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パリ近郊の37㎡。心地よい北欧スタイルのリノベーション
ビフォー、アフターの写真とともにリノベーションプロセスをご紹介します。
Agnès Carpentier
2018年8月21日
1年にわたる物件探しの末、オーナー女性がついに見つけた理想の家がこのアパートメントだった。1960年代に建てられたビルの5階にある、37平方メートルのワンルーム。立地と明るさ、オークの床と開けた眺めが気に入った。
物件の状態はよかった。でも、初めて家を購入したオーナーには譲れない、いくつかの条件があった。この部屋はそれを満たしていなかったのだ。
条件のひとつは、ベッドルームがほかの空間と分かれていること。ふたつめは、手持ちの靴と服が全部収まる広いウォークインクローゼットがあること。そして最後に、自分らしさを反映させた心地よいインテリアであることだ。
2人組の若きインテリアデザイナー〈ジューン〉のクリエイティビティに魅かれたオーナーは、リノベーションを彼女たちに託した。
物件の状態はよかった。でも、初めて家を購入したオーナーには譲れない、いくつかの条件があった。この部屋はそれを満たしていなかったのだ。
条件のひとつは、ベッドルームがほかの空間と分かれていること。ふたつめは、手持ちの靴と服が全部収まる広いウォークインクローゼットがあること。そして最後に、自分らしさを反映させた心地よいインテリアであることだ。
2人組の若きインテリアデザイナー〈ジューン〉のクリエイティビティに魅かれたオーナーは、リノベーションを彼女たちに託した。
アフター:「以前は部屋とエントランスの間にドアがあって、空間が分かれていました。そのドアを取り外し、エントランスからリビングをひと続きにしました。またミッドナイトブルーのペイントで、壁にドラマチックな効果を加えました」とファースさん。「玄関へ足を踏み入れた人は、暗い廊下から光のある部屋の中心部へと自然に引き寄せられます」
バスルームを隔てていた廊下の壁を移動し、さらに拡げた。電気の配線と配管を壁の中に収め、棚を取り付けた。下半分はシューズクローゼットにし、上半分は本とオブジェを並べている。
ビフォー:玄関ドアのすぐ向かいがバスルームだった。このリノベーションでもっとも大きな影響を受けた場所だ。以前のバスルーム(8平方メートル)にはシャワー付き浴槽、トイレ、ビデ、洗面台があり、全体の床面積に対して不釣合いに広いスペースだった。
リノベーションを機にバスルームを縮小し、ベッドルームとウォークインクローゼットにスペースを割いた。バスルームはシャワーだけにし、玄関脇にあった棚のスペースを独立したトイレにした。
若いオーナーは、リビングの隣に独立した小さなベッドルームを希望した。窓は片側にしかないため、仕切り壁はガラス壁にして寝室にも光が届くようにした。
「オーナーはアートとデザインへの関心が高いので、最近はどこにでもあるタイプのガラス壁を提案するのでなく、ピエト・モンドリアンの絵からヒントを得たオリジナルの壁をデザインしました」とファースさん。ガラス壁の費用は4000ユーロ(約52万円)。
「オーナーはアートとデザインへの関心が高いので、最近はどこにでもあるタイプのガラス壁を提案するのでなく、ピエト・モンドリアンの絵からヒントを得たオリジナルの壁をデザインしました」とファースさん。ガラス壁の費用は4000ユーロ(約52万円)。
新しいベッドルームはそれほど大きくはないが、ダブルベッドが入る広さだ。ベッドルームのためにリビングの面積を削り、ヘッドボードの後ろのウォークインクローゼットは以前バスルームの一部だったスペース。クローゼット部分はアントラシート(炭色)の磁器タイルを床に使ってゾーニングしている。
サイドの壁は玄関から廊下に沿った仕切り壁の裏側にあたる。壁の両側でくぼみの部分とそうでない部分がそれぞれ呼応するデザイン。ベッドルーム側はサイドテーブルを置くスペースがないので、この棚で補っている。
