エコ住宅って、どんな家?
「エコ住宅」の条件とはどういったものなのでしょうか。具体例をご紹介します。
片岸千代子
2015年10月30日
不動産に携わって約16年。大手不動産会社(デベロッパー)で、新築分譲マンションの接客営業を経験。その後、不動産に特化したIT企業にて、社内のライターとして勤務。現在、不動産(住宅)を得意分野とする、フリーのライターとして活動中。http://www.writing-office.com/
不動産に携わって約16年。大手不動産会社(デベロッパー)で、新築分譲マンションの接客営業を経験。その後、不動産に特化したIT企業にて、社内のライターとして勤務。現在、不動産(住宅)を得意分野とする、フリーのライターとして活動中... もっと見る
2015年10月21日、申請が予算額に達したため「省エネ住宅ポイント」が終了しました。この「省エネ住宅ポイント」は以前、実施されていた「住宅エコポイント」の流れを組むもので、適用条件などがやや異なるものの、『地球温暖化対策の推進と経済の活性化を目的としている制度』であるという点では同じです。地球温暖化対策とは、ご存じの通りCO2削減や省エネ対策のことで、経済の活性化とは、住宅販売における消費者の需要喚起をいいます。
では、この制度で適用となる「エコ住宅」の性能条件とはどういったものなのか、その一部を紹介します。対象となったのは、新築・リフォーム・完成済みの新築住宅。持ち家が前提ですが、リフォームに限っては借家も対象となっていました。新築住宅については、省エネ法のトップランナー基準(※1)相当や一次エネルギー消費量等級5(※2)の住宅、断熱等性能等級4の木造住宅といった5項目のいずれかに該当すること、リフォームについては、窓・外壁・屋根・天井又は床の断熱改修、設備エコ改修、太陽熱利用システム、節水型トイレ、高断熱浴槽、高効率給湯機、節湯水栓といったエコ住宅設備の設置などがありました。
※1省エネ法のトップランナー基準とは、乗用自動車、エアコン、テレビ、蛍光灯器具、冷蔵庫、ガス調理機器、ガス温水機器、電球形LEDランプ、断熱材、サッシ、複層ガラスなどの製品において、省エネルギーに関する基準値を設け、それをクリアするよう課した法律のこと。
※2住宅における一次エネルギー消費量とは、暖房設備、冷房設備、換気設備、照明設備、給湯設備、家電調理などのエネルギー消費量をいう。
では、この制度で適用となる「エコ住宅」の性能条件とはどういったものなのか、その一部を紹介します。対象となったのは、新築・リフォーム・完成済みの新築住宅。持ち家が前提ですが、リフォームに限っては借家も対象となっていました。新築住宅については、省エネ法のトップランナー基準(※1)相当や一次エネルギー消費量等級5(※2)の住宅、断熱等性能等級4の木造住宅といった5項目のいずれかに該当すること、リフォームについては、窓・外壁・屋根・天井又は床の断熱改修、設備エコ改修、太陽熱利用システム、節水型トイレ、高断熱浴槽、高効率給湯機、節湯水栓といったエコ住宅設備の設置などがありました。
※1省エネ法のトップランナー基準とは、乗用自動車、エアコン、テレビ、蛍光灯器具、冷蔵庫、ガス調理機器、ガス温水機器、電球形LEDランプ、断熱材、サッシ、複層ガラスなどの製品において、省エネルギーに関する基準値を設け、それをクリアするよう課した法律のこと。
※2住宅における一次エネルギー消費量とは、暖房設備、冷房設備、換気設備、照明設備、給湯設備、家電調理などのエネルギー消費量をいう。
高断熱・高気密設計と空調設備の関係
政府がこの制度の適用条件にした「エコ住宅」の内容を含め、この制度の適用外ながら、エコ住宅を支える住宅の設計方法(工夫)を交えて紹介します。
住宅の構造については、窓や壁などの断熱性・気密性を高め、夏の暑さ、冬の寒さなど外気の影響を受けにくい構造にすることで、エアコンといった冷暖房の空調設備の稼働を抑えつつ、使用時には少ない電力で住居内を快適な室温に保てるように配所して設計されていることがほとんどです。
政府がこの制度の適用条件にした「エコ住宅」の内容を含め、この制度の適用外ながら、エコ住宅を支える住宅の設計方法(工夫)を交えて紹介します。
住宅の構造については、窓や壁などの断熱性・気密性を高め、夏の暑さ、冬の寒さなど外気の影響を受けにくい構造にすることで、エアコンといった冷暖房の空調設備の稼働を抑えつつ、使用時には少ない電力で住居内を快適な室温に保てるように配所して設計されていることがほとんどです。
