住宅にクールな表情を生み出す、ガルバリウム鋼板とは?
屋根や外壁の仕上げ材料として用いると、おしゃれな雰囲気を演出できることから人気の高い「ガルバリウム鋼板」。住宅に取り入れる際のメリット・デメリットを知りましょう。
安井俊夫
2019年6月11日
天工舎一級建築士事務所主宰。神奈川県小田原市に事務所を構え、住宅や店舗などの設計監理業務を行っています。書評やコラムなども執筆中。
ガルバリウム鋼板とは?
ガルバリウム鋼板とは鉄にアルミニウム・亜鉛・珪素をメッキした鋼板のことで、防食性能に優れているという特徴があります。メッキの被膜寿命が長く、塩害の恐れがある沿岸部でも15年、都市部では25年程の被膜寿命があると言われています。
金属板ということからブリキやトタンと混同され、その見た目から採用を避けられる方もいるようですが、それらとガルバリウム鋼板は似て非なるものです。ブリキは鉄にスズをメッキした物で、その加工性の良さからおもちゃなどの材料として使われていました。トタンは鉄に亜鉛をメッキした物で比較的に錆にも強いのですが、それでも沿岸部で5年、都市部で10年程の強度です。防食性能においてガルバリウム鋼板は、トタンの3倍の被膜強度がある製品だということが分かります。
ガルバリウム鋼板とは鉄にアルミニウム・亜鉛・珪素をメッキした鋼板のことで、防食性能に優れているという特徴があります。メッキの被膜寿命が長く、塩害の恐れがある沿岸部でも15年、都市部では25年程の被膜寿命があると言われています。
金属板ということからブリキやトタンと混同され、その見た目から採用を避けられる方もいるようですが、それらとガルバリウム鋼板は似て非なるものです。ブリキは鉄にスズをメッキした物で、その加工性の良さからおもちゃなどの材料として使われていました。トタンは鉄に亜鉛をメッキした物で比較的に錆にも強いのですが、それでも沿岸部で5年、都市部で10年程の強度です。防食性能においてガルバリウム鋼板は、トタンの3倍の被膜強度がある製品だということが分かります。
屋根材として①軽く、耐震性能向上に繋がる
使用される部位は大きく分けて二つで、一つは屋根材としての利用です。耐震性能を向上させる方法の一つとして、屋根を軽くすることがありますが、和瓦などに比べると鋼板材は圧倒的に軽いため、その採用を考える方が増えています。
同じ鋼板材のステンレス鋼板や銅板に比べて価格が安いことも、多くの方が採用される理由の一つだと思います。
使用される部位は大きく分けて二つで、一つは屋根材としての利用です。耐震性能を向上させる方法の一つとして、屋根を軽くすることがありますが、和瓦などに比べると鋼板材は圧倒的に軽いため、その採用を考える方が増えています。
同じ鋼板材のステンレス鋼板や銅板に比べて価格が安いことも、多くの方が採用される理由の一つだと思います。
屋根材として②多様なデザインが可能
また鋼板材は屋根勾配を緩くすることが可能なので、高さ制限などの法的規制を避けたい場合や、デザイン的に勾配の緩い屋根としたい時にも適しています。葺き方にも様々なバリエーションがあるので、屋根形状のデザインも多様になります。
ガルバリウム鋼板は工場で塗装された製品ですが、その色も豊富で建物のデザインやイメージに合わせて選ぶことが可能です。製作メーカーによって多少の色の違いこそありますが、各社ともに白・黒・茶色をはじめ青・赤・緑・銀色等の色が揃えられています。屋根材として利用する際には、夏の暑さを考慮して光を反射する白や銀色の製品を、採用することもあります。
また鋼板材は屋根勾配を緩くすることが可能なので、高さ制限などの法的規制を避けたい場合や、デザイン的に勾配の緩い屋根としたい時にも適しています。葺き方にも様々なバリエーションがあるので、屋根形状のデザインも多様になります。
ガルバリウム鋼板は工場で塗装された製品ですが、その色も豊富で建物のデザインやイメージに合わせて選ぶことが可能です。製作メーカーによって多少の色の違いこそありますが、各社ともに白・黒・茶色をはじめ青・赤・緑・銀色等の色が揃えられています。屋根材として利用する際には、夏の暑さを考慮して光を反射する白や銀色の製品を、採用することもあります。
