定年後を自分らしく楽しむための家づくりとは?
人生100年時代、定年が65歳とすると、リタイア後の時間は「35年」。人生の長い第2幕をロスタイムとしてではなく、元気に過ごすための家づくりについて考えてみます。
定年後の時間は「人生の第2幕」
もうすぐ人生100年の時代がやってきます。仮に65歳で定年したとして「35年」という時間があります。35年、振り返ればあっという間だったかもしれません。でも「これから」の35年は「大きな時間」です。
人生が長くなったことで驚くことは、“子育ての時間より、リタイア後の時間は同等かそれ以上に長い”ということです。
たとえば、30歳で子供が生まれ、その子が成人し働きだし家を出て行った時が60歳だとすると「30年」です。65歳でリタイア後の時間は「35年」。見かたを変えれば「35年」という時間は、「もう一度人生がある」と言っていい長さです。
以前は、「定年」後の時間は「老後」でした。「余生」でした。「寿命をまっとうするための“ロスタイム”」だったかもしれません。しかし今、定年後の人生は、30年から人によっては40年。「ロスタイム」思考で生きていくには無理があります。人生の後半、というより「人生の第2幕」。
「人生の第2幕」の舞台となる「リタイア後の家」(「第2幕の家」)について考えてみます。
もうすぐ人生100年の時代がやってきます。仮に65歳で定年したとして「35年」という時間があります。35年、振り返ればあっという間だったかもしれません。でも「これから」の35年は「大きな時間」です。
人生が長くなったことで驚くことは、“子育ての時間より、リタイア後の時間は同等かそれ以上に長い”ということです。
たとえば、30歳で子供が生まれ、その子が成人し働きだし家を出て行った時が60歳だとすると「30年」です。65歳でリタイア後の時間は「35年」。見かたを変えれば「35年」という時間は、「もう一度人生がある」と言っていい長さです。
以前は、「定年」後の時間は「老後」でした。「余生」でした。「寿命をまっとうするための“ロスタイム”」だったかもしれません。しかし今、定年後の人生は、30年から人によっては40年。「ロスタイム」思考で生きていくには無理があります。人生の後半、というより「人生の第2幕」。
「人生の第2幕」の舞台となる「リタイア後の家」(「第2幕の家」)について考えてみます。
定年後の人生のために「家を変えるべき」理由
その1:衰え
「家を変える」というのは、住み変え・建て変え・リフォームなど、「これからの人生に合った家」にするということです。
リタイア後の人生が30年、35年あり、その長さを考えれば、家もそれに対応することが必要です。家の考え方は若い時とはぜんぜん違います。若い時の「30年」とこれからの「30年」は条件が違うからです。決定的に違う条件、それは……衰えていく(老いる)ことです。
若い時には考えもしなかった 体力や視力、聴力などの衰え、記憶力、集中力、さらには“新しいことへの興味”の低下を感じるようになります。
若い時に必要だった家と、「これから」に必要な家は違ってきます。
シニア世代の住まいに関するある調査(*1)では、『住み変えた理由』のトップは「買物や病院など生活の利便性の高いところに住みたかった」です。
若い時には駅から遠かったりや日常の買物が多少不便でも我慢できても年齢が上ると、「不便さ」は大きな問題になってきます。
同調査で、住んでいる家をリフォームした場合その内容は、「風呂/トイレの交換/バリアフリー化」が7割を超えています。「段差の解消/階段の手摺の設置/バリアフリー化」も多く、多くの人が「身体的な衰え」を気にしているということです。
*1:『シニア世代の住まいに関する意識調査 』(三井不動産リアルティ)より
その2:夫婦は経験を重ねた「個人」
定年するころに子供は家を出て行き、「夫婦ふたりの暮らしになる」というケースも多いと思います。結婚した当時の「まっすぐ同じ方向を見ていた」という頃とは違い、様々な経験の中で、「同じ価値感」以外に「独自の価値感」をすでに持っています。「人生の第2幕」において、ふたりとも「それぞれの人生」の主役だということ。「独立したふたりの個人」です。「1+1=2」ではなく「1と1」。夫婦の意味が違っています。
