イギリスで人気の庭のスタイル「メドウガーデン」をつくりたい!
自然な植物の美しさを存分に味わえるメドウガーデンをご存じですか?
舩村佳織
2018年4月21日
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています。
二児の子育て中でもあり、家族みんなが楽しめる庭造りが得意です。設計者として、主婦としての目線から、暮らしやすさに寄り添います。
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています... もっと見る
春は植物がいちばん美しい季節です。それは道端の雑草も同じこと。普段は意識していなくても、ふとしたときにその魅力に心を奪われることはありませんか? そんな植物本来の魅力を味わえるのがメドウガーデン。素敵なメドウガーデンの世界をちょっぴり覗いてみましょう。自宅の庭でも真似できるエッセンスが見つかるはずです。
メドウガーデンとは?
近年イギリスのガーデンシーンで人気がある「メドウガーデン」。メドウとは草原という意味で、草原の景色のような庭のことをメドウガーデンと言います。イギリスの庭づくりは、美しい自然を庭に反映すること。そんなイギリスのガーデナーたちが、草原を庭につくりたがるのも納得です。
近年イギリスのガーデンシーンで人気がある「メドウガーデン」。メドウとは草原という意味で、草原の景色のような庭のことをメドウガーデンと言います。イギリスの庭づくりは、美しい自然を庭に反映すること。そんなイギリスのガーデナーたちが、草原を庭につくりたがるのも納得です。
立体的に見せるポイントは「面」を見せること
植物の形をそれぞれ捉えることが、メドウガーデンを立体的に見せるポイントです。計算されてつくられたメドウガーデンは、あるがままに植物が生えているように見えて、しっかりと形を考えてつくり込まれています。
例えばこの写真を見てみると、中央にあるピンクの花、エキナセアは大きく開いた「面」を見せる花です。写真手前とエキナセアの奥にある青い花、アガスターシェはつんつんととがった形。アガスターシェの後ろには丸っこいモナルダが咲いています。このように、同じようなフォルムの植物を隣に植えないことでめりはりが生まれ、鑑賞する庭へと変わります。
植物の形をそれぞれ捉えることが、メドウガーデンを立体的に見せるポイントです。計算されてつくられたメドウガーデンは、あるがままに植物が生えているように見えて、しっかりと形を考えてつくり込まれています。
例えばこの写真を見てみると、中央にあるピンクの花、エキナセアは大きく開いた「面」を見せる花です。写真手前とエキナセアの奥にある青い花、アガスターシェはつんつんととがった形。アガスターシェの後ろには丸っこいモナルダが咲いています。このように、同じようなフォルムの植物を隣に植えないことでめりはりが生まれ、鑑賞する庭へと変わります。
自然な草原に見えるこの写真も、先ほどの「植物のフォルム」を意識して見てみると、考えてつくられた庭であることがわかります。この「植物のフォルム」を意識して植えるというのは、どんな庭でも応用できることで、植栽を考えるときに大事な考え方となります。
ガーデンにもアクセントを
こちらは少しつくり方が違うメドウガーデン。まん丸で紫の花、アリウムが「アクセントプランツ」として彩りを添え、その間を柔らかな植物が「フィリングプランツ」として埋めています。
こちらは少しつくり方が違うメドウガーデン。まん丸で紫の花、アリウムが「アクセントプランツ」として彩りを添え、その間を柔らかな植物が「フィリングプランツ」として埋めています。
脇役選びも慎重に
ぱっと目立つ「アクセントプランツ」の隙間を埋めるための脇役「フィリングプランツ」に何を選ぶか。これがメドウガーデンを自然に見せる重要なポイントになります。
フィリングプランツとして使いやすいのが、オーナメンタルグラスです。イギリスではイネ科やカヤツリグサ科の植物が、園芸用の植物として重宝されています。
日本にはイネ科やカヤツリグサ科の植物が多数自生しています。私たちの身近によく存在していますが、あまり鑑賞することはありません。いわゆる雑草として始末されてしまうことがほとんどです。
