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開放感のあるジムエリアも。クールでモダンな公営住宅のリノベーション
シンプルな素材と仕上げで、オーナーの理想としていたインダストリアルスタイルの家をつくりあげました。
Verlaine Marquez
2020年7月19日
「クールでモダンなインダストリアルスタイルの家に、使い込まれた風合いを出した感じ」。4部屋からなる中古公営住宅のリノベーションを託されたヒューズ・コンセプトのデザインチームは、コンセプトをこう表現する。「オーナーは倉庫をロフトアパートメントにリノベーションしたインダストリアルな住まいが持つ、シックなグランジスタイルのイメージを希望しました。」トレーニングに熱心なオーナーは、もうひとつ、小さなジム、仕事部屋、ギター置き場を兼ねた部屋をリクエストした。
「オーナー夫妻とは、本質は何かという点において理解が一致していたので、初めから信頼しあえるいい関係性を築けました」とデザインチームは語る。おかげで、インダストリアルを貫いたスタイルと色づかいの打ち合わせはスムーズに進んだ。
「オーナー夫妻とは、本質は何かという点において理解が一致していたので、初めから信頼しあえるいい関係性を築けました」とデザインチームは語る。おかげで、インダストリアルを貫いたスタイルと色づかいの打ち合わせはスムーズに進んだ。
どんなHouzz?
住まい手:30代の若いカップル
所在地:シンガポール、ベンデミール通り
規模:89平方メートル
施工期間:8週間
住まい手:30代の若いカップル
所在地:シンガポール、ベンデミール通り
規模:89平方メートル
施工期間:8週間
スチールの硬質さを思わせるマスキュリンな色づかいで空間全体のトーンをまとめた。リビング・ダイニングは、エポキシ樹脂モルタルで保護したコンクリートの床仕上げにする一方で、このアパートメントの建築的特徴になっているコンクリートの壁が視線を引き寄せ、ダイニングスペースをゾーニングしている。
「フォーカルポイントとなっているこの壁は、コンクリートを打設し、縦横の線の溝と穴をあけました。張り出した構造壁と梁は隠さずに、印象的な深みのあるブルーでペイントして空間のアクセントになっています」
リビングにはマスタードイエローのアームチェア、ダイニングには染色した無垢材のダイニングテーブルを置き、空間にポイントとなる色を与えた。家具の大半は、オーナーが以前住んでいた家から持ち込んだものだ。すっきりした曲線と細い脚のシルエットが、ロフト風のデザインに調和している。
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リビングにはマスタードイエローのアームチェア、ダイニングには染色した無垢材のダイニングテーブルを置き、空間にポイントとなる色を与えた。家具の大半は、オーナーが以前住んでいた家から持ち込んだものだ。すっきりした曲線と細い脚のシルエットが、ロフト風のデザインに調和している。
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造作キャビネットはラミネートフィルムを吟味して仕上げた。これも、オーナーが思い描いた無機質でラスティックな空間づくりに大きな役割を果たしている。例えば、玄関近くには靴箱を含む収納キャビネットを新たに設置し、使い込まれた木目デザインのラミネートフィルムを貼った。
キッチンは、木目のキャビネットと、塗りゴテの跡をあえて目立たせたコンクリート壁を主役に。「壁はリビングダイニングと同じ素材で仕上げていますが、黒いグラウト材を混ぜて、ややダークなトーンでテクスチャのある仕上がりにしました。この壁が、なめらかで光沢のある白いサブウェイタイルを使ったバックスプラッシュを引き立てています」
シンガポールの公営住宅ならではの特徴で、目立たないように隠すケースが多いのがシェルターの扉だ(ハウスホールド・シェルターと呼ばれ、1996年から設置義務がある)。デザインチームは、廊下の目につく場所にある邪魔な扉をあえて目立たせた。扉はそのまま使い、表面に酸化剤で色を落とすアシッドウォッシュ加工を施し、古びた味のある雰囲気を出した。
シェルターの向かいはホビールーム。主にジムとして使い、ダンベル用ラックとトレーニングベンチを置いている。壁の上部は取り払い、メタルフレームを取り付けたガラスの仕切り壁にした。その結果、自然光が部屋の奥まで届き、開放感のある広々とした印象の空間をつくりだした。
シェルターの向かいはホビールーム。主にジムとして使い、ダンベル用ラックとトレーニングベンチを置いている。壁の上部は取り払い、メタルフレームを取り付けたガラスの仕切り壁にした。その結果、自然光が部屋の奥まで届き、開放感のある広々とした印象の空間をつくりだした。
この部屋はホームオフィスとしても使っている。すでに存在感のあるトレーニング用アイテムを置いているため、デスクは脚のないL字型のフローティングデスクにして床のスペースを取らないよう配慮した。インダストリアルスタイルのベンチはさっとデスク下へしまえば、すっきりと片付いているように見える。
廊下を進むと、バスルーム(トイレ含む)付きの主寝室。主寝室に入るとすぐバスルームがある。「シックなグランジスタイル」というコンセプトを貫き、バスルームは釉薬でラスティックな石の質感に仕上げた磁器タイルに貼り替えた。
ゆったりとした空間にするため、主寝室は2部屋をつなげてひとつの部屋に。「主寝室とゲストルームの間の壁の位置を変えてウォークインクローゼットをつくりました」。主寝室とゲストルームの仕切りはガラスだ。
フローリングはビニール素材だが、窓際にベンチをつくり、くつろげる空間を演出している。
フローリングはビニール素材だが、窓際にベンチをつくり、くつろげる空間を演出している。
ベッドルームはミニマルスタイル。コンクリートのような見た目のペンダントランプとサイドテーブル、壁にかけた抽象画の色づかいが見せるテクスチャが、ほかにはない心地よさとあたたかみを生み出している。
インダストリアルスタイルの写真を見る
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