映画『ファブリックの女王』公開!〈マリメッコ〉が私たちの暮らしに与えてくれるもの
北欧インテリアファンを中心に日本そして、世界中から人気を集めるフィンランドのブランド〈マリメッコ〉。その創業者 アルミ・ラティアの波乱万丈な人生模様を描いた映画『ファブリックの女王』が間もなく公開される。改めて知る〈マリメッコ〉の魅力とは?
栗原晶子|Akiko Kurihara
2016年5月9日
フリーの編集&ライターとしてインテリア誌やハウジング誌を中心に取材・執筆活動する傍ら、NPO法人ハウスキーピング協会認定の整理収納アドバイザーとして、コラムの連載やセミナーの企画に携わる。暮らしがラクに楽しくなる、整理収納アイデアを研究・発信中です。
また、エンタメ好きとして演劇や映画に関するライティングも手がけています。
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世界40ヵ国、140店以上の店舗を持つ、北欧を代表するファッション・ブランドと言えば、おそらくこのHouzzの記事を読んでいる人のほとんどが、〈マリメッコ〉をあげるに違いない。しかし、その〈マリメッコ〉の生みの親の名を知る人は、日本にはまだ少ないのではないだろうか――この映画『ファブリックの女王』を観るまでは。創業者の名は、アルミ・ラティア。そして、「マリメッコ=Marimekko」は、フィンランド語で「小さなMariのための服」という意味だ。Mariの綴りを組み替えると、Armiになる。ブランド名に自身の名が入っていることこそが、アルミ・ラティアの情熱と愛、使命感を物語っている。映画は、彼女の波乱の人生、を劇中劇という手法を用いたユニークで刺激的な方法で見せていく。
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©️Bufo Ltd 2015
アルミ・ラティアの夫、ヴィリヨ・ラティアが買収したのは、業務用オイルプリントの会社。そこでアルミは、綿のファブリックに今までにない、新しい柄をプリントすることを思いつき、1951年に〈マリメッコ〉という会社を立ち上げる。第二次大戦で敗戦を経験した当時のフィンランドにおいて、アルミの挑戦は大胆で勇敢だった。赤、緑、紫、青など、目の覚めるような色の組み合わせや、斬新なデザインのファブリックをドレスに仕立て、ファッションショーとして見せるなど、オリジナリティーとバイタリティーで魅せ、フィンランドの女性を目覚めさせることに成功していく。
アルミ・ラティアの夫、ヴィリヨ・ラティアが買収したのは、業務用オイルプリントの会社。そこでアルミは、綿のファブリックに今までにない、新しい柄をプリントすることを思いつき、1951年に〈マリメッコ〉という会社を立ち上げる。第二次大戦で敗戦を経験した当時のフィンランドにおいて、アルミの挑戦は大胆で勇敢だった。赤、緑、紫、青など、目の覚めるような色の組み合わせや、斬新なデザインのファブリックをドレスに仕立て、ファッションショーとして見せるなど、オリジナリティーとバイタリティーで魅せ、フィンランドの女性を目覚めさせることに成功していく。
©️Bufo Ltd 2015
オフィスでデザインについて従業員たちと侃々諤々と議論している現場を目の当たりにしたかと思えば、次のシーンではファッションショー会場で、緊張に襲われるアルミの舞台裏の姿を目撃する。そして、今度はショーの観客となって、〈マリメッコ〉の使命について堂々と語るアルミ・ラティアに熱狂してしまう。
映画を観ている私たちが少し不思議な感覚を持つのは、前に書いたようにこの映画が劇中劇という手法を用いているためだ。ドキュメンタリーのようにアルミの人生をただ俯瞰するように観るのではなく、アルミの人生をライブで体感しているようで、その生々しさが面白い。
これには大きな理由がある。本作を監督したのがヨールン・ドンネルであることだ。フィンランド人で唯一のオスカー受賞者でもある映画監督の彼は、1967年から74年までの約7年間、〈マリメッコ〉の役員を務めた。彼を役員として招いたのもアルミの意思だった。女性起業家としての実績はもちろん、彼女は従業員たちを家族のように頼り、守り、愛した。一方で、夫や子どもたちとの関係は、時に感情的でもろい部分もあった。そうした人間くさい姿がリアルに伝わってくるのは、監督がアルミ・ラティアという人物を近い距離で知っていたからなのだろう。
映画は、創業者としてアルミが生み出したもの、さらに叶えたいと思っていた夢や構想についても描いていく。それが具体的に何であったのか、そして〈マリメッコ〉の生みの親の思いが、現在にどのようにつながっているのかは、映画を観て感じてほしい。
オフィスでデザインについて従業員たちと侃々諤々と議論している現場を目の当たりにしたかと思えば、次のシーンではファッションショー会場で、緊張に襲われるアルミの舞台裏の姿を目撃する。そして、今度はショーの観客となって、〈マリメッコ〉の使命について堂々と語るアルミ・ラティアに熱狂してしまう。
映画を観ている私たちが少し不思議な感覚を持つのは、前に書いたようにこの映画が劇中劇という手法を用いているためだ。ドキュメンタリーのようにアルミの人生をただ俯瞰するように観るのではなく、アルミの人生をライブで体感しているようで、その生々しさが面白い。