屋根材として③外気温などを考慮して採用を
屋根にガルバリウム鋼板を使用するデメリットもあります。鋼板なので、外気温の影響を受けやすいため、夏は暑く冬は寒さを伝えやすい材料と言えます。したがってガルバリウム鋼板を屋根に使用する際には、断熱材の検討を十分に行う必要があるでしょう。また雨音なども響いてしまうため、防音シートなどを合わせて利用することが望ましいと言えます。
建築家を探す
屋根にガルバリウム鋼板を使用するデメリットもあります。鋼板なので、外気温の影響を受けやすいため、夏は暑く冬は寒さを伝えやすい材料と言えます。したがってガルバリウム鋼板を屋根に使用する際には、断熱材の検討を十分に行う必要があるでしょう。また雨音なども響いてしまうため、防音シートなどを合わせて利用することが望ましいと言えます。
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外壁材として①高さを際立たせる垂直ライン
ガルバリウム鋼板を使用する部位の二つ目は、外壁材としての利用です。外壁は屋根よりも見えやすいために、より高いデザイン性が求められます。写真のように垂直ラインを強調する張り方を選ぶことにより、建物の高さを強調することが可能にもなります。
ガルバリウム鋼板を使用する部位の二つ目は、外壁材としての利用です。外壁は屋根よりも見えやすいために、より高いデザイン性が求められます。写真のように垂直ラインを強調する張り方を選ぶことにより、建物の高さを強調することが可能にもなります。
外壁材として②水平ラインで印象的なデザイン
水平ラインが印象的な建物を造ることも可能です。水平ラインが特徴的なこのガルバリウム鋼板は、長い材料を張っているのではなく、短い材料を繋ぎ合わせ、かつ鎧状に重ねあわせて水平線を強調しています。雨仕舞にも配慮した、考え抜かれた納まりを工夫しています。
水平ラインが印象的な建物を造ることも可能です。水平ラインが特徴的なこのガルバリウム鋼板は、長い材料を張っているのではなく、短い材料を繋ぎ合わせ、かつ鎧状に重ねあわせて水平線を強調しています。雨仕舞にも配慮した、考え抜かれた納まりを工夫しています。
この建物も水平ラインが特徴的ですが、こちらは角型に折り曲げられた長い材料を使用することで、しっかりした陰影を作り出しています。
外壁材として③木と組み合わせてあたたかみを
また、無機質材料であるガルバリウム鋼板と、有機質材料である木を組み合わせることで、シャープさの中にあたたかみを感じるデザインを作り出せます。
木材をメインとした外壁に、アクセントとしてガルバリウム鋼板を使うこともあります。こちらは玄関廻りの一部にシルバーのガルバリウム鋼板を貼り、印象的な玄関廻りをデザインされています。
また、無機質材料であるガルバリウム鋼板と、有機質材料である木を組み合わせることで、シャープさの中にあたたかみを感じるデザインを作り出せます。
木材をメインとした外壁に、アクセントとしてガルバリウム鋼板を使うこともあります。こちらは玄関廻りの一部にシルバーのガルバリウム鋼板を貼り、印象的な玄関廻りをデザインされています。
外壁材として④大胆なデザインも高い技術で可能
ガルバリウム鋼板の形状も様々です。この建物は屋根に貼るガルバリウム鋼板と同じ貼り方・同じ色で外壁を仕上げ、大胆で印象的な建物デザインとなっています。
このような大胆なデザインを可能にするガルバリウム鋼板ですが、それには施工者の高い技術力が必要です。
ガルバリウム鋼板の形状も様々です。この建物は屋根に貼るガルバリウム鋼板と同じ貼り方・同じ色で外壁を仕上げ、大胆で印象的な建物デザインとなっています。
このような大胆なデザインを可能にするガルバリウム鋼板ですが、それには施工者の高い技術力が必要です。
費用やメンテナンスの面も考慮を
