影をヒントに。シックで落ち着くシンガポールのアパートメント

スモーキーな色使い、あたたかみのある木材、上質なメタリック素材が、スタイリッシュでラグジュアリーな雰囲気をつくりだしています。

Chiquit Brammall 2018年7月5日

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ベッドルームが3つあるアパートメントを購入したオーナー夫妻が思い描いたのは、LDKの広々とした空間で過ごせて、ゲストをもてなす時間を心ゆくまで楽しめるような家だった。そして、コンテンポラリーな美しさのある理想の家づくりを、内装専門のデザインスタジオ〈アトリエ・ヒア〉に依頼した。

Atelier Here

どんなHouzz？
住まい手：専門職の30代カップル
所在地：シンガポール、アンバー・ロード
規模：124平方メートル
プロジェクト期間：3ヵ月
デザイナー：〈アトリエ・ヒア〉のケルヴィン・リムさん

デザイナーのケルヴィン・リムさんは、影が生み出す色の濃淡をテーマに、オーナー夫妻が伝えた希望をかなえた。

まずは、夫妻が思い描いた、ゲストをもてなせるひと続きの広いソーシャルなスペースをつくることに取り組んだ。キッチンをリビング・ダイニングと繋げて開放感をだし、さらに3つの寝室のうちの1つの壁を取り壊してLDKを2倍の広さにした。

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くつろぎと心地よさを演出するため、リムさんが注目したのは影だった。「使う色を限定する、というのが今回のデザインを引きたたせる重要なポイントです。使う色の数少なくすることで、住む人が落ち着き、安らげる住まいになります」と続ける。「まず、黒をメインカラー、つまり本影に選びました。黒は影（または陰）の色です。黒は控えめで洗練されていて、表面を背景の中にそっと溶け込ませることができる色です。そこに組み合わせたのが、私たちが半影と呼んでいるトーンの違う複数のグレーで、前景を埋め尽くすように使っていきました」

黒の壁に合わせたのがオフブラックとグレーのマーブル、木製の家具類、そしてクッションやカーテンといったソフトファニシングだ。いずれもリッチでラグジュリーな印象が加わる。床はオーク材のフローリングで、「本影」と「半影」の色づかいに柔らかなコントラストを与えている。ソファやダイニングテーブルの天板など、広い面積を占める家具も、あたたかみのある木やグレーがかったブラウンを選んだ。

ひと続きの間取りに一新したところで、長さ2.7メートルのマーブルを使ったアイランドキッチンを入れることができた。大きなアイランドが広い空間に存在感を放ち、リビングとダイニングの間にシームレスな流れを生む。アイランドの後ろにはキッチンキャビネットが並び、ランドリールームなどへ通じるドアもこのなかに隠されている。

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天井まである造作の本棚は、オープンシェルフとキャビネットからなり、折れ戸を開けるとテレビがある。シェルフにはオーナーお気に入りのオブジェを飾り、そばにはデザイナーズ家具を置いた。

〈スペース・コペンハーゲン〉がデザインした《スウーン・チェア》

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ゲストをもてなすときのため、オーナーは多目的に使える長めのダイニングテーブルを希望した。ふたりで向かい合って食事をとるほかに、家に仕事を持ち帰ったときはワークスペースにする、テレビが見える側に座ってニュースを見ながらさっと食事をすませる、人を夕食に招いたときはみんなでテーブルを囲むなど、多様な使い方ができる。「バルコニーが真ん中部分で外側にふくらんだ特徴ある形なので、ダイニングスペースは屋外に張り出した空間で食事するイメージにしました」とリムさん。

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照明はイタリアのカララ大理石を使ったペンダントランプ。キッチンやリビングと比べると明るく軽やかな雰囲気のダイニングに、高級感のある素材を添えた。

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主寝室のベッドは、リムさんがオーナーの希望を聞いてデザインした。「フットボードにオープンシェルフを設けています。ベッドの上で横になった姿勢で海を眺められるよう、シェルフは高さを抑えました」

アパートメントはもともと新築で、オーナーもオリジナルの設備や仕上げは気に入っていたため、今回リムさんのチームは、がらっと印象を変えたLDKと、造作ベッドを入れた寝室を手がけた。

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