これには大きな理由がある。本作を監督したのがヨールン・ドンネルであることだ。フィンランド人で唯一のオスカー受賞者でもある映画監督の彼は、1967年から74年までの約7年間、〈マリメッコ〉の役員を務めた。彼を役員として招いたのもアルミの意思だった。女性起業家としての実績はもちろん、彼女は従業員たちを家族のように頼り、守り、愛した。一方で、夫や子どもたちとの関係は、時に感情的でもろい部分もあった。そうした人間くさい姿がリアルに伝わってくるのは、監督がアルミ・ラティアという人物を近い距離で知っていたからなのだろう。
映画は、創業者としてアルミが生み出したもの、さらに叶えたいと思っていた夢や構想についても描いていく。それが具体的に何であったのか、そして〈マリメッコ〉の生みの親の思いが、現在にどのようにつながっているのかは、映画を観て感じてほしい。
©️Bufo Ltd 2015
映画の冒頭で、アルミ・ラティア本人のポートレート写真が登場する。眼光が鋭く、まるで相手を威嚇しているようにも見えた。
それは、「ファブリックから世界を変える!」という自信と覚悟の表れかもしれない。だからといって、彼女は独断と偏見に満ち、自分しか信じなかった人ではない。常に才能ある人物にチャンスを与え、ブランドの未来を託したことは、〈マリメッコ〉で愛されているデザインやプロダクトの数々を見ればあきらかだ。
映画の冒頭で、アルミ・ラティア本人のポートレート写真が登場する。眼光が鋭く、まるで相手を威嚇しているようにも見えた。
それは、「ファブリックから世界を変える!」という自信と覚悟の表れかもしれない。だからといって、彼女は独断と偏見に満ち、自分しか信じなかった人ではない。常に才能ある人物にチャンスを与え、ブランドの未来を託したことは、〈マリメッコ〉で愛されているデザインやプロダクトの数々を見ればあきらかだ。
〈マリメッコ〉の中でも有名なケシの花をデザインした〈ウニッコ〉は、1964年にマイヤ・イソラが手がけたのが始まりで、その後、さまざまなアレンジのデザインが生まれている。
泉をイメージした〈カイヴォ〉もまたマイヤのデザイン。日本人デザイナーも含め、多くの才能が〈マリメッコ〉の世界観を作り出している。
都内の百貨店内に出店している〈マリメッコ〉に立ち寄ったところ、多くの人でにぎわっていた。気づいたのは、その客層の豊かさだ。クッションカバー売り場の前では30代くらいの若者が、一枚一枚カバーを広げてデザインを吟味し、時間をかけて納得した顔でそのうちの2枚を購入していた。自分の部屋のソファに合うものをとことん探していたのかもしれない。
バッグ売り場には、日本限定デザインの商品を手にし、「こんなデザインがあったのね、知らなかったわ。こっちは持っているけれど」と、半分うれしそうに、半分口惜しそうに話していた60代くらいの女性が数人いた。
キッチンアイテムを見ていた若いカップルは、友人へのウェディングギフトを探していたようで、会話をはずませながらギフト選びを楽しんでいる様子が伺えた。誰もが暮らしの中に〈マリメッコ〉を加えるという喜びにあふれているように見えた。
1979年、アルミ・ラティアは67歳でこの世を去った。創業から65年もの月日が流れている今、ファブリックの女王が生涯情熱を注いだ、豊かな色彩とデザインで「ライフスタイルを作り出すこと」は、世界中で叶えられているに違いない。
映画公開情報
『ファブリックの女王』
5月14日(土)より ヒューマントラストシネマ有楽町・渋谷ほか全国順次ロードショー
オフィシャルHP
キッチンアイテムを見ていた若いカップルは、友人へのウェディングギフトを探していたようで、会話をはずませながらギフト選びを楽しんでいる様子が伺えた。誰もが暮らしの中に〈マリメッコ〉を加えるという喜びにあふれているように見えた。
1979年、アルミ・ラティアは67歳でこの世を去った。創業から65年もの月日が流れている今、ファブリックの女王が生涯情熱を注いだ、豊かな色彩とデザインで「ライフスタイルを作り出すこと」は、世界中で叶えられているに違いない。
映画公開情報
『ファブリックの女王』
5月14日(土)より ヒューマントラストシネマ有楽町・渋谷ほか全国順次ロードショー
オフィシャルHP
「マリメッコ展-デザイン、ファブリック、ライフスタイル」も全国巡回中。
2016年4月23日(土)〜7月11日(月)島根県立岩見美術館
2016年10月8日(土)〜11月27日(日)西宮市大谷記念美術館
2016年12月17日(土)〜2017年2月12日(日)Bunkamuraザ・ミュージアム(東京)
ほかに巡回。
詳しくはこちらの記事で:マリメッコ展:北欧発、世界的人気テキスタイルブランドの歴史
こちらの記事もおすすめ:名作デザイン:時代を超えて愛される〈マリメッコ〉のテキスタイル
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2016年4月23日(土)〜7月11日(月)島根県立岩見美術館
2016年10月8日(土)〜11月27日(日)西宮市大谷記念美術館
2016年12月17日(土)〜2017年2月12日(日)Bunkamuraザ・ミュージアム(東京)
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石動春雄さま
お写真使わせていただきありがとうございました。ハトメカーテン、素敵ですね。マリメッコで空間がとっても華やかになりますね。
Amika Hoshinoさま
映画、オススメです。ビビッドな生地はこうして生まれた、そして、ああいう思いの中で育ってきたということを知ることができると思います。マリメッコのクッション、いいですよね~。ポツンと1点だけあっても存在感たっぷりです。
マリメッコの映画見たいと思っていますが岐阜ではまだ上映いていません