その1:衰え
「家を変える」というのは、住み変え・建て変え・リフォームなど、「これからの人生に合った家」にするということです。
リタイア後の人生が30年、35年あり、その長さを考えれば、家もそれに対応することが必要です。家の考え方は若い時とはぜんぜん違います。若い時の「30年」とこれからの「30年」は条件が違うからです。決定的に違う条件、それは……衰えていく(老いる)ことです。
若い時には考えもしなかった 体力や視力、聴力などの衰え、記憶力、集中力、さらには“新しいことへの興味”の低下を感じるようになります。
若い時に必要だった家と、「これから」に必要な家は違ってきます。
シニア世代の住まいに関するある調査(*1)では、『住み変えた理由』のトップは「買物や病院など生活の利便性の高いところに住みたかった」です。
若い時には駅から遠かったりや日常の買物が多少不便でも我慢できても年齢が上ると、「不便さ」は大きな問題になってきます。
同調査で、住んでいる家をリフォームした場合その内容は、「風呂/トイレの交換/バリアフリー化」が7割を超えています。「段差の解消/階段の手摺の設置/バリアフリー化」も多く、多くの人が「身体的な衰え」を気にしているということです。
*1:『シニア世代の住まいに関する意識調査 』(三井不動産リアルティ)より
その2:夫婦は経験を重ねた「個人」
定年するころに子供は家を出て行き、「夫婦ふたりの暮らしになる」というケースも多いと思います。結婚した当時の「まっすぐ同じ方向を見ていた」という頃とは違い、様々な経験の中で、「同じ価値感」以外に「独自の価値感」をすでに持っています。「人生の第2幕」において、ふたりとも「それぞれの人生」の主役だということ。「独立したふたりの個人」です。「1+1=2」ではなく「1と1」。夫婦の意味が違っています。
定年後の暮らしと家についてのイメージと「ズレ」
これは、実際に私が、70代のある女性から聞いた(男性にとってショックかもしれない)話です。
「60を過ぎ引退した後『いっしょにやらないか?』と夫の趣味に誘われた時には断った。これまでずっといっしょにやってきたんだから、これからは私の自由にやりたかったから」
定年後の夫婦の暮らし方について、ある調査があります。(*2) それによると、男性・女性ともに……
という結果が出ています。夫婦が仲良く暮しらしていくためには「夫婦の会話や時間を共にする」より「一人の時間が持てること」「趣味も含めてプライベートの時間を充実できること」が大切だということ。
もちろんその調査が「絶対的な真実」ではありません。「夫婦ふたりの時間を大切にしたい、いっしょに旅行いきたい、趣味を楽しみたい」と思う人はたくさんいると思います。ただ、女性のほうが上記の傾向が強く、男性と女性の意識のズレがあることがわかります。
男性は「リタイア後は夫婦でいっしょに……」と安易に夢を膨らませないほうがいいかもしれません。
*2:『定年後の夫婦2人の暮らし方調査』(積水ハイム)より
これは、実際に私が、70代のある女性から聞いた(男性にとってショックかもしれない)話です。
「60を過ぎ引退した後『いっしょにやらないか?』と夫の趣味に誘われた時には断った。これまでずっといっしょにやってきたんだから、これからは私の自由にやりたかったから」
定年後の夫婦の暮らし方について、ある調査があります。(*2) それによると、男性・女性ともに……
- ひとりの時間が欲しい
- 充実させたいのはプライベートな時間
- 趣味は別々がいい
という結果が出ています。夫婦が仲良く暮しらしていくためには「夫婦の会話や時間を共にする」より「一人の時間が持てること」「趣味も含めてプライベートの時間を充実できること」が大切だということ。
もちろんその調査が「絶対的な真実」ではありません。「夫婦ふたりの時間を大切にしたい、いっしょに旅行いきたい、趣味を楽しみたい」と思う人はたくさんいると思います。ただ、女性のほうが上記の傾向が強く、男性と女性の意識のズレがあることがわかります。
