趣味が楽しめ、開放感にあふれる、松原のガレージハウス
愛車を眺められるインナーガレージに、心おきなく楽器演奏ができるコンクリートの箱のような音楽室。その箱の屋上から2階とコミュニケーションできるなど、楽しい工夫があふれる5人家族の住まい。
Miki Anzai
2018年1月9日
大阪府の住宅と工場が混在するエリアに、スタイリッシュなキューブ型の住宅が誕生した。シンプルなデザインながら、周囲の視線をまったく気にせずに開放できる開口が綿密に計画されている。そして、何よりも驚かされるのが、玉手箱のようにオーナーの夢がぎっしりと詰まった建物の内部である。
「愛車を室内から鑑賞したい」「心ゆくまでギターやピアノを演奏したい」「夜空を眺めながら寝たい」「子供たちの気配がいつも感じられる場所にしたい」というオーナー夫妻の願いがすべてかなえられた《松原のガレージハウス》。以前の賃貸マンション暮らしから一転、理想の住処を手にしたオーナー夫妻と、二人の理想を具現化した〈藤原・室 建築設計事務所〉に家づくりの極意を聞いた。
どんなHouzz?
居住形態:新築
住まい手:夫妻+子供3人
所在地: 大阪府松原市
構造: 木造地上2階建て
設計: 藤原・室 建築設計事務所
敷地面積:116.57平方メートル(35.26坪)
建築面積:67.26平方メートル(20.34坪)
延床面積:122.40平方メートル(37.03坪)
竣工:2015年5月
「愛車を室内から鑑賞したい」「心ゆくまでギターやピアノを演奏したい」「夜空を眺めながら寝たい」「子供たちの気配がいつも感じられる場所にしたい」というオーナー夫妻の願いがすべてかなえられた《松原のガレージハウス》。以前の賃貸マンション暮らしから一転、理想の住処を手にしたオーナー夫妻と、二人の理想を具現化した〈藤原・室 建築設計事務所〉に家づくりの極意を聞いた。
どんなHouzz?
居住形態:新築
住まい手:夫妻+子供3人
所在地: 大阪府松原市
構造: 木造地上2階建て
設計: 藤原・室 建築設計事務所
敷地面積:116.57平方メートル(35.26坪)
建築面積:67.26平方メートル(20.34坪)
延床面積:122.40平方メートル(37.03坪)
竣工:2015年5月
緑の芝生に真っ白な壁、そこに錆びた赤茶色の鉄扉がアクセントに加わった、色彩バランスの美しい家である。
「渋く錆びた風合いの扉をつけたかった」というオーナー。「島根県立古代出雲歴史博物館を訪れたとき、実際に錆びた建物を目の当たりにして、その迫力に感動しました」。使用した鋼材は、「コールテン鋼」という、表面は錆びても中まで錆びにくい、耐候性の高いもの。その色合いを活かすために「外観を極力シンプルに設計した」と〈藤原・室 建築設計事務所〉の藤原慎太郎さん・室喜夫さんは語る。オーナーは、建物の日中の姿だけでなく、夕方から夜にかけて、室内から光が漏れ出る幻想的な光景も気に入っているそう。
「渋く錆びた風合いの扉をつけたかった」というオーナー。「島根県立古代出雲歴史博物館を訪れたとき、実際に錆びた建物を目の当たりにして、その迫力に感動しました」。使用した鋼材は、「コールテン鋼」という、表面は錆びても中まで錆びにくい、耐候性の高いもの。その色合いを活かすために「外観を極力シンプルに設計した」と〈藤原・室 建築設計事務所〉の藤原慎太郎さん・室喜夫さんは語る。オーナーは、建物の日中の姿だけでなく、夕方から夜にかけて、室内から光が漏れ出る幻想的な光景も気に入っているそう。
芝生の手入れが行き届いた庭。オーナー自身がこまめに芝刈りをしている。
この家を新築する以前は、敷地いっぱいに、オーナーの義父が所有していた貸家が建っていた。設計案を親戚や知人に見せると、大半の人は「庭を広く取り過ぎではないか?」「内部構造も変わっているので、もっと普通の家にしたほうがよい」などと反対されたそう。しかし、オーナー夫妻に迷いはなかった。
