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理想は倉庫&雑居ビル。写真、ロードバイク、アートなど、趣味のアイテムが映える白い部屋
光に対するこだわりを形にし、3LDKをワンルームにリノベーションした男性の住まい。「かっこいい白」の使い方のヒントがいっぱいです。
Rieko Ozawa
2017年10月10日
Houzzコントリビューター、編集&ライター。子どもの頃からの間取り好きが高じてインテリア&ハウジング雑誌の編集者に。その後フリーランスとなり、居心地がよくておしゃれな住まいづくりの情報を発信し続ける。築30年のメゾネットマンションを、仲間の協力を得ながら少しずつ改装し、快適で楽しい住まいに構築中。広告会社に勤める夫と二人暮らし。
Houzz contributors, Editor & Writer. I have been interested in the floor plan since I was a child. Then, I became an editor of the INTERIOR & HOUSING magazine. We bought a maisonette dwelling unit built in early 1980s and have been renovating little by little with my partner.
Houzzコントリビューター、編集&ライター。子どもの頃からの間取り好きが高じてインテリア&ハウジング雑誌の編集者に。その後フリーランスとなり、居心地がよくておしゃれな住まいづくりの情報を発信し続ける。築30年のメゾネットマンションを、仲間の協力を得ながら少しずつ改装し、快適で楽しい住まいに構築中。広告会社に勤める夫と二人暮らし。
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「白い壁に光が乱反射して、部屋が独特に明るくなる感じが好き」というオーナー。カメラのエンジニアという職業柄、光に対する強いこだわりが感じられる。家をつくるなら壁や天井は白く塗装するということは決めていたという。そんなオーナーがリノベーションで手に入れた住まいは、白く潔い空間をベースに、写真、ロードバイク、アート、洋服……趣味のものが映える部屋だ。
「料理はいっさいしないのに、キッチンにこだわりました(笑)」とオーナー。ひときわ存在感を放つ幅2.6m×奥行き1mのカウンターは、本体にはヴィンテージオークのフローリング材を張り、トップにはシンク一体型のステンレスの一枚板を使った。
カウンターを大きくすることでダイニングテーブルを兼ね、限られた空間を有効に使うプランにも納得がいったという。友人が集まると、キッチンを囲んで、飲んで話をする。このときに活躍するデンマーク〈ワーナー〉のシューメーカーチェアは、友人たちにも評判だ。
どんなHouzz?
住まい手:40代男性
所在地:神奈川県横浜市
建物:築28年マンション(竣工時)
専有面積:55.24平方メートル
リノベ前の間取り:3LDK
リノベ後の間取り:ワンルーム+W.I.C.
設計施工:nuリノベーション
カウンターを大きくすることでダイニングテーブルを兼ね、限られた空間を有効に使うプランにも納得がいったという。友人が集まると、キッチンを囲んで、飲んで話をする。このときに活躍するデンマーク〈ワーナー〉のシューメーカーチェアは、友人たちにも評判だ。
どんなHouzz?
住まい手:40代男性
所在地:神奈川県横浜市
建物:築28年マンション(竣工時)
専有面積:55.24平方メートル
リノベ前の間取り:3LDK
リノベ後の間取り:ワンルーム+W.I.C.
