娘のマルガリータさんとヴェロニカさん、アーシャさんの母親のナタリー・ナウモワさん、猫のバリー
所在地:ロシア、サンクトペテルブルクの郊外
規模: 130平方メートル
ロシアでは、別荘はみんなに愛されている伝統である。代表的なのが、ソビエト時代にモスクワやサンクトペテルブルクのような大都市の郊外に建てられた「ダーチャ」と呼ばれる小さなセカンドハウスだ。写真は広大な敷地のまんなか、緑に囲まれたダーチャだ。じょうぶな柵はなくても、こもれる雰囲気だ。
この家の外壁の板張りは、現在一般的なものより装飾性が高い。50年間ほとんど変わっていないように見える。いつかはこの板張りを交換しなければならないだろうが、さしあたっては歴史と当時の精神性を留めておこうとしている。
どんなHouzz?
住まい手:アーシャ・コロベイ二コワさんと夫のイワンさん、娘のマルガリータさんとヴェロニカさん、アーシャさんの母親のナタリー・ナウモワさん、猫のバリー
所在地:ロシア、サンクトペテルブルクの郊外
規模: 130平方メートル
ロシアでは、別荘はみんなに愛されている伝統である。代表的なのが、ソビエト時代にモスクワやサンクトペテルブルクのような大都市の郊外に建てられた「ダーチャ」と呼ばれる小さなセカンドハウスだ。写真は広大な敷地のまんなか、緑に囲まれたダーチャだ。じょうぶな柵はなくても、こもれる雰囲気だ。
この家の外壁の板張りは、現在一般的なものより装飾性が高い。50年間ほとんど変わっていないように見える。いつかはこの板張りを交換しなければならないだろうが、さしあたっては歴史と当時の精神性を留めておこうとしている。
「1960年代前半に私の曽祖父が、曽祖母の設計に基づいて建てたものです」と持ち主のアーシャ・コロベイ二コワさんが話す。「夏と冬にはここに家族が集まります。母がまだ幼かった頃に建てられたダーチャで、その後私が休暇を過ごし、今では私の子どもたちも来ています」
長い間、2階は屋根裏の物置だった。ほかの目的に使われていなかったのは、たるきや梁、大きな棚の位置が悪く、使いづらかったからだ。コロベイ二コワさんはこの場所に手をつけて、古い戸棚を処分することにした。今では広く明るい屋根裏部屋が、家族のお気に入りの場所のひとつになっている。
長い間、2階は屋根裏の物置だった。ほかの目的に使われていなかったのは、たるきや梁、大きな棚の位置が悪く、使いづらかったからだ。コロベイ二コワさんはこの場所に手をつけて、古い戸棚を処分することにした。今では広く明るい屋根裏部屋が、家族のお気に入りの場所のひとつになっている。
収納はすべて作り付けで、コロベイ二コワさんの曽祖母が設計段階で考え抜いたものだ。おかげで、部屋が大きな家具で占領されることはない。こじんまりした家にもかかわらず、ゆったりとした感じがする。
コロベイ二コワさんにとっては、このインテリアが何よりも心躍る要素だ。家の隅々から探し出したレトロな物、歴史の詰まったヴィンテージアイテム、DIYの小物類が、パズルのピースのように組み合わされている。
家族は屋根裏部屋とベランダでほとんどの時間を過ごす。どんな天気のときもここは暖かい。大きな窓からは絵画のように美しい緑を眺めることができる。以前は青かった壁を薄緑色に塗り直したので、周囲の新緑が室内の一部に溶け込んだ。ベランダは一度も作り直したことがなく、窓も元のままなのは、家族がこの窓枠の美しいデザインを愛しているからだ。
コロベイ二コワさんにとっては、このインテリアが何よりも心躍る要素だ。家の隅々から探し出したレトロな物、歴史の詰まったヴィンテージアイテム、DIYの小物類が、パズルのピースのように組み合わされている。
家族は屋根裏部屋とベランダでほとんどの時間を過ごす。どんな天気のときもここは暖かい。大きな窓からは絵画のように美しい緑を眺めることができる。以前は青かった壁を薄緑色に塗り直したので、周囲の新緑が室内の一部に溶け込んだ。ベランダは一度も作り直したことがなく、窓も元のままなのは、家族がこの窓枠の美しいデザインを愛しているからだ。
田園地帯の眺望(ロシア)
どんなHouzz?
住まい手:Rambler.ruの編集ディレクター、ヴィクトル・サクソンさん
所在地:モスクワから約100キロメートルにあるカルーガ地域
規模: 60平方メートル
設計者:BIOアーキテクツ
伝統的なダーチャは今も大いに愛されているが、最近は休暇用に都心から遠く離れた家を求める人も多くなった。そういった場所には、広大な手付かずの自然を生かしてリラックスと建築上の実験の両方を手に入れられる余地がある。
モスクワ郊外のカルーガ地域にあるこの土地の所有者、ヴィクトル・サクソンさんは、長い間ここにモジュラーホームを建てようと考えていた。最終的に、ロサンゼルスの丘、ロンドンのコンテナハウス、そしてロシアらしい自然のままの荒野にインスパイアされたものになった。
〈DublDom〉のモジュールホームは工場で作られ、現場で組み立て、基礎の上に設置し、電気と水道設備を整えるのに数日しかかからなかった。景観の特徴を生かすため、標準的な設計を変更した。家は崖から張り出すように立っているので、テラスに登れるようにはしごを取り付けた。
最初に家の中を見て回った村の人たちはとても驚いて、景色のよさから「画家の家」という愛称を付けた。
どんなHouzz?
住まい手:Rambler.ruの編集ディレクター、ヴィクトル・サクソンさん
所在地:モスクワから約100キロメートルにあるカルーガ地域
規模: 60平方メートル
設計者:BIOアーキテクツ
伝統的なダーチャは今も大いに愛されているが、最近は休暇用に都心から遠く離れた家を求める人も多くなった。そういった場所には、広大な手付かずの自然を生かしてリラックスと建築上の実験の両方を手に入れられる余地がある。
モスクワ郊外のカルーガ地域にあるこの土地の所有者、ヴィクトル・サクソンさんは、長い間ここにモジュラーホームを建てようと考えていた。最終的に、ロサンゼルスの丘、ロンドンのコンテナハウス、そしてロシアらしい自然のままの荒野にインスパイアされたものになった。
〈DublDom〉のモジュールホームは工場で作られ、現場で組み立て、基礎の上に設置し、電気と水道設備を整えるのに数日しかかからなかった。景観の特徴を生かすため、標準的な設計を変更した。家は崖から張り出すように立っているので、テラスに登れるようにはしごを取り付けた。
最初に家の中を見て回った村の人たちはとても驚いて、景色のよさから「画家の家」という愛称を付けた。
「私は仕事のため毎日2時間かけてモスクワに通勤しています。会社に着くのは午前11時です。この都市の郊外に住む人の多くも、通勤時間は同じくらいでしょう。もっとも、普通は地下鉄を使うでしょうが」と笑うサクソンさん。「私はたいてい遅くまでモスクワで仕事やミーティングをこなし、スポーツをしています。モスクワを9時半頃に出て、11時前には家に着きます。家庭でも仕事場でも雑事に追われている大人の男性にとって、遠距離通勤というのはなかなかいい選択だと思います。運転中は考え事に没頭できるし、電話にも出られません。都会のリズムで生活していたときは、仕事とプライベートを切り替える時間がありませんでした。それが誰にでもあてはまるとは思いませんが、私の場合は今の時間の使い方が完璧に上手くいっています」
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