ガルバリウム鋼板はシンプルな材料であるため、高い加工技術が求められます。傷や凹みにも弱く、工事中に表面を傷つけてしまうと、そこから錆が発生することもあります。トタンと違い現場で塗装することが難しいため、一度傷付けてしまうとメンテナンス費用が意外と掛かってしまいます。その辺りは十分にご理解された上で、採用をご検討下さい。
また年に一度程度は、埃や汚れを水洗いすると言ったメンテナンスも必要です。決してメンテナンスフリーの材料でも無ければ、錆びない材料でもありません。メリット・デメリットを理解した上で、設計者と十分相談することで、納得のいく取り入れ方ができるでしょう。
ガルバリウム鋼板を利用することで、スタイリッシュでクールな表情の建物を造り出すことが可能となります。また木材などと組み合わせることで、そこに柔らかさや温かみを加えることも出来る優れた材料ですが、その為には高い設計力と施工能力が何よりも重要となってきます。
エクステリアの記事をもっと読む
ガルバリウム鋼板はシンプルな材料であるため、高い加工技術が求められます。傷や凹みにも弱く、工事中に表面を傷つけてしまうと、そこから錆が発生することもあります。トタンと違い現場で塗装することが難しいため、一度傷付けてしまうとメンテナンス費用が意外と掛かってしまいます。その辺りは十分にご理解された上で、採用をご検討下さい。
また年に一度程度は、埃や汚れを水洗いすると言ったメンテナンスも必要です。決してメンテナンスフリーの材料でも無ければ、錆びない材料でもありません。メリット・デメリットを理解した上で、設計者と十分相談することで、納得のいく取り入れ方ができるでしょう。
ガルバリウム鋼板を利用することで、スタイリッシュでクールな表情の建物を造り出すことが可能となります。また木材などと組み合わせることで、そこに柔らかさや温かみを加えることも出来る優れた材料ですが、その為には高い設計力と施工能力が何よりも重要となってきます。
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コメント失礼致します。
大変分かりやすい内容の記事で、とても為になった方も多いことと思います。
特に、ガルバリウム鋼板の使用に際しての、デメリットに対しても記事にしていただいたことに、とても感謝いたしました。
私の住んでいる地域は、秋田県の秋田市になります。
ガルバリウム鋼板材を、外壁材として使用する場合には、住まいに採用されるお客様に対して、何度もメンテナンスの必要があることを、必ずお話しをさせていただきます。
秋田市は海も近く、交通量が多い道路沿いなどに住まいを建築される場合には、特に注意をしなければなりません。
秋田市にて外壁材として採用する場合には、1年間に2から3回前後は、外壁材を洗うなどのメンテナンスが必要となりますので、メンテナンスを怠ると、本当にサビの発生が早いものです。
どの様な材料にも、必ずメンテナンスは必要だということを、上手に伝えていけたらと、あらためて感じさせていただきました。
良い記事をありがとうございました。
足利建築
足利敏光
二本柳慶一様
コメントいただき、ありがとうございます。
建築家の発想力とそれを具現化する施工者の技術力、そしてなによりもそれらのデザインを許容するクライアントの嗜好と思考の妙がなせる業だと言えますね。「好き」と思われる感性が、デザインの第一歩なのかもしれませんね。
足利建築様
御丁寧な御感想をいただき、ありがとうございます。
ガルバリウム鋼板=メンテナンス・フリーと、話される方が居るようですが、それは誇張し過ぎで、誤解を与えてしまいますよね。あくまでも「メンテナンスのサイクルが、〇〇と比べて長い」とか、「〇〇と比べたら安価」と言うように、比較してあげないと誤解を生みますし、後々のクレームに繋がりかねません。
屋根材としてガルバリウム鋼板が普及する前、「屋根に銅板を葺くとメンテナンスが不要です」と、言われていた時代がありました。時代により人気の製品が変わっていきますが、どんなに優れた材料でもメンテナンスが不要な材料など存在しません。それは病気にかからない人が居ないことと、きっと同じことなのかもしれませんね。貴重なコメントをいただき、こらこそありがとうございました。