ぱっと目立つ「アクセントプランツ」の隙間を埋めるための脇役「フィリングプランツ」に何を選ぶか。これがメドウガーデンを自然に見せる重要なポイントになります。
フィリングプランツとして使いやすいのが、オーナメンタルグラスです。イギリスではイネ科やカヤツリグサ科の植物が、園芸用の植物として重宝されています。
日本にはイネ科やカヤツリグサ科の植物が多数自生しています。私たちの身近によく存在していますが、あまり鑑賞することはありません。いわゆる雑草として始末されてしまうことがほとんどです。
雑草を生かす方法
みなさんも感じたことはあるかと思いますが、いわゆる「雑草」も多くの魅力を持っています。春に咲かせるかわいい花や、秋の枯れ姿など、普段見過ごしているありのままの姿が美しいものです。
花期の違うアクセントプランツをいくつか植えたら、あとは雑草をフィリングプランツとして活用してみるのもひとつのアイデアです。日本は植生豊かなアジアの国です。放っておくとすべてが草に覆われてしまうような、植物の生命力が強い国です。その力を利用してみてはいかがでしょうか? ある程度の範囲を決めて、残りは草刈りをするようにすれば、まったく手入れをされていない庭という風には見えないはずです。
みなさんも感じたことはあるかと思いますが、いわゆる「雑草」も多くの魅力を持っています。春に咲かせるかわいい花や、秋の枯れ姿など、普段見過ごしているありのままの姿が美しいものです。
花期の違うアクセントプランツをいくつか植えたら、あとは雑草をフィリングプランツとして活用してみるのもひとつのアイデアです。日本は植生豊かなアジアの国です。放っておくとすべてが草に覆われてしまうような、植物の生命力が強い国です。その力を利用してみてはいかがでしょうか? ある程度の範囲を決めて、残りは草刈りをするようにすれば、まったく手入れをされていない庭という風には見えないはずです。
どこか懐かしく、幼少時代を思い出すようなメドウガーデン。1年中花を追いかけるようなガーデニングは、作業が多く大変です。花だけでなく、植物の季節ごとの姿を愛でるガーデニングを目指したいものです。
手入れされていない庭に見えないようにするために、今までご紹介した「植物のフォルム」や主役となる「アクセントプランツ」、脇役となる「フィリングプランツ」を意識して、植栽を考えることがポイントとなっていきます。
手入れされていない庭に見えないようにするために、今までご紹介した「植物のフォルム」や主役となる「アクセントプランツ」、脇役となる「フィリングプランツ」を意識して、植栽を考えることがポイントとなっていきます。
時間をかけて種から育てる
メドウガーデンは花苗から育ててもよいですが、種子から育てるのもひとつのやり方です。春に咲かせる植物は秋撒き、秋に咲かせる植物は春撒きが基本です。完成までは少し時間がかかりますが、自然な風景をつくるには種子から育てるのがいちばん。花苗を購入するよりリーズナブルなのも魅力です。几帳面になりすぎず、ざっくりと範囲を決めながら種子を撒きましょう。
メドウガーデンは花苗から育ててもよいですが、種子から育てるのもひとつのやり方です。春に咲かせる植物は秋撒き、秋に咲かせる植物は春撒きが基本です。完成までは少し時間がかかりますが、自然な風景をつくるには種子から育てるのがいちばん。花苗を購入するよりリーズナブルなのも魅力です。几帳面になりすぎず、ざっくりと範囲を決めながら種子を撒きましょう。
こぼれ種子を使えるのも、メドウガーデンのうれしいところ。放っておいても、こぼれ種子で新しい芽が出て増えていきます。種子が落ちる前に採取して、違うところに撒いていくことも可能です。広がりすぎたら間引きをしたり、株分けをして、ある程度植物の量を調整しましょう。
最も大切なことは、今年うまくいかなくても来年また挑戦しようというのんびりとした姿勢です。一度で思い通りにはいかないのが植物の難しいところでもあり、楽しいところでもあります。1年で季節はやっとひと巡り。1年でひとつのサンプルしか手に入りません。少しずつ自分の庭に合う方法を見つけていくのが、メドウガーデンづくりの成功の秘訣です。のんびりと自然派のガーデニングで、あなただけの草原をつくってみませんか?
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