「エコ住宅」とは
分譲住宅・注文住宅・リフォームにおける「エコ住宅」は、ビルトインで設置されたエアコンをはじめ、ガス調理器や電気コンロ、給湯器といった住宅の一次エネルギーに関わる設備は、トップランナー基準を満たすことが必要です。
これらの適用条件を見て分かるように、CO2の排出や電力の消費が抑えられる住宅を一般的に「エコ住宅」と呼びます。
分譲住宅・注文住宅・リフォームにおける「エコ住宅」は、ビルトインで設置されたエアコンをはじめ、ガス調理器や電気コンロ、給湯器といった住宅の一次エネルギーに関わる設備は、トップランナー基準を満たすことが必要です。
これらの適用条件を見て分かるように、CO2の排出や電力の消費が抑えられる住宅を一般的に「エコ住宅」と呼びます。
再生可能エネルギーの活用
リフォームについては、太陽熱利用システムという記述があります。このシステムは、再生可能エネルギーのひとつで、太陽熱を利用して、給湯の温水や暖房の温風を作ります。このシステムを聞いて、ほとんどの方は太陽光パネルをイメージするのではないでしょうか。
リフォームについては、太陽熱利用システムという記述があります。このシステムは、再生可能エネルギーのひとつで、太陽熱を利用して、給湯の温水や暖房の温風を作ります。このシステムを聞いて、ほとんどの方は太陽光パネルをイメージするのではないでしょうか。
快適な暮らしをサポートするエコ設備
お湯が冷めにくい高断熱浴槽や、節水型トイレ、高効率給湯機、節湯水栓など、キッチン周りはもちろん、お風呂などの水回りについても、エコ住宅設備に含まれています。
使い勝手の良さや快適さにもつながる設備仕様なので、喜ばれる設備内容ですよね。
お湯が冷めにくい高断熱浴槽や、節水型トイレ、高効率給湯機、節湯水栓など、キッチン周りはもちろん、お風呂などの水回りについても、エコ住宅設備に含まれています。
使い勝手の良さや快適さにもつながる設備仕様なので、喜ばれる設備内容ですよね。
エコリフォームで快適な室内
「省エネ住宅ポイント」制度におけるエコ住宅へのリフォームには、断熱やエコ設備の改修に併せて、手摺りの設置、段差解消、廊下幅の拡張といったバリアフリーの改修も記載されていました。
段差の解消や廊下幅の拡張で、お子さんや高齢者の方も歩きやすくなるうえ、車いすの利用がしやすくなります。
「省エネ住宅ポイント」制度におけるエコ住宅へのリフォームには、断熱やエコ設備の改修に併せて、手摺りの設置、段差解消、廊下幅の拡張といったバリアフリーの改修も記載されていました。
段差の解消や廊下幅の拡張で、お子さんや高齢者の方も歩きやすくなるうえ、車いすの利用がしやすくなります。
サッシや窓ガラスにもエコ設備
大きな窓(開口部)を設けた室内には、採光がたっぷり注がれるため、照明器具の出番が減り節電にも一役買っています。
エコ設備のひとつ、複層ガラスのサッシを採用すれば、夏や冬の外気の気温による室内への影響は軽減されます。また、熱が伝わりにくいため外気と室内の温度差で生じる窓の結露対策にも効果的です。
窓の多い部屋は、開放感もあり気持ち良く毎日が過ごせそうです。
大きな窓(開口部)を設けた室内には、採光がたっぷり注がれるため、照明器具の出番が減り節電にも一役買っています。
エコ設備のひとつ、複層ガラスのサッシを採用すれば、夏や冬の外気の気温による室内への影響は軽減されます。また、熱が伝わりにくいため外気と室内の温度差で生じる窓の結露対策にも効果的です。
窓の多い部屋は、開放感もあり気持ち良く毎日が過ごせそうです。
戸建て住宅に施されている工夫
ここまでは、政府が定めた制度における「エコ住宅」について紹介しましたが、これから先は設計士が工夫するエコ住宅の設計内容について、少し紹介したいと思います。
日本には古くから、その土地の気候や風土にあわせて設計する住宅建築の工夫があります。
例えば、戸建て住宅で見かける軒先。この軒に深さを与えることで、夏の日差しが室内に入らないように考えて造られています。また、この深い軒先によってできた日陰と日向の温度差によって、対流(風)が生まれ、室内に風を取り込むことができるのです。
ここまでは、政府が定めた制度における「エコ住宅」について紹介しましたが、これから先は設計士が工夫するエコ住宅の設計内容について、少し紹介したいと思います。
日本には古くから、その土地の気候や風土にあわせて設計する住宅建築の工夫があります。
