コメント
伝統建築をリノベーション。光と風が通る彫刻のような家
チーク材の美しいスクリーンが、プライバシーを守りつつ開放感をもたらしています。
Chiquit Brammall
2022年11月8日
リノベーションを前提に、シンガポールの閑静な住宅街・シグラップに建つ中古家を購入たオーナー夫妻。購入前から設計を依頼したい建築家を心に決めていたそうです。その人は、アーメル・アーキテクツの創業者アーメル・ターヘルさん。ご夫妻は、これまでに2度ターヘルさんに設計を依頼したことがあり、相性のよさを感じていたといいます。
「私の事務所でお二人の住まいを手がけるのはこの15年で3軒目なので、ご夫妻のご要望やライフスタイルについてはしっかり把握しています」とターヘルさんは話します。「ただ、物件はひとつひとつが個性的ですから、設計はそれぞれの要素に合わせて提案しました」というターヘルさん。
「私の事務所でお二人の住まいを手がけるのはこの15年で3軒目なので、ご夫妻のご要望やライフスタイルについてはしっかり把握しています」とターヘルさんは話します。「ただ、物件はひとつひとつが個性的ですから、設計はそれぞれの要素に合わせて提案しました」というターヘルさん。
どんなHouzz?
住まい手:60代のカップル
所在地:シンガポール、シグラップ
規模:延床面積349.95平方メートル(デッキ除く)
敷地面積448.53平方メートル
設計:アーメル・アーキテクツ(アーメル・ターヘルさん)
写真:Sanjay Kewlani
この家は角地にあり、家が面している大通りにバス停がある点を考慮しなくてはならなかったと語るターヘルさん。「新築ではなく改築する、というのが基本方針でした。新築にすると接道義務で建物をさらに後退しなければならなかったのと、コストの節約の観点からです。また西向きで、前面道路の交通量が多いという都会ならではの難しい条件に対処しながら、静かで快適な住環境をかなえるためでもあります」とターヘルさん。
住まい手:60代のカップル
所在地:シンガポール、シグラップ
規模:延床面積349.95平方メートル(デッキ除く)
敷地面積448.53平方メートル
設計:アーメル・アーキテクツ(アーメル・ターヘルさん)
写真:Sanjay Kewlani
この家は角地にあり、家が面している大通りにバス停がある点を考慮しなくてはならなかったと語るターヘルさん。「新築ではなく改築する、というのが基本方針でした。新築にすると接道義務で建物をさらに後退しなければならなかったのと、コストの節約の観点からです。また西向きで、前面道路の交通量が多いという都会ならではの難しい条件に対処しながら、静かで快適な住環境をかなえるためでもあります」とターヘルさん。
バンガロー様式の住居をコンテンポラリーにリノベーションするにあたり、箱型の建物の上に勾配屋根をのせた伝統的なフォルムを取り入れました。敷地境界線から建物を後退させるため、建物の規模には制限がありましたが、屋外プールとベランダを設けました。ただし、伝統的なバンガロー様式と似ているのはここまでです。
家づくりの専門家を探す
家づくりの専門家を探す
生まれ変わった家は彫刻を思わせる外観で、型枠から外されたむき出しのコンクリートが地面からそびえ立つよう。下方が細くなった支柱で重量のあるコンクリート屋根を支え、まるで重力に逆らっているかのように見えます。繊細なフィリグリー(線細工)を施したチーク材のスクリーンの奥に、実際に屋根を支える構造が透けて見えます。
「無垢のチーク材を使った繊細なスクリーンで、都会の環境下でも家をおおうようにして守りながら、窓からの視界や自然光、通気性が犠牲にならないようにしています」とターヘルさん。
「無垢のチーク材を使った繊細なスクリーンで、都会の環境下でも家をおおうようにして守りながら、窓からの視界や自然光、通気性が犠牲にならないようにしています」とターヘルさん。
「インドネシアのバリ島で作ってもらった木のスクリーンにあしらったパターンは、プライバシーを守る東洋の伝統的なスクリーンを私たちの解釈で取り入れたものです」
チーク材のスクリーンが住宅を軽やかでオープンな印象にしつつ、「敷地を囲む厚い壁と庭のランドスケープデザインで、大通りの騒音が緩和されています」