設計施工:nuリノベーション
「最初はカウンターに木を張るのは抵抗があったのですが、色味や質感があるほうが白が引き立つと説明していただき、なるほどと思いました」。キッチン(コンロ側)の側面の壁はコンクリートブロックを積み上げ、白く塗装を施した。
設計を担当した〈nuリノベーション〉の菅谷栄二さんいわく「倉庫を改装した海外の友人の話や、お持ちになった好きな空間の写真から、単純な白ではなく “ほどよい質感” や “使い込まれたようなかすれ感” を好まれていることが読み取れたので、そのあたりは意識しました。写真だと質感が今ひとつ伝わらないのですが、実際はなかなかいいですよ(笑)」。
設計を担当した〈nuリノベーション〉の菅谷栄二さんいわく「倉庫を改装した海外の友人の話や、お持ちになった好きな空間の写真から、単純な白ではなく “ほどよい質感” や “使い込まれたようなかすれ感” を好まれていることが読み取れたので、そのあたりは意識しました。写真だと質感が今ひとつ伝わらないのですが、実際はなかなかいいですよ(笑)」。
フローリングは “使い込まれてかすれた雰囲気” をイメージしてエイジング加工。オーク無垢材のフローリングを「白く塗装して拭き取る」という作業を3回繰り返し、理想とする色と質感に仕上げた。
壁と天井の白は、ほんの少しグレーがかった白で塗装した。「白」と一言でいっても、純白、オフホワイト、黄味がかった白、青味がかった白と、その種類は何万種類とも無限大ともいわれる。トーンひとつで部屋の雰囲気が大きく変わるが、オーナーと設計士が同じ白というゴールをイメージできていたことが、このリノベーションを成功に導いた。
壁や床と同じ白で塗装した配管も、いい味わいを添えている。
壁と天井の白は、ほんの少しグレーがかった白で塗装した。「白」と一言でいっても、純白、オフホワイト、黄味がかった白、青味がかった白と、その種類は何万種類とも無限大ともいわれる。トーンひとつで部屋の雰囲気が大きく変わるが、オーナーと設計士が同じ白というゴールをイメージできていたことが、このリノベーションを成功に導いた。
壁や床と同じ白で塗装した配管も、いい味わいを添えている。
キッチンの背面カウンターの木材には、包丁を使って傷をつけるヴィンテージ加工を施した。
一見シンプルな部屋という印象だが、シンプルなだけにディテールにはこだわっている。「壁には巾木をつけずフラットに」、「扉には枠を回したくない」……そんな要望がオーナーから挙げられた。
「巾木には傷をつけないための防御の役割もあるので、その機能をもたせながら要望をクリアするために、下地のプラスターボードの下から約10cmの部分は木材で切り返す作業を行いました。通常プラスターボードの上に巾木を回すところ、はめ込んだ形にしています。最後にコーキング充填していくので、けっこう手間がかかる作業です」と菅谷さん。
「巾木には傷をつけないための防御の役割もあるので、その機能をもたせながら要望をクリアするために、下地のプラスターボードの下から約10cmの部分は木材で切り返す作業を行いました。通常プラスターボードの上に巾木を回すところ、はめ込んだ形にしています。最後にコーキング充填していくので、けっこう手間がかかる作業です」と菅谷さん。
キッチンの対面には、無垢フローリングを使い、ワークカウンターを造り付けた。圧迫感が出ないよう奥行きは約40cmと薄めに、その分2.4m幅をとることで、作業性の高いカウンターが完成。
PCや電子機器の配線をしまい込めるよう、コンセント内蔵の配線用ボックスも設けた。電気配線が混乱しがちなワークデスクだが、このようなソリューションもリノベーションならではのメリットといえる。
PCや電子機器の配線をしまい込めるよう、コンセント内蔵の配線用ボックスも設けた。電気配線が混乱しがちなワークデスクだが、このようなソリューションもリノベーションならではのメリットといえる。
部屋の間取りは、LDKと寝室を低い壁で仕切ったワンルーム。開放的なロフトスタイルの空間づくりは、かつてオーストラリアで暮らしていた頃、倉庫を改装して住んでいた知人の影響が大きいという。「無機質な空間を自分の居心地がいいようにカスタマイズして暮らす、そのスタイルに感化されました」とオーナー。
白い壁や天井と、仕切りのない空間設計により、一面からの採光であっても十分な明るさを確保している。「明るいけれど質感があるので落ち着きますね」。
「間接的な光を楽しみたいので、照明も極力少なくしたい」という要望から、天井の照明はキッチンのみ。梁に沿って配置したスポット照明をバウンスさせ、部屋に光を回すプランを採用した。
白い壁や天井と、仕切りのない空間設計により、一面からの採光であっても十分な明るさを確保している。「明るいけれど質感があるので落ち着きますね」。
「間接的な光を楽しみたいので、照明も極力少なくしたい」という要望から、天井の照明はキッチンのみ。梁に沿って配置したスポット照明をバウンスさせ、部屋に光を回すプランを採用した。