男性は「リタイア後は夫婦でいっしょに……」と安易に夢を膨らませないほうがいいかもしれません。
*2:『定年後の夫婦2人の暮らし方調査』(積水ハイム)より
定年後の家をシェアハウスとして考えてみる
夫婦でよりよく暮らしていくには「相手を尊重する」「相手の話しをよく聞く」と言われます。「夫婦なんだからなんでもわかってる」と過信せず「個人」として相手を見るということ。つまり「個人」と「個人」が暮らす家だということですね。それはまさに シェアハウス。
そんなシェアハウスの考え方を取り入れてみるのです。 長い時間を共に過ごす中で「自分視点」が強くなってしまいます。 「自分のことをわかってくれない」という不満がありますね。でもそれはお互いさま。相手のことを理解するのを、ずっと忘れてきているかも。
話しをしてみましょう。相手を尊重し、お互いに自分を変える必要があります。
シェアハウスと言っても、他人と暮すわけではありません。ただ、どこかの時点でお互いをもう一度認め合わなければ、なんだか漠然と「依存関係」が続いてしまいます。「夫婦だから……」「家族だから……」という言葉は大切ですが、「あやふやさ」も含んでいます。そこを一度「分解」してみる。分解すると「個人」です。
“独立した個人”の集まりとして、もう一度「夫婦(家族)」を始める。
そのきっかけが「定年」というタイミングであったり「リタイア後を考えだした時」かもしれません。
夫婦でよりよく暮らしていくには「相手を尊重する」「相手の話しをよく聞く」と言われます。「夫婦なんだからなんでもわかってる」と過信せず「個人」として相手を見るということ。つまり「個人」と「個人」が暮らす家だということですね。それはまさに シェアハウス。
- 相手に依存せず、自分がやる。
- お互い助け合う。
- 相手を束縛せず、尊重する。
- 暮らしのルールを守る。
そんなシェアハウスの考え方を取り入れてみるのです。 長い時間を共に過ごす中で「自分視点」が強くなってしまいます。 「自分のことをわかってくれない」という不満がありますね。でもそれはお互いさま。相手のことを理解するのを、ずっと忘れてきているかも。
話しをしてみましょう。相手を尊重し、お互いに自分を変える必要があります。
シェアハウスと言っても、他人と暮すわけではありません。ただ、どこかの時点でお互いをもう一度認め合わなければ、なんだか漠然と「依存関係」が続いてしまいます。「夫婦だから……」「家族だから……」という言葉は大切ですが、「あやふやさ」も含んでいます。そこを一度「分解」してみる。分解すると「個人」です。
“独立した個人”の集まりとして、もう一度「夫婦(家族)」を始める。
そのきっかけが「定年」というタイミングであったり「リタイア後を考えだした時」かもしれません。
「ほんとうは……」の実現
家を作った(手に入れた)時、多くの人は”定年後のこと”なんて考えていなかったと思います。
仕事が忙しくて、子育てが中心で、「子供のため」「家族が喜ぶなら」と、「自分の気持ち」をあまり考えてこれなかったかもしれません。でも、誰にだって、「家でこんなふうにしたいな」という想いがあります。
とか。口には出さない、もしかしたら意識もしていないことかもしれません。これまでは、相手のために、家族のために、と我慢して心の中にしまい込んでしまったことは、もう我慢しなくていいと思います。
全部は無理だとしても、ひとつでもふたつでも実現してみましょう。毎日の暮らしが楽しくなります。「次は……」と考えると元気が出て来ます。自分の心の状態が変わるので、他の問題を許せたり、大したことではなくなるかもしれません。
ぜひ、自分の中に閉じ込めてしまっていた「ほんとうは……」という声を聞いてみてください。そして相手の想いを理解してあげてください。
楽しいから元気が出ます。楽しくて元気だから、優しくなれます。優しくなれるから、夫婦の時間、家族の時間がこれまで以上に楽しくなります。
