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インテリアの方向性を決定づける重要なエレメント、「建具」
住まいにおいて、「建具」の存在感は思った以上に大きいもの。にもかかわらず壁や家具に比べ、建具の希望がはっきりとあるお施主さんは少ないのだとか。新築やリフォームの際、建具で個性を表現するのもよい方法ですね。
部屋の構成を大きくとらえると、床、壁、天井という「面」で成り立っています。インテリアデザインをしていく過程において、まずはその大きな「面」の素材やカラーを検討していきますが、無視できないのが「建具」の存在です。建具とはドア、窓、扉など、家の開口部につける開閉式の仕切りの総称ですが、新築でもリフォームでも、お客様から「壁はこんな色にしたい」とか、「こんな家具を考えている」などのご希望はしばしば伺っても、「こんな建具を使いたいのです!」と主張されるケースはほとんどありません。しかし、建具はインテリアの方向性を決定づける重要なスペックなのです。室内の建具をイメージしてください。平均的なサイズにしても、なにせ幅は70cm、高さは2mほど。そんな大きなパネル状のものが床から天井近くまでの面積を占めているのですから、視覚的にも影響力は大です。多くの方がさほど関心を持たれないだけに、こだわりを表現するとオリジナリティが際立ちます。
また、選ぶ際には機能性にも充分配慮したいものです。プライバシーを守る、快適な室内温度をキープする、音を遮る、通風を促す、採光を確保する、衛生管理をする、隠ぺいする…などなど、多くの役割を持たせることができるうえ、取り付け場所に応じて、開閉方法も慎重に考えなくてはなりません。デザインやカラーも無限に近くあり、実に奥の深い、住まいの要素なのです。
また、選ぶ際には機能性にも充分配慮したいものです。プライバシーを守る、快適な室内温度をキープする、音を遮る、通風を促す、採光を確保する、衛生管理をする、隠ぺいする…などなど、多くの役割を持たせることができるうえ、取り付け場所に応じて、開閉方法も慎重に考えなくてはなりません。デザインやカラーも無限に近くあり、実に奥の深い、住まいの要素なのです。
ドアがこの部屋の主役といってもいいのではないでしょうか。その質感を確かめたくなる美しいウェーブが、幾重にも重なったデザイン。上部のアールも印象的です。クールな中にも女性らしさが感じられる。このドアの存在で、遊び心が見え隠れするおしゃれな空間となっています。
こちらの場合、ドアの色はホワイトでもよいかもしれません。しかし、ダークブラウンカラーが、効果的なスパイスになっています。まさに、ファッションでいうところの「外しコーデ」ですね。また、忘れてはならないのが、ドアを挟んでの「部屋内」と「部屋外」の関係性。もしかしたら、部屋外にある他の部屋のドアと、リンクさせたのかもしれません。
クラシックでエレガント。気品漂うインテリアにマッチするドアには、デコラティブな装飾モールがお似合いです。幾重にも重なるモールディングが施された両開きスタイルのドア。優雅でドラマチックな雰囲気が漂います。
リノベーションの際には、建具枠はそのまま残し、建具だけを取り替えることが多くなります。枠を外そうとすると、壁や床までダメージが及ぶからです。枠はそのまま残して、建具のみを新しくするのですが、既成品では対応できないことが多く、ほとんどが特注になります。この時こそ、ドアにインテリアのエッセンスを加えるチャンスなのです!
アンティークな雰囲気がお好きな方の家の、玄関とキッチンの境界に使われている建具です。床に合わせたダークブラウン、光沢のないゴールドのレバーハンドル、さざ波に似たガラス。これらが採光も確保しつつ、落ち着いた大人の空間づくりに一役買っています。
長く伸びる洗面カウンターと、たっぷりと用意された収納キャビネット。憧れの洗面スペースです。この部屋の出入り口ドアは、収納キャビネットのパネルと同デザインのようです。家具の扉パネルとドアのデザインを同じにすると、より完成度の高い、美しいコーディネーションを実現できます。
階段下は、しばしば収納スペースとして活用されますが、階段ごと隠してしまうダイナミックな発想がユニークですね。建具は背が高いほど、「反る」確率が高くなります。反ってくると開閉時のストレスにもつながるので、反り止めなどの処置が必要です。
キッチン収納は、雑多なものを完全に隠してしまう傾向が強かったのですが、最近はほどよい「透け感」のある収納スタイルが人気です。こちらの場合、ガラスが完全にクリアなものではなく、桟が入っていることで、視線が内部まで届くことをやんわりと遮断しています。それでも「見せる収納」を意識していることに違いはありません。
キッズのスタディコーナーでしょうか。奥様の家事スペースかもしれません。どちらにしてもさまざまな小物であふれがちな場所なので、ドアを閉めれば一瞬にして隠してしまえるというのは、とても便利ですね。ドアは、マジシャンにもなり得るようです。
こちらは、サブのランドリールームを設ける場合のヒントになりそうです。たとえば、2Fのホールなどに洗濯機や、待機中の洗濯物を置くスペースとして。使う時にドアを開けて、使用後は閉める。このスタイルだったら、家事ストレスに悩まされる心配もありません。
こちらのお宅には玄関ホールが存在しません。玄関とリビング空間を隔てているのは、大型のスライディングドア(引き戸)。ソファのグリーンとドアにあしらったグリーンがリンクして、空間に繋がりをもたらしています。
玄関スペースに立入ったゲストは、ドアのアクセントカラーが家具とコーディネートされているこだわりに、きっと驚かれることでしょう。
玄関スペースに立入ったゲストは、ドアのアクセントカラーが家具とコーディネートされているこだわりに、きっと驚かれることでしょう。
リビング側から見た、同じスライディングドア。幅1m90cm、高さ2m40cmの大型サイズなだけに、壁の一部のようでもあり、一枚のアートのようにも見えます。室内の家具とさりげなく調和して、リビングの象徴的な存在となっています。
ベンチシートに身を委ねて、のんびり読書を楽しめそうな階段・踊り場の風景。ジャロジー窓(ルーバー窓)は、光の差し込み方を調節できるし、通風のコントロールも可能。インテリアとしても魅力的なデザインです。こんなスモールスペースに居たら、時の経つのも忘れてしまいそう。
日本独自の建具といえば「障子」。通常は和室に設けるものですが、すっきりとした廊下に続く風景が新鮮です。連続性が美しく、障子紙を通して入ってくる光がなんとも優しく、ほっとしますね。もっともっと活用したい、日本を代表するインテリアエレメントです。
「襖」は和室と和室の境や、押入れに使われる建具ですが、「戸襖」というのは、和室と洋室の境に用いられるものです。和室側には襖紙を、洋間側にはクロスを貼って仕上げるのですが、表と裏が異素材のため「反り」が発生しがち。このお宅では、和室を洋間にリノベーションする際、インテリアにマッチさせる目的も含め、建具をすべてつくり替えています。
インテリアの方向性を大きく決定づける「建具」で、ぜひご自分の家らしいオリジナリティを表現してみてください。
こちらもあわせて
インテリアを進化させるモダンな「障子」のとりいれかた
やさしい光を採り入れる「障子」の魅力
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