55平方メートルの限られた空間で、広く開放的なLDKを実現させるために、ベッドルームをどうするかが課題だった。
その解決法としてとったのが、LDK内の一部を1.1mの高さの腰壁(ソファ後ろの白い壁)で仕切り、ベッドコーナーを設けること。ベッドが置いてあるけれど、LDKからは視界に入らず、光も遮らず、LDKと一体化した空間を構成することができた。
この壁もコンクリートブロックを積み上げ、白く塗装したもの。バルコニーの手すりと同じ高さに合わせるという配慮もなされている。
その解決法としてとったのが、LDK内の一部を1.1mの高さの腰壁(ソファ後ろの白い壁)で仕切り、ベッドコーナーを設けること。ベッドが置いてあるけれど、LDKからは視界に入らず、光も遮らず、LDKと一体化した空間を構成することができた。
この壁もコンクリートブロックを積み上げ、白く塗装したもの。バルコニーの手すりと同じ高さに合わせるという配慮もなされている。
ベッドコーナーに入ると、区切られているような区切られていないような、ほどよい “籠り感” に包まれる。将来的に部屋として仕切りたくなったら、天井からブラインドを吊るすことで個室にすることもできる。
玄関のは土間コンクリート仕上げ。シューズクローゼットに続いている(写真左側)。LDKに続く廊下は潔いほどの白い空間だ。
暗くなりがちなマンションの玄関だが、明かり取りの窓がついているので、十分な光が入る。さらに白い壁との相乗効果で、すがすがしくさわやかな玄関が実現した。
暗くなりがちなマンションの玄関だが、明かり取りの窓がついているので、十分な光が入る。さらに白い壁との相乗効果で、すがすがしくさわやかな玄関が実現した。
玄関から続く通り土間は、趣味の自転車のメンテナンスコーナーとしても活用している。できるだけ靴をたくさん収納できるようにと、壁にオープン棚を取り付けた。
土間の奥にウォークインクローゼットが位置する。玄関からアプローチできる便利なつくりだが、居室からはアプローチできず、いったん玄関土間を通る動線になっている。「LDKから出入りできる扉をつくると収納量が減ってしまうので、収納のほうを優先させました」。
土間の奥にウォークインクローゼットが位置する。玄関からアプローチできる便利なつくりだが、居室からはアプローチできず、いったん玄関土間を通る動線になっている。「LDKから出入りできる扉をつくると収納量が減ってしまうので、収納のほうを優先させました」。
ウォークインクローゼットはつくり込みすぎず、レールだけを設置し、ラック等の置き家具でシンプルに構成。「収納したいものも変わっていくだろうし、量も増減していくだろうから、フレキシブルに対応できるように、あえてつくり込みませんでした」と菅谷さんは語る。床は安価なパンチカーペットを敷いてコストコントロールした。
洗面はオープン棚に〈TOTO〉の実験用シンクを置いたラフなつくりに。洗濯機をキッチンにビルトインした結果、ゆったりとした洗面室が実現した。
洗面から続く浴室はミニマルなユニットバスを採用。「お風呂はそれほどこだわらないとのことでしたので、削れるところは削って、コスト、スペースともにメリハリをつけました」。
洗面から続く浴室はミニマルなユニットバスを採用。「お風呂はそれほどこだわらないとのことでしたので、削れるところは削って、コスト、スペースともにメリハリをつけました」。
トイレは、リモコン、タオル掛け、カウンターが一体になるように配置。「ペーパーを並べたい、並んでいて絵になるようにしたい、というリクエストもいただきました(笑)。このペーパーに限らず、オーナーのリクエストで、どういうことがしたいのか、どういう目的かということがつかめたので、デザインに反映するのが楽しかったです」と菅谷さん。
オフの日にはカメラを持って自転車に乗り、あてもなく出かけるというオーナー。近くには工場地帯が広がり、ちょっとアンダーグラウンドな写真が撮れるとあって気に入っているという。
部屋をベースにして趣味のアイテムが映えるえる空間。多趣味なオーナーらしさがあふれた住まいだ。オーナーの部屋を訪れて以来、すっかり感化された同僚が、中古のマンションを購入してリノベーションを始めたという。好きなものに囲まれた理想の暮らしを見せつけられたら、うらやましくなるのは無理もない。
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部屋をベースにして趣味のアイテムが映えるえる空間。多趣味なオーナーらしさがあふれた住まいだ。オーナーの部屋を訪れて以来、すっかり感化された同僚が、中古のマンションを購入してリノベーションを始めたという。好きなものに囲まれた理想の暮らしを見せつけられたら、うらやましくなるのは無理もない。
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