そんな家作りの「実行」はいつやればいいのか?それは「できるだけ早く!」です。引っ越しや工事する前に、長年溜まった物を整理し処分することが必要。体力・気力を使う大変な作業です。だから「できるだけ早く!」。それに、「これからの暮らし方」に合った家に変えるわけですから、家での暮らしを楽しむ時間が長いほうがいいですよね。
家を作った(手に入れた)時、多くの人は”定年後のこと”なんて考えていなかったと思います。
仕事が忙しくて、子育てが中心で、「子供のため」「家族が喜ぶなら」と、「自分の気持ち」をあまり考えてこれなかったかもしれません。でも、誰にだって、「家でこんなふうにしたいな」という想いがあります。
- ひとりでゆっくり本を読みたい
- 趣味の道具を存分に並べ手入れしたい
- こんなスタイルのリビングにしたい
- 壁にしっくいを塗りたい
- ベランダで食事したい
とか。口には出さない、もしかしたら意識もしていないことかもしれません。これまでは、相手のために、家族のために、と我慢して心の中にしまい込んでしまったことは、もう我慢しなくていいと思います。
全部は無理だとしても、ひとつでもふたつでも実現してみましょう。毎日の暮らしが楽しくなります。「次は……」と考えると元気が出て来ます。自分の心の状態が変わるので、他の問題を許せたり、大したことではなくなるかもしれません。
ぜひ、自分の中に閉じ込めてしまっていた「ほんとうは……」という声を聞いてみてください。そして相手の想いを理解してあげてください。
楽しいから元気が出ます。楽しくて元気だから、優しくなれます。優しくなれるから、夫婦の時間、家族の時間がこれまで以上に楽しくなります。
そんな家作りの「実行」はいつやればいいのか?それは「できるだけ早く!」です。引っ越しや工事する前に、長年溜まった物を整理し処分することが必要。体力・気力を使う大変な作業です。だから「できるだけ早く!」。それに、「これからの暮らし方」に合った家に変えるわけですから、家での暮らしを楽しむ時間が長いほうがいいですよね。
リタイア後の家が最後の家ではない
身体や感覚が衰えていくのは事実です。でも今、自分より上の世代の人達はかなり元気です。バリアフリーを考えることは必要かもしれませんが、そういう対策が充実して「安全」な家は、必ずしも「楽しい家」ではありません。
積極的に、暮らしを、人生を楽しみましょう。家は、そのためにあるのです。
リタイア後の家が、人生最後の家になるとは限りません。人生には「最終幕」があります。その時もう一度考えることも必要です。だから、完璧を求めず、やりたいこと、やりましょう!
楽しい人生を!楽しい家を!
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身体や感覚が衰えていくのは事実です。でも今、自分より上の世代の人達はかなり元気です。バリアフリーを考えることは必要かもしれませんが、そういう対策が充実して「安全」な家は、必ずしも「楽しい家」ではありません。
積極的に、暮らしを、人生を楽しみましょう。家は、そのためにあるのです。
リタイア後の家が、人生最後の家になるとは限りません。人生には「最終幕」があります。その時もう一度考えることも必要です。だから、完璧を求めず、やりたいこと、やりましょう!
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ran koma 様
写真ありがとうございます!カッコイイですね~!
写真の右のテーブル?はもしかして卓球台!?
「事務所をリビングに、元工場をフリースペースに・・・」
憧れです!
バリアフリーも大切だし、ran komaさんのように、ワクワクする日常がある事も大切ですね。
>写真の右のテーブル?はもしかして卓球台!?
家族や仲間と遊ぶツールとして、卓球台を設置しました。
最近始めた洋裁では、広々と作業台として使っています。
ran koma 様
まるで、どこかのIT会社のオフィスみたいですね!
「作業台」という言葉にも惹かれます。
ran komaさんのお宅の全ぼうを見てみたいです^^