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絶対に知っておきたい名作モダン住宅:フランク・ロイド・ライトの落水荘
「史上最高のアメリカ建築」といわれる、フランク・ロイド・ライトの代表作〈落水荘〉の魅力とは?
Bud Dietrich, AIA
2015年6月10日
ペンシルヴァニア州西部に丘の上に立つ〈落水荘〉を、私は以前から何度も訪れている。通常の見学ツアーや日曜のブランチツアーにも参加したし、夜にレセプションを訪れたことも。行くたびに、ほんとうに素晴らしい建築だと思うし、学ぶことがたくさんある。
〈落水荘〉は、ピッツバーグのデパートのオーナーだったエドガー・カウフマンのために、フランク・ロイド・ライトが1930年代に設計した。1991年には「史上最高のアメリカ建築」にも選ばれている。1963年に、カウフマンの息子であるエドガー・ジュニアが、住宅と敷地とオリジナルの家具を西ペンシルヴァニア州保存委員会に寄贈し、同委員会が今日もこの優れた建築の維持・保存を行っている。
2011年9月17日には、〈落水荘〉の竣工75周年を記念して、同委員会がレセプションパーティーを開催した。せせらぎの音と静かな音楽、人々が交わす声が響くなか、〈落水荘〉は森のなかに灯したランタンのように輝き、またとない特別な夜となった。
落水荘の見学ツアー情報(英語):Fallingwater
〈落水荘〉は、ピッツバーグのデパートのオーナーだったエドガー・カウフマンのために、フランク・ロイド・ライトが1930年代に設計した。1991年には「史上最高のアメリカ建築」にも選ばれている。1963年に、カウフマンの息子であるエドガー・ジュニアが、住宅と敷地とオリジナルの家具を西ペンシルヴァニア州保存委員会に寄贈し、同委員会が今日もこの優れた建築の維持・保存を行っている。
2011年9月17日には、〈落水荘〉の竣工75周年を記念して、同委員会がレセプションパーティーを開催した。せせらぎの音と静かな音楽、人々が交わす声が響くなか、〈落水荘〉は森のなかに灯したランタンのように輝き、またとない特別な夜となった。
落水荘の見学ツアー情報(英語):Fallingwater
森の中をしばらく歩いていくと、大きな岩の上にそびえる〈落水荘〉の堂々たる姿が見えてくる。建築が自然を引き立てているが、このような建築はなかなかあるものではない。まさに、ライトが探究しつづけた「有機的建築」の真骨頂だ。
この家は滝の上にせり出している。敷地にしっかりと根ざしていながら、同時に今にも空へ飛び立たとうとしているようだ。アウトドア愛好家だったカウフマン夫人は、よく階段の上から釣りをしていたとか。
メインのリビングは4面に窓があり、床は石でできている。水辺を見下ろすテラスは、左右両側から出ることができ、屋内の空間が屋外とつながり、広がっていく。リビングは広々としていながら、とても居心地がよい空間だ。スケールの操作によって望み通りの効果を生み出すライトの力量を示している。
実にライトらしい、作り付けのソファは、昼寝や読書、友人や家族とくつろぐのにうってつけの場所だ。
写真には、メインのリビングから滝に降りる階段にかけられたカバーが写っている。このカバーをあけると、部屋の下を流れる急流の水音が聞こえてくる。カバーを閉めると、水音は静かなBGMに。
家の中央に位置する垂直コアは地元産の石でできており、各階に暖炉が設置されている。暖炉は、メインリビングにあるものがいちばん大きい。この暖炉は植民地時代のアメリカにあった大きな暖炉を彷彿とさせ、暖かく人を歓待する雰囲気がある。暖炉の大きな石は、この場所に数千年前から存在していたものであり、何よりもこの家とこの土地を強く結びつけている。
どの部屋にいても、敷地にそびえ立つ石のコアの存在感を感じる。石のコアを背景にして、くつろぎ、英気を養う空間が広がっている。それもそのはず、この家はカウフマン家にとっては、週末の休暇を過ごすための家だったのだから。
細部への気配りもこの上なくすばらしい。例えば、インテリアに合わせたワードローブの木材。建築家と施主の緊密な協力関係の賜物だ。
腰を下ろし、川の流れを眺めながら、親しい友人に手紙をしたためるとしたら、ここ以上に素敵な場所はないだろう。
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