チーク材のスクリーンが住宅を軽やかでオープンな印象にしつつ、「敷地を囲む厚い壁と庭のランドスケープデザインで、大通りの騒音が緩和されています」
家は2フロアと屋根裏からなります。1階には床から天井までのガラス製引き戸を取り付け、リビングとダイニングのある屋内と、ベランダとプールがある屋外をスムーズにつなげています。
庭とプールは、空調を使わずに涼しくしてくれるパッシブクーリングの役目も果たしています。2階にはベッドルーム3室と書斎があり、吹き抜けになっているので書斎から1階のリビングが見下ろせます。
夢のように美しい眺めを見渡せる、世界のプール15選
夢のように美しい眺めを見渡せる、世界のプール15選
屋根裏にはマスターベッドルーム。大きく張り出した屋根の効果で涼しいほか、自然光がふんだんに入り、眺めも楽しめます。
「書棚やベッドフレーム、机、書斎などの作りつけの家具は、ダークカラーの合板で製作し、無垢のハードウッドの床材となじませています。おかげで、コストを大幅に下げられました」とターヘルさん。
「書棚やベッドフレーム、机、書斎などの作りつけの家具は、ダークカラーの合板で製作し、無垢のハードウッドの床材となじませています。おかげで、コストを大幅に下げられました」とターヘルさん。
「それ以外の家具や装飾品はオーナーが持っていたコレクションの数々です。今回、細かいところや素材は手持ちの家具と合うように考えましたが、家自体は特に決まったスタイルを意識したデザインにはしていません。むしろ柔軟でニュートラルにしておいて、これから時とともにインテリアが変化していくのに従い、必要に応じて合わせていけるようにしました」
「コンクリートから型枠を外し、溝の位置を整え、照明用の導体ストリップを屋根に隠す作業には、細心の注意を払いました」
「オープンな空間設計にしたことで風が通り抜け、自然光が入ります。また、張り出し部やスクリーン、プール、デッキ、庭の景観といった要素が周辺環境のマイナス面を和らげて、屋内、屋外ともに快適な住まいづくりに貢献しています」とターヘルさんは話してくれました。
こちらもあわせて
コンクリートの外観の美しい家30選
コンクリートをインテリアやエクステリアに活用するクールな10のアイデア
無機質に見せない! コンクリートの魅力を庭でも活かすアイデア
教えてHouzz
ご感想をお聞かせください。
こちらもあわせて
コンクリートの外観の美しい家30選
コンクリートをインテリアやエクステリアに活用するクールな10のアイデア
無機質に見せない! コンクリートの魅力を庭でも活かすアイデア
教えてHouzz
ご感想をお聞かせください。
おすすめの記事
Houzzがきっかけの家(国内)
ジョージア・オキーフ邸をイメージした、4人家族の暮らしにフィットする家
文/永井理恵子
Houzzで見つけた建築家に依頼して、予算内で夢の住まいを実現!通りかかった人に「素敵ですね!」とよく褒められる、シンプルながらスタイリッシュなお宅です。
続きを読む
日本の家
ゲストへの思いやりの心をしつらえた、離れのある家
文/杉田真理子
東京から訪れるゲストのため、母屋のほかにゲストルームの離れをしつらえた住まい。伝統的な日本家屋の美しさが、自然の中で引き立つ家です。
続きを読む
Houzzがきっかけの家(国内)
家族で自然を満喫。極上の浴室と広々としたデッキを備えた軽井沢の別荘
3人の子供たちの成長期に家族で軽井沢ライフを楽しむため、オーナーは時間のかかる土地探し&新築計画を見直し、中古物件を購入。Houzzで見つけた長野県の建築家に改修を依頼して、飛躍的に自然とのつながりが感じられる住まいに変身させました。
続きを読む
リノベーション
建築家がゲストハウスに再考したガレージ
多目的スペースへと作り替えられた空間とカーポートの追加によって、スタイリッシュにアップデートされた、歴史あるニューイングランド様式の住宅をご紹介します。
続きを読む
世界の家
ビルバオのグランビア通りに佇む、1950年代のクラシカルなフラットハウス
既存のモールディングが美しい85平方メートルのリビング、ダイニング、ホームオフィスをもつ、エレガントなフラットをご紹介します。
続きを読む