例えば、戸建て住宅で見かける軒先。この軒に深さを与えることで、夏の日差しが室内に入らないように考えて造られています。また、この深い軒先によってできた日陰と日向の温度差によって、対流(風)が生まれ、室内に風を取り込むことができるのです。
快適な室内環境は窓から
快適な室内環境には、通風もかかせません。通風には窓やドアといった開口部が必要ですが、1つの部屋に対して1つの開口部では、ほとんど通風ができません。そのため、室内にちゃんと風を通すには、1つの室内に最低2箇所の開口部が必要です。こうすることで、風の通り道ができ、室内の空気の入れ換えができるのです。また、高い場所に窓を設けると、天井附近に停滞する空気に流れを生み出すことができるうえ、部屋の採光量にも貢献することができます。
快適な室内環境には、通風もかかせません。通風には窓やドアといった開口部が必要ですが、1つの部屋に対して1つの開口部では、ほとんど通風ができません。そのため、室内にちゃんと風を通すには、1つの室内に最低2箇所の開口部が必要です。こうすることで、風の通り道ができ、室内の空気の入れ換えができるのです。また、高い場所に窓を設けると、天井附近に停滞する空気に流れを生み出すことができるうえ、部屋の採光量にも貢献することができます。
電力を使わない薪ストーブ
高断熱、高気密を取り入れた住宅では、エアコンといった電気空調設備を使わず、薪ストーブを設置した設計も、ちらほら見受けられます。
夏は涼しく、冬は暖かいそんな室内環境を実現した住宅だからできることかもしれません。薪ストーブは、電力を使わないので正真正銘のエコ設備ですよね。
高断熱、高気密を取り入れた住宅では、エアコンといった電気空調設備を使わず、薪ストーブを設置した設計も、ちらほら見受けられます。
夏は涼しく、冬は暖かいそんな室内環境を実現した住宅だからできることかもしれません。薪ストーブは、電力を使わないので正真正銘のエコ設備ですよね。
賃貸に向けられた「エコ住宅」
「省エネ住宅ポイント」制度は、主に持ち家が対象でしたが、政府はこれから、賃貸住宅についても普及させたいと、対応を検討しています。
政府は地球温暖化対策として、2030年までに温室効果ガスの排出量を、2013年比で26%削減を目指していますが、家庭での排出量の削減までには至っていないため、入居者とオーナーの両方に働きかけることで、住まいの温暖化対策を施したいとの狙いです。
案として、賃貸住宅の新築や改修で、LED照明や高効率エアコンといった省エネ機器を設置した住宅やオーナーに対し、費用の一部を補助したり、ネット検索における仕組み作りの対策について方針を決めたとニュースに取り上げられていました。
「省エネ住宅ポイント」制度は、主に持ち家が対象でしたが、政府はこれから、賃貸住宅についても普及させたいと、対応を検討しています。
政府は地球温暖化対策として、2030年までに温室効果ガスの排出量を、2013年比で26%削減を目指していますが、家庭での排出量の削減までには至っていないため、入居者とオーナーの両方に働きかけることで、住まいの温暖化対策を施したいとの狙いです。
案として、賃貸住宅の新築や改修で、LED照明や高効率エアコンといった省エネ機器を設置した住宅やオーナーに対し、費用の一部を補助したり、ネット検索における仕組み作りの対策について方針を決めたとニュースに取り上げられていました。
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また、喚起について気密性の高い分譲のマンションや戸建てなどでは、24時間喚起できるシステムが導入されています。この場合、換気口にセットされたフィルターが埃や花粉などをキャッチしてくれることが多いので、アレルギーが気になる方には良いと思います。24時間つけっぱなしでも電気代は、そこまでかからなかったように思います。ご検討の際は、住宅メーカーなどで確認してみてください。
いつか家を建てたいと思い、インターネットで情報をかき集めているのですが、高気密、高断熱にして家を締め切ってしまっても問題ないんじゃないかという偏った考えに陥ってしまいます。
いろいろなかたの意見が聞ければと思いますのでディスカッションのほうへも投稿してみたいと思います。
情報がたくさん集まると今度は、どれを信じていいのか分からなくなることがあります。信頼できる住宅の専門家にも、相談してみてくださいね。良いディスカッションができますように!