「最初は〈藤原・室 建築設計事務所〉のホームページを見て、自分たちの理想の雰囲気に合っていたので興味を持ちました。その後、オープンハウスに参加したり、建築家の方々とお話をしたりしたので、安心して設計をお任せすることができました」。
この家を新築する以前は、敷地いっぱいに、オーナーの義父が所有していた貸家が建っていた。設計案を親戚や知人に見せると、大半の人は「庭を広く取り過ぎではないか?」「内部構造も変わっているので、もっと普通の家にしたほうがよい」などと反対されたそう。しかし、オーナー夫妻に迷いはなかった。
「最初は〈藤原・室 建築設計事務所〉のホームページを見て、自分たちの理想の雰囲気に合っていたので興味を持ちました。その後、オープンハウスに参加したり、建築家の方々とお話をしたりしたので、安心して設計をお任せすることができました」。
車好きにとって憧れのインナーガレージ。ここにオーナーは愛車のフォルクスワーゲンゴルフIIカブリオレ・クラシックライン(93年式、色=ダークグリーン)と、子供用自転車を2台を置いている。またガレージ奥には造作棚を設け、週末に家族でキャンプに出かけることが多いので、キャンプ用品を収納している。
ガレージと居住空間との境は、木製の框戸(かまちど)。単板ガラスで、特に排ガス対策はしていないが、気密は十分に取ってあるため、アイドリングなどしない限り問題はない。
ガレージと居住空間との境は、木製の框戸(かまちど)。単板ガラスで、特に排ガス対策はしていないが、気密は十分に取ってあるため、アイドリングなどしない限り問題はない。
ガレージ続きのデッキ部分には、約2.3立方メートルのコンクリートの箱が!
箱の屋上部分には、植栽を置いたり、2階の階段から降りて座ったり、冬にはクリスマスツリー、春にはひな人形などを飾ったりして、季節ごとのイベントを楽しんでいる。雨の日には、洗濯物を干す場として利用することもあるのだそう。
箱の屋上部分には、植栽を置いたり、2階の階段から降りて座ったり、冬にはクリスマスツリー、春にはひな人形などを飾ったりして、季節ごとのイベントを楽しんでいる。雨の日には、洗濯物を干す場として利用することもあるのだそう。
デッキにも、天窓から心地よい太陽の光が差し込むため、家族のお気に入りのスペースとなっている。
コンクリートの箱を囲むウッドデッキ材は、耐久性と強度に優れたセランガンバツ。RC造の箱には手前に開く扉がついており、そこから出入りできる。
コンクリートの箱を囲むウッドデッキ材は、耐久性と強度に優れたセランガンバツ。RC造の箱には手前に開く扉がついており、そこから出入りできる。
コンクリートの箱の中は、夜中でも心おきなく楽器を演奏できる、音楽好きにも羨ましがられる空間となっている。
ギターが趣味のオーナーが、特に防音と音響効果にこだわった。「当初はモルタルで提案された音楽室を、あえて重厚感があって防音効果も高いコンクリートに変更してもらいました。また天井には反響防止のための防音板を貼ってもらいました」。奥様も電子ピアノを弾くこともあるが、最近は「もっぱら密閉空間に魅せられた子供たちが、秘密基地として遊んだり、テレビを観たり、読書をしたりしています」。
ギターが趣味のオーナーが、特に防音と音響効果にこだわった。「当初はモルタルで提案された音楽室を、あえて重厚感があって防音効果も高いコンクリートに変更してもらいました。また天井には反響防止のための防音板を貼ってもらいました」。奥様も電子ピアノを弾くこともあるが、最近は「もっぱら密閉空間に魅せられた子供たちが、秘密基地として遊んだり、テレビを観たり、読書をしたりしています」。
音楽室をはさんで両サイドが木製ガラス戸のため、ダイニングキッチンからも建物の内部が見渡せる。特に育児中の奥様にとって、家事をしながら子供の様子をチェックできるので安心だ。
