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世界のHouzzから:モダニズムの造園家、ローレンス・ハルプリンが手がけた日本風庭園
20世紀のアメリカを代表するモダニズムのランドスケープ・アーキテクト、ローレンス・ハルプリン。日本庭園にも強く惹かれていた彼が、日本の庭園設計から発想を得てデザインした庭が、アメリカ西海岸にありました。
Becky Harris
2016年11月20日
アメリカ、ワシントン州スポケーンで育ったサム・フェリスさんと彼のきょうだいたちは、子ども時代を過ごした家の保存に熱心に取り組んでいる。両親が亡くなって以来、家が新しい持ち主の手に渡った後も守られていくようにと、残った家族でこの家を最高のコンディションに整え、記録を整理して公開し、歴史的建造物としての認定を受けようと努力してきたのだ。
両親のジョエルとメアリー・フェリス夫妻は、スポケーンで最初のモダンインテリアショップ〈ジョエル〉のオーナーだった。インテリアへの興味は仕事にとどまらず、自分たちの家づくりにも熱心だった夫妻は、新進建築家のブルース・ウォーカーを雇い、この町で最初のモダニズム住宅の1つとなる自宅の設計を依頼した。当初敷地を選んだ地域では近隣住人からの反対に遭ったため、一族の土地の一角を親戚から譲り受け、そこに家を建設することになった。
ウォーカーはワシントン水力発電会社の本社ビル設計に携わっていたが、同じくこのプロジェクトに関わっていたのが、伝説的なモダニズムのランドスケープデザイナー、ローレンス・ハルプリンだった。2人とも、ハーバード大学でバウハウスの創立者であるヴァルター・グロピウスに学んだ経歴がある。フェリス家の庭園のデザインをハルプリンに依頼したのもウォーカーだった。
フェリス一家の努力のかいあり、庭園は非常に手入れが行き届いている。2012年にこの家がスポケーンの歴史登録財認証を受けたため、ランドスケープデザインの主要要素も保護対象となった。サム・フェリスさんは現在、国の歴史登録財として物件全体の指定を受けるために活動を行っている。
両親のジョエルとメアリー・フェリス夫妻は、スポケーンで最初のモダンインテリアショップ〈ジョエル〉のオーナーだった。インテリアへの興味は仕事にとどまらず、自分たちの家づくりにも熱心だった夫妻は、新進建築家のブルース・ウォーカーを雇い、この町で最初のモダニズム住宅の1つとなる自宅の設計を依頼した。当初敷地を選んだ地域では近隣住人からの反対に遭ったため、一族の土地の一角を親戚から譲り受け、そこに家を建設することになった。
ウォーカーはワシントン水力発電会社の本社ビル設計に携わっていたが、同じくこのプロジェクトに関わっていたのが、伝説的なモダニズムのランドスケープデザイナー、ローレンス・ハルプリンだった。2人とも、ハーバード大学でバウハウスの創立者であるヴァルター・グロピウスに学んだ経歴がある。フェリス家の庭園のデザインをハルプリンに依頼したのもウォーカーだった。
フェリス一家の努力のかいあり、庭園は非常に手入れが行き届いている。2012年にこの家がスポケーンの歴史登録財認証を受けたため、ランドスケープデザインの主要要素も保護対象となった。サム・フェリスさんは現在、国の歴史登録財として物件全体の指定を受けるために活動を行っている。
カーポートと家のあいだには、日本の禅庭園を思わせる庭があり、訪れる人を迎え入れてくれる。
「母はいつも、この石はハルプリンがひとつひとつ自分で選んだといって、とても誇りに思っていましたね」と、サム・フェリスさんは言う。「彼は石の配置にとても厳密だったそうです。」
「母はいつも、この石はハルプリンがひとつひとつ自分で選んだといって、とても誇りに思っていましたね」と、サム・フェリスさんは言う。「彼は石の配置にとても厳密だったそうです。」
「とても安らぎを感じる庭なんです」とフェリスさんは言う。「1日の始まりに家を出ていくときも、1日の終わりに帰ってくるときも、ここを通り過ぎるたびに心が穏やかになるのを感じます。」
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ハルプリンは、裏庭をあちこち歩き回り、アウトドアリビングの敷地の端に配置した。しかし、完成から何年も経ったころ、一家はパティオの向こう側にある2000平方メートルほどの土地も入手。大きくなった庭のスケールに合わせて、写真の花壇も拡大した。このときにフェリス家が雇ったランドスケープ・アーキテクトたちは、ハルプリンのオリジナル設計を参考にし、彼の意図を大切にしながら新しい庭づくりに取り組んだという。
「両親は、人を招いてもてなすのが好きでした。屋内と屋外のあいだに自由に行き来する動きをつくるコンセプトは、モダニズム時代の特徴であり、彼らのライフスタイルにも合うものだったんです」とフェリスさんは言う。
ハルプリンが描いたかわいらしいスケッチの1枚には、ジョエルとメアリー夫妻の姿も見える。「庭は美しくてリラックスできる場所で、家族みんな、庭で過ごすのが大好きでした。ここで育った私たちきょうだいは、とても幸運でしたね」とフェリスさんは言う。この家については、フェリスさんのウェブサイト〈スポケーン・ミッドセンチュリー〉で詳しく見ることができる。
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