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「今の日々を楽しく暮らす」ことを叶えたオーダーキッチン
キッチンリフォームで手に入れた明るく開放的な空間、充実の機能、きめこまかくプランした収納。すみずみまで自分好みのキッチンを手に入れたオーナーは、どんな希望を専門家に伝えたのでしょうか?
田村敦子|Atsuko Tamura
2019年3月8日
Freelance Editor
仕事で多忙な日々を送りながら子育てをするこの家のオーナーは、新築マンション入居後12年目で全面リフォームを決意した理由を「古くなった悪いところを直すリフォームより、慌ただしく過ごしている今の生活がより快適になるリフォームにお金を使いたいと思ったから」と語っていたという。細かく区切られた4LDKから、LDKスペースを思い切って広く取り、パントリーやウォークインクローゼットなど収納もたっぷり確保した2LDKへ、間取りを大幅に変更。暮らしの中心にキッチンを据えた「今、この時を楽しく暮らす」ためのリフォームだ。今回はそのキッチンをじっくり見せていただいた。
もとのキッチンは分譲マンションによく見られる、上部が吊り戸棚付きの壁で仕切られたセミクローズドタイプ。現在コンロのあるあたりから奥がキッチンだった。
どんなキッチン?
所在地:東京都
住まい手:夫婦と男の子
概要:築12年マンションの全面リフォーム
リフォーム面積:83平方メートル
設計:LiB contents(石井京子)
リフォーム竣工:2016年
どんなキッチン?
所在地:東京都
住まい手:夫婦と男の子
概要:築12年マンションの全面リフォーム
リフォーム面積:83平方メートル
設計:LiB contents(石井京子)
リフォーム竣工:2016年
最初の打ち合わせの際に、奥様が語った言葉がとても印象的だったと、LiB contentsの担当者、石井京子さんは言う。「人に見せて自慢するようなキッチンにしたいのではなく、とにかく自分自身が日々を楽しく、気持ちよく過ごせる空間にしたい、とおっしゃっていました。毎朝6時に出勤するという多忙な方なのですが、それでも『母ちゃんのごはん、旨かったな』と小学生の息子さんの記憶に残るようにしたい、とも。その言葉にとても共感しました」。
同時に、好みのインテリアの写真などの資料を受け取り、持っているものをヒアリング。石井さんの提案で、3つの窓に面した明るい南東に、大きくキッチンを取った。腰窓のある壁側にシンクを、ダイニング側のペニンシュラカウンターにコンロを配置したⅡ型(2列型)レイアウト。
コンロ付きのペニンシュラカウンターの下は、たくさんの食器をしまえる引き出し収納に。ダイニング側の面材は着色したチェリー材の突板を使い、ダイニングのインテリアとなじむデザインに。床はほっこりとしたリラックス感を演出するため、あえてオーク材を選んだ。
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コンロ付きのペニンシュラカウンターの下は、たくさんの食器をしまえる引き出し収納に。ダイニング側の面材は着色したチェリー材の突板を使い、ダイニングのインテリアとなじむデザインに。床はほっこりとしたリラックス感を演出するため、あえてオーク材を選んだ。
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カウンタートップは人工大理石をセレクト。長いカウンターでも継ぎ目なく作れる素材だ。清潔感のある白とダークブラウンのツートーンを基調に、部分使いのタイルやステンレスのレンジフードがアクセントを添える。
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ペニンシュラカウンターの内側は白の面材に。2列型キッチンは振り返る動作も多いので、間の床はお手入れしやすい石テイストのタイルを採用。ダイニング側からは見えないが、コンロのすぐ隣に冷蔵庫があり、動線も十分に考慮されているレイアウトだ。
さて、このキッチンの大きな特徴は、随所に配慮の行き届いた収納スペースがちりばめられていること。調理器具や食器がたくさん持っていて、もとからたっぷり引き出し収納のあるキッチンだったが、リフォームに際して、持ち物に合わせたよりきめこまかい収納プランを作ったという。
たとえば写真の幅の狭い深めの引き出しには、トレイやランチョンマットを立てて収納できる仕切りをつけた。お盆類をたくさん持っている人にとって、さっと取り出せる「立てる収納」は実に便利。持っているお盆のサイズを測ってつくる、オーダーメイド収納ならではのディテールだ。
たとえば写真の幅の狭い深めの引き出しには、トレイやランチョンマットを立てて収納できる仕切りをつけた。お盆類をたくさん持っている人にとって、さっと取り出せる「立てる収納」は実に便利。持っているお盆のサイズを測ってつくる、オーダーメイド収納ならではのディテールだ。
その引き出しのすぐ隣のカウンター下にはパイプスペースがあり、奥行きが内寸15cmほどしか取れなかったが、ここもくまなく使ってハンギング収納に。バーを2本渡し、キッチンミトンや鍋敷き、ミニほうきなど、よく手に取るものを掛けられるようにした。
シンク脇の吊り戸棚のサイドには、水でぬれても支障のないステンレス製のラックをつけた。洗った後、拭いても乾ききらないまな板やざるを、風通しよく置いておける。デッドスペースになりがちな場所を、実にうまく活用している。
その吊り戸棚の、壁ひとつ隔てた左隣には食品庫が。深い奥行きを活かしてスライドレール付きの引き出し収納をつくり、ラベリングした保存容器を駆使して、コンパクトながら多種多彩な食材が収納できるスペースができた。
冷蔵庫の奥は、収納たっぷりのパントリー。キッチン側からもリビング側からも入ることができ、リビング側には写真左手の引き戸がついている。天井までの棚を設け、料理本から家電、土鍋など多彩なアイテムの収納に活用。市販のかごやボックスを組み合わせ、オーナー自ら使い勝手を熱心に工夫していることがうかがえる。
パントリーの収納アイデアを見る
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2つの窓に挟まれたスペースに、ディスプレイが楽しめる小さな棚を設置。美しいニュアンスカラーの縦長ヘキサゴンタイルがアクセントとなり、ディスプレイアイテムを引き立てている。「私にはこのくらいの小さい飾り棚がちょうどいい」と奥様も喜んでくれたそう。
厳選された北欧雑貨が映えるすっきり大人っぽいインテリアと、かゆいところに手の届く収納と機能を両立。オーナーの望みやライフスタイルに合わせた綿密なプランで、一般的な間取りのマンションのキッチンが、今を楽しく暮らすための快適な使い心地のキッチンに生まれ変わった。
南向きの掃き出し窓、東向きの腰窓から気持ちのよい陽射しが降り注ぐ明るいキッチンが、今日も家族の楽しい記憶を紡ぐ。
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