オーナーは、よくここから2階にいる子供たちに手を振ったり、話しかけたりしている。
「マンションに暮らしていたときは、部屋のドアを閉めると家族が何をしているかわかりませんでした。今はどこで誰が何をしているのかわかるので、悪く言えばプライバシーがないのですが、それが心地よく、安心できる空間になっています」。子供が思春期になると、親との距離も変わってくるだろうが、「子供が引きこもれない家」を目指したという。
「マンションに暮らしていたときは、部屋のドアを閉めると家族が何をしているかわかりませんでした。今はどこで誰が何をしているのかわかるので、悪く言えばプライバシーがないのですが、それが心地よく、安心できる空間になっています」。子供が思春期になると、親との距離も変わってくるだろうが、「子供が引きこもれない家」を目指したという。
2階に設置した子供の勉強机は、約3メートル。ここからも音楽室の屋上が見下ろせるので、パパとコミュニケーションを取るのを子供たちは楽しみにしている。
2階には、個別の子供部屋も用意されているが、現在は画像手前の部屋で、奥様と子供たちが一緒に寝ている。「朝、天窓からの光で自然と目を覚ます生活ができ、子供たちも寝坊知らずです」。オーナー自身は「いびきがうるさいので今は別の部屋で寝ていますが、いずれはここを夫婦の寝室にするつもりです」と笑いながら話してくれた。
家全体を優しく照らすために、間接照明や小さな照明を使用している。その室内ライトを全て消して「天窓から家族全員で眺める月は最高」だそう。
オーナー夫妻が〈藤原・室 建築設計事務所〉に設計を依頼してから《松原のガレージハウス》の完成まで約1年半。それまでも夫妻は、オープンハウスを訪問したり、テレビや雑誌をチェックしたり、気になった建造物があれば全国各地に足を運んだという。「あと5年は家づくりのことを考えていたかった」というくらい、楽しい思い出しかないと言う。その境地になれたのは、思い描いた通りの家を、建築家とともに建てる喜びを心から味わえたからに違いない。
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オーナー夫妻が〈藤原・室 建築設計事務所〉に設計を依頼してから《松原のガレージハウス》の完成まで約1年半。それまでも夫妻は、オープンハウスを訪問したり、テレビや雑誌をチェックしたり、気になった建造物があれば全国各地に足を運んだという。「あと5年は家づくりのことを考えていたかった」というくらい、楽しい思い出しかないと言う。その境地になれたのは、思い描いた通りの家を、建築家とともに建てる喜びを心から味わえたからに違いない。
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個性と愉しさがあふれる家です。
とてもスタイリッシュでオーナーさまのこだわりが反映された素敵なご邸宅だと思います。
ただ柵のないコンクリートのキューブの屋上に植物鉢を置いたり、2階から降りて座ったり小さいお子様がいらっしゃるので転落や地震が起きた場合が心配で老婆心ながらコメントさせて頂きました。
事故のない安全な暮らしを心よりお祈り致します。
E Kuzam様 コメント有り難うございます。私もまず小さいお子様がキューブの上から落下する恐れがないか心配でしたので、取材時にお尋ねしたところ、「まだ小さいので大きくなるまでは施錠して箱の上には行けないようにしています。」との回答でした。たまたま撮影時には、お子様が階段のところに出られていますが、通常は箱の上に出入りできないようにされておられます。話はそれますが、以前、幼児がおられるスキップフロアのお宅のオーナーにお話を伺ったところ、ネットを張るようにして、お子さんが成長されたら外すとおっしゃられていました(記事内8枚目画像です)。ご参考になればと思い、ご紹介させて頂きます。