ヘッドボードにあたるアクセントウォールもミッドナイトブルー。空間に深みを与え、リビングから見たときに奥行きを感じさせる。3枚の鏡をはめ込んだオーク材のシェルフは、〈ジューン〉のふたりが手がけたオリジナルデザイン。アクセントウォールの中心で存在感を放つ。 ベッドに掛けたモロッコのブランケット、ハンディラが柔らかさと心地いい手ざわりを加えている。ハンディラはモロッコ、アトラス山脈の女性たちの手による織物で、ベルベル人の花嫁が結婚の日にまとう布だ。
ヘッドボードにあたるアクセントウォールもミッドナイトブルー。空間に深みを与え、リビングから見たときに奥行きを感じさせる。3枚の鏡をはめ込んだオーク材のシェルフは、〈ジューン〉のふたりが手がけたオリジナルデザイン。アクセントウォールの中心で存在感を放つ。 ベッドに掛けたモロッコのブランケット、ハンディラが柔らかさと心地いい手ざわりを加えている。ハンディラはモロッコ、アトラス山脈の女性たちの手による織物で、ベルベル人の花嫁が結婚の日にまとう布だ。
ビフォー:オーナーが気に入ったリビングルーム。小さなバルコニーへ続くガラスの引き戸に魅かれた。写真左手に見える胸の高さまでの壁がリビングとキッチンを仕切り、朝食用の小さなバースペースになっていた。
アフター:キッチンの位置は同じだが、全体をリノベーションしてまったく新しい空間に生まれ変わった。最大の変更点は朝食用のバーをペニンシュラキッチンにつくりかえたこと。これによりキッチンのカウンターが広くなったほか、ダイニングテーブル兼ワークエリアとしても使えるようになった。
高さのあるキャビネットには、昔ながらのオーブンと電子レンジを真ん中に設置し、冷蔵庫がその下に収められている。折り曲げた金属板をシェルフとして取り付け、掘り出し物を探すのが好きなオーナーが集めた、花びんと食器のコレクションを並べている。
照明:〈ラルドゥート〉
照明:〈ラルドゥート〉
ファースさんたちは、デンマークの暮らしの精神「ヒュッゲ」を形にした。友人を招いて楽しく過ごし、くつろいだ時間を過ごして癒されるスタイルだ。「オーナーは白と黒が好きで、服もこの2色をよく着るそうです。インテリアもクラシックな色づかいを起点に、自然素材を取り入れて、ぬくもりを感じる色味をプラスしました」
ソファ、フロアランプ、スロー:〈イケア〉、ウールのプーフ:〈ラルドゥート〉、ワイヤーコーヒーテーブル:ユーズド
ソファ、フロアランプ、スロー:〈イケア〉、ウールのプーフ:〈ラルドゥート〉、ワイヤーコーヒーテーブル:ユーズド
白、黒、白木のコントラストが強くなりすぎないよう、グレーとベージュ、パターンをとりいれたアイテムを加えた。ソファのクッションからブランケット、コーヒーテーブルの天板まで、ひとつひとつ選び抜かれた結果できあがったインテリアは、ぴったりと調和している。
各アイテムの配置も視覚的にダイナミックな効果を生んでいる。背の高いフロアランプと鏡(2つ上の写真右側)がつくる縦のラインに対し、横に長いソファとコーヒーテーブルがバランスを取っている。
平面図。空間をうまく活用して間取りを再構成し、ベッドルームをつくっているのがわかる。
全体のリノベーションには2ヵ月半かけた。32000ユーロ(約416万円)の費用は高いと思うかもしれないが、機能面でもインテリアデコレーションの面でも空間全体を新しくしたうえ、配線、暖房、配管システムもすべて一新している。また、防音対策と照明器具の配線の目隠しを兼ねて、吊り天井にした。それまでカバーで覆っていた配線も、壁の中に通した。
教えてHouzz
ご感想をお聞かせください。
全体のリノベーションには2ヵ月半かけた。32000ユーロ(約416万円)の費用は高いと思うかもしれないが、機能面でもインテリアデコレーションの面でも空間全体を新しくしたうえ、配線、暖房、配管システムもすべて一新している。また、防音対策と照明器具の配線の目隠しを兼ねて、吊り天井にした。それまでカバーで覆っていた配線